マガジン9

憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。

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これまでの「今週のマガジン9」

'09.12.23+30

VOL.238

静かな「寅年」でありますように…

 このところ、モーレツに寒いです。街角で「ビッグイシュー」を販売しているおじさんも、肩をすくめて寒そうです。せめてもと、雑誌を5冊まとめ買いしました。
 北国では数十年ぶりの大雪だそうです。北国でも都会ではそれなりの雪害対策がなされていますが、小さな町や村では、雪に閉じ込められる生活がこれから数カ月も続くのです。地球温暖化とは言いながら、やはり厳しい冬です。
 街にはジングルベルが鳴り響き、イルミネーションが目に眩しく輝いて、なんとも騒々しい季節です。でもそれは、都会暮らしで感じること。雪国ではすべての音が雪に吸い込まれ、まるで防音室の中のような無音の世界が広がります。静謐、という字を思い出します。
 来年は「寅年」です。でも、虎のように猛々しい年であって欲しくはありません。静かな、ゆったりとした年であってほしいものです。

 普天間基地には、米軍の休暇によって年末年始のつかの間、ほんのわずかな“静謐”が訪れるといいます。それが永続することを現実化できるように、私たちもできる限りの発信を続けたいと思っています。

 そこで、今年最後のお願いです。
 2009年の「マガジン9条・会計報告」を2週間前に公表しましたので、ごらんください。発信を続けるために、もう少し費用が必要です。できれば、「お年玉」のおすそ分けをお願いいたします。
 2010年が、あなたにとって、そして私たちにとっても、いい年でありますように…。

さて、今週の「マガジン9条」は、合併号でお届けです。

まずは年末年始企画、伊藤真さんと小林節さんの2年ぶりの対談が実現。まずは政権与党となった民主党が掲げる憲法観について、お2人にそれぞれ語っていただきました。
そして、もう一つの特別企画「ほっとけないアフガニスタン」。伊勢崎賢治さんに、さらなる混迷が続くアフガン情勢についてお話を伺いました。
連載コラム陣は、「2009年の振り返り&2010年の展望」について書いています。
「森永卓郎の戦争と平和講座」では、2010年に向けての展望を。「新しい年に向けて厳しいことは書きたくない」という森永さんですが、やっぱり「展望」は厳しいものにならざるを得ないよう。
「雨宮処凛がゆく!」は、「09年を振り返る」。政権交代のあった2009年、「貧困」をとりまく状況に変化はあったのでしょうか?
「松本哉ののびのび大作戦」は、いよいよワールドツアーも終盤、中国での報告です。
「柴田鉄治のメディア時評」では、今年1年のニュースを振り返ります。「普天間問題」をめぐるメディア報道のおかしさや、「司法の劣化」を指摘する柴田さんです。
「40歳からの機動戦士ガンダム」は、「戦争と子ども」をテーマに。幼い子どもまでが「兵士」として駆り出される、その戦争の現実が、ガンダムには描き出されています。
「コラムリコラム」も、今年1年のあのニュース、このニュースを総ざらえ。あなたが気になったニュースは、何でしたか?
「マガ9レビュー」は、今だからこそ見ておきたい、反戦映画の傑作「西部戦線異状なし」を取り上げます。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

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それでは年末年始、じっくりとお読みください!
新年最初の更新は、1月6日です。

'09.12.16

VOL.237

オバマ大統領は、なぜノーベル平和賞を辞退しなかったのか。

 12月10日、オバマ大統領はノルウェイのオスロで受賞記念演説を行いましたが、そこで「私の受賞が多くの議論を巻き起こしたことを否定するわけにはいかない」と述べています。なにしろ、アフガニスタンへの3万人の兵力増派を決定した直後の演説だったのですから、議論が起こらないほうがおかしい。
 オバマ大統領は「核なき世界」をも強調しましたが、現実のアフガン戦争へのとめどないコミットを考えれば、それはやはり虚しく響くしかありませんでした。いかに「平和を守るための武力行使」という言葉を使っても、レトリックにしか聞こえません。
 やはり、受賞は辞退すべきだったと思います。

 <私はまだ、この受賞には価しない。しかし見ていて欲しい。私は必ずや、アフガニスタンに平和をもたらし、核なき世界への道筋を示してみせよう。受賞に価する政治家として、私は変わらぬ努力を続けることを固く決意している。その日が来るまで、私はこの賞を辞退する。戦火を止め、平和と核なき世界が実現した暁に、私が笑顔とともにこの場へ戻ってくることを、今、みなさんに約束してこの場から去りたいと思う。>

 というような辞退演説をして、オスロ市庁舎前から去って行くべきだったのです。オバマ大統領がどんなに「アフガンの平和のため」と力説したところで、「正しい戦争」など絶対に存在しないのですから。
 ノーベル平和賞への信頼は、佐藤栄作元首相の受賞で一度地に堕ちています。例の核密約が、そのことを今になって証明してしまいました。今回のオバマ大統領受賞で、賞の政治性への疑問はさらに高まったというしかありません。

さて、今週の「マガジン9条」は、

まず、先週にひきつづき「2010年度パトロン募集」しております。よろしくお願いします!
「アピール9」では、オリジナル年賀葉書とポチ袋を配っています。
「鈴木邦男の愛国問答」は、なんと鈴木さんの前世はネコだった!?
「雨宮処凛がゆく!」は、ネットカフェからのSOSカップル編が最終回。「私たちには、“迷惑をかけあう練習”が必要なのかも」。そうつぶやく雨宮さんです。
「癒しの島・沖縄の深層」は、鳩山政権発足後の4カ月を振り返って。「越年」が伝えられる普天間移設問題はどうなる、どうする?
「コラムリコラム」は、「だから、本屋へ行こう!」。他の数多くの業界と同じく、終わりの見えない「不況」にあえぐ出版業界ですが……。
「マガ9スポーツコラム」は、前回に続きJリーグのお話。今のFC東京にあって東京ヴェルディにないもの、それは?
「マガ9レビュー」は1974年の作品、黒木和雄監督の「竜馬暗殺」を取り上げます。
「マガ9」から生まれた本では、同日に2冊が発刊。読者プレゼントもあります。
その他「みんなのこえ」も更新しています。

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「マガジン9条」でツイッターはじめました。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.12.9

VOL.236

またまた、心苦しいお願いです。

 早いです。ちっともまともな仕事ができなかったのに、2009年が終わります。反省しきりの年の瀬です。それでもなんとか「マガジン9条」だけは更新し続けました。もうじき6年目に入ります。
 政権交代があって、さまざまな出来事が噴出した1年でした。「マガジン9条」の役割も、まだまだ大切なのだと、改めて感じています。
 そこで、またも厚かましいお願いです。

 カンパをお願いします。
 毎回同じことを書いてばかりで心苦しいのですが、「マガジン9条」の財政状態が逼迫しています。「マガジン9条から生まれた本」などの編集協力費やささやかな印税収入などが、出版不況のあおりを受けて減少の一途です。スタッフはボランティアですが、「マガジン9条」の更新のための取材謝礼や原稿料、通信費などの諸経費は少しずつ増加しています。
 読者のみなさまからのカンパや、志ある方からのご寄付などでなんとか遣り繰りしていますが、かなり厳しい現状です。

 また、「パトロン」になってください。もうなってくださっている方たちは、ぜひ継続をお願いします。

 普天間基地の辺野古移設問題、アフガン戦争への関わり方など、私たちの国の行く先は、憲法9条の精神と深い関わりがあります。この「マガジン9条」は、そのようなことがらを考える小さな場であり続けたいと願っています。

 カンパ並びにパトロン、ぜひぜひよろしくお願いいたします。道筋が見えるまで、もう少し頑張りたいと思うのです。

さて、今週の「マガジン9条」は、

「ぼくらのリアル★ピース」は、NGOグリーンピースのスタッフ、佐藤潤一さんの第2回。昨年大きく報道された、捕鯨問題に関連しての「逮捕」劇とは何だったのか? 佐藤さんの考える「平和な社会」についても伺いました。
「松本哉ののびのび大作戦」は、ヨーロッパから韓国へ。全国の「マヌケな貧乏人」たちの活動を知ることには、実はあまりにも重要な意味がある! のです。
「雨宮処凛がゆく!」は、引き続きネットカフェからのSOS、カップル編。生活保護申請のため福祉事務所を訪れた一行を待っていたのは?
「コラムリコラム」は、「日米同盟と沖縄基地問題」。首相が「年内決着の断念」を表明した普天間基地問題、大手メディアの報道にも疑問が膨らむばかり?
「マガ9スポーツコラム」は、今年もリーグ戦が終了したJリーグについて。かつての名門、東京ヴェルディは、なぜ存続の危機にまで追い込まれたのか?
その他「みんなのこえ」も更新しています。

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それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.12.2

VOL.235

猫の話

 5年ほど前のことです。我が家の庭に、貧相な野良猫が姿を見せるようになりました。哀れっぽい声で鳴くので、つい餌をあげるようになりましたが、そのうちプツリと消えてしまいました。「恩知らずの野良め」と思っていたら、ある日、なんと3匹の子猫を連れて再び現れたのです。ミュアミャア。子猫は可愛い。どこで産んだのでしょうか。
 この4匹、野良の習性を失わず、いくら餌を貰っても決して家の中に入ろうとはしないし、抱かれることなど絶対拒否です。なんとも愛想がない。だから、避妊手術をするために捕まえるのは一大騒動でした。
 ところがそのうちに、1匹ずつ姿を消していきました。カミさんに言わせると「自分探しの旅に出た」のだそうですが、いまでは1匹(クロトラ、名前はドット)だけになりました。このドットにも野良魂は健在。冬の寒い日も冷たい雨の日も、絶対に家に入ろうとはしません。そこで仕方なく、ホームセンターで小さな犬小屋を買ってきて、古毛布を敷いて猫小屋にしました。なんとも手間のかかる野良猫です。
 しかし外での生活、ついにどこかで病気をうつされてきたようです。伝染性腎臓疾患とかなんとか、獣医さんは難しい診立てです。足の肉丘から血がにじんでいます。でも、私たちにはどうにもできない。獣医さんに連れて行って抗生物質を注射してもらうしかありません。
 なんとか病気を乗り切りますように…と、今日は高い缶詰を奮発しました。ミャア~ン、声は相変わらず可愛いのです。

さて、今週の「マガジン9条」は、

さまざまな活動に取り組む若い世代へのインタビュー「ぼくらのリアル☆ピース」が更新。NGO「グリーンピース・ジャパン」のスタッフ・佐藤潤一さんに、ちょっとびっくり、でも楽しそう、なアメリカ留学時代のお話をお聞きしました。
「森永卓郎の戦争と平和講座」は、ついに日銀から発せられた「デフレ宣言」の話。この原因をつくった日銀こそが、「事業仕分け」されるべきだと主張する森永さんです。
「鈴木邦男の愛国問答」は、前回に引き続き「読書遍歴」の話を。鈴木さんを読書に駆り立てたのは、激動の時代と「勿体ない」精神だった?
「雨宮処凛がゆく!」は、ミニ連載の第4回。「ネットカフェ難民」となり、雨宮さんとともに支援団体を訪れたふたりの、「怒涛の一日」が始まった!
「癒しの島 沖縄の深層」は、引き続き普天間基地問題について。日米、そして連立政権内の「綱引き」も大詰め、と見る岡留さんですが……。
「コラムリコラム」は、毎日新聞が共同通信社に加盟、のニュースから。普天間基地問題についても触れています。
「マガ9レビュー」は、イスラム地域の政治状況を見つめ続けてきた研究者・宮田律さんの著書『南アジア 世界暴力の発信源』を取り上げます。

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それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.11.25

VOL.234

小さな福が来ますように

 今日(11月24日)は、「二の酉」です。毎年11月の酉の日に行われるお祭です。今年は12日が「一の酉」。私もちょいと電車に乗って神社へ出かけ、小さな熊手を買ってきました。かなり寒いけれど、冬の風物詩にはぴったりの日和でした。

 この「お酉さま」という行事、東京に来て初めて知りました。私の故郷ではこんな風習はありませんでした。熊手で福をかき集める。どうも、関東にだけ伝わる行事のようです。
 私が買い求めたのは、ほんの30センチばかりの小さな熊手です。私がかき集められる福にはちょうどいい大きさなのかもしれません。小さくてもいいから、福が訪れてくれますように。
 熊手売りのお兄さんたちが、大きな熊手を買った客に、盛大な手拍子でお祝いをしてあげていました。神社にはたくさんの客が集い、屋台のソース焼きそばの匂いも食欲を刺激します。
 枯れ葉舞う舗道に、今年も冬がやって来ました。

さて、今週の「マガジン9条」は、

今月の「柴田鉄治のメディア時評」は、日本のメディアについて、外国メディアからしばしば指摘されるという、「スタンピード現象」の話を。
「松本哉ののびのび大作戦」が久々の再開。お休み中、実は国境を越えた壮大な「作戦」が展開されていたのです、というわけでまずはドイツからの報告を。
「雨宮処凛がゆく!」は、ネットカフェからのSOS、カップル編の第3回。いよいよ厳しい状況に追い込まれた2人は、ここからどうなる?
「コラムリコラム」は、今月2日に佐賀県の玄海原発で試運転が始まったプルサーマル原子炉の話題を。知れば知るほど、必要なの? の疑問が膨らみます。
「マガ9レビュー」は1961年の日活映画『豚と軍艦』を取り上げています。

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それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.11.18

VOL.233

冬が来る前に

 今日は冷たい雨が降っています。気温も10度ほどしかありません。こんなことを言うと北国の方たちには笑われるかもしれませんが、私は今季初めて、コートを着て出かけました。
 小さな庭の花々も、ほとんど枯れてしまいました。パンジーだけが小さく咲いています。可憐だけれど寒さには強いのだそうです。秋の実がそろそろなくなったのでしょうか、庭の餌台に小鳥たちがやってくるようになりました。
 気の早い忘年会のお誘いが3ヶ所ほどから届きました。もうそんな季節になったのですね。ジングルベルがちょっとけたたましく街に流れ始めるのも間もなくでしょう。
 今年もあの「派遣村」ができそうです。失業率はちっとも下がってはいません。相変わらず「雇い止め」が横行しているようです。GDPがわずかに上昇しているとの報道もありますが、それが街の景気にまで降りてくるには、まだまだ時間がかかるでしょう。
 私たち夫婦もできる範囲でですが、ボランティアに参加しています。生きることが難しい世の中。政権交代した政治が、そんな世の中を少しでも温かく変えてくれることに期待しつつ…。

さて、今週の「マガジン9条」は、

「この人に聞きたい」は、梅林宏道さんの第2回。北東アジアの「非核地帯化」、そして沖縄の基地問題解決に向けてのビジョンをお聞きしました。
「癒しの島・沖縄の深層」は、「オバマ来日で揺れる沖縄の基地問題」。辺野古移設容認を表明していた首長たちが次々方針を転換するなど、「NO」の声はますます強まっています。
「雨宮処凛がゆく!」は、ネットカフェからのSOS、カップル編の第2回。A君とB子ちゃん、雨宮さんに「SOS」を送ってきたふたりのこれまでをたどります。
「鈴木邦男の愛国問答」は、「クニオ君の読書遍歴」。初めて<文学>と出会ったのは中学2年生のときだったという鈴木さん、その「読書人」への道のりは?
ついに登場! 「マガ9のブログパーツ」第1弾です。更新項目が一目でわかる便利ツールです。使ってね。
「コラムリコラム」は、再び沖縄・普天間基地の移設問題について。オバマ大統領来日前後の、さまざまな発言に注目してみました。
「マガ9スポーツコラム」は、「自然を味方にしなければならないスポーツ」。来年に迫ったバンクーバー冬季五輪、楽しみな種目の一つは、コレ。
「マガ9レビュー」は、広島・長崎での被爆者へのインタビューを中心に構成されたドキュメンタリー映画「ヒロシマナガサキ」を取り上げます。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

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それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.11.11

VOL.232

現実とは…

 川原を散歩しました。夕陽が赤くススキの穂を染めています。川風に赤い穂が揺れています。カラスが2羽3羽、川の上流のほうへ飛んで行きました。きっとねぐらへ帰るのでしょう。「お帰りガラス」と、私は勝手に呼んでいます。いつもは鬱陶しいカアカアという鳴き声が、なぜかやさしく聞こえる穏やかな夕暮れでした。
 帰宅して、軽くビールを飲みながらテレビニュースに目をやります。女子大生が切断されて発見され、2人の詐欺容疑女性の周辺で何人もの不審死があり、整形して逃亡を続けた殺人容疑者がいて、危険性が強く指摘されているプルサーマル発電が九州電力の玄海原発で開始され、沖縄では怒りに満ちた大会に多くの人たちが集まり、米兵によるとみられる轢き逃げ事件も発生しています。
 さきほどの穏やかな夕暮れは、テレビの画面からは見えてきません。どちらがほんとうの現実なのでしょう。
 ビールが苦くなり、1本でやめてしまいました。

さて、今週の「マガジン9条」は、

「この人に聞きたい」は、平和問題に関する綿密な調査活動で知られるNPO「ピースデポ」の梅林宏道さん。高まる「核軍縮・核廃絶」へのうねりについて、お話を伺いました。
中島岳志さんと鈴木邦男さんの「マガ9対談」は、今回でひとまず最終回。
「雨宮処凛がゆく!」は、新たに「連載」がスタート。ある若いカップルから寄せられた「SOS」に、雨宮さんは……
「コラムリコラム」は、注目が集まる沖縄・普天間基地移設問題について。地元の人たちの声を押しつぶしてきた責任は、マスコミにもある?

その他「みんなのこえ」も更新しています。

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それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.11.7

VOL.231

THIS IS IT

 日本でも話題沸騰のマイケル・ジャクソン最後のドキュメンタリー映画を、昨日見てきました。ロンドンで行なわれる予定だったライブのタイトルが、この映画のタイトルにもなっていて、「ついにその時がやってきた!」は、最後のメッセージ「地球の環境をどうにかしよう、あと4年で!」とのマイケルの呼びかけにも呼応している言葉だったんだな、と。4年という具体的な目標設定が、マイケルの本気度を感じました。

 来週、12日にいよいよオバマ大統領が初来日します。鳩山首相との首脳会談でいっきに、沖縄基地問題や日米地位協定の問題がクリアになるとは思えませんが、「歓迎」と「期待」を持って、この来日を待ちたいと思います。長年、核軍縮問題を研究しているシンクタンクの方が、「これまでにない良い機会」だと語っています。そう、「THIS IS IT 」となるように。

さて、今週の「マガジン9条」は、

「雨宮処凛がゆく!」は、韓国からやってきたキム・ソンハ君のお話、最終回。各国の若者の置かれている状況の格差に愕然とする雨宮さん。
「鈴木邦男の愛国問答」は、意外にもミッション・スクール高校出身の鈴木さんが、将来は「愛と平和」の学校を作るって、ホント!?
「癒しの島・沖縄の深層」は、普天間基地移転問題で揺れている沖縄から。怒り心頭の県民の声をお聞きください。
「マガ9レビュー」は、三浦しをんの『神去なあなあ日常』を取り上げています。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

今週は、更新が少々少なめですが、そんな時は、「目次」ページを見て読み忘れていたこんな記事やあんな対論など、読んでみましょう。 最近スタートした、「バナー広告」についても、目次からどうぞ。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.10.28

VOL.230

秋の日、筑紫さんは逝った…

 ときならぬ台風20号は日本列島を離れ、太平洋上へ通り過ぎていきました。でも、北海道ではもうしばらく、台風の影響が残るということです。お気をつけください。
 今日(10月27日)の東京は、台風がすべての都会の塵やゴミを洗い流してくれたようで、目が痛いほどの快晴です。真っ青な空に浮かぶ白雲。昨夜の風雨で吹き飛ばされた落ち葉が、まだ濡れたまま舗道に貼りついています。ほんとうに気持ちのいい秋の日です。

 もくじの上の広告欄に『若き友人たちへ 筑紫哲也ラスト・メッセージ』が載っています。ああ、そういえば筑紫さんが亡くなったのは、去年の11月7日、秋の日でした。もうすぐ1年が経つのですね。
 筑紫さんは「政治改革は政権交代」が持論でした。その政権交代を見ることなく旅立ちました。もし生きておられたら、あの独特の口調で「ほら、僕のいったとおりだったろ?」と仰ったかもしれません。
 鳩山政権は、なんとか船出をしました。鳩山首相の施政方針演説も、これまでの自民党首相と比べれば、それなりの新しさを持っていたように思えます。新しい政治が始まりかけている感じはします。しかし、さまざまな場面で、揺り返しも来ているようです。政権交代はしたけれど政治改革には至らなかった、ということだけは避けてもらいたい。
 政権交代こそが政治改革なのだ、と考えていた筑紫さんを失望させてはいけませんよ、鳩山さん。

さて、今週の「マガジン9条」は、

「この人に聞きたい」は、保坂展人さんの第2回。引き続き八ッ場ダム問題について、そして公共事業全体を取り巻く問題について、お話しいただきました。
「雨宮処凛がゆく!」は、韓国からやってきたキム君のお話、第5回。韓国の若者を取り巻く現状を聞きながら、「改めて言葉を失った」と雨宮さん。
「メディア時評」は、民主党政権になっての2ヶ月間をふりかえります。普天間基地の問題を中心に、「ほころび」が出始めた?
「40歳からの機動戦士ガンダム」は、「ガンダムに見る戦争と食」。さりげない食事の場面一つひとつにも、リアルな「戦争」の姿が描き出されているのです。
「コラムリコラム」は、沖縄・普天間基地の“移転”問題について。アメリカ側は、「大枠での計画変更はありえない」との主張を繰り返していますが…。
「世界から見た今のニッポン」は、ドイツ緑の党のメンバーであるディマ・コンゼヴィッチさんから、日本とドイツの政治について寄稿してもらいました。
「マガ9レビュー」は、筑紫哲也さんの新刊「若き友人たちへ」について。この本の編集者によるレビューです。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.10.21

VOL.229

誰かアメリカに忠告を

 アメリカ国防総省高官が、沖縄の普天間米軍基地の辺野古移転に関して、「基地を50メートルほど沖合いに移動するくらいなら認めてあげます。国外や沖縄県外への移設は絶対に認めませんけど」というようなことを、日本のメディアに述べたそうです。20日に来日したゲーツ国防長官も同じようなことを述べています。さすがに我慢強い我が国民のみなさんも、かなり頭にきているみたいです。
 他人の土地に家を建てさせてもらうのに、「ちょっとだけずらすのは認めてあげるけど、他で土地を探すのは絶対にイヤだからね。オレらはずっとここにいたんだし、アンタの迷惑なんか知ったことじゃないもんね」というわけですね。腹も立ちます。  
「ずいぶん長い間我慢してきたけど、おたくのファミリーが立てる騒音や乗り物の危険や犯罪は、もはや我慢の限界です。それに、土地代だって家賃だって、おたくが自腹で払っているわけじゃないでしょ。もう出て行ってくださいよ。自分のところには広い土地もあるし、近くに島だって持っているじゃないですか。ケンカ相手だと警戒していたCさんやRさんも、いまではすっかりあなたと仲良しです。もう、ここで見張りをしている必要もないでしょ。ここに居座る理由はもうないはずです。おたくにウチが大借金でもしているならともかく、おたくの債権を買っておたくの赤字家計を援けてあげているのはウチじゃないですか。そのわりには、おたくの態度、デカ過ぎやしません? 自分ちの事情ばかりじゃなく、少しはこちらの迷惑も考えてくださいよ」というような、ごく普通の意見には耳も貸しません。
 いままでは「他所のことだから」と、目を向けなかった本土の人たちも、ようやく強い関心を示し始めました。ムカムカし始めました。
 強固な日米同盟をこれからも維持していきたいと思うなら、「75%もの米軍基地を抱える沖縄県民の負担軽減を具体的に示さないと、日本国民の意識が反米に傾くことにもなりかねませんよ」と、アメリカに進言してあげる賢人はいないものでしょうか。

さて、今週の「マガジン9条」は、

「この人に聞きたい」に、前衆議院議員の保坂展人さんが登場。建設中止をめぐり議論が続く八ッ場ダムの「真実」について、語っていただきました。
鈴木邦男さん×中島岳志さんの「マガ9対談」は第2回。テロ事件が頻発した「昭和維新」と、現代の若者たちの「生きづらさ」はつながっている? 右翼思想の流れから読み解きます。
「雨宮処凛がゆく!」は、韓国出身のキム・ヨンハくん編、第4回。日本へとやってきたキムくんを待っていた「出会い」とは?
「癒しの島・沖縄の深層」は、鳩山政権スタートから1か月あまり、を振り返って。
「鈴木邦男の愛国問答」は、日本で年間3万人以上がこの世を去る原因になっている「自殺」を考えます。
「コラムリコラム」は、原発の話を。すでにその危険性が指摘されている原発ですが、運転中のみならず、「解体」の段階にも、信じがたい危険と問題が潜んでいます。
「マガ9スポーツコラム」は、昔も今も秋の風物詩、「運動会」のお話を。

その他「みんなのレポート」「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.10.14

VOL.228

ある秋の日の午後…

 近所を散歩していると、とてもいい香りがしてきます。あたりをよく見ると、民家の塀越しに金木犀(きんもくせい)の金色の花が満開です。あの花の少し濃厚な匂いです。
 ハナミズキやピラカンサの小さくて真っ赤な実が、陽に映えています。カラスウリや柿の実の橙色も素敵です。ヒヨドリの“イーヨイーヨ”という鳴き声が、高い空に響いています。ああ、秋が来たなあと、歩きながら思います。
 好天に誘われ、自転車で10分ほど、大きな公園まで出かけました。自転車を停めて鍵をかけ、公園の中の自然観察園をぶらぶらします。萩やしゅうめい菊などの秋の草花がたくさん咲いています。沼のほとりにはカメラマンたち。ここを訪れる“水辺の宝石・カワセミ”がターゲットです。美しい青い姿を、私も持参した双眼鏡で堪能しました。
 帰り際、ポケットに手を入れて、ちょっとあせりました。自転車の鍵がないのです。ありゃ、落したかな。あたりを探しましたが見当たりません。さっきトイレに入って手を洗いハンカチを使った。鍵はハンカチと同じポケット。そのとき落としたかも…。というわけで、トイレまで戻り水道のところへ行って探してみると、手洗い所の鏡の前の台の上に、私の鍵がありました。誰かが拾って台の上に置いてくれたに違いありません。じんわりと、胸が温かくなりました。
 なんだかとても嬉しくて、口笛を吹きながら帰りの自転車を漕いだのでした。秋の休日の午後のことです。

さて、今週の「マガジン9条」は、

鈴木邦男さん×中島岳志さんによる「マガ9対談」の第1回目。なぜか「マガジン9条」で、「右翼」と「保守」の対談が!果たしてどんな議論が展開されているのか?
「伊勢崎賢治の平和構築ゼミ」は、アイルランド出身のデズモンド・マロイさんの最終回。人道支援活動におけるデズモンドさんの体験談を聞きつつ、日本の「国際貢献」の在り方について考えます。
「雨宮処凛がゆく!」は、引き続き韓国出身、徴兵制に反対するキムくんの話。留学先のイギリスから帰国したキムくんを、日本へと導いたのは…?
「40歳からの機動戦士ガンダム」も更新。ガンダムをはじめとする「人型ロボット」の登場は、ガンダム世界における「戦争」に、どんな影響をもたらしたのか?
「コラムリコラム」は、オバマ大統領のノーベル平和賞受賞、そして広島長崎の五輪開催地立候補と、最近のニュースから見えてくることを。
「マガ9レビュー」は、国と国との対立に翻弄される1人の花嫁とその家族の1日を描いた映画「シリアの花嫁」を取り上げます。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.10.7

VOL.227

核兵器使用禁止条約

 ある尊敬する企業家と話をしました。彼が、とてもユニークな発想を聞かせてくれました。
「核軍縮機運が高まっているけれど、それはどうも大国間の駆け引きに終わるような気がする。そこで『核兵器使用禁止条約』というのを日本が提案する、というのはどうだろうか」
「核兵器使用禁止条約ですか? それは当たり前のことのような気がしますけど…」
「条約の中身は、『核兵器保有国は核兵器非保有国に対して、絶対に核兵器を使用してはならない』ということ。つまり、核兵器保有国同士が勝手に核攻撃し合うのは止めようがない。だったら、核を持っていない国に対しては絶対に核攻撃してはならないということを、条約ではっきりと義務付ける。こうすれば、少なくとも日本などは核攻撃の不安から解放されることになるだろう」
 なるほど。これは、少し見方を変えただけでとても先進的な考えです。アメリカが主導している核軍縮は、経済的に重荷になっている核兵器を、なんとか少しでも減らして不況脱却につなげたい、という意図が見えています。それではなかなか「核廃絶」にまでは到達しないでしょう。ならば次善の策として、とにかく核非保有国の安全を守ることを優先させるための条約を作る。まことにユニークな提案です。
 もしこの条約が発効すれば、狙われることのないように、現保有国の中からも核兵器を放棄する国が出てこないとも限りません。

<第一章 核兵器保有国は核兵器非保有国に対し、絶対に核兵器を使用してはならない。>

 たったこれだけの条文が、世界を変える可能性だってあります。我が尊敬する彼は、ニコニコと笑っておりました。

さて、今週の「マガジン9条」は、

新企画、「広告主」を募集します!
「伊勢崎賢治の平和構築ゼミ」は、アイルランド出身のデズモンド・マロイさんの第2回。アイルランド国軍将校だったデズモンドさんが、そのキャリアを180度転換させたのはなぜだったのか? を聞いています。
「鈴木邦男の愛国問答」は、オリンピックについて。2016年五輪がリオデジャネイロで開催決定、のニュースを受けて、鈴木さんが考えたことは?
「雨宮処凛がゆく!」は、先週に引き続き、徴兵制反対運動にかかわる韓国人学生、キム・ソンハ君の話を。韓国の徴兵制を取り巻く、さらに驚きの実情が伝えられます。
「癒しの島 沖縄の深層」は、きっと多くの人が感じているだろう、政権交代後のさまざまな「変化」について。沖縄にも、いくつもの変化の兆しが見えています。
「コラムリコラム」は、2016年オリンピック招致レースの「内幕」を。「東京落選」の結果を生んだ要因の一つはこれだった?
「マガ9レビュー」は、数々のヒット曲を生んだ作詞家・阿久悠の「作詞入門」を取り上げます。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.9.30

VOL.226

つくづく惜しい…か?

 近所の小川の岸辺に、真紅の花が咲いています。彼岸花です。秋の彼岸のころに咲く、文字どおりの“秋告げ花”です。この花とともに、秋が訪れます。もうじき、山も色づくでしょう。
 1週間ほど前まで、切なげに鳴いていたセミ(つくつく法師)も、さすがに生を終えたようです。
 オーシィツクツク、オーシィツクツク…。
 よく聞くと「おしい、つくづく惜しい、つくづく惜しい」と聞こえるような気がしました。逝く夏を惜しんでいたのか、高い青空の入道雲に想いを馳せていたのか。

 自民党総裁選で、谷垣禎一さんが当選しました。人柄も柔らかく考え方も加藤紘一さんの流れを汲んで、とても穏やかな方だそうです。そんな柔らかで穏やかな方に、沈没しかけた自民党丸の舵取りがうまくできるでしょうか。若手と古株に分裂しそうな党を、うまくまとめていけるでしょうか。
 新しい党を再生して、新しい国家像を提示する、そんな熱気がまるで感じられず、結局は、党の顔の新旧交代も果たせなかったままの総裁選でした。メディアも気づいていたようです。だから、取材陣もまばら。「野党だから仕方ないよ」と自嘲気味につぶやいた笹川尭総務会長の声が虚しく響きました。
 「つくづく惜しい」という晩夏のセミの声が、沈みゆく自民党の姿に重なるような気がする光景…。

さて、今週の「マガジン9条」は、

「伊勢崎賢治の平和構築ゼミ」が開講。元軍人で現在は人道支援の活動に世界を飛び回るデズモンド・マロイさんに、まずは故国アイルランドの紛争について聞きました。
「森永卓郎の戦争と平和講座」は、総選挙で大敗して野党となった自民党の今後について。谷垣総裁誕生から考える、日本の政局の未来図は?
「柴田鉄治のメディア時評」は、総選挙による政権交代、そして鳩山政権の滑り出しを、メディアがどんなふうに報じたか? を考えます。
「雨宮処凛がゆく!」は、韓国の徴兵制について。兵役のシステムが、韓国の若者たちをどう苦しめているのか? 反対運動にかかわる若者に話を聞いています。
「松本哉ののびのび大作戦」は、「恐怖! タバコファシズム時代の到来!」。最近ますます強まる「喫煙」への圧力ですが、タバコの好き嫌いだけではない問題が、そこにある?
「コラムリコラム」は、かつてないほど話題満載の鳩山政権、発足から1カ月を振り返って。総裁選と自民党の今後についても触れています。
「マガ9スポーツコラム」は、まもなく決定される2016年の五輪開催地にちなんだ話を。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.9.23

VOL.225

私刑(リンチ)の気配

 政治の世界は激変しています。しかしそれとは関係なく、世の中ではいろいろなことが起こります。

 とても辛いこと。
 私の大好きだった『クレヨンしんちゃん』の臼井儀人さんが群馬県の山中で亡くなりました。どんな状況だったのかは分かりませんが、とても切ない。もうあの野原しんのすけに会えない。PTAには嫌われたしんちゃんですが、大人の良識を笑い飛ばした幼稚園児のパワーに、いまは静かに手を合わせます。

 もうひとつ、こちらは厭な感じがするニュース。
 酒井法子さんの千葉県勝浦市の別荘(と呼ぶには気がひけるような建物でした)が、20日未明にほぼ全焼しました。放火が疑われているようです。とても厭な気がします。考えすぎでしょうが、なんだか私刑(リンチ)の臭いがするのです。
 あの“毒入りカレー事件”(1998年7月25日発生)の林真須美さん(この事件、物的証拠がなく疑問だらけ)の自宅の放火炎上事件(2000年2月)を思い出します。
 実際の被害者が報復のために起した事件(むろん、それでも私は否定しますが)ならまだしも、まったく関係ない人物がまるで正義の味方にでもなったような気分で、しかもこっそりと放火する。そんなものが果たして正義でしょうか。

 世の中に、絶対の正義など存在しないと思います。絶対の正義が唱えられる世の中はおかしい。絶対の正義を言い立てる人たちも、どこか間違っている。そう思います。
 リンチなど“絶対に”認めてはなりません。

さて、今週の「マガジン9条」は、連休につき、少なめの更新ですが、注目の鳩山新政権について、2本のコラムが寄せられています。

まずは「雨宮処凛がゆく!」は、雨宮さんが実際にお会いしたり、お話をしたことのある新政権の大臣たちについて。意外な素顔? に親近感も湧くかも。
「鈴木邦男の愛国問答」は、大杉栄に感銘した鈴木さんが、まさかの「アナキズム」宣言! でも共感!です。
「コラムリコラム」は、鳩山連立政権にまつわる、期待や不安について書いています。裏話も少しだけ。
「マガ9レビュー」は、テレビ司会者がニクソンにしたロングインタビューを元にドラマ化した作品『フロスト×ニクソン』を取り上げます。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.9.16

VOL.224

百日間のハネムーン

 いよいよ新政権が発足しました。閣僚の顔ぶれは、さすがに自民党と比べれば新しい。新大臣たちが漕ぎ出します。しばらくは、その舵取りぶりを見ていきましょう。
 アメリカには「百日間のハネムーン」というのがあるそうです。新政権が発足して百日間ぐらいは、なるべく批判を避けて、新しい船の行き先を温かく見守っていこう、ということらしいです。日本では、戦後初の選挙による(本格的な)政権交代です。私たちもしばらくは…。

 先週のこの欄で、厚かましくも「カンパのお願い」をしました。さっそく多くの方たちがカンパに応じてくださいました。心からお礼を申し上げます。
 先週も書いたように、まだまだ「9条」が安心できるような状況ではありません。民主党の中にも少なくない「9条改憲論者」たちがいて、自民党のある部分との「改憲提携」が起きないとは限りません。そんなときのために、私たちは「マガジン9条」を、もう少し続けたいと思っています。
 新作の「すてき☆てぬぐい2」で汗をふきつつ、重ねてカンパのお願いを致します。

さて、今週の「マガジン9条」は、

「雨宮処凛がゆく!」は、雨宮さんの近著『脱貧困の経済学』の話を。経済学者・飯田泰之さんとの対談は、雨宮さんにとっても学ぶところ大、だったよう。
「松本哉ののびのび大作戦」は、「現代版米騒動!」と題して、富山での「大作戦」の話を。次の「作戦」はあなたの町が舞台かも!?
「癒しの島 沖縄の深層」も更新。新政権船出まぢか、「駆け込み天下り」をはじめ、官僚の「悪あがき」はどこまで続く?
「40歳からの機動戦士ガンダム」は、なぜ「単なる武器」であるはずのガンダムが「人型ロボット」でなくてはならないのか? を解説します。
「コラムリコラム」は、いよいよ船出となる鳩山新政権の行方を占います。たくさんの期待と不安を乗せて、船はどこへ進むのでしょう?
「マガ9レビュー」は、元銀行マン作家・江上剛の小説『絆』を取り上げます。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.9.9

VOL.223

またしても、カンパのお願いです(ペコリッ!)

 民主党圧勝という形で選挙は幕を閉じました。それに対する感想は、人さまざまです。とにかく政権交代で何かが変わるということに期待する人。民主党が抱える危ない人たちの動向に危惧を感じる人。「マガジン9条」も、いろんなことを考えながら、まだまだ歩き続けます。

 そこで、厚かましいけれど、またしてもカンパのお願いです。
 来年5月には国民投票法が施行されます。民主党が大勝したからといって、9条改憲の流れが止まったわけではありません。私たちは、ひとつずつ動きをチェックしながら、これからもこのサイトを続けていくつもりです。そのためには、やっぱり経済的裏付けが必要なのです。
 毎年、私たちは「マガジン9条」の経費を公表してきました。読者の方々のカンパ、篤志家の寄付、ボランティアたちの持ち出しや、単行本の編集費収入などで何とかしのいできましたが、やはり厳しい状況です。そこで、またしてもカンパのお願いなのです。

「すてき☆てぬぐい2」を作りました。2千円以上のカンパをしてくださった方に、「マガ9手拭い」を差し上げています。手拭いを使いながら、「マガジン9条」のことをまわりの人に広めてもらえたらとてもうれしい。
 よろしくお願いいたします。
(カンパの方法は、もくじの「カンパのお願い」をごらんください)

さて、今週の「マガジン9条」は、

「伊勢崎賢治の平和構築ゼミ」は、ビルマ出身のニュン・スウェさんの最終回。故国の民主化に向け、ニュンさんが提案する和解への道のりは?
「雨宮処凛がゆく!」は、「真夏の夜の夢」と題して、フリーター労組のとある争議行動の模様をレポート。行先は、なんとキャバクラ!
「鈴木邦男の愛国問答」も更新。衆議院総選挙から1週間あまり、「選挙に出るのは“出したい人”じゃなくて“出たい人”ばかり」。そう嘆く鈴木さんの「今週の提案」は?
「コラムリコラム」は、改めて「マガジン9条」について。そのあり方と意味を、もう一度振り返ってみました。
その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.9.2

VOL.222

政権交代、何が起きるか?

 なが~い間待たされた総選挙が、やっと終わりました。待たされた分だけ、自民党への逆風が強まったみたいです。
 弱い熱帯性低気圧であったものが、時間が経つにつれて強烈な台風に成長するように、自民公明への拒否反応は、40日間で巨大なエネルギーを貯えてしまったのです。解散を引っ張るだけ引っ張った麻生首相の、完全なる失敗でしょう。
 政権交代です。各省庁では、民主党政府への対応に四苦八苦しているようです。民主党のマニフェストにもあった八ッ場(やんば)ダムの建設凍結に、国交省は否応なく見直しを迫られ、建設入札をとりあえず中止しました。これから同じような事態が、各省庁で続出するでしょう。
 例年なら8月31日が締め切りの各省庁の「概算要求」受付を、今年は財務省が中止(延期)してしまいました。新政府がどのような政策を出してくるか分からないのに、予算編成の基になる概算要求などできない、というわけです。つまり、最も重要な「予算編成権」を、民主党が手に入れたことがはっきり示されたのです。
 これから何が始まるか。
 政権交代をさせたのは我々です。交代だけで終わってはいけない。何が起こるのか、起きていいのか、起こさせてはいけないのか、見続けなくてはなりません。来年には参院選があります。そこで、もう一度、考えるために。

さて、今週の「マガジン9条」は、

「伊勢崎賢治の平和構築ゼミ」は、ミャンマー(ビルマ)出身のニュン・スウェさんの第2回。ビルマ民主化運動の原点ともいえる、1988年8月8日のデモについて聞いています。
「雨宮処凛がゆく!」は、「政権交代、という現実を前にして。の巻」。民主党が歴史的な大勝利、政権交代が実現した選挙結果を見て、雨宮さんは何を思う?
「松本哉ののびのび大作戦」は、選挙の話——ではなく、またまた長野大作戦! の話を。ボッタクリ経済システムに対抗する、「超DIY」な祭りとは!?
「癒しの島 沖縄の深層」は、かねてから「政権交代」に期待をかけてきた岡留さんが、民主党連立新政権への「エール」を送ります。
「40歳からの機動戦士ガンダム」は、「戦場では何もかもが『軍優先』になる」。戦争の現実を鋭く捉えた、「ガンダムならでは」のエピソードを取り上げます。
「コラムリコラム」は、「選挙結果から見えること」。大きく塗り替えられた勢力地図、今後の政局はどうなるのか?
「マガ9スポーツコラム」は、四国・九州アイランドリーグ編の最終回。読めばあなたもきっと見に行きたくなる、はず!
その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.8.26

VOL.221

ネットと選挙

 今回の選挙では、ネットでのアンケート調査報告や、候補者が動画でアンケートに回答するといったコンテンツが格段に増えましたね。「マガジン9条」でも民主党アンケートを行いました。janjanの「ザ・選挙」は、各候補者のデータや、関連ニュースなど、欲しい情報が見つけやすくまとまっています。 「エコ議員通信簿」は、環境という面に絞った25項目にのぼる政策提案を候補者に迫りつつ、採点しています。マニフェストだけだなく、各候補者の情報がネットを使えばかなり集めることができるのではないでしょうか。
 また選挙同日には、「最高裁判所裁判官国民審査」もあります。こちらは情報がまだまだ少ないのですが、毎日新聞の記事をあげておきます。

 ということで、残りあと5日! ネットサーフィンでしっかりチェック&ゴー! いざ投票所へ行きましょう!

さて、今週の「マガジン9条」は、

「伊勢崎賢治の平和構築ゼミ」、久々の更新です。第4回の今回は、ミャンマー(ビルマ)出身のニュン・スウェさんに、軍事独裁政権成立に至る故国の歴史について、聞いています。
「鈴木邦男の愛国問答」は、思わず目を疑う鈴木さんの告白?から。「痴漢をしてしまいました」——って、どうして、なぜ!?
「雨宮処凛がゆく!」は、「もうすぐ選挙。の巻」。来る日曜に迫った総選挙。でも、私たちの「意思表示」の手段は、それだけではないのです。
「柴田鉄治のメディア時評」も更新。オバマ米大統領が「核廃絶」を口にした今年、原爆忌を各メディアはどう報じたか?
「40歳からの機動戦士ガンダム」は、いよいよ本編、ガンダムのストーリー解説に入ります。それまでの「ロボットもの」の多くと一線を画す、その「リアルさ」とは?
「コラムリコラム」は、同じことを考えていた人もきっと多いはず、「やっと選挙だ、憲法9条はどうなる?」のテーマで。
「マガ9スポーツコラム」は先週に続き、四国・九州アイランドリーグの話を。その「ビジネスモデル」について、経営責任者にお話を伺ってきました。
「マガ9レビュー」は、先週死去が伝えられた金大中・元韓国大統領拉致事件をテーマにした日本映画「KT」を取り上げます。
その他「わたしの1票の理由」「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.8.19

VOL.220

民主党は「憲法9条」をどう考えるのか?

 ようやく総選挙が公示されました。7月21日の解散のころは、まだ梅雨の名残り、長雨と鬱陶しい雲の下でした。ようやく夏空がやって来たとはいえ、すでに秋の気配さえ感じられるこのごろです。候補者たちは、とても秋風の感傷に浸っているような余裕はないでしょうけど。
 民主党の優位は変わらないと、各メディアは伝えています。政権交代が現実味を帯びてきました。では民主党は「憲法9条」についてはどう考えているのか。私たちはそこが知りたい。
 そこで「民主党候補者に憲法9条を問うアンケート」を実施しました。鳩山由紀夫代表を始めとして90名以上の候補者から回答が寄せられました。これは、市民団体が実施するアンケートとしてはかなり画期的な回答数だといいます。私たちだけでなく、民主党の方々にとっても憲法9条は大事な問題だったのでしょう。
 回答はとても興味深いものです。6項目の選択肢では答えられないという「7・その他」が一番多かったというところに、民主党の現在の姿が集約されているように思われます。でもその理由を読むと、多くが「9条の意義を大切にし、安易な改正は許さない」としていることが分かります。あなたの選挙区の民主党候補者は、回答を寄せてくれているでしょうか。じっくりと読んで、8月30日の投票の一つの目安にして欲しいと思います。

 最後に、民主党のみにアンケートを絞った理由を書いておきます。
 自民党は改憲を党是とし、公明党は加憲、共産と社民は護憲と、その姿勢がはっきりしています。しかし、民主はかなりバラバラのイメージがあります。そこで政権を担うかもしれない民主党だけのアンケートにしたのです。また、比例候補者の発表は公示日前にはなかったため、その候補者は含まれていません。ご了解ください。

さて、今週の「マガジン9条」は、

まず、総選挙企画・民主党アンケート「憲法9条」あなたの考えは?を、公示日直前・17日にアップしました。全部で91名の方に答えていただいています。
「ぼくらのリアル★ピース」は、子ども兵士撤廃・保護の運動にかかわる大久保美希さんの第2回。活動の中で感じることについて聞いています。
「雨宮処凛がゆく!」は、「もの言わぬロスジェネ。の巻」。何もかもを大きく変えた「小泉劇場」選挙から4年、ロスジェネ世代の選挙や政治に対する思いはどう変わった?
「癒しの島 沖縄の深層」は、64年目の敗戦記念日を迎えて考えたこと。政治家の沖縄へ向ける目、与那国島で町長選挙、民主党のマニフェスト…思いは広がります。
「40歳からの機動戦士ガンダム」は、ほとんどマトモに見たことない、というあなたのために、まずは基本設定のレクチャーから。
「コラムリコラム」は、総選挙を前に、「マガ」と「ジン」が「政治家に実現してほしい!」マニフェストを逆提示。さて、あなたのマニフェストは?
「マガ9スポーツコラム」は、プロ野球独立リーグの一つ、伊良部投手の参加で話題の「四国・九州アイランドリーグ」に迫ります。
「マガ9レビュー」は、ロシアの劇作家・チェーホフによるルポ「シベリアの旅」「サハリン島」を取り上げます。
その他、「わたしの一票の理由」「みんなのこえ」も更新しています。
そして「カンパですてき☆てぬぐい2」が新たに始まりました。ご協力、よろしくお願いします!

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.8.5+12

VOL.219

オバマ大統領を広島長崎へ

 8月6日が来ます。そして、8月9日が来ます。広島と長崎。64年前のその日は、どちらも快晴。とても暑かったと言われています。今年はどうでしょうか。
 オバマ大統領を両都市に招こう、という運動が盛り上がりを見せています。市民グループだけでなく、両市の行政当局も積極的にアメリカへ訴えかけているといいます。
 さらには、「すべての核保有国の首脳会談を広島長崎で」という声さえ聞こえてくるようになりました。原爆資料館や原爆ドームを見て、その上で核問題の討議をする。少し前までは“遠い夢”としか思えなかったことが、今や“実現するかもしれない夢”にまで辿り着いたのです。
 「マガジン9条」でも、何度か「オバマ米大統領とメドベージェフ露大統領を両市へ招き、広島長崎宣言を出すよう呼びかけよう」と書きました。「できもしないことを」という声も寄せられましたが、「マガジン9条」と同じ思いの人たちがたくさんいたようです。
 今年11月には、シンガポールでアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれ、オバマ大統領も出席します。会議後にオバマ大統領が来日する予定のようです。もし来日したならその際には、ぜひオバマ大統領には広島長崎を訪れて欲しいと熱望します。
 11月に日本にどのような政権が生まれているかは分かりませんが、どんな政府であれ、この呼びかけには賛成してくれると思いたいのです。

 さて、今週の「マガジン9条」合併号でお届けです。

新連載「ぼくらのリアル★ピース」は、社会運動や国際貢献に取り組む若者を取り上げ、紹介していきます。
民主党立候補予定者全員アンケート「憲法9条 あなたの考えは?」の途中経過をどどーんと発表。あなたの選挙区の候補者からは、どんな回答が届いたでしょうか?
さらに、もう一つの新連載コラムは「40歳からの機動戦士ガンダム」。なんで「マガ9」でガンダム? とお思いでしょうが、まずはご一読ください。
そして連載コラム陣、「伊藤真の憲法Q&A」は、64回目の原爆の日によせてのメッセージをいただきました。
「鈴木邦男の愛国問答」は、26年前のある出来事を振り返って。「テロリスト志願」だった青年・鈴木さんを、月日はどう変えたのか?
「松本哉ののびのび大作戦」は、とっても珍しく政治のお話などを。この夏の一大イベント総選挙、さて松本さんは何を期待する?
「雨宮処凛がゆく!」は、「過労自殺裁判の勝訴!」の巻。過去は変えられない、けれど未来へとつながる一歩です。
「コラムリコラム」は「日本に“ハリー・ポッター”がいない理由」。俳優やタレントたちに「政治的発言」を許さない、日本の芸能界を覆う図式とは?
「マガ9スポーツコラム」も更新。2019年、ラグビーW杯日本開催決定!のニュースに考えたことを綴っています。
「マガ9レビュー」は、実業家・堤清二の顔も持つ作家の辻井喬さんによる回顧録『抒情と闘争』を取り上げます。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!
次回は、8月19日の更新です。

'09.7.29

VOL.218

喧しく不順な夏です

 ほんとうに梅雨が明けていたのかどうか。今ごろ気象庁も、頭を抱えているかもしれません。猛暑日の翌日は、とても涼しい雨模様。空が突然黒雲に覆われるやいなや、激しい土砂降り。なんとも天気が落ち着きません。西日本各地は大水害で、死傷者もたくさん出てしまいました。竜巻が街中を縦断した地方もありました。被害に遭われた方々には、心からお見舞い申し上げます。
 落ち着かないのはもちろん天気ばかりじゃありません。新聞もテレビもセンキョセンキョと、ホトトギスみたいな鳴き声で溢れています。セイケンコウタイセイケンコウタイと鳴く鳥もいます。街には街宣車が行き交い、立候補予定者の名前を連呼します。喧しくて天候不順な夏です。
 民主党がマニフェストを発表しました。公明、社民、国民はすでに発表済み。共産党も一両日中には発表予定だそうです。自民党は、麻生降ろしやら何やらの党内抗争に忙しく、マニフェストどころではなかったようですが、ようやく7月31日には発表すると言っています。なんだか後出しジャンケンみたいです。民主党マニフェストのアラ探しばかりで終わらなければいいのですが。
 すべて出揃ったところで、見比べながら1票の使い道を決めようと思っています。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

「マガ9対談」は、蓮池透さん×森達也さんの最終回。拉致問題の硬直化が北東アジアの情勢に与えた影響について、そして状況の打開に向けて、さらに議論が進みます。
「森永卓郎の戦争と平和講座」が更新。1カ月後の総選挙で、政権与党となることが確実視されている民主党ですが、その政策にはいくつもの「危うさ」もつきまといます。
月一連載、「柴田鉄治のメディア時評」も、民主党の安全保障政策について。政権交代が、「非核三原則」の放棄につながる? その危険性を指摘しています。
「雨宮処凛がゆく!」は、「メンタルヘルス問題とプレカリアート運動」。の巻。ともにここ数年、急速に耳にすることの多くなった言葉ですが…。
「コラムリコラム」は、ベルギーで成立した「劣化ウラン弾禁止法」と、温暖化ガス排出削減の問題について。この2つの問題に、日本政府はどう対応しているでしょうか?
「マガ9レビュー」は、ナチスドイツがいかにドイツ経済を復興させたか?がテーマの『ヒトラーの経済政策』を取り上げます。

その他「わたしの一票の理由」「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.7.22

VOL.217

セミの声より暑い声が…

 朝起きたら、セミの声が聞こえました。夏が来たんですねえ。でもその鳴き声、シャワシャワシャワー。この辺りでは、これまであまり耳にしなかった鳴き声ですが、それが数年前から聞こえるようになりました。今年もいちばん最初に聞こえ始めたのは、このシャワシャワシャワーでした。
 クマゼミ、南方系のセミのはずです。このクマゼミが、次第に北上しつつあるという記事を、なんかで読んだことがあります。そういえば、私が毎年訪れる沖縄では、セミの声は、すべてシャワシャワシャワーだったような気がします。それが、本州の関東にまで北上中、いわゆる温暖化の影響らしいです。セミの鳴き声にさえ、経済活動や政治の影響が出ているわけです。
 ミーンミーンという本州の典型的なミンミンゼミ、ジージージーとかなり暑苦しいアブラゼミ、なんだかちょっと寂しい気持ちにさせるヒグラシやカナカナ…。セミの声にもいろいろな種類があります。
 そしてもうじき、真夏の空気を震わせて、セミの声など比較にならないほど暑苦しい声が、スピーカーから日本中に響き渡ります。前代未聞の真夏の選挙です。
 今回は水をかぶってでも、暑さに茹だった頭をすっきりさせてから、1票を投じに行きます。じっくり考えなければいけません。ある意味では、歴史的な選挙になるでしょうから。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

「マガ9対談」、蓮池透さん×森達也さんの第2回をお届けします。「拉致」解決に向けて、北朝鮮との交渉を妨げているさまざまな問題について、議論は進みます。
「雨宮処凛がゆく!」は、「弱者いじめの連鎖。の巻」。出演した「朝生」に届いた意見に、最近読んだ1冊の本を思い浮かべた雨宮さんです。
「鈴木邦男の愛国問答」は、原点に還って?9条の話。「軍隊を持たない」国の住民に求められる「覚悟」とは、さて?
「松本哉ののびのび大作戦」は、最近巷で話題?のフリーペーパーをご紹介。金儲け主義の「グローバル経済」に対抗する、新しいネットワークがここに!?
「癒しの島 沖縄の深層」は、政権交代が沖縄に与える影響を考えます。
「コラムリコラム」も、引き続き選挙と政治の話題。圧倒的優位が伝えられる民主党のマニフェスト、今からしっかりと見ていきましょう。
「マガ9レビュー」は、ジャーナリスト・堤未果さんの『グラウンド・ゼロがくれた希望』を取り上げます。文庫化を記念しての読者プレゼントも。

その他「わたしの一票の理由」「みんなのこえ」も更新しています。

そして、ただいま「民主党立候補予定者全員にアンケート」を実施中です。近日、回答を掲載していきます!

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.7.15

VOL.216

選挙後から始まる選挙民の役目とは?

 周知のとおり東京都議選では、民主党が歴史的な勝利を得て、第1党に。
 「東京から政権交代」をキャッチコピーにした、民主党の作戦も効いたのでしょう。本来、地方自治と国政とは一緒にするべきではないのですが。
 しかしここで大事になるのは、民主党が公約に掲げた「新銀行東京からの撤退」、「築地市場の移転中止」をきちんと実行に移していけるのかどうか。
 石原都知事の方針と全面対決となるわけですから、これはかなりの大仕事でしょう。

 だから新しく都議に選ばれた民主党議員は、同じ選挙区の衆院選立候補予定者の応援なんてしている場合ではないのですよ、たぶん。
 私たち選挙民は、「投票したら終わり」ではなく、その候補者や党がどういう仕事をしていくのか、ウオッチし続けることが大事なのです。次なる選挙のためにも。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

まず特別企画「マガ9」対談は、蓮池透さん×森達也さんの「拉致」解決への道を探る」です。読み応えあります。
「教えて塾長! 伊藤真の憲法Q&A」は、前回に続き、「海賊対処法」と「地位協定」について。決して「他人事」ではない問題が、ここにあります。
「雨宮処凛がゆく!」は、「選挙に向けたイベント。の巻」。いよいよ、の衆院総選挙を前に、前回選挙からの4年間を改めて振り返る雨宮さんです。
「マガ9スポーツコラム」は、夏の全国高校野球大会について。同じことを感じている高校野球ファンの方も、きっと多いはず。
「マガ9レビュー」は、WTO閣僚会議への抗議行動をめぐる群像劇映画、「バトル・イン・シアトル」を取り上げます。

その他「わたしの一票の理由」「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.7.8

VOL.215

七夕

 この原稿を書いている今日は7月7日、七夕です。このところ毎日ぐずついていた東京ですが、少し暮れかかった空に、久しぶりの青い色が見えています。織姫と牽牛は、今夜は無事に逢えるかもしれません。

 我が家では子どもたちも旅立ち、夫婦ふたりきりの生活。まだ小さかった子どもと一緒に笹竹を買ってきて、「願い事」を書いた短冊を吊るした日々が懐かしい。
 願い事…。
 今なら何を書くでしょうか。せいぜい、「幸せな老後を」くらいでしょうか。
 ほんとうに、この国で幸せな老後を送ることができるでしょうか。自分たちの老後は安泰であろう政治家たちの、脂ぎった顔を見ていると、とても幸せな気分にはなれません。
 都議会議員選挙も間近です。我が家にも、各陣営から何度となく投票依頼の電話がかかってきます。
 「あなたには金輪際、投票しません」と言いたいような人からも電話がありました。もちろん、そうは言いませんでしたが、私たちの静かな生活を乱すようなあなたには、当選して欲しくありません。そう、電話を切った後で呟いてしまいました。

 さて、今週の「マガジン9条」は、ボリュームたっぷりでお届けです。

「この人に聞きたい」は、湯浅誠さんの第2回。今春から始めた「活動家一丁あがり!」講座について、そして目指すべき「市民社会」の姿について、伺いました。
そして緊急企画「今度の総選挙、「護憲派」はどう考える? どこに入れる?」では、3人の論者に意見を聞いています。
「教えて塾長! 伊藤真の憲法Q&A」は、海賊対処法施行と自衛隊ソマリア沖派遣に伴って成立した、現地政府との「地位協定」の問題点について。
「雨宮処凛がゆく!」は、「便利」の裏について。の巻。24時間いつでもオープン、年中無休のコンビニエンスストアは、たしかに便利でありがたい存在ではあるけれど…。
「松本哉ののびのび大作戦」は、韓国でのお話。海を越えて遠征しても、やってることはあんまり変わらない、そんな「のびのび大作戦」なのでした。
「鈴木邦男の愛国問答」は、昨年亡くなった作詞家・川内康範さんを偲んで。「右翼的」ともいわれた川内さんですが、その原点にあったのは「平和」だったといいます。
そして「やまねこムラだより」からも臨時便が。今年6月に成立した「改正農地法」について、その問題点、不安な点を指摘しています。
「癒しの島・沖縄の深層」は、アメリカ独立記念日に合わせて開催される年1回の「お祭り」、嘉手納アメリカフェストについて。ずらりと並ぶ輸送機や戦闘機を前に、岡留さんが思ったことは?
「コラムリコラム」は、引き続き政治のお話を。静岡知事選でも惨敗した自民党、その裏であの人、この人はどう動いている?
「マガ9レビュー」は、第二次大戦前時のイタリアを舞台に、英国貴婦人とイタリア人少年の交流を描いた「ムソリーニとお茶を」を取り上げます。

その他「わたしの一票の理由」「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.7.1

VOL.214

いつまで続く、永田町の梅雨模様

 沖縄では梅雨明けしたそうです。子どもたちが海で大はしゃぎしているニュース映像が流れていました。羨ましい。
 東京は、まだまだ鬱陶しい天気が続きそうです。
 その鬱陶しさに輪をかけているのが、東京のど真ん中の永田町です。議事堂までもが大揺れみたいです。
 宮崎だの大阪だのから津波が押し寄せて、アップアップの政治家たち。「土下座してでも東国原さんに出馬要請したい」なんて言い出す自民党若手議員まで出てくる始末。もはや政治家としての信条も矜持もない。
 派閥の重鎮といわれるベテラン議員たちは、そんな若手を抑えられない。さらに麻生首相自身が、全く求心力をなくして右往左往。一両日中に党役員人事と閣僚の補充人事を行う方向、と新聞は報じていましたが、党内には反対論も強く、とてもすんなりとはやれそうもない。
 陰でチルドレンたちを操っているといわれていた小泉さんも、地元の市長選で応援候補が敗れて、その影響力にも疑問符がつきました。
 解散風が吹き始めましたが、もうそんなことどうでもいい。いずれにしろ麻生さんの言うとおり「そう遠くないうち」に、選挙はあるのです。熟した柿が、甘酸っぱい酔っ払いの匂いをさせて、ボトンッとおちるのを、みんなが呆れ顔で待っていればいいのです。

 さて、今週のマガジン9条は、

「この人に聞きたい」は、「派遣村」村長として知られる湯浅誠さんの登場です。まずは「派遣村」が社会に与えた影響について、お話を伺いました。
そして緊急インタビュー企画「「ソマリア沖自衛隊派遣」を考える」。6月に成立した海賊対処法ですが、その「海賊」の実態について、私たちは何を知っているでしょう?
「雨宮処凛がゆく!」は、「朝まで生テレビ!」に出演したときのお話を。雨宮さんが感動した「感慨深い出来事」とは何だったのでしょう?
「コラムリコラム」は、引き続き大混乱の政局、今後の予想を。「総選挙近し」の声が高まる中、政治への不安と不信は強まるばかり…。
「マガ9スポーツコラム」も更新。13年ぶりウィンブルドン挑戦!のニュースが世を沸かせたクルム伊達公子選手の姿を見て、ふとあることに思いをはせました。
「マガ9レビュー」は、野中広務と辛淑玉の2人が「差別」をテーマに語り合った対談集『差別と日本人』を取り上げます。
その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.6.24

VOL.213

ミツバチが消えた日

 梅雨の晴れ間、仕事帰りの遠回り。ようやく太陽の光を浴びて、家々の庭先の花々が、それこそ一斉に咲き競っています。
 最近は、とても名前を覚えられないような、カタカナ名前の花が多いのですが、それでも芙蓉だの紫陽花だの百合だのと、初夏のかなり派手な花たちが、彩を添えています。でも、何かが足りないようです。

 山形のサクランボ農家からの、少し切ないメール。
今年はなぜか、ミツバチがほとんど来てくれない。ミツバチがいないと、受粉ができなくて、サクランボの実つきが悪いのだそうです。そんなわけで、今年の収穫は、例年の何分の一とか…。
 そういえば、我が家の小さな花壇にも、今年はあまり蜂が来なかった。開花を待ちわびたように飛び回る蜂が、確かに少ない。ブーンと飛び交う蜂に飛びつくのを楽しみにしていた(?)我が家の野良猫も、なんだか物足りなさそうです。
 自然が何かを警告しているのでしょうか。あまりに横暴な人間の所業に、自然が小さな牙を剥いた?
 いつか、とてつもない出来事が…。
 このごろちょっと悲観論です。梅雨のせいでしょうか。

 さて、今週のマガジン9条は、

「雨宮処凛がゆく!」は、「不自由な国。の巻」。学校を出たら就職する、のが日本の「ジョーシキ」ですが、海外の国々ではまたちょっと様子が違うようで…。
「鈴木邦男の愛国問答」は、かつて鈴木さんが勤めていた産経新聞に掲載された、ある「憲法試案」について。
「松本哉ののびのび大作戦」は、長野での「大作戦」が再び始動! この夏は、「素人の乱」主催の野外フェスに大集合…かも!?
「柴田鉄治のメディア時評」は、沖縄返還に関する密約文書の存在をめぐる「西山事件」について。堂々とウソをつく政府に、メディアはどう対抗すべきなのか?
「癒しの島 沖縄の深層」は、64回目の「慰霊の日」に、改めて沖縄の戦後を振り返ります。
「コラムリコラム」は、先週行われた自民党・民主党の党首討論について。迷走ニッポンの政治はどこへ行く?
「マガ9レビュー」は、作家・橋本治の近作、『大不況には本を読む』を取り上げます。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.6.17

VOL.212

人間の可能性

 たまには、嬉しいニュースを取り上げます。

 先週、アメリカのバン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した辻井伸行さんが帰国し、凱旋コンサートや記者会見が都内で開かれました。
 その様子が週末のテレビやラジオ番組でも大きく取り上げられたので、彼の演奏に触れた人も多いのではないでしょうか。

 特別クラシック音楽ファンというわけではないのですが、これまで聞いたことのない音色と演奏スタイルにあっという間に魅了されてしまいました。
 音符を見ることができない彼は、曲を耳で聞いて覚え、頭の中に楽譜(のようなもの)を描き、音を再現します。 オーケストラとのコンチェルトでは、指揮者の息づかいや気配がタクトなのだそう。

 想像をはるかに超えた、人間の潜在能力。 それをまざまざと見せつけられたときに、「できるわけがない。不可能だ」と切り捨てないことの大切さを思い知りました。
 と同時に、人間のまだまだ知られざる能力の豊かさに、感動したのですが、みなさんは、どう思われましたか?

 さて、今週のマガジン9条は、

「雨宮処凛がゆく!」は、「消費」される「貧困」の巻。メディアが詰めかけた「派遣村」から半年、状況は何も変わっていないのに、それを取り巻く状況はすでに変わりつつある?
「マガ9スポーツコラム」は、試合中の事故による死亡が伝えられたプロレスラー・三沢光晴さんの軌跡を振り返って。
「世界から見た今のニッポン」も更新。大学での研究の一環で、マガ9編集部にインタビューにやってきたアメリカ人学生に、「逆取材」を試みました。
「マガ9レビュー」は、政治の世界で綿々と続く「世襲」の構造を明らかにした1冊『世襲議員のからくり』を取り上げます。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.6.10

VOL.211

微妙に不気味な言葉

 最近、とてもイラつく言葉に「~させていただきます」というのがあります。
 「○○社で働かせていただいています」「係長をさせていただいています」「町内会の会計責任を任させていただいております」「ご注文を繰り返させていただきます」。ひどい例になると、買い物をした客が「買わせていただきました」。おかしいでしょ?
 なにしろ、やたら「いただいて」しまうのです。どうしてこんな言葉が流行っているのでしょう。
 まあ、お店なんかでこの言葉が連発されるのは、例の「接客マニュアル」のせいなのかもしれませんが、例えば、会社で働いている労働者がこの言葉を使うのには、とても強い違和感を覚えます。
 「働かせていただいている」のではなく、単に「働いて対価を受け取っている」だけではありませんか。この言葉の陰に、支配被支配の関係が見え隠れしているような気がするのです。
 過度なへりくだりは、微妙に薄気味悪い。
 そのうちに、「失礼します。申し訳ありませんが、逮捕させていただきます」なんて、にこやかな警察官があなたの前に現れるかもしれませんよ。
 「柔らかな権力」というヤツほど、不気味で始末の悪いものはありません。

 さて、今週のマガジン9条は、

「教えて塾長!伊藤真の憲法Q&A」は、国会議員の世襲制限を取り上げます。「憲法違反だ」との批判も聞かれるこの制限、伊藤塾長はどう見ているでしょうか?
「松本哉ののびのび大作戦」、今回は京都大学で展開中の「マヌケな闘い」をレポート。「東の法政」で締め付けが強まる今、もしかしたら「最後の砦」なのかも!?
「鈴木邦男の愛国問答」は、カフカの『変身』について。この「不条理小説」を読み返して、鈴木さんが気づいたことって?
「癒しの島・沖縄の深層」は、先日沖縄大学で開催された、大田昌秀さん・佐藤優さんの対談を聞いて考えたことを。
「コラムリコラム」は、先日「冤罪」が明らかになった「足利事件」について。ますます迷走極まる?麻生政権の今後についても、ちょっぴり「読み解いて」みました。
「マガ9スポーツコラム」は、祝・W杯出場決定!のサッカー日本代表について。その「強さ」の秘密はどこにある?
「マガ9レビュー」は、「麦の穂を揺らす風」でカンヌ映画祭パルムドールを受賞したケン・ローチ監督の「この自由な世界で」を取り上げます。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.6.3

VOL.210

ときには、みんな忘れて…

 もう梅雨に入ったかのような湿っぽい天気が続いていた東京ですが、今日は、ようやくきれいな青空が見えました。窓からの景色も、久々に輝いていたし、空気もやさしい。庭の草花も、生き返ったみたいに晴れやかです。
 だから今日は、あまり世の中のことなんか、考えたくありません。ビデオで映画を1本観て、それからベッドで本を読んで、いい夢の中へ遊びに行くつもりです。
 今度の週末は、またも雨模様という予報が出ていました。でも、雨には紫陽花。少し電車に乗って遠出をすれば、紫陽花で有名なお寺もあります。カメラでも持って出かけます。雨の日には雨の日の遊び方も。
 ところで、我が家の庭に住み着いた半分ノラ猫のドットは、雨が降ると、私が仕方なしに買ってきてやった小さな犬小屋で、ずうっと寝ています。犬小屋の猫、です。
 そういえば、「雨の日の猫はとことん眠い」というタイトルの本がありましたよね。

 さて、今週のマガジン9条は、

「伊勢崎賢治の平和構築ゼミ」は、ボスニア出身のマヤ・ヴォドピヴェッツさん編が最終回。紛争がボスニアに与えた変化、そしてマヤさんの目に映る「日本」について語ってくれています。
「雨宮処凛がゆく!」は、「小説を書くということと、ユニオン・エクスタシー。の巻」。雨宮さんにとって「小説を書く」ことの意味とは? イベントのために向かった京都で訪れた、あるユニークな「カフェ」の話題も。
「コラムリコラム」は、「民主党の「突出部分」への疑問」。政権交代への期待が囁かれる昨今ですが、果たしてホントに民主党に投票していいのか? その主張の疑問点を取り上げました。
「マガ9スポーツコラム」は、先頃発表された世界陸上選手権の女子マラソン代表選手にママさんランナーの名前を見つけ、感慨深く思ったことを書いています。
「マガ9レビュー」は、『寺島実郎の発言2 経済人はなぜ平和に敏感でなければならないのか』。三井物産戦略研究所や日本総合研究所の会長を務める寺島実郎氏の、「経済」と「外交」についての発言集です。
そしてマガ9から生まれた本7冊目!『雨宮処凛の生存革命日記』の読者プレゼントがあります。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.5.27

VOL.209

核廃絶への道を妨害する実験

 またあの国が騒ぎを起こしてくれました。まったく、何を考えているのか、自ら孤立への道を突っ走っているとしか思えません。金正日総書記の健康不安が背景にあるとか、後継者問題との絡みとか、いろんな情報が飛び交っていますが、やはり対アメリカの思惑から出た核実験なのでしょう。

 それにしても、オバマ大統領が提唱した核廃絶に向けて、世界が動き始めたこの時期に核実験とは、それこそ世界規模のKY(←私の大嫌いな言葉ですが)国家というしかありません。とうてい許せることではありません。

 「コラムリコラム」でも触れているようですが、日本ではすぐに反応して“核武装論”や“敵基地攻撃論”、“先制攻撃論”などと物騒な物言いの政治家や評論家などが出始めました。
 これらの論は威勢はいいのですが、世界の中での日本の地位を貶める結果になることは明白です。戦争の記憶がまだ完全に払拭されているとは言い難いアジアにおいて、またもや日本が軍事国家への道を歩み始めたか、という疑念を持たれることは、絶対に避けなければならないと思うのです。

 「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」

 日本国憲法前文の一節です。

 さて、今週のマガジン9条は、

「伊勢崎賢治の平和構築ゼミ」は、マヤ・ヴォドピヴェッツさんを迎えての「ボスニア編」の第2回目です。「民族独立をめぐる内紛」というイメージが強いボスニア紛争ですが、実は内外から様々な力が入って戦争は激化。「保護する責任」についても当事者の声を聞きます。
緊急企画は、毛利子来さんに聞いた「インフルエンザ騒動をどう考える」。マスクって実は、・・・らしいですよ。
「雨宮処凛がゆく!」は、ついに100回目を迎えた連載コラム。これを機に雨宮さんが決意したことは?
「松本哉ののびのび大作戦」は、憲法違反だらけ、逮捕者続出の恐ろしいキャンパスライフの告発です。
「メディア時評」は、憲法記念日周辺の新聞記事や世論調査の結果について。
「鈴木邦男の愛国問答」は、その昔、雨宮さんらと一緒に行ったイラクでの思い出から。
「癒しの島沖縄の深層」は、南の島々をドブ板選挙でまわる小沢一郎の姿から思ったことを。

「コラムリコラム」は、話題の新刊の紹介と、北朝鮮核実験のニュースを聞いて思ったこと。
「マガ9レビュー」は、元戦場カメラマンを主人公にした小説「戦場の画家」を取り上げます。
その他「みんなのこえ」「わたしの一票の理由」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.5.20

VOL.208

「自民党をぶっ壊す」のは誰?

 5月16日、鳩山民主党が誕生しました。直後のマスコミ各社の世論調査では、次期総理大臣にふさわしい人として、鳩山由紀夫代表が麻生太郎首相に軒並み10%以上の差をつけて上回りました。いわゆるご祝儀相場という見方もできますが、さすがに「政権交代」を望む国民の声は、もう止められないところまで来ているような気もします。これも、解散をずるずると引き延ばしてきた麻生首相の自業自得なのでしょう。
 麻生首相は、7月8日〜10日のイタリア・サミット(主要国首脳会議)への出席を熱望しているのだそうです。最後の花道です。そのためにはどうしても、総選挙はサミット以後でなければならない。次期選挙後に麻生さんが首相でいられる可能性は、ほとんどゼロですから。
 そういえば、世界首脳外交の最高の晴れ舞台であるサミットに、麻生さんはまだ一度も出席したことがない。昨年の北海道洞爺湖サミットは、福田康夫前首相でしたね。もうずいぶん昔のことのような気がしますが。
 自分の花道作りに解散権を弄ぶ。個人的欲求が、自民党長期政権の幕引きにつながるということを、麻生さんはどう考えているのでしょうか。
 結局、ほんとうに「自民党をぶっ壊す」のは、そう吠えた小泉純一郎さんではなく、麻生太郎さんということになりそうです。

 さて、今週のマガジン9条は、

「この人に聞きたい」は、憲法学者・田村理さんの第2回。田村さんの目から見た「護憲」運動の問題点、そしてご自身の9条についての考えもお聞かせいただきました。
そして、久々の開講となる「伊勢崎賢治の平和構築ゼミ」は、マヤ・ヴォドピヴェッツさんを迎えての「ボスニア編」。多民族共生国家だったユーゴで、なぜ「隣人同士が殺し合う」争いが起こったのか。マヤさんの記憶と思いをたどります。
「教えて塾長! 伊藤真の憲法Q&A」は、裁判員制度についての「その2」。まもなく始まる裁判員制度では、死刑を含めた量刑までが、「多数決」で決められることになりますが…。
「雨宮処凛がゆく!」は、先週に続いて韓国訪問時のレポートを。都市再開発をめぐって起こったある悲劇をきっかけに、ソウルでは新たな「闘い」が始まっています。
「あの時の清志郎さん」は、編集スタッフの一人が、ある記念写真にまつわる思い出を綴っています。
「コラムリコラム」は、民主党総裁選について。「鳩山総裁」誕生が意味するものとは? そして、そこに至った背景とは?を読み解きます。
「マガ9スポーツコラム」は「国境を越える在日フットボーラー」。やっぱりスポーツは国境を越える、そう感じる瞬間が確かにあります。
「マガ9レビュー」は、批評家にして哲学者、柄谷行人へのインタビュー集『柄谷行人 政治を語る』を取り上げます。
その他「みんなのこえ」「わたしの一票の理由」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.5.13

VOL.207

連休中の出来事は…

 ゴールデン・ウィークも終わりました。『マガジン9条』も、1週間のお休みをいただきましたが、再開です。

 それにしても、連休中のマスコミの最大の話題は高速道路大渋滞と、新型インフルエンザ騒動でした。千円で乗り放題の高速道路。しかしこれはたった2年間の時限措置です。選挙が終わればもう知ったことではない、ということでしょうか。しかも、ETC関連業界は凄まじいほどの増収。
 誰が得して誰が損をしたのか。何十キロもの渋滞に泣かされたあげく、2年後には税金でツケを払わせられる国民が得をしたとは、とうてい考えられません。
 そして新型インフルエンザ。しかし気をつけて報道をチェックしていると、この新型の毒性は低く、旧来型と比べて致死率は半分以下との見方もあるといいます。つまり、旧来型のほうがずっと怖いのだ、と説く研究者もいるのです。
 冷静さ欠いた政府(とくに舛添厚労相)の対応と、それに引きずられるようなマスコミの報道は、「危ないぞーっ!」と騒ぎ立てた少し前の“ミサイル”問題に似ているような気がします。
 政府とマスコミが一体化したときに、何が起きるか。一歩ひいて物事を見る感性が必要です。

 連休の前半に飛び込んできた忌野清志郎さん訃報の衝撃が重たく、まだ信じられない思いでいっぱいです。
 テレビカメラの前で「夢は?」と聞かれて「世界の平和でしょう」ときっぱりと答える。それがまったく嫌みなく、胡散臭くもなく、そして行動に移す、完璧な音楽を携えて。「音楽をやるのも平和のため。音楽は、戦争と真逆の行為だからね」。そう語っていた彼のメッセージを、私たちひとり一人が、彼の音楽と共にいつまでも心の中に持ち続けられますように。今週のコラム、「松本哉ののびのび大作戦」「マガ9レビュー」でも、触れています。そちらも是非、お読みください。

 さて、連休明けの今週のマガジン9条は、ボリュームたっぷりでお届けです!

「この人に聞きたい」は、憲法学者の田村理さんが登場。憲法の根幹ともいえる立憲主義の意味と意義について、まずはお聞きしています。
そして新連載が二つ。
一つは「コラムリコラム」。気になるあのニュースやこのニュースについて、「ムリを承知で」会話形式で読み解く時事コラムです。そしてもう一つは「マガ9スポーツコラム」。スポーツネタにも挑戦です。
「教えて塾長!」は、まもなくスタートとなる「裁判員制度」について。「市民の司法参加」を掲げるこの制度は、そもそも何を目指してつくられたのでしょうか?
「森永卓郎の戦争と平和講座」は、「小沢民主党代表辞任」のニュースについて。これを受けて、私たちがしっかりと見ておくべきこと、考えるべきこととは?
「松本哉ののびのび大作戦」は、メーデーのレポートを。東京・高円寺と阿佐ヶ谷での、大盛り上がりの「のびのび」デモです。
一方の「雨宮処凛がゆく!」は、韓国と東京で行われたメーデーイベントの熱いレポート。海を越え、人と人とのつながりは広がり続けています。
「鈴木邦男の愛国問答」は、画家ゴーギャンと、松本清張の小説と、政治家の世襲について。??と思ったらまず、お読みください。
「癒しの島 沖縄の深層」は、政府が今国会に法案を提出した「沖縄科学技術大学院」構想について。沖縄をめぐる「アメとムチ」の構図が、ここにも見えてきます。
「マガ9レビュー」は、ジョン・レノンと彼の「平和のメッセージ」を追ったドキュメンタリー映画「ピースベッド」を取り上げます。

その他、「みんなのこえ」「わたしの一票の理由」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください!

'09.4.29

VOL.206

山笑い、海怒る

 「山笑う」という春の季語があります。若葉が萌え出し、山がほんのりと微笑んでいるように感じられる、そういう意味でしょう。爽やかな季節、ほんとうに山が笑っています。
 海はどうでしょうか。海は怒っているようです。

 海上自衛隊は、真摯な国会審議も経ないまま、ソマリア沖に出て行きました。そしてついに、「海賊対処法」が成立します。海は荒れているのです。
 最低限必要であるはずの「事前の国会承認」もなし。武器使用基準を大幅に緩和。さらに、日本関連の艦船でなくとも警備できる、などなど、憲法上の規定を大きく逸脱しているとしか思えない法案です。
 あのイラク派兵の際ですら、武器使用には大きな制約を課したというのに、今回はあっさりとその制約を取り払いました。民主党は一応反対していますが、結局は成立してしまいます。民主党内にも、この法案を推進する勢力が存在するからです。与党は当然のように、衆院の圧倒的多数をまたも利用します。
 選挙せずに成立した3代にわたる内閣が、次々と危険な道へと突き進んでいきます。
 その総仕上げとして、自民公明の与党は4月23日、「憲法審査会」の動議を、衆院議院運営委員会に提出しました。「憲法改定」への道筋だけでも付けておこうという考えなのでしょう。さらに、敵失で得たささやかな支持率アップに気を良くした麻生首相は、同じ23日、「集団的自衛権行使の解釈変更」を検討すると言明しました。
 ついに本性を現した麻生内閣。なんとか歯止めをかけなければなりません。

 さて、今週の「マガジン9条」は、2週間分の合併号でお届けします。

「マガ9対談」、伊勢崎賢治さんと土井香苗さんの「その3」、最終回をお届けします。ビルマで、スーダンで、北朝鮮で、今この瞬間にも続く人権侵害を終わらせるために、日本には何ができるのでしょうか?
「教えて塾長! 伊藤真の憲法Q&A」は、「ソマリア沖派兵と海賊対処法」。今国会で成立見込みとされる「海賊対処法案」について、塾長がわかりやすく説明してくれました。
「憲法9条があっても戦争ができる国へ!?」は、憲法記念日に「9条と解釈改憲」について。みなさんも考えてください。
「柴田鉄治のメディア時評」は、「真相報道バンキシャ!」と「週刊新潮」の大虚報について書いています。あの騒ぎ過ぎ事件についても。
「雨宮処凛がゆく!」は、改めて憲法9条について。日本と韓国とイラク、三つの国をつなぐ雨宮さんの記憶とは。
「鈴木邦男の愛国問答」は、自衛隊がテーマ。体験入隊の経験もあるという鈴木さんが支持する「自衛隊の活用法」とは?
「癒しの島・沖縄の深層」は、辺野古沖での新基地建設計画について。次々明らかになるデタラメっぷりに、県民からの「ブーイング」が強まっています。
「マガ9レビュー」は、ヒトラーとその演技指導「教授」となったユダヤ人俳優とを、ブラックな笑いに包んで描いた映画『わが教え子、ヒトラー』を取り上げます。

その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、お休みに突入な方もそうでない方も、じっくりとお読みください!
次回の更新は、5月13日です。

'09.4.22

VOL.205

高速代千円の裏にあるもの

 故郷の老母が2度目の発作で倒れ意識を失ってから、もう半年が過ぎました。現在は、点滴でいのちをつないでいる毎日です。耳元で呼びかけると、うっすらと目を開くこともあります。私を認識しているかどうかは定かではないのですが、その母の顔を見たくて、できるだけ帰郷しています。

 先週、久々に車で田舎へ帰りました。行き帰りとも土日(休日)という予定は組めませんでしたが、それでも片道は土曜日。夫婦ふたりで高速代千円(普通は1万円ほど)は魅力です。しかし案の定、東北自動車道はけっこう渋滞していました。これがゴールデンウィークだったら凄いことになるだろうなあ…。
 ほとんどが乗用車。なんだかヘンな感じです。なぜ、業務用のトラックは割引にならないのか?
 輸送費が物価に占めるコストはバカになりません。ところがこの不況下、輸送業者は逆にメーカーや小売から、大幅なコスト削減を迫られています。運転手たちは高速代を自己負担するか、我慢して体力勝負で一般道を走るか、切ない選択をせざるを得ないのです。

 休日にETC付の乗用車を優遇するのなら、平日は業務用トラックを割引く。それが政策というものではないでしょうか。
 選挙目当ての高速代千円。その陰で泣く人たちがいることに、政治家たちの想像力は及ばないようです。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

「この人に聞きたい」は、辻井喬さんの第2回。「マスコミ9条の会」の呼びかけ人でもある辻井さんに、経済人としての視点から、「9条を守りたい」理由をお聞きしました。
「教えて塾長! 憲法Q&A」は、「貧困問題と憲法」について。貧困から人を救うために、憲法はどんな定めを設けているのでしょうか。
「雨宮処凛がゆく!」は、全国で着々と準備が進む「メーデー」について。今年は海を越え、韓国での「日韓連帯」メーデーにも参加予定の雨宮さんです。
「癒しの島 沖縄の深層」は、「米国との密約文書を公開せよ」。沖縄返還をめぐっての日米政府の「密約文書」の存在を、いまだ政府は否定し続けています。
「みんなのレポート」も久々に更新。沖縄・やんばるの森で進行する米軍ヘリパッド建設計画への反対を訴え、東京でライブイベントが開かれました。
「マガ9レビュー」は、米国のソマリア内戦への介入とその「失敗」を描いた映画「ブラックホークダウン」を取り上げます。

その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.4.15

VOL.204

再び、「広島(核廃絶)条約」について

 先週この欄で「広島条約」について書きました。もう一度、重ねて強調したいと思います。
 オバマ米大統領の核廃絶への希求は、どうも本物のようです。4月5日、オバマ大統領は訪問先のチェコの首都プラハで演説し、その中で「唯一の核兵器使用国としての道義的責任」について触れました。初めてアメリカが、原爆使用の責任を認めたのです。
 これまでアメリカは「戦争を早期に終わらせ、多くの兵士の命を救うためには、原爆使用は正当だった」という立場を崩していませんでした。それをオバマ大統領は転換したのです。
 さまざまな政治的思惑が、オバマ演説の裏に隠されているというのは事実でしょう。しかし核廃絶を、これほどはっきりと政策として打ち出した米大統領は、オバマ氏が初めてです。
 各新聞が「号外」を出してもいいほどの大ニュースなのに、残念ながらあまり大きく取り上げた日本のメディアはありませんでした。それはともかく、核廃絶へのオバマ大統領の想いが真実ならば、唯一の被爆国日本が、その想いを全力で支援するべきでしょう。それこそが日本外交の真の発露です。

 もう一度、書きます。米ロ両首脳をぜひ被爆地に招待しましょう。
 2010年秋には、横浜でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が開かれます。オバマ大統領は来日します。その際に、広島長崎を訪問してもらう。そこへメドベージェフ露大統領も招聘する。そして、その地で「広島長崎核廃絶条約」を日本が率先して提案する…。
 日本外交が世界で脚光を浴びる、またとないチャンスです。
 この「条約」の案文を策定できる真の意味での“有識者会議”を組織することこそ、いま政府がやらなければならない大事な仕事でしょう。政府がやらないのなら、民間が「米ロ首脳被爆地招聘委員会」でも作って…。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

「この人に聞きたい」は、作家の辻井喬(堤清二)さんにご登場いただきました。かつてセゾングループの代表として「セゾン文化」を世に送り出した辻井さんは、戦後日本の政治状況をどう見つめてきたのでしょうか?
「教えて塾長! 憲法Q&A」は、連載第2回。国家の国民生活への介入を認めた憲法第25条は、立憲主義に矛盾しないの? 塾長がわかりやすく説明してくれています。
「松本哉ののびのび大作戦」は、「素人の乱」のある東京・高円寺に現れた「謎の新勢力」について。のびのび大作戦、ゆるーく、でも確実に拡大中!
「鈴木邦男の愛国問答」は、「ネコ型人間」と「イヌ型人間」について。モーレツ企業社会の行き詰まりを打破するのは、「ネコ型人間」しかいない!?
「癒しの島・沖縄の深層」は、在沖米海兵隊のグアム移転協定、衆議院外務委員会で可決のニュースを受けて。住民不在のまま、「再編」の動きだけが加速化しています。
「雨宮処凛がゆく!」は、「ネットカフェからのSOS。の巻」。雨宮さんがある日突然受け取った、「見知らぬ人」からの1通のメールとは?
そして、特別企画「「憲法改正国民投票法」のリーフレット発行で考える」。国民投票法施行までまもなく1年を切る今、私たちは何をするべきなのか?を改めて考えます。
「マガ9レビュー」は、アメリカの思想家、ノーム・チョムスキーの発言を編んだ『チョムスキーの「アナキズム論」』を取り上げます。
その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.4.8

VOL.203

「広島条約」締結を提案せよ

 この数日間のマスコミの騒ぎようといったら、まるで「開戦前夜」か「空襲警報発令」。あたかも、日本が北朝鮮のミサイル爆撃にさらされるかのような報道ぶりでした。戦争への道を開いた熱狂報道に対する反省は、どこへ行ってしまったのか。

 バカ騒ぎに耳目を奪われてしまいましたが、実はもっと大きな問題が進展していました。こちらは、いいニュースです。
 オバマ米大統領とメドベージェフ露大統領との間で、核廃絶へ向けた話し合いを行うことが合意されたのです。北朝鮮の核の脅威を取り除くためには、まず自らが核軍縮を行うべきだと、米ロ両国がようやく気づいたということでしょうか。
 なにはともあれ、これは喜ぶべき交渉の始まりです。日本も、すぐに支持を表明しました。でも支持表明をするのなら、もっと具体的な提案をしたらどうでしょう。
 例えば広島や長崎へ、オバマ、メドベージェフ両首脳を招待し、核兵器の悲惨さを再認識してもらう。その上で、交渉の場を設定する。その成果が「広島条約」とでもいう形で示されたら、被爆国日本の、真の意味での外交の勝利となるでしょう。

 日本がリーダーシップをとって、ついに「核廃絶条約」への第一歩が実現する…。夢かもしれません。しかし、オバマ大統領は公約として、「核軍縮」を挙げていたのです。もし実現したら、世界が日本の仲介外交に敬意を表するに違いありません。
 そういう仲介を行うことこそが、本当の、そして最大の国際貢献ではないでしょうか。それができる国は、被爆国日本以外にはありえないのです。
 「米ロ大統領を被爆地広島長崎へ招待する運動」というのはどうでしょうか。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

まず、伊勢崎賢治さんからのメッセージ「9条は日本人には”もったいない”」です。3月14日に出港したソマリア沖への海上自衛隊の派遣について。あまりに重要な問題の投げかけをしてくれています。
「癒しの島 沖縄の深層」は、先週も取り上げた北朝鮮の「ミサイル」発射問題について。政府の対応にもまして、岡留さんが厳しく批判するものは?
「マガ9レビュー」は、巨匠・ヴィスコンティがナチス時代のドイツを描いた「地獄に堕ちた勇者ども」を取り上げます。
その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.4.1

VOL.202

ジャーナリズムの危機を問う集会で

 3月30日、「『月刊現代』休刊とジャーナリズムの未来を考える会」という催しに行ってきました。会場はかなり広いホールでしたが、立ち見が出るほどの盛況でした。言論状況への危機感が、これほどの人たちを呼び寄せたのでしょう。
 第1部では、田原総一郎氏の司会で、鎌田慧氏、佐藤優氏、魚住昭氏の討論。佐藤氏と鎌田氏の田原氏への皮肉に、田原氏が本気で応じる、というスリリングな場面もありました。
 第2部は、重松清氏の司会、佐野眞一氏、高山文彦氏、青木理氏、城戸久枝氏がパネリスト。ここでも、編集者の劣化という命題が佐野氏から投げかけられ、熱のこもった討論が行われました。
 最後に、会場の参加者から、「読者の視点がない。書き手の愚痴や言い訳ばかりで失望した」という強い批判が出され、重松氏や佐野氏が応じるという面白いやりとりも。
 会場には、当サイトでもおなじみの鈴木邦男氏や、二木啓孝氏、椎名玲氏などの著名ライターや、多くの編集者たちの顔も見え、ジャーナリズムとノンフィクションへの危機感が強く伺えたシンポジウムでした。
 言論の場が狭まることには、「マガジン9条」も危惧の念を抱いています。せめてここが、開かれた自由な発想の場であり続けられるように、これからも更新を重ねていきます。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

新連載「教えて塾長! 憲法Q&A」は、「衆議院の選挙制度」について。まずは素朴な疑問からスタートです。
「森永卓郎の戦争と平和講座」は、久々の更新です。小沢一郎・民主党代表の公設秘書逮捕問題について、その「おかしさ」を指摘する森永さん。そして何より、私たちが心にとどめておくべきこととは?
「松本哉ののびのび大作戦」は、なんと!「たまにはエライ人たちのお話」。勝手な法律をつくったり、余計な条例をつくったり、そんな「エライ人たち」にどう立ち向かう?
「雨宮処凛がゆく!」は、大成功のうちに終了した今年の「反貧困フェスタ」の報告から。次なる新しい動きについてもご紹介しています。
「鈴木邦男の愛国問答」は、昨年公開の映画『靖国』のお話を。日本では「反日的」との批判も受けたこの映画をめぐる、奇妙な「ねじれ現象」とは?
「癒しの島 沖縄の深層」は、北朝鮮の「長距離ミサイル」発射問題について。各地でPAC3の配置が進んでいますが、岡留さんはこれをどう見る?
「マガ9レビュー」は、群馬県の山里に暮らす哲学者・内山節さんの近著『怯えの時代』を取り上げます。
その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.3.25

VOL.201

最後に笑ったイチロー選手

 例年よりも早い花便りが、南のほうから聞こえ始めました。近所の商店街には、もうツバメがやってきています。春です。

 「マガジン9条」は、ついに201回目の更新です。継続は力というけれど、そんな強い意識もなく、わりと適当に更新を重ねてきたら、いつの間にかここまで来ていた、というのがほんとうのところです。スタッフたち、かなりユルメですから。

 日本と韓国が、野球で延長にもつれ込む大接戦。イチローが最後に、ようやく笑っていましたね。笑顔はいつだって、誰のだって嬉しいものです。
 スポーツだけでなく、いろんなところで笑顔を見たい。そう思います。
 笑顔をいつも浮かべていられるような世界。
 日々の暮らしの中で、みんなが笑顔を見せられるような、そんな政治が私たちのところまで届く日は、来るのでしょうか?

 さて、今週の「マガジン9条」は、

「この人に聞きたい」は、中島岳志さんの第2回。「保守派」中島さんの憲法観、9条観とは? 
「雨宮処凛がゆく」は、今年も準備が始まりました、「労働者の祭典」メーデーのお話を。今年のテーマは「六十億のプレカリアート」!
「柴田鉄治のメディア時評」は、小沢一郎民主党代表公設秘書逮捕に伴う「政府高官発言」問題について。メディアの根本を揺るがすともいえるこの発言に、当のメディアはどう反応したのか?
「癒しの島 沖縄の深層」は、石垣島のニュースから。「平和港湾」を宣言したこの港に、「米軍艦を寄港させよ」との圧力が?
嬉しいこと、腹立たしいこと、悲しいこと、アレコレつぶやいてきた「週間つぶやき日記」は、今回でいったん締めくくり。1年間、ありがとうございました!
「マガ9レビュー」は、辛口のコメントが人気のエコノミスト・浜矩子さんの近著『スラム化する日本経済』を取り上げます。
その他、「みんなのこえ」も更新しています。
大反響だった「piece of peace」の制作者さんからのメッセージが届いてます。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.3.18

VOL.200

うわーっ! 200号だあーっ!

 「マガジン9条」が誕生してから、もう丸4年経ちました。2005年3月に産声を上げたのですから、この3月で5年目に突入したわけです。そして、今回が第200号。うわーっ、と自分たちがいちばん驚いています。我ながら感心します。
 ボランティアたちが寄り集まって、なんとかここまで続けてきました。たくさんの方たちの応援や、読者のみなさんからの熱いエールに支えられて、ふーふー言いながらの200号です。
 今週号は、そんな私たちへの「おめでとう奮闘頑張れまだまだ続けろメッセージ」が、いろんな方たちから届きました。特集しますので、ぜひお読みください。

 ほんとうに、感謝しています。
 自衛隊の海外派兵など、国会論議もなく行われている状況です。憲法9条の重要性は小さくなるどころか、その存在の必要性は、ますます大きくなってきていると言わなければなりません。憲法改定のための国民投票法も成立しています。
 「マガジン9条」を、まだやめるわけにはいきません。できるところまで、頑張るつもりでいます。

 201号以降も、ぜひぜひご支援ください。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

「この人に聞きたい」は、『中村屋のボース』『パール判事』などの著書で知られる中島岳さんが登場。まずは「保守派」としての視点から、日本の戦後思想史を振り返っていただきました。
「松本哉ののびのび大作戦」は、「福岡印刷BAR作戦」。先週は長野、今週は福岡と、のびのび大作戦、ますます日本各地に拡大中のようです。
「鈴木邦男の愛国問答」は、「主権者の<手応え>」。憲法の第1条で定められている「国民主権」ですが、主権者としての実感や手応えを得るには、どうしたらいいのでしょう?
「癒しの島・沖縄の深層」は、小沢民主党代表の秘書逮捕問題について。逮捕の直前、小沢代表が口にしていた「日米安保の根幹を揺るがす重大発言」とは。
そして「やまねこムラだより」の臨時便が久しぶりに到着。ある一つの「死」との出会いが、辻村さんに気付かせてくれたこととは何だったのでしょうか。
「週間つぶやき日記」は、国会でのマトモな議論もないままに押し切られた、自衛隊のソマリア沖派遣について。
「マガ9レビュー」は、1930年代の満州を舞台にした壮大な歴史コミック『虹色のトロツキー』を取り上げます。
その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.3.11

VOL.199

ふたつの講演

 朝日新聞の3月9日の朝刊に、ふたつの講演についての記事が掲載されていました。

 村上春樹さんがエルサレム賞授賞式(2月15日)で行った講演「壁と卵」と、ノーベル物理学賞の受賞者・益川敏英・京都産業大学教授の講演(明治大学、3月8日)についてです。
 村上さんが「卵と壁があれば、たとえ卵に誤りがあろうとも、私は卵の側に立つ」と語り、イスラエルのガザ攻撃を強く批判したことは、「イスラエルの賞を受けに行くべきではない」と村上さんの受賞を批判した人々にも感銘を与えたようです。
 そして益川さんは、「私は、子にも孫にもあんな思い(戦争の惨禍)をさせたくない。国家が国家の名のもとに始める戦争は嫌です」と語ったそうです。
 どちらも、弱い者の側に立つ、という意味では共通しています。私たちは、このような感性の優れた人たちと同時代に生きていることを、誇っていいのだと思います。

 この益川俊英さんが、4月25日(土)に「今こそ声をあげよう!教育を子どもたちのために 4・25集会」(東京・九段会館)で講演をなさいます。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

「雨宮処凛がゆく!」は、先週東京で行われたあるデモのレポートを。デモは「怖い」ものでも「難しい」ものでも、「特殊な一部の人たちがやるもの」でもないのです!
「癒しの島 沖縄の深層」は、麻生首相の沖縄訪問について。基地問題は一切スルー、の訪問、地元ではどう受け止められたのでしょうか。
「週間つぶやき日記」は、先週、先々週も取り上げたフィリピン人親子のその後を。麻生首相の沖縄訪問についてもつぶやいています。
「マガ9レビュー」は、戦後日本の保守政治家の代表格、大平正芳の評伝を取り上げます。
その他、「みんなのこえ」も更新しています。

 ところで、各メディアが伝えているとおり、ICC(国際刑事裁判所)が、スーダン大統領へ逮捕状を出しました。ダルフール紛争における人道犯罪を許さないとする国際社会からの強いメッセージですが、「正義と平和」をどう考えるかという難しさがここにはあります。当事国スーダンからの声や情報が乏しいことも、問題をよりわかりにくくしていると言えます。こちらも参考に。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.3.4

VOL.198

電車内でのトラブル

 昨日、帰りの電車内で、サラリーマン風の中年男性に絡まれてしまいました。私の靴が、その男性の靴にちょっと触れたという、ただそれだけで。

 「お前な、なんで俺の靴を汚すんだよ、バカヤローォ」
 別に酔ってもいないようですが、最初からケンカ腰。ほんとうにちょっと触れただけで汚してなんかいないのですが、私は「すみません」と謝りました。
 しかし許してくれません。かなり、困りました。
 男性は、「おう、片つけるか、降りるか」と2駅区間中、凄み続けたあげく、次の駅で降りていきました。彼にも、本気で手を出す様子はなかったので、さして怖くはなかったのですが、それでもホッとしました。
 「兄ちゃんよ、ふざけてんじゃねえぞ」が捨てゼリフ。
 もうとても「兄ちゃん」なんて年齢ではない私を、「兄ちゃん」と呼んでくれたことには少し気を良くしましたが、それにしても最近の機嫌の悪い人の多さは、ただ事じゃない気がします。
 電車の中などでのトラブルを見かけることが、以前よりとても多くなったような気がしませんか。
 世の中がギスギスしています。
 政治が酷い状態にあることと関係があるのでしょうか。

 今度は、小沢一郎民主党代表の公設第一秘書が逮捕されました。もはや政治は、与野党ともに泥沼状態です。

 こんなに世の中が荒れているのも、政治が酷い状態にあることと関係があるような気がします。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

「この人に聞きたい」は、宮田律さんの第2回。アメリカの中東政策が「チェンジ」しないとすれば、中東は今後どうなっていくのでしょうか?
「松本哉ののびのび大作戦」は、「長野大作戦」が大成功! 東京と長野をつなぐ、一石三鳥のリサイクルシステムとは、いったい?
「鈴木邦男の愛国問答」は、「岬」のお話。憲法9条は、世界の<岬>に、<灯台>になるという鈴木さん、その真意は?
「癒しの島・沖縄の深層」は、先日沖縄で開かれた、ジャーナリストの故・筑紫哲也さんの「お別れ会」の模様をお伝えします。
「週間つぶやき日記」は、あるフィリピン人親子に日本政府が下した、あまりに残酷な「決定」について、そして飛び込んできたばかりの逮捕劇のニュースについて。
「マガ9レビュー」は、長年防衛庁への取材を続けてきたジャーナリスト、半田滋さんの『「戦地」派遣−変わる自衛隊』を取り上げます。

その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.2.25

VOL.197

久々に嬉しいニュースが

 ほんとうに久しぶりの明るい話題です。映画界の最高名誉とされるアカデミー賞で、日本映画の『おくりびと』が外国語映画賞を、『つみきのいえ』が短編アニメーション賞を、同時受賞しました。快挙です。

 『おくりびと』の滝田洋二郎監督や出演の本木雅弘さん、広末涼子さん、『つみきのいえ』の加藤久仁生監督などの、興奮しながらもとても嬉しそうなインタビューが印象的でした。

 このところのハリウッド作品は、私の個人的な感想としては、あまり面白くありません。これまでは「ぜひ観たいなあ」と思えるハリウッド映画が年に数本はあったものですが、最近ではあまりお目にかかりません。

 ただただ破壊し殺しまくるだけのアクション物、もって回った謎解きが失敗するオカルトミステリー、意味不明のCGファンタジー、やたら騒がしいミュージカル、まるで笑えないコメディ、ゾンビも眉をひそめそうなホラー、宇宙からしょうもないエイリアンや細菌が襲来するSF…。

 膨大な費用をかけて駄作を作り続けてきた結果、ファンにそっぽを向かれ、そこに金融危機も重なって、資金調達が困難になりつつあるそうです。

 そんな中、ハリウッド以外のしっとりと落ち着いた映画が復権してきているということは、いい兆候なのかもしれません。今回のアカデミー賞受賞作『スラムドッグ$ミリオネア』(ダニー・ボイル監督)はインドで撮られた映画だそうです。これもまた、脱ハリウッドの作品でしょう。

 久しぶりに、映画館に出かけてみます。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

「この人に聞きたい」は、イスラム地域の研究家として知られる宮田律さんにご登場いただきました。パレスチナをはじめとする中東和平の状況に、「オバマ政権誕生」は変化をもたらせるのでしょうか?
「マガ9対談:堤未果×森永卓郎」は、最終回です。日本、アメリカ、そして世界はどこへ向かうべきなのか?
「柴田鉄治のメディア時評」は、朝日新聞に掲載された1本の「ベタ記事」から。あるNHK職員の退職を伝えるこのニュースには、実は大きな意味がありました。
「雨宮処凛がゆく!」は、またまた新たな「闘争」のニュースを。「最高学府」の職員らが、「使い捨て」の労働条件改善を求めてストライキを開始しました。
「癒しの島・沖縄の深層」は、先日締結された「在沖海兵隊のグアム移転に係わる協定」について。地元のメディアや政治家は、この問題をどう受け止めているのでしょう?
「週間つぶやき日記」は、散歩で出会った春の光景、そしてやっぱり今週も「ぶれまくり」だった麻生首相の発言についてなど。
「マガ9レビュー」は、マイケル・ムーア監督のデビュー作「ロジャー&ミー」を取り上げます。

その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.2.18

VOL.196

お友だち内閣の無残な終焉

 大騒ぎです。とうとう中川昭一財務大臣、辞任に追い込まれました。なんといっても、あの映像は衝撃的に恥ずかしかった。あれが世界に発信されたのです。言葉を失います。

 これで、さすがに粘りに粘った麻生首相も万策尽きました。もはや、政権はもちません。日本テレビ網の世論調査では、すでに麻生内閣の支持率は10%を割り込んで、9.7%。他社の調査でも、10%台前半。末期を通り越して、死に体です。 それでもなお総理の椅子にしがみつくのであれば、完全に国民からそっぽを向かれることになります。多分、桜の花よりも、散るのは早いでしょう。

 スキャンダルの果ての解散総選挙。こんなつもりではなかったと、歯軋りしている自民党議員たちの溜め息。政策能力を無視し、お友だちばかりを集めた論功行賞内閣の、無残な落日です。

 それにしても、私たちの国はどこへ行くのでしょう…。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

好評連載中「鈴木邦男の愛国問答」は、相変わらず閣僚の失言・失態が相次ぐ昨今ですが、鈴木さんがもし「大臣」になったら…?

「松本哉ののびのび大作戦」は連載第3回。デモや街頭での大騒ぎだけじゃない、本業・リサイクルショップでの日々が、すでに「大作戦」なのです。

「雨宮処凛がゆく!」は、まもなく発売になる新刊『プレカリアートの憂鬱』について。取材を振り返って雨宮さん、「あまりにも刺激的な体験だった」と語ります。

「癒しの島 沖縄の深層」は、「沖縄移住で見えてきたこと」。早くも5年が過ぎようとしている沖縄暮らしは、岡留さんの心にどんな変化をもたらしたのでしょうか。

「週間つぶやき日記」は、今まさに「崩れゆく」自民党について。本当の「法治国家」とは何かを問う、あるニュースについてもつぶやいています。

「マガ9レビュー」は、イラクとの国境地帯で、さまざまな苦難を乗り越えて暮らすクルド人の子どもたちを描いたイラン映画「酔っぱらった馬の時間」を取り上げます。

その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.2.4

VOL.194

いつまで続く、政治の泥沼

 ヒラリー・クリントン米国務長官の最初の訪問国が日本になりそうです。「日米同盟を最重要視するオバマ政権の意志表明だ」ということで、妙にはしゃいでいる論調が目立ちます。

 政府高官や自民党幹部も、「オバマ政権は中国重視で、日本は軽んじられるのではないかという観測もあったが、その危惧は払拭された」と、胸を撫で下ろしているとのことです。

 まだそんなことを言っている。なんだか寂しくなります。

 アメリカの政権が変わりました。それは、日本が米新政権に対して、新しい姿勢を示す絶好の機会だったはずです。

 ところが日本政府の態度は、「見捨てないでください」「以前と同じ付き合いをよろしく」です。その上で、「ヒラリーさんがどんな要求を日本に突きつけてくるのか心配」しているだけ。

 日本独自の外交姿勢って何?

 現在の自公連立政府に新しい外交関係を築こうとする意欲も力もないのなら、新しい政府を作るしかない。そのためには総選挙が必要です。けれど麻生太郎首相、ほとんどのメディアで笑い者にされながらもなお、解散する気配はありません。

 その麻生さん、ダボス会議ではまたも漢字の読み間違いを連発(どうせ官僚の書いた原稿、ルビぐらいふっとけよな)。さらに英国首相の名前を何度も言い違え(首脳会談で会ったばかりだろ、名前も知らなかったのかよ)。突っ込みを入れたくなります。

 自国の首相がこれほど醜態を晒すのを見るのは、さすがに辛い。

 政治の閉塞状況は、まだまだ続きそうです。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

「マガ9対談」は、「堤未果さん×森永卓郎さん」の登場です。2009年最初の「マガ9対談」は、この二人。「世界がどこに向かっていくのか?」3回連続でお届けします。

また、「オバマ演説から勝手に解釈する、日本へのエール」として、オバマの大統領就任演説の原文から、さらに深読みしてみました。

「鈴木邦男の愛国問答」は、「ほうき」について。もちろん、憲法9条のお話です。

「雨宮処凛がゆく!」は、「「地獄のドバイ」と外国人労働者化するプレカリアート。の巻」。チャイナ・ドリーム、そしてドバイ・ドリームの「落とし穴」とは?

「癒しの島 沖縄の深層」は、「沖縄の米軍基地問題は、チェンジするのか?」。米軍施設建設への反対運動に加えられた、行政からの弾圧。この状況に「チェンジ」はある?

「週間つぶやき日記」は、日々接したいくつかのニュースから。

「マガ9レビュー」は、英国の小説「息子を奪ったあなたへ」。テロで家族を失った女性は、その「首謀者」に何を語りかけるのか。

その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.2.11

VOL.195

春の匂いのしない場所

 梅の花が満開になりました。あれ、こんなところにも梅の木があったのか、と見知らぬ家の庭先で立ち止まることもあります。いい匂いがしてくるからです。

 春は風に乗って、すぐそこにまで来ています。

 春が遠い村もあります。東京のど真ン中の政治村です。そこからは春の匂いどころか、腐臭さえ漂ってきます。

 もはや麻生首相の迷走は…、と書くことさえバカバカしくなってきます。これほど言葉をデタラメに扱う政治家は、それこそ“歴史に残る”でしょう。自分の言葉に何の責任も持たない。郵政民営化についての発言は、デタラメを通り越して“虚言癖”とでも言うしかありません。

 そんな首相が、憲法違反の疑い濃い“ソマリア沖への自衛隊派遣”には執念を燃やしています。破れかぶれの暴走です。やってはいけないことにのみ、妙にこだわり続ける性癖があるようです。

 なんとかマッタをかけるために、できることをします。

 書きます。伝えます。電話をかけます。国会議員に要望します。メールします。FAXします。

 少なくとも、国会審議を経ない自衛隊海外派遣は憲法違反ではないかと、訴えます。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

堤未果さんと森永卓郎さんの対談の第2回です。驚くほど似ている日本とアメリカ。そしてオバマ政権は戦争を終結させるのでしょうか?

「雨宮処凛がゆく!」は、「内なる差別心。の巻」。雇用や貧困の問題について、日本全国に広く知らせることになった「派遣村」ですが、そこでの光景から見えてきた新たな問題もありました。

「癒しの島 沖縄の深層」は、クリントン米国務長官来日の際に署名されるという、米軍基地に係わるある日米協定について。

「週間つぶやき日記」は、お散歩の話、オリンピックの話、そして聞きに行った講演会の話を。

「マガ9レビュー」は、財務省出身のエコノミスト、原田泰氏の『日本国の原則—自由と民主主義を問い直す—』を取り上げます。

その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.2.4

VOL.194

いつまで続く、政治の泥沼

 ヒラリー・クリントン米国務長官の最初の訪問国が日本になりそうです。「日米同盟を最重要視するオバマ政権の意志表明だ」ということで、妙にはしゃいでいる論調が目立ちます。

 政府高官や自民党幹部も、「オバマ政権は中国重視で、日本は軽んじられるのではないかという観測もあったが、その危惧は払拭された」と、胸を撫で下ろしているとのことです。

 まだそんなことを言っている。なんだか寂しくなります。

 アメリカの政権が変わりました。それは、日本が米新政権に対して、新しい姿勢を示す絶好の機会だったはずです。

 ところが日本政府の態度は、「見捨てないでください」「以前と同じ付き合いをよろしく」です。その上で、「ヒラリーさんがどんな要求を日本に突きつけてくるのか心配」しているだけ。

 日本独自の外交姿勢って何?

 現在の自公連立政府に新しい外交関係を築こうとする意欲も力もないのなら、新しい政府を作るしかない。そのためには総選挙が必要です。けれど麻生太郎首相、ほとんどのメディアで笑い者にされながらもなお、解散する気配はありません。

 その麻生さん、ダボス会議ではまたも漢字の読み間違いを連発(どうせ官僚の書いた原稿、ルビぐらいふっとけよな)。さらに英国首相の名前を何度も言い違え(首脳会談で会ったばかりだろ、名前も知らなかったのかよ)。突っ込みを入れたくなります。

 自国の首相がこれほど醜態を晒すのを見るのは、さすがに辛い。

 政治の閉塞状況は、まだまだ続きそうです。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

「マガ9対談」は、「堤未果さん×森永卓郎さん」の登場です。2009年最初の「マガ9対談」は、この二人。「世界がどこに向かっていくのか?」3回連続でお届けします。

また、「オバマ演説から勝手に解釈する、日本へのエール」として、オバマの大統領就任演説の原文から、さらに深読みしてみました。

「鈴木邦男の愛国問答」は、「ほうき」について。もちろん、憲法9条のお話です。

「雨宮処凛がゆく!」は、「「地獄のドバイ」と外国人労働者化するプレカリアート。の巻」。チャイナ・ドリーム、そしてドバイ・ドリームの「落とし穴」とは?

「癒しの島 沖縄の深層」は、「沖縄の米軍基地問題は、チェンジするのか?」。米軍施設建設への反対運動に加えられた、行政からの弾圧。この状況に「チェンジ」はある?

「週間つぶやき日記」は、日々接したいくつかのニュースから。

「マガ9レビュー」は、英国の小説「息子を奪ったあなたへ」。テロで家族を失った女性は、その「首謀者」に何を語りかけるのか。

その他、「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.1.28

VOL.193

オニは外ぉー。でも、福は来るでしょうか?

 もうじき節分です。
 今年はなぜか、盛大に豆を撒きたい気分です。
 「オニはぁー外ぉー。福はぁー内ぃーっ!」

 史上サイテーと言われた鬼は、ようやく去りました。戦争や大恐慌という巨大な惨禍を撒き散らすだけ散らしておいて、「歴史が評価してくれるだろう」などと能天気な言葉を残して、ヘリコプターで白い館を後にしました。
 こののち、撒き散らされた残骸や瓦礫を、どうやって片付けていくか、とにかくスピードが要求されるコースを、あの人はうまくコントロールしながら走り抜けることができるでしょうか。福を呼び込むことができるでしょうか。
 そして私たちの国は、まだあの国の走り抜けたコースをなぞるように走るだけでしょうか。

 新しいコースを、そろそろ自分たちの手で造り始めてもいい時期ではありませんか。
 そのためにも、私たちの意志を表明できる選挙という場を、早く設定して欲しいのです。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

 「柴田鉄治のメディア時評」は連載第二回。まずは日本でも大きな話題となった、「米国初の黒人大統領」誕生のニュースについて取り上げます。

 同じく連載第二回、「松本哉ののびのび大作戦」も本格始動。もっとのびのび、愉快な社会に向けて、大みそかに決行された「大作戦」とは?

 「雨宮処凛がゆく!」は、「京品ホテル強制執行。の巻」。一方的な廃業・解雇通告に抗議して、労働組合が自主営業を続けていた京品ホテル。それは、怒りと同時に小さな希望も感じさせてくれる出来事でした。

 「癒しの島・沖縄の深層」は、オバマ新政権への期待と希望を。沖縄の米軍基地問題は、果たしてどう変わるのか、変わらないのか?

 「週間つぶやき日記」はひたすら「ブレてない」と主張する麻生首相の言動について。散歩の途中で出会った春らしい風景の「おすそわけ」も。

 「マガ9レビュー」は、「チェ28歳の革命」の原点? スティーブン・ソダーバーグ監督の「トラフィック」を取り上げます。

 その他、「みんなのこえ」も更新しています。

 それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.1.21

VOL.192

私たちが聞きたい言葉とは…

 アメリカは、まるで建国以来の盛り上がり。ワシントンには200万人を超える人々が、厳しい寒さにも関わらずオバマ新大統領の就任式を一目見ようと押しかけているそうです。
 この原稿を書いている時点では、まだ式は始まっていませんが、オバマさんはどんな就任演説をするのでしょうか。それがどんなものであれ、アメリカ史に残る演説になることは間違いありません。アメリカ初の黒人大統領としての演説なのですから。そして、演説の巧みさでは群を抜くオバマさんのこと、必ずや、感動的な言葉やフレーズが人々の心を打つでしょう。

 「人民の人民による人民のための政治を」と語ったリンカーン。
 「国家が何を与えてくれるかを問うな。あなたが国家に何をなしうるかを自問せよ」と訴えたJ・Fケネディ。
 「私には夢がある。かつて奴隷であった者たちの子孫と、奴隷の所有者であった者たちの子孫が、兄弟として同じテーブルで向かい合う日が来るという夢が」と非暴力に徹して謳いあげたキング牧師。

 日本語と英語という言語の違いはありますが、なぜ日本の政治家は、彼らのような感動を、国民に与えることができないのでしょうか。
 誰に向かって語るのか。全大衆に向けて語るのか、馴れ合いの支持者のみに向けて話すのか。そこが決定的に違うのです。
 すべての人間への言葉を発することのできる政治家は、残念ながらいまの私たちの国には見当たりません。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

 「この人に聞きたい」は、映画「フツーの仕事がしたい」の土屋トカチ監督にご登場いただきました。「リアル『蟹工船』」とも言われる映画は、どんな背景から誕生したのか?

 「鈴木邦男の愛国問答」は、猫と憲法のお話。さていったい、どんな関係が?

 「雨宮処凛がゆく!」は、ちょっと年の初めらしく、2009年に「やりたいこと」を。「ないかくだとう実行委員会」って、何?

 そして、1年間ご愛読いただいた「毛利子来の狸穴から」は、今週で最終回。最後のテーマは「歴史のスケール」です。

 「癒しの島 沖縄の深層」は、 ついに始まってしまった沖縄市・泡瀬干潟の埋め立て工事について。

 「週間つぶやき日記」は、14年前の震災の日に思いをはせつつ。ガザで続く戦火に、日本ができること、やるべきこととは?

 「マガ9レビュー」は、も、イスラエル・パレスチナ関連の1冊を。少年たちの友情を描いた児童書「シュクラーン ぼくの友だち」です。

 その他、「みんなのこえ」も更新しています。

 それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.1.14

VOL.191

歴史に名を残す総理大臣

 いつになれば選挙が行われるのでしょうか。

 もう麻生内閣は、末期症状を通り越して瀕死状態です。最近の各メディアの世論調査では、支持率は軒並み20%を下回り、逆に不支持は70%を超えるという有様です。あの森喜朗首相の史上最低といわれた支持率に迫ろうという勢いです。こうなれば、普通は選挙で民意を問うのが当然だと思うのですが、さすがにそれも怖くてできないようです。

 首相として考えるのは次の3つだと、ある政治評論家が言っていました。

 (1)できるだけ長く首相の座に座り続けたい。
 (2)自らの手で解散総選挙をして勝利したい。
 (3)歴史に名を残したい。

 まあ、(1)と(2)はもうムリでしょう。となれば残るは(3)ですが、これは可能かもしれません。「戦後一貫して続いてきた自民党内閣(細川内閣で一瞬の下野はありましたが)に終止符を打った首相」として、歴史に麻生太郎という名前を刻むことになることになるからです。さらに、「自民党解体」の最後の自民党総裁としても、その名は記憶されるかもしれません。

 さて、今週の「マガジン9条」は、

 「この人に聞きたい」は、鎌田慧さんの第2回をお届けします。過酷な状況の中、鎌田さんはどこに希望を見出そうとしているのか? 憲法9条についてもあわせて伺いました。

 そしてまた一つ連載コラムがスタート。「松本哉ののびのび大作戦」では、世界不況を吹き飛ばす、愉快で強烈な作戦が次々と展開されていきます。

 「雨宮処凛がゆく!」は、雨宮さんが新年早々のお仕事で知ったという、フランスの労働状況について。日本との大きな違いに、雨宮さんは…?

 「癒しの島 沖縄の深層」は、一度は議会に否決されながら強行された、沖縄県知事の訪米について。オバマ新大統領就任を前にしたこの訪米、果たして成果はあったのか?

 「週間つぶやき日記」は、ちょっといつもと趣向を変えて。新年初夢大会! ということで、勝手な「組閣」の夢を見てみました。

 「マガ9レビュー」は、一昨年のベルリン国際映画祭グランプリ受賞作、「トゥヤーの結婚」を取り上げます。

 その他、「みんなのこえ」も更新しています。

 それでは、今週もじっくりとお読みください。

'09.1.7

VOL.190

憲法25条を心に刻んで

 「明けましておめでとう!」と大きな声で挨拶するのが、なんだか憚られるような重苦しい年明けです。

 年末から、いやなニュースが続きます。

 でも、「派遣村」を企画したNPOの人たちのガンバリが、見事に政府を動かしました。
 ひと筋の光明が見えたような気がしました。彼らの動きに励まされつつ、「マガジン9条」は、今年も頑張っていきます。

 今年くらい「日本国憲法」の価値が見直される年はないのではないか、と思うからです。もちろん「第9条」は大切だけれど、「第25条」が一層の輝きを増す年です。

日本国憲法第25条
 1. すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 2. 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 この条文、どうか心に刻み込んでほしいと、政府や財界の方々に強く申し上げたい年の始まりです。

さて、新年第1回の「マガジン9条」は、

「この人に聞きたい」は、『自動車絶望工場』の著者、ルポライターの鎌田慧さんにご登場いただきました。「絶望工場」から40年近く、日本の労働現場はどのように変わってきたのでしょうか。

新連載も始まります。元新聞論説委員で現在は科学ジャーナリストの柴田鉄治さんによる「メディア時評」。毎月連載でお届けします。

「雨宮処凛がゆく!」は、「年越し派遣村のお正月。の巻」。年越しを挟んで、職や住まいを失った労働者500人以上が集まった「派遣村」。この国は、いったいどうなってしまったのか?

「鈴木邦男の愛国問答」は、鈴木さんがかつて大きな影響を受けたという、ある人物のお話を。

今年最初の「週間つぶやき日記」は、年末年始のさまざまなニュースを。

「マガ9レビュー」は、アラブ人音楽隊とイスラエル庶民との交流を描いた映画「迷子の警察音楽隊」を取り上げました。パレスチナで戦火が続く今こそ、見ておきたい作品です。

その他「みんなのこえ」も更新しています。

それでは、今週もじっくりとお読みください。

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