2010年もあと数日で終わり。1年を振り返る時期になりました。「メディア時評」や「お散歩日記」のコラムにもありますが、劣化のはげしい日本社会や政治の状況にため息をつきながら、時には投げ出したくなる思いにかられもしましたが、なんとか今年1年続けてくることができました。
それも読者のみなさんからのご支援があったからこそ。カンパ申し込みや「マガ9学校」への参加、ご意見や励ましの数々ありがとうございました。
こちらに今年1年の「カンパ報告」をしております。活動費資金は、少し厳し状況ではあります。しかしネットでの発信は、ますます重要になるのではないか、と考えております。2011年も引き続き、「マガジン9」を継続していくために、どうか、みなさまの、ご支援,カンパをお願いします。
カンパしてくれた方への、新しいグッズも用意しました。メッセージカードにもなるし、デスクまわりに貼ってもかわいい「マガ9ポストカード」です。また「2011年度のパトロン」も募集します。重ねて,よろしくお願いいたします!
2011年は、みんなで良い年にしましょうね。
マガジン9
憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。
これまでの「今週のマガジン9」
'10.12.22+29
VOL.286
ご支援よろしくお願いします!
'10.12.15
VOL.285
リコールしたいけど・・・
都の青少年健全育成条例が、本日の都議会本会議でも可決されて成立する見通しです。残念極まりないです。
この2週間ほどの間、ネット上ではさまざまな活発な動きがありましたが、今さらのように目立ったのが、石原都知事が記者会見などで放った暴言。
「(同性愛者は)どこか足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう」
という差別発言や、「大連立すればいい。みんなで渡れば怖くない。消費税も憲法改正も」とという“ファシスト”丸出しの発言とか。
「こんな言いたい放題で、なんでリコール運動が東京では起きないのだろう? 名古屋市や阿久根市みたいに」と素朴な疑問がありますが・・・。
リコールは、地方自治体法で定められている直接請求制度(直接民主主義)の一つ。首長、議員、役員の「解職請求」と「議会の解散請求が、有権者の1/3以上の署名を集めると請求できます。
さて東京都。有権者数は1064万人。となると350万人以上の署名を集めることが必要。大都市での「リコール運動」は、かなり大変なことでもあります。経費も相当かかる。
しかし、直接行動を起こすチャンスは、すぐにやってきます。来年4月に行われる(だろう)東京都知事選。年があけたら本当にすぐです。次は絶対に私たちの「代表」と胸をはって言える人が、都知事になって欲しい。「私はこの人を都知事に推薦します」の企画にもご参加を!
どこかから「降りてくる候補者」ではなく、私たちの手で探して選びたいと思いませんか? 盛り上げていきましょう!
'10.12.08
VOL.284
またもアブナイ条例が
「非実在青少年」という珍妙な言葉を知っていますか? これは、前回の「東京都青少年健全育成条例案」に登場したなんとも奇妙な用語です。つまり、実在の人物ではない、漫画やアニメなどに描かれる架空の「青少年」の性行為等を規制しようという条例なのです。
これが非常に危ない。ここで条例の内容に触れる余裕はありませんが、漫画家や作家、評論家、研究者、弁護士会、ペンクラブなど多くの表現に関わる人たちが、一斉に反対の声を上げています。
一旦は東京都議会で否決された法案なのですが、そこは石原慎太郎都知事の意のままに動く都の官僚たち、改正案を作って再上程。一度は反対した都議会民主党は、どうも今回は賛成に回りそうです。6日に行われた反対集会で、民主党の某都議は「都側にきちんと問いただして賛否を決めたい」と発言しました。賛成に回ることへのエクスキューズ(言い訳)でしょう。しかしこの都議さん、そんな事が本気で通用すると思っているのでしょうか。甘い、と言わざるを得ません。
1999年に施行された「国旗国歌法」を考えてみればいい。当時の小渕首相も野中官房長官も、国会の答弁で「強制することはしないし、反対したからと言って処分など絶対に行わない」と繰り返し答弁しました。しかし、結果はどうだったか。日本で最も多くの教職員の処分者を出しているのが東京都です。官僚の口約束がいかにあてにならないか、の証拠です。国会での首相答弁を、石原知事はあっさりと踏みにじったのです。
ちなみに、今回の条例案を推し進めているのは、東京都青少年治安対策本部という部署です。「治安」という言葉もキナ臭いのですが、ここの本部長の倉田潤氏は、かつて公職選挙法違反の冤罪をでっち上げた有名な鹿児島県の「志布志事件」の際に、その県警本部長を務めていた人物です。今度は、どんな冤罪をでっち上げるのでしょうか。
'10.12.01
VOL.283
暴失態と混沌と情けなさと。
政治が混沌としています。菅政権、どうしたことでしょう。
尖閣諸島問題での大失態。しかもそのビデオがユーチューブに流出。流出させた海上保安官の扱いをめぐっての迷走。中国との確執。
馬渕国交相の八ツ場ダム工事中止の見直し発言。柳田法相の失言と更迭。仙谷官房長官の失言(とは私は思いませんが)。さらには、菅首相の突然のTPP(環太平洋パートナーシップ)参加の意向表明と、それに対する農業切捨てとの批判。もう民主党内もバラバラです。
国会では、野党側の執拗な追及が続き、肝心の予算審議はそっちのけ、情けない罵声のやりとり。無芸なお笑い芸人たちの「ど突き合い」よりも情けない情景です。
そんなこんなで、ついには仙谷官房長官と馬渕国交相の問責決議が、参院で可決される始末。しかしほとんどなす術のない菅首相。菅内閣は末期症状を呈し始めたようです。
昨年9月の画期的な政権交代から、まだほんの1年少々です。あのときに感じたワクワク感は、もはや消えてしまいました。次々に公約(マニフェスト)破りを連発し、外交センスのなさを露呈するのですから、それも当然です。
そこへ北朝鮮による韓国・延坪島への砲撃事件が追い撃ち。さっそく中国は危機回避の方策として6カ国協議の準備会議を提唱しましたが、肝心の韓国とアメリカは慎重姿勢。その狭間で、残念ながら日本の姿勢はまったく見えてきません。
注目の沖縄知事選は、仲井真弘多氏が再選されましたが、「普天間飛行場の県外移設」が公約です。菅政権は、なんとか仲井真知事と交渉したい腹でしょうが、いかにかつて容認派だった仲井真氏だとしても、そう簡単に「県外移設」の公約を撤回するわけにはいかないでしょう。またも変節を繰り返せば、沖縄県民に見放されて県政が立ち行かなくなります。辺野古移設は、ほぼ絶望的です。
菅政権の針の筵は続きます。
'10.11.24
VOL.282
暴力によらない解決を!
今朝の新聞のトップページに踊る
「北朝鮮、韓国に砲撃」の大きな見出しと、黒煙がたち上る港町の写真。
まさに「開戦」を告げる様子に、暗澹たる気持ちになりました。
たしかに朝鮮半島は、「休戦協定」を結んでおり、これまでもずっと戦時下にあるという見方もありましたが、米ソの冷戦構造が無くなった今、「戦争が再び始まる」というのはフィクションでしかないと思っていました(今もそう思っていますが)。
マスメディア、ネット上でさまざまな情報が行き交っています。
ここで、過去の歴史から学んだことを忘れてはいけません。私たちは「暴力によらない解決」と「戦争には絶対反対」という立場から、隣人として何ができるのかを、真剣に考えていきたいと思います。
'10.11.17
VOL.281
裁判員裁判で初の死刑判決
裁判員裁判による初の死刑判決が、横浜地裁で16日に出されました。各紙とも、トップをはじめ数ページを割いて大きく報じました。
「多数決で市民が死刑か無期かを決める」という世界でも類をみない日本の裁判員制度の設計。見直しを求める声は、小さくないと思うのですが、政治も司法界も、あまり積極的ではないようです。
新聞によると、「国民が、死刑制度と真剣に向き合うようになる」という専門家の意見や、「いい経験になった」とする裁判員の声を紹介していましたが、やはりどこかひっかかります。
今後各地で次々と、殺人事件の裁判員裁判が行われ、死刑求刑が出されると予想されます。そうなると、新聞も大きくは報じなくなるでしょう。いつもどこかで、市民が多数決で「死刑か否か」を決めている、そんな国になるのでしょうか。
「死刑」は、言うまでもなく「一人の人間の命」にかかわることであり執行されれば、そこで全てが終わってしまいます。
「なぜそんなに残忍な殺人を犯してしまったのか?」を知ることも、できなくもなるでしょう。
「モンスターのような殺人鬼は抹殺」という単純なことではないのかもしれませんが、圧倒的な暴力で問題解決をはかる、というやり方には、やはり賛同したくないとも思うのです。
今日の東京の曇り空のように、どうしても心が重たくて、堂々巡りをしてしまいます。
'10.11.10
VOL.280
東アジアの冷戦体制は終わった
先日、ロシアのメドヴェージェフ大統領が北方領土のひとつ、国後島を訪問しました。同大統領は40代と若い。かつて日ロ間で結ばれていた(と思われる)暗黙の了解(北方4島を大統領は訪問しない、とか)を尊重する必要なしと判断したのか、それとも菅政権にロシアの首脳とつながるパイプがないのか。いずれにしても、私は今回の出来事が「東アジアで冷戦体制が終わった」ひとつの証ではないかと思います。
欧州ではベルリンの壁崩壊が冷戦終焉の象徴的出来事でした。ヨーロッパの対立構造を解消へと導いたのは自由と民主主義を求めた民衆です。一方、東アジアでは、朝鮮半島を分断する38度線が開放される前に、米中ソ3大国の力の均衡がなし崩し的に消滅しつつある。そこでは、国境を越えた人とモノの自由な行き来を目指した欧州とは逆に、各国がエゴをむき出しにしているように見えます。
欧州に遅れること20年、私たちはいま「冷戦後のアジアはどうあるべきか」の問いを突きつけられているのではないでしょうか。大国の論理はときにダブルスタンダードもお構いなしです。それに対して、私たちは、情報を収集し、知恵を絞り、腹を据えて、交渉のテーブルにつく。言葉をもって戦わずして「自国の軍事強化を」では単なる思考停止です。
これから国際社会でのしんどいゲームが始まるでしょう。でも、その先にある新しい安定した体制について、みんなで考えていきたいと思います。
'10.11.03
VOL.279
首脳会談と沖縄知事選
あまりにいろいろなことが起こりすぎて、どう考えていいものか、戸惑ってしまうばかりです。尖閣列島海域での中国漁船衝突事件のビデオが流出しました。でも、本質論から離れて、いまや「犯人捜し」になっているようです。
誰が流出させたのかは確かに問題ですが、それよりもこの問題をどう解決するのか、そのためにビデオ映像をどう扱うのか、ということを議論するべきだと思うのですが。ともあれ、横浜でのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の場における日中首脳会談の無事開催と、真摯な話し合いの上での事態解決を期待するしかありません。
むしろ、アメリカとの首脳会談のほうに注目したいのです。沖縄の普天間問題をどう取り上げるのか、それともまったく触れないのか。日米同盟一点張りの菅内閣に大きな期待はできませんが、それでもどういう感触をオバマ大統領から引き出すか、菅内閣への最後の注目です。
沖縄知事選(11月28日投開票)が近づいてきました。知事を選ぶというより、米軍基地をめぐる審判といっていいのかもしれません。それに関して、私たちが知らない現状を聞く絶好の機会があります。
今週の土曜日、13日午後3時~、東京代々木のカタログハウス・セミナーホールでの催しです。琉球朝日放送のキャスター&ディレクター三上智恵さんの講演と彼女が制作したドキュメンタリー作品『狙われた海』を観る会です。米軍基地問題の深層と、間近に迫った知事選の状況をじっくりとお話しくださるそうです。
'10.10.27
VOL.278
裁判員裁判にて初の死刑求刑
今週の月曜日、東京地裁の裁判員裁判において、初めての「死刑求刑」が検察側より出されました。結審後、4日間の評議が行われるということですから、まさに今、抽選で選ばれた市民が「死刑か否か」を考え続けていることでしょう。
残虐な犯罪が二度と起こらないようにするためには、犯人は死をもって償うべきか? 更生という道はないのか? しかし最終的に判決を出すのは、裁判官でもあります。全員一致での「判決」は考えにくく、そこへの矛盾や葛藤もあることでしょう。
これまで多くの専門家や市民が、「量刑」までもを決める裁判員裁判の見直しを求め、とりわけ「死刑」という極刑については、一刻も早く制度から外すよう求めてきたのに、その声は政権交代が起きても届きませんでした。
「死刑への新基準への一歩」という見出しをつけた新聞もありましたが、それを「市民」に判断させるのは、あまりにも酷ではないのでしょうか
「市民感覚」という印籠を、今や市民自身ではなく、権力側や「マスコミ」が使い勝手よろしく振りかざしているようにも思いますし、「死刑判決」にまで使うことには、強い違和感を覚えます。
そしてこれが、取り返しのつかないことになるのでは、という不安な気持ちでいっぱいです。
判決は、来週の月曜日に言い渡されます。
'10.10.20
VOL.277
額の大小が問題じゃない
日本シリーズへ向けてプロ野球が盛り上がるなか、横浜ベイスターズの身売り話が報じられています。親会社のテレビ局TBSの業績不振が原因のようですが、TBSに限らず、広告収入の激減で各局の経営は悪化しているとも言われます。
でも、一方ではこんな「現実」も。上場しているテレビ局の中で、社員の年収が最も高いのはTBSで、年収1358万円(平均年齢49.7歳)。以下、朝日放送1319万円(40.9歳)、日本テレビ1263万円(40.7歳)と続きます(『週刊ダイヤモンド』8月7日号を参照)。
ある席で放送関係者に「経営改善のために社員の給料をもっと減らせば?」と聞くと、「そんなの焼け石に水だよ」と言われました。確かに、社員の年収カットぐらいでは経営上「大した額」ではないのでしょう。でも、そういった努力をしたうえで、番組製作費をカットしたり、下請け制作会社に経費節減を要求したりするのが、筋なのではないかと思います。
国の財政についても似たようなことを感じます。先日、蓮舫行政刷新相は事業仕分けによる「埋蔵金」発掘に限界があることを記者会見で示唆。その数日後には、民主党が選挙で公約に掲げた「公務員人件費の2割削減」を菅政権が断念するという報道がありました。
闇雲に何でも削減しろ、なんてことを言うつもりはありません。額の大小にかかわらず、本当にムダはないのか、さらに検討してほしいだけ。消費税増税の議論はその先です。
いまや民主党政権唯一の売りとなった事業仕分けを来週に控えたいま、そんな「当たり前のこと」を切に思います。
'10.10.13
VOL.276
龍馬が呆れている
今年最も話題になった歴史上の人物は坂本龍馬でしょう。大河ドラマ『龍馬伝』をはじめ、関連番組や書籍が数多く作られました。その虚実をめぐって様々な評価のある龍馬ですが、多くの人に愛される人物像であるのは間違いありません。
そのためか、龍馬の名前を持ち出して自らの行動を語る政治家をよく見かけます。今春、自民党離党の際「(政界再編につながる)接着剤的なことができたら本望だ」と、薩長同盟を実現させた龍馬に自身をなぞらえた鳩山邦夫氏などはその典型。今年は、渡辺喜美氏、中川秀直氏、前原誠司氏ほか、龍馬に関する政治家の発言を例年以上に聞いた気がします。
龍馬に限らず、徳川幕府300年の歴史が閉じられた幕末・明治期に活躍した人物には「改革」のイメージが重なるので、政治家がその功績にあやかりたくなる気持ちも分かります。そういえば、「奇兵隊内閣」と称した政権もありましたね。
幕末・明治期には、龍馬のような多くの下級武士が「憂国」の気持を胸に命懸けの活動をしました。そんな志のカケラでも今の政治家に持ってほしいものですが…。
国会内でファッション誌の撮影をした蓮舫・行政刷新担当相の行為が代表質問や予算委員会で追及されました。攻める側の自民党議員も過去に同様の行為をしていたことから(?)、この問題は終息しましたが、こんなことをしている場合なのでしょうか。あの世で龍馬が呆れていますよ、きっと。
'10.10.06
VOL.275
「強制起訴」の裏には?
どうにもスッキリしない。突然の検察審査会による小沢一郎民主党元幹事長の「強制起訴議決」。数々の疑問が湧く。
お断りしておくが、これを書いている私は小沢一郎氏の支持者ではない。むしろどちらかと言えば、あの小沢氏の持つ旧自民党的雰囲気は苦手である。しかしそんな私でも、この小沢氏強制起訴には疑問が湧く。
まず、小沢氏を告発したとされる“市民団体”とはどういう組織なのか。それがはっきりしない。さらに、この起訴議決をした第5検察審査会なるものの構成や議論過程が、これまた霧の中。審査会の平均年齢は30.9歳だというが、これが妥当かどうか。
しかし、そんなことよりも不思議なのは、この議決が実は9月14日になされていたということだ。なぜその公表が10月4日まで、丸20日間も引き延ばされたのか。この期間には例の「特捜検察の証拠偽造事件」が公になり、逮捕された前田検事が“小沢事件”の被疑者の担当もしていたことも明らかになっている。それならば、もう一度審査会を開いて、前田検事らの取調べに問題がなかったかどうか再審査するべきだった。冤罪をでっち上げた検事が関わった事案であれば、むしろ再審査しなければおかしい。一度議決したからといって、議決を覆すような状況が出てきたなら、再審査するのは当然ではないか。議決内容発表前なのだから、覆したところで問題はないはずである。
ところが20日間も時間的余裕がありながらそれを行わなかった。そして、突然の今回の発表となった。そこにどんな事情があったかを、審査会は公表する義務があるのではないか。
牧野聖修議員が「小沢氏は議員辞職すべき」と批判の声をあげた責任を取って、民主党国対委員長代理を辞任するなど、すでに民主党内はゴタゴタし始めている。さらに、産経新聞が名指しで「仙谷由人官房長官の差し金だ」と一面で報じたことに仙谷氏が大激怒。青筋を立てて「こんな根も葉もない大見出しを恥ずかしげもなく書いたことに厳重に抗議する」と、記者会見でまくし立てた。
これらの進み行きをみていると、どうも裏に何かあるのではないかと、勘ぐりたくなるのである。
'10.09.29
VOL.274
中国との付き合い方
中国が「厄介な国」であることは間違いありません。この原稿を書いている時点では、拘束中の日本人4人を解放せず、レアアースの事実上の輸出停止や対日輸出の通関検査を厳格化するなど、対応はエスカレートしています。
漁船衝突事件以降、日本のメディアでは「中国脅威論」が盛んに言われています。南沙・西沙諸島を実行支配した中国の「やり口」は確かに強引で、これでは「一歩も引くな」的な強硬意見に支持が集まるのも分かるような気がします。
でも、お互いが引かずにぶつかり続けた場合、その先に何が待っているのか? そのことが、どうしても気になります。
今週発売の『サンデー毎日』でジャーナリストの富坂聰さんはこう言っています。「(強硬論を言う人たちに)『では戦争をするのですか』と私は尋ねたい」「対立がエスカレートすれば当然、そうした事態が想定されます」「戦争をして何を得て、いかなる決着をつけようというのか」。やはり軍事力を背景にした強硬論には危うさを感じざるを得ません。
「憲法9条は変えないほうがいい」と主張し、日本の安全保障について考えてきたマガジン9にとって、「中国との付き合い方」は重要なテーマです。読者からも今回の件に関する意見や質問が複数寄せられています。マガジン9では、今まで以上に、この問題について考えていきたいと思います。
'10.09.22
VOL.273
緊張する日中関係
日中関係が緊張しています。原因は、今月7日に尖閣諸島沖で海上保安庁巡視船に衝突した中国漁船の船長が勾留され、その期間が延長されたこと。これを受けて中国政府は、日中間の閣僚級交流の停止、日本への中国人団体旅行の取りやめ、北京の観光イベントへの日本からの団体参加の中止などを決めました。
私は一連のニュースを中国延辺朝鮮族自治州の州都、延吉市で聞いていました。同州は図們江という長い川を挟んで北朝鮮と接する地域です。人口の約40%を朝鮮族が占めています。お店の看板も漢字とハングル文字の併記が義務づけられ、先般訪中した金正日総書記は同州図們市から平壌行臨時列車に乗って帰国しました。
両国の関係が密接なのは、中国が北朝鮮の安定に神経を払っているからだといわれています。北朝鮮の情勢が流動化し、その影響が自国の朝鮮族に及ぶような事態(民主化の機運など)は避けたい。中国の対北朝鮮外交は、内政と常に結びついているのです。
翻って今回の中国政府の対日強硬措置に目を向けると、そこにも同国特有の内政事情があるような気がします。たとえば日頃の国民の不満を、日本への抗議デモで解消させるといった意図が中国政府にあるのか、ないのか。そうした点も見極めながら、日本政府には冷静に対応してほしいと思います。
'10.09.15
VOL.272
新聞・テレビ vs ネット
14日の代表選挙の結果、菅直人さんが再選を果たし総理を続投することになりました。
拮抗しているとみられた小沢一郎さんとの一騎打ちは、蓋をあけてみると菅さんの圧勝(ポイント的に)。党員・サポーターのポイントの差が大きかったというものでした。
これは、新聞・テレビが調査した世論調査に影響を受けたのでは、との指摘があります。
さて今回の2週間の選挙期間で面白かったのは、新聞・テレビが行った世論調査とネットでのアンケート結果が、真逆だったこと。
「小沢さんのキャラクターが好きか嫌いか」
と視聴者や読者に問いかけて(問いつめて?)きたのがマスメディアで「小沢さんの政策がいいか、菅さんの政策がいいか」を能動的に論じてきたのが、ネットの世論ではないかと感じています。
どちらが成熟した民主主義国家への道なのか?
今後、ネットが後退していくとは思えませんので、次なる選挙には、さらにネットの役割や影響力が大きくなるよう私たちもあれこれ考えたいと思います。
'10.09.08
VOL.271
求む!ジョージ・ソロス
「人権こそが開かれた社会の核にある」と語ったジョージ・ソロス氏が1億ドル(約85億円)をヒューマン・ライツ・ウォッチに寄付。
というニュースが昨日飛び込んできたからではありませんが、みなさまに「カンパ」のお願いです。
ネットの情報は「FREE(タダ!)」が当たり前にもなっていますが、やはりそれなりに質の高いコラムやコンテンツを用意するためには、制作費がかかります。
「マガジン9」は、マスメディアが取り上げない情報や独自の視点からのコラムを発信することで、考えるための材料を提供していきたい、世論形成の一端を担っていきたいと、ここまで活動を続けてきました。これからも、続けたいと思っています。そのためには、やっぱり経済的裏付けが必要なのです。
毎年、私たちは「マガジン9」の経費を公表してきました。読者の方々のカンパ、篤志家の寄付、ボランティアたちの持ち出しや、単行本の編集費収入やセミナーの参加費などで何とかしのいできましたが、やはり厳しい状況です。
カンパは一口1000円から受け付けております。
その他にも、「パトロン募集」「カンパでお分けします。マガ9学校のDVD」という企画や、恒常的に活動を支えていただける、企業や団体からのサポーターも募集しています。
みなさんひとり一人が、私たちの「心のジョージ・ソロス」になっていただけたら。あつかましいお願いですが、どうぞよろしくお願いします。
'10.09.01
VOL.270
小沢一郎氏の出馬記者会見に注目
今日、菅直人首相と小沢一郎前幹事長が、民主党代表選に立候補届け出をしました。
「党内権力闘争にうつつをぬかしている場合か」という批判もありますが、党内でここまで「政策」や「理念」に違いがあるのだから、小沢さんの出馬は必然のことにも思えます。「政権再編」への序章かもしれませんが。
森永卓郎さんが、朝のテレビ情報番組で、
「小沢さんは、(普天間の問題について5月末の時点で)福島党首に『鳩山総理よりも、君の言うことの方が、筋が通っている』と話している。今、小沢さんは普天間問題をどう考えているのか。もう一度、見直すつもりなのかどうかを、記者会見で説明して欲しい」
とコメントしました。(このくだり、森永さんは6月のコラムにも書いてあります)
大手マスメディアは、なぜかほとんど取り上げませんが、私たちがなぜ「政権交代」を選んだのか、その肝ともいうべき、重要な問題です。
さて、何を語るのでしょうか? 注目です。
'10.08.25
VOL.269
「酷暑避難村」を!
もう「暑いですねえ」は、言い疲れてしまいました。実際、誰かと会うたびに、「それにしても暑いですねえ」「ほんと、今年の暑さは異常ですねえ」が、決まり文句です。
熱中症で亡くなる方も続出。特にお年寄りや体の弱い方、貧困によってクーラーも使えない方などが、ずいぶん倒れているようです。国の貧困対策のおくれが、こんなところにも出てきています。
菅直人首相が就任時に強調していた「最小不幸社会」の実現は、いったいどうなっているのでしょう。
軽井沢のホテルでの避暑とか(菅首相)、同じ軽井沢の別荘にザワザワと集まる暇がある(鳩山&小沢支持派)のなら、「最大不幸の解消」へ向けて、すぐにでも対策を採るべきじゃないでしょうか。それが、政治家たちの「最大役割」であるはずです。
たとえば、クーラーの使えない方たちを、せめて熱帯夜の予報が出ている夜だけでも、あの「派遣村」のときのように公設の避難場所へ案内する。「酷暑避難村」の設営です。そのくらいの機敏な施策がなぜ考えられないのか。誰かが言い出さなければ、政府も官僚も動かない…。
官僚は政治家が言わなければ何もしません。肝心の政治家たちは、次の首相の座をめぐって、暗闘の真っ最中。弱者のことなんか、まるっきり頭にはないのでしょう。国民の「最大不幸」はまだまだ終わりそうにもありません。
'10.08.11+18
VOL.268
夏の高校野球
戦争が終わってから65回目の夏を迎えようとしています。8月6日の広島、9日の長崎、そして15日の敗戦……。肌に照りつける強い日差しとひっきりなしに耳に響く蝉の鳴き声のなか、私たちが厳粛な気持ちになる数日間です。
夏の風物詩である全国高校野球大会では、毎年8月15日正午から、サイレンの音とともに選手、観客は1分間の黙とうを捧げます。
高校野球には心身を鍛錬する場という考え方があり、「一球入魂」という言葉があります。学生野球の祖といわれる飛田穂洲(とびたすいしゅう)がつくりました。飛田はベースボールを「野球道」ととらえ、精神主義を重視し、千本ノックなど過酷な練習を選手に強いたことでも有名です。それはまるで軍事教練を連想させるものですが、戦時中、軍部による「敵国スポーツ」野球の廃止を回避するための苦肉の策だったとの見方もあります。
これを教えてくれたのは、桑田真澄氏が朝日新聞(2010年7月20日付)に寄稿した「野球を好きになる七つの道」でした。野球本来の楽しさを取り戻すための「元甲子園球児」桑田氏の提言。今年の高校野球を見る目が少し変わりそうです。
'10.08.04
VOL.267
広島市長に「アジアのノーベル賞」
しびれるほどの暑さが続いていますが、なぜか今日(8月3日)の東京の空は、キリリと尖った青さです。白い雲がくっきりと浮かび、雲の輪郭までが鮮明です。こんな青空は、東京では珍しい。
広島と長崎の原爆の日が、今年ももうじきやってきます。65年目の夏です。あの日も、こんなキリリと晴れ渡った青空だったそうです。
今年は、アメリカ大使が初めて広島の式典に出席するとのことです。オバマ大統領の「核廃絶への決意」を世界にアピールするためでしょう。政治的パフォーマンスであることは間違いありませんが、それでも出席しないよりはいい。潘基文国連事務総長も、式典出席のために8月3日午後、来日しました。
少しずつではありますが、世界に核廃絶への機運が広がっているような気がします。「アジアのノーベル賞」といわれる「マグサイサイ賞」に、今年は広島市長の秋葉忠利さんが選ばれました。
フィリピンのマグサイサイ財団によれば、秋葉さんへの授賞理由は、「信念に基づいた強い指導力を世界的なキャンペーンで発揮し、市民を動員し、各国政府に圧力をかけることにより、核戦争の危険のない世界をつくる政治的な意思を築き上げた」ということそうです。
秋葉市長は、日本政府よりずっと頑張っているみたい。素直に「おめでとう」を贈りたいと思います。
'10.07.28
VOL.266
臨時国会に望むこと
政治家の言葉が軽くなった——なんて書くと、「何を今さら」と言われそうですが、どうしてもそんなことを書きたくなるほど、あの方の“軽口”が最近目に余ります。
一国のトップという重圧から解放されたからなのでしょうか…。
自分の辞任後に誕生した政権が参院選で敗れたことに対して、「こんな結果になるんだったら辞めなければよかった。(首相が敗因を)前政権のせいにしたことだけは謝ってほしい」と、言ったそうです(7月22日付『朝日新聞』)。
確かに、首相の消費税に関する発言のブレが大きな敗因だし、与党が大敗したのも事実。でも、あの方とそのパートナーだった大幹事長の「カネの問題」や、自身が招いた普天間基地をめぐる混乱に対して、多くの国民は失望していたのです。前記のようなことを、よくぞ言えたものだと思います。また、首相退陣時に「首相たるもの、影響力をその後、行使し過ぎてはいけない」と次期衆院選の出馬辞退を明言したのに、1ヵ月半後には撤回。まあ、「自然への冒涜」とまで言って否定した基地移設案をアッサリ復活させたぐらいですから、出馬辞退の撤回なんて、大した問題ではないのでしょう。
今週30日から国会が始まります。短期間ですが、今回は予算委員会も開かれます。
「中身のある論戦を」なんて贅沢なことは望みません。国会議員の方々には、どうか「恥知らずな言動」だけは慎んでいただきたい、ただそれだけです。
'10.07.21
VOL.265
グローバルとは何だろう?
先週土曜日に行われた「第2回マガ9学校」にて、ヒューマン・ライツ・ウオッチの土井香苗さんがおっしゃった
「国際社会において、日本のNGO団体が「人権」に関わる発言をしたり、発信したりすることには、大きなプレゼンスがある」
そして、
「日本人である(日本語が話せる)」ことのアドバンテージは大きい」
という言葉が、印象的でした。
それはひるがえっていえば、アジアという地域が、まだまだ「人権」問題に取り組めていない、という現実の裏返しでもあるのでしょう。
一方で最近の傾向として、世界で起こっている、「飢餓や紛争、人身売買」といった問題について、「自分たちがコミットして、解決できないだろうか」
と考えている若い人たちが、増えてきている、とも聞いていたのですが、土井さんの講演を聞くために、いっぱいになった会場を見て、やはりそうなんだ、と実感しました。
閉塞感に溢れ、排外政策を支持し、救世者的政治家を待望するような世論を生み出さないためには、「真のグローバル精神」を持った人たちが増えることが有効では?
ポピュリズムを煽る政治と早く決別するためには、何かこのあたりにヒントがあるように思ったのですが、どうでしょうか。
'10.07.14
VOL.264
世界中の人に尊厳のある生を!
これは、人権NGOの日本代表として日々活動を続けている土井香苗さんが、自分に課している「MISSION/使命」だと言い切ります。
そして「将来、日本が人権保護のリーダーだと思ってもらえるようになりたい」とも。
「人権」とは、人間が人間であるために欠く事ができない権利、そしてユニバーサルな概念です。
「国家から理由なく殺されない」「恣意的に逮捕されない」「拉致されない」「表現の自由が守られている」「宗教や性別などによって差別されない」「子どもや難民に対して最低限の保護が与えられている」そういったことのすべてを含みます。
それゆえに、土井さんが闘う相手は、時に軍事国家であったり紛争国の独裁者だったりもします。
なぜ、そのような壮大な任務を負うことを考えたのでしょうか?
それは、「仕事」としてどう成立しているのでしょうか?
などなど聞きたいことは、たくさん。
土井さんが講師の「マガ9学校」第2回は、今週土曜日に開かれます。
そんなことを参加者と一緒に、考える一日にしたいと思います。
'10.07.07
VOL.263
2010参院選はどうなる?
16.2%——。何の数字かと言いますと、木村拓哉さんの主演ドラマ「月の恋人 Moon Lovers」の最終回(5日放送)の平均視聴率(関東地区)です。いわゆる「月9(ゲツク)」でキムタク主演となれば、過去には、最高視聴率36.7%の「ロングバケーション」(96年)や全話視聴率が30%を超えた「HERO」(01年)などがあるだけに、この数字を期待ハズレとするむきもあるようです。
今回は同時期に開催されたサッカーW杯の異常な盛り上がりもありましたから仕方ないのかもしれませんが、「仕方ない」では済まされないのが参院選挙。投票まであと4日というのに、「W杯」や「大相撲騒動」に押されまくっていて、ちっとも盛り上がっていません(よね?)。
約10年前、筑紫哲也さんに選挙について話を聞いたことがあります。筑紫さんは当時の政治状況や政党にウンザリしながらも、「(選挙に)行かなきゃ何も始まらないし、何も変わらない。だからバカの一つ覚えと言われようと、とにかく選挙に行こうと言い続けるしかない」と言っていました。
良い悪いは別にして、「政権交代」という熱に列島が沸き、昨夏の衆院選挙の投票率は69.28%に。
あれから約1年。与野党問わず、政党や政治状況に失望の念を抱き、自分の1票の価値に疑問を抱いている人も多いかもしれません。でも、やっぱり、筑紫さんが言っていたように「とにかく選挙に行こう」です。
'10.06.30
VOL.262
Jリーグ、ありがとう!
——大会前は(日本代表の)不調が言われていましたが。
「われわれは一貫して何も変わっていません」(岡田武史監督)
——(日本代表の活躍で)国内は大いに盛り上がりました。
「Jリーグも盛り上げてください」(長谷部誠キャプテン)
南アフリカワールドカップ決勝トーナメント。120分の果てのPK戦でパラグアイに敗れた直後のインタビューを聞きながら、私はスポーツを報じるマスメディアと、当事者たる監督、選手たちの意識の違いを感じざるをえませんでした。
大会前の、建設的な批判とは思えない岡田ジャパンへのバッシングと、その後の手放しの賞賛ぶり。手のひら返しはマスメディアの常ですが、多くのサッカーファンはブレまくりのマスメディアに踊らされることはなかった気がします。
私たちの日常でJリーグがすっかり身近な存在になったおかげではないでしょうか。スタジアムへ足を運び、友人、兄弟、親子で選手のプレーについて、あーだこーだと語り合う。地域に根差して、サッカーを愛する。そんな人々が岡田ジャパンを支えたと思うのです。
日本代表の戦いは終わりました。残りの大会で強豪国のプレーを満喫した後は、各自の持ち場(Jリーグや地域リーグ)に帰りましょう。
'10.06.23
VOL.261
「非拘束名簿式」って?
いよいよ参院選は24日公示で、7月11日の投票。消費税アップの是非ほか争点盛りだくさんですが、どうしても気になるのがタレント候補の存在です。今回も芸能界やスポーツ界などから多くの候補が出ますが、国会を割のよい「転職先」と考えているのかと意地悪の一つも言いたくなる人もいます。
もちろん選挙に出るのは自由ですし、実績を残しているタレント議員もいますから、タレント候補というだけで否定はできません。世襲候補や組織に推されたしがらみだらけの候補よりも、マシだという見方もできるでしょう。
とはいえ、タレント候補が多数擁立される現状を見ると、やはり「何かがおかしい」と思ってしまいます。
おかしさの一つは、比例区の「非拘束名簿式」という制度。全国どこからでも投票できるため、著名人ほど有利になり、タレント候補の乱立につながります。また、政党名でも個人名でも投票できるという仕組みも非常に分かりにくい。今回、比例区から立候補する元議員は、「集会では、政策よりも先に制度の説明をまずしなくてはならない」とボヤいていました。
どんな制度にしろ、最終的に決めるのは国民の一票ですが、導入から約10年が経つこの非拘束名簿式については、そろそろ見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。
'10.06.16
VOL.260
ブブゼラの音とともに?
アフリカ大陸初のサッカー・ワールドカップが開催されました。スタジアムに響く民族楽器、ブブゼラの音もすっかり耳になじんでいます。「選手間のやり取りが聞こえない」とか、「実況がやりにくい」とか、不満の声は少なくありませんが、私は好きです。開催地ならではの雰囲気を醸し出してくれるし、サポーターの応援歌ばかりではつまらない。
「開催国ファンの伝統を禁じるべきでない」との見解を出した、国際サッカー連盟のブラッター会長を私は支持します。一昨日の岡田ジャパンの勝利、そしてエトー選手をはじめとするカメルーン代表のクリーンなプレーも、私は後々、プワーッというブブゼラの間延びした音色とともに思い出すことでしょう。
岡田監督率いる日本代表は弱くないと言い続けてきた私は、試合後、歓喜よりも、静かに選手と監督の努力を祝福したい気持ちでした。そして改めて思ったのです。この大会、決定力不足は日本だけではないみたいだから、決勝リーグ進出の可能性は十分ある、と。
'10.06.09
VOL.259
奇兵隊内閣って何だ?
菅直人内閣が発足しました。自らつけたネーミングは「奇兵隊内閣」。
幕末の志士高杉晋作が、武士や農民、町民といった身分制度を超えて組織したという「奇兵隊」を持ち出してきたのは、幕末や龍馬ブームにあやかって付けたんでしょうが、
会見では「普通の家に育った人でもがんばれば首相や大臣になれる。これが民主主義のあり方だ」とおっしゃったとか。
いったいいつの時代の話ですか? と聞きたくなりますが、調べてみると世襲でない首相は、あの村山富市さん以来の16年ぶり。
首相はこの間、ころころと変わりましたが、鳩山さんまで8名の首相全員が、世襲議員だったという事実に、今更ながら驚かされました。
庶民派をアピールするよりも、なぜ世襲でないと首相になれない政治システムだったのか? というところも追及して改善していって欲しいと思います。
だって当たり前でしょ。江戸時代ではありませんから。
'10.05.26
VOL.258
結局は、辺野古?
ほんとうに腹立たしい。結局は、元の木阿弥。普天間飛行場問題は、辺野古沿岸部への「基地移設案」ということで“決着”が図られそうな雲行きです。これがなぜ、決着なのですか!? 結局、辺野古へ戻る。しかも埋め立てという工法さえ復活する。「埋め立ては辺野古の自然への冒涜」と語った言葉こそ、「言葉への冒涜」ではないですか!?
こんな馬鹿なことはない。
鳩山首相の言葉が、「最低でも県外」がいつの間にか「できる限り県外」になっている。言葉の軽さは政治家にとって、それこそ「最低でも」慎むべきことです。にもかかわらず、一国の首相が、ヒラヒラと舌を回して恥じることがない。
「鳩山さんの最大の功績は、沖縄の米軍基地問題を沖縄県だけの問題ではなく日本全体の問題なのだと知らしめたことにある」という見方もあります。それは認めます。だからこそ、日本国の問題としてアメリカに強く迫ってほしかった。
「日本国民は、もう沖縄へのこれ以上の負担押し付けを容認しない。普天間飛行場は速やかに撤退してほしい。グアム・テニアンへの海兵隊の集約こそ、米軍再編の道筋だったではないか」
そういう正論で、堂々とオバマ米大統領と渡り合う我が国の総理大臣像を有権者たちが夢見たからこその「政権交代」だったはずなのです。
'10.05.19
VOL.257
5月15日の沖縄
5月16日、沖縄で普天間飛行場を「人間の鎖」が取り囲みました。すでに梅雨入りしている沖縄は、この日は豪雨。その激しい雨の中を、なんと1万7千人もの人がずぶ濡れになりながら、フェンスの前で手をつないだのです。
いつもなら「そんな参加者数は主催者発表のまやかし数字。信用できない」などと文句をつけるメディアや評論家たちも、今回ばかりはそれができない。当然のことながら、基地外周の距離とひとりの人間の両手を広げた幅を数えれば人数は簡単に割り出せるからです。批判者たちも黙るしかなかったわけです。
1972年5月15日。アメリカ合衆国の占領状態にあった沖縄の施政権が、ようやく日本へ返還された日です。いわゆる「沖縄の祖国復帰記念日」です。あの日からすでに38年が過ぎました。
2010年5月15日、沖縄県民はその記念日を、雨の中、無念さと怒りを噛みしめながら迎えざるを得ませんでした。その怒りが翌日の普天間飛行場包囲の人間の鎖として表現されたのです。
「復帰したはずの祖国は、我々に何をしてくれたか。基地を押し付けること、米軍が居座ること。それが、日本政府が沖縄に“してくれたこと”だった。それならば、何もしてほしくはなかった!」
これは、沖縄のある知人が語った言葉です。
'10.05.12
VOL.256
新しい出発へ
「マガジン9」の9って何? そう聞かれたらこう答えます。
1.やっぱりいちばん大切なのは平和でしょう。ゆっくり眠れるのも、平和な夜があってこそ。そうでしょ?
2.日々、環境が壊されていきます。あちらでもこちらでも、地球のいたるところで。壊れたところを修理するのは私たちの責任です。
3.とにかく食べなきゃ生きていけない。農業や漁業を大事にすること。それは環境を大事にすることにつながります。そう思いませんか?
4.環境が壊されれば人間も壊されます。どんな人にでも生きる権利があるってことを、人権を再確認しましょうよ。
5.どんな人の権利も同じです。人種や民族に関係なく、私たちは共生しなければならないのです。それがほんとうの国際化じゃないですか。
6.自由がなければ生きていても楽しくない。のびのびと、何でも話せ何でも書け、何でも行うことのできる自由を。
7.自由ってことは、みんなが平等だってことから始まりますよね。それを保障してくれる政治がほしいのですよ、私たちは。
8.だから、戦争は嫌なのです。なにがどうなろうと、戦争だけは避けなければなりません。徹底的な非戦を訴えたいのです。
9.こんなことを考えていくと、どうしても日本国憲法に行き着いてしまいます。特に9条は大事にしていきたいなあ。
この9つの思いを持って、私たちはこのサイトを作り続けていきます。これからも、よろしくお願いします。
'10.04.28+05.05
VOL.255
5月12日、リニューアルします!
4月下旬とは思えない寒暖の差がはげしい日々が続きますが、まもなく黄金週間に突入です。
さて以前よりお知らせしていましたが、
6年目を迎えた「マガジン9条」は、連休明けの5月12日の更新よりサイトリニューアルをします。
キャッチコピーは、
「憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。論者と読者をつなぎ、考え、行動する市民にお届けします」
一区切りの今週号は「沖縄特集号」となりました。
沖縄のことを考える連休になりそうです。
さて、今週の「マガジン9条」は、合併号でお届けです。
短期集中連載「「沖縄」に訊く」が最終回。「基地はいらない」と訴えるさまざまな人たちの声、そして熱気に包まれた25日の県民大会のロングレポートをお届けします。
「森永卓郎の戦争と平和講座」は、普天間基地「移設」問題をめぐる鳩山首相の「腹案」について。ほんとに、これが「腹案」!?
「癒しの島・沖縄の深層」は、もちろん「4・25」県民大会について。9万人が示した「民意」を、鳩山政権はどう受け止める?
「柴田鉄治のメディア時評」は、今月9日、東京地裁で出された沖縄密約訴訟の判決について。柴田さんも原告に名を連ねたこの裁判は、「政府のウソ」を正す闘いでもありました。
畠山理仁の「永田町記者会見日記」は、ツイッター上に流れた一行の驚くべき情報に畠山さんがすぐに電話をした先とは?
「雨宮処凛がゆく!」は、最近の雨宮さんが参加した/するイベントのお話。沖縄デモからなぜか「生前葬」へのハシゴ、そしてもうすぐメーデーがやってくる!
「松本哉ののびのび大作戦」は、先日行われた「阿佐ヶ谷ディナーショウ」の報告を。なんでディナーショー? どんなディナー? と思ったら、まずはご一読を。
「鈴木邦男の愛国問答」は、鈴木さんが試写会で見たある映画の話を。「これは大きな問題提起の映画だ」という鈴木さん、そのココロは?
「kanataのコスタリカ通信」は、グアテマラへのショート・トリップのその2。どこか日本のお祭りにも似た風景と出会いました。
「パンにハムをはさむニダ」は、「サンチュに豚バラをはさむ」お話。松本さんとの交流もあります。
「マガ9レビュー」は、かつて雑誌「クィア・ジャパン」編集人も務めた作家、伏見憲明の小説集『団地の女学生』を取り上げます。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
「つぶやき」もはじめています。良かったら見てね。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
次回の更新は、5月12日になります。
'10.04.21
VOL.254
全国知事会で、米軍新基地受け入れ拒否宣言を
メディアでの沖縄普天間基地をめぐる論調に、いささかの変化が現れ始めたようです。「何が何でも日米同盟という言い方は考え直すべき」という指摘です。
たとえば毎日新聞(4月18日)のコラムで、編集委員の布施広さんが「『寝ても覚めても日米同盟』の危うさ」を指摘しています(もっとも、中身は「海外移設こそ勝利という主張を実現するのは難しいと私は思う」と、最初から逃げ腰ですが)。
テレビでも、鳥越俊太郎さんや森永卓郎さんが、「国内移設なき返還を、総理がアメリカにはっきり伝えるべき時期に来ているのではないか」という趣旨の発言をしています。東京新聞の論調もこれに近いようです。ケーブルテレビでは、かなり鮮明に同意見を言う方もいます。
しかしこれらは、やはりまだ一部。相変わらずの「日米同盟最重要視」の記事や発言が大多数です。ほとんど説明抜きの「抑止力論」も幅をきかせています。しかしこの抑止力論については、軍事評論家の田岡俊次さんや東京新聞の半田滋さんたちが見事に論破しています。それへの説得力のある反論は、抑止力論者からは聞こえてきません。
先週の「沖縄に訊く」の伊波洋一宜野湾市長や、今週の大田昌秀元沖縄県知事の記事を読めば、「国益のため」と称して沖縄にのみ負担を押し付ける抑止力論の非人道性がよく分かると思います。
徳之島での大反対集会の盛り上がりをみれば、もう日本国内に米軍基地を新設するのは不可能でしょう。
全国知事会を沖縄で開催して、すべての都道府県が米軍新基地受け入れ拒否を宣言すればいいのです。全都道府県が拒否すれば、必然的に基地は国外へということになります。それとも、大声で「国益」を言い立てる都知事さんは、東京都に新しい米軍基地を受け入れますか?
今週25日(日)には、「沖縄に基地はいらない 全国同時アクション」が行なわれます。この日、日本各地で沖縄の市民集会に呼応します。詳しくはこちら。]
さて、今週の「マガジン9条」は、
短期集中連載「「沖縄」に訊く」の第2回。県知事として普天間基地問題に取り組んだ大田昌秀さん、そして現地から基地問題を報道し続けるふたりのジャーナリストに話を聞いています。
もう一つの短期集中連載「いま、山本周五郎が経営者だったら。」は今回で最終回。今までの社会のあり方にほころびが見えた今、これからの「国づくり」はどうあるべきなのか?
畠山理仁の「永田町記者会見日記」は、ついにユーストリームで一人記者会見する大臣が登場!
「雨宮処凛がゆく!」は、今年もいよいよやってくる! 「自由と生存のメーデー」のお知らせを。今年のテーマは「逆襲の棄民」!?
韓国人留学生キム君の「パンにハムをはさむニダ」は連載第2回。韓国で起こった艦船沈没事故と、その背景にあるものについて書いています。
「マガ9スポーツコラム」は、北島康介選手2年ぶりの競泳代表復帰、のニュースに寄せて。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
「つぶやき」もはじめています。良かったら見てね。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'10.04.14
VOL.253
レクイエム
日曜日の朝、井上ひさしさんの訃報を聞く。9日にお亡くなりになっていたという。心の奥底から、寂しい。
小田実さん、筑紫哲也さん、そして井上さん。いまこの国に必要な方たちが、次々と去っていく。小田さん74歳、筑紫さん73歳、井上さん75歳。どう考えても若すぎる死だ。
小田さんは、戦後民主主義運動のひとつの到達点ともいえる「ベ平連」を組織した。筑紫さんは、報道の真のあり方を生涯を通して体現しようとした。そして井上さんは、戦後責任にこだわり、庶民の生き方をユーモアをベースに描ききった。名作長編『吉里吉里人』などの作品群にそれは読み取れる。昭和庶民伝三部作や東京裁判三部作、『化粧』、『父と暮せば』などの舞台は、井上さんの戦後に懸ける想いの発露であっただろう。
戦後の理想。それこそが、あの方たちが未来に見据えた本物の希望だったに違いない。
沖縄に、戦後の希望は具現されるか。
小田さんは「差別」の視点から、筑紫さんは「日米関係」のあり方から、そして井上さんは「戦後責任」の重さから、それぞれに沖縄を見据えてきたのではないか。そのどれひとつとっても、沖縄の想いの実現はいまだ見えない。しかし、胎動は感じられる。
4月25日、沖縄読谷村運動広場での沖縄県民大会へ向けて、さまざまな動きが活発化している。普天間飛行場が撤去されたとき、小さな1歩だけれど、希望の火は確実に点るだろう。
さて、今週の「マガジン9条」は、
まずは、短期集中連載は、
『「沖縄」に訊く—米軍普天間基地問題をめぐって—』。本土メディアが伝えない、沖縄の生の声を伝えるレポートです。
「松本哉ののびのび大作戦」は、「路上ゲリラ集会inソウル」。またまた韓国に行っていた松本さん、ついにそこで「ゲリラ集会」までやらかしてしまった!
「鈴木邦男の愛国問答」は、鈴木さんが読んで大きな刺激を受けた! という1冊の本をご紹介。
「癒しの島 沖縄の深層」は、先日東京地裁で出された、沖縄返還交渉をめぐる日米「密約文書」の開示命令について。この判決を「自分のことのように嬉しい」と歓迎する岡留さんです。
「畠山理仁の永田町記者会見日記」は、亀井静香大臣の記者会見場で、なんとあの大川総裁が質問!
そして新連載、「パンにハムをはさむニダ」がスタート。書き手は「雨宮処凛がゆく!」に登場した、韓国人留学生、キム・ソンハくん。日本について、韓国について、どんな話題が飛び出すか?
「Kanataのコスタリカ通信」は、「グアテマラへのショートトリップ」。初の国外旅行に出たKanataさん、そこで見たもの、聞いたものとは?
「マガ9レビュー」は、井上ひさしさんが主宰した「生活者大学校」の講義をまとめた1冊『あてになる国のつくり方』を取り上げます。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
「つぶやき」もはじめています。良かったら見てね。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'10.04.07
VOL.252
沖縄に、ふたたび号外が撒かれる日を
号外が出ました。沖縄でのことです。何の号外かって? 春の号外ですよ、春のセンバツ高校野球。4月3日、沖縄の興南高校がセンバツ初優勝。とにかく沖縄の高校野球熱はハンパねぇのです(笑)。決勝戦のあった時刻、那覇の交通渋滞が一気に解消されたそうです。なにしろ、準決勝で興南が勝利したときに、すでに号外が出ているのですから、沖縄メディアのノリも尋常じゃない。全島挙げてのお祭り騒ぎ。
その気持ち、分かるような気がします。少しは心が晴れる嬉しい出来事があったっていいじゃないか。沖縄県人はいまや、みんながそう思っているに違いありません。あまりに政治に弄ばれてきた。もうそろそろ、なにかいいことが…と。
もう一度、号外が出ないかなあ。それも、超特大の号外が。
米軍普天間飛行場、ついに無条件返還へ!!
特大の文字で、しかもカラー刷りの畳1畳分もありそうな大号外が、那覇や宜野湾の空に舞い上がり、沖縄中に指笛が鳴り響き、カチャーシーが全島を埋め尽くす。それは、やっぱり夢?
「私には腹案がある」「沖縄の人たちの頭越しに決定するようなことはしない」「決まったら、地元の皆さまのところへ膝詰めで説明に伺う」。鳩山首相の言葉です。
でも鳩山さん、膝詰めで説明するには相手が違やしませんか。
「これ以上の基地負担を認めるわけにはいかない。ぜひ、無条件返還を」と“膝詰め談判”する相手はアメリカでしょう!
普天間基地は「返還」だったのです。「返還」へ妙な条件をつけて「移設」にしてしまったのは、旧自民党政権です。政権交代が実現したのです。最初の「返還合意」に戻るべきだと、強く思います。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「雨宮処凛がゆく!」は、「死ぬまで痛みに耐える」ことを強いる制度。の巻。「国民皆保険」な日本で、「病気になっても病院に行けない」人たちがいる?
畠山理仁の「永田町記者会見日記」は、官邸がセミオープン化され、コラム連載の存続を自ら問うていたが、その結論は?
短期集中連載「いま、山本周五郎が経営者だったら。」は、「需要」と「雇用」の関係について。近年、社会問題化している非正規雇用増大の背景を考えます。
「マガ9レビュー」は、トルストイの同名小説を原作に、現代チェチェンに舞台を置き換えて映画化した「コーカサスの虜」を取り上げます。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
「つぶやき」もはじめています。良かったら見てね。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'10.03.31
VOL.251
沖縄大集会に呼応する動きが…
三寒四温。このところ、突然の真冬日が訪れたりしましたが、それでも桜の蕾は膨らみ、花の蜜をつつく鳥たちの声は、春です。季節は確実にめぐっています。
それにひきかえ、迷走を続けるのが沖縄の米軍普天間基地問題です。面積が日本の国土の1%にも満たない県に、在日米軍基地の75%を押し付けて、さらに「代替基地」の名目で、沖縄県内に新たな基地建設案が浮上。沖縄県民の反発は日増しに強まっています。
4月25日、沖縄県読谷村運動広場で「普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民大会」が開催されます。10万人規模の大集会になるだろうと予測されています。それは、あの米兵による少女暴行事件への怒りの大集会(1995年)、集団自決についての教科書書き換え問題への反撃の県民大会(2008年)を上回る県民のマグマの噴出となるでしょう。
東京でも、それに呼応する動きが出てきています。
3月26日には、普天間基地返還を求めて150人もの人たちが、首相官邸前で抗議の声を上げました。この様子は、大木晴子さんのブログ「明日も晴れ」に詳しく掲載されています。
また、本誌の「お知らせ欄」にも案内されていますが、4月6日~9日、首相官邸前で沖縄の人たち(ウチナンチュー)と本土の人たち(ヤマトンチュー)が共同して、普天間基地の即時返還と新たな基地建設に反対する意志表示を行うというのです。
遠い島の小さな声が、日本そのものを揺り動かそうとしています。
私も、現場に立ちたいと思います。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「ぼくらのリアル★ピース」は、新宿ネイキッド・ロフト店長、上江洲修さんのその2。毎年6月23日に企画している「慰霊の日」イベントなどについて伺いました。
畠山理仁の「永田町記者会見日記」は、ついに先週、官邸に入った畠山記者。そこで見たものとは!?
「松本哉ののびのび大作戦」は、「素人の乱」の原点、ネットラジオから発展したネットテレビ放送の話題を。またまた面白いこと、始まってます。
「鈴木邦男の愛国問答」は、いったい何件目? の民主党議員スキャンダル、中井洽・国家公安委員長の「路上キス」報道の話を。鈴木さん、さて、何を思う?
「雨宮処凛がゆく!」は、「大分KCIA」編の最終回。徴兵制に縛られた自分自身を「奴隷」と揶揄する彼が語った「将来の夢」とは?
「柴田鉄治のメディア時評」は、「誤報」について。最近のある新聞記事から、「起こってしまった」誤報への対応はどうあるべき? を考えます。
「いま、山本周五郎が経営者だったら。」、今回の題材は、ある一家の「無償の奉仕」の姿を描く『かあちゃん』。人は人を、どこまで助けられるのか? 「助ける側」の心理に迫ります。
「マガ9スポーツコラム」は、ただいま開催中の春の選抜高校野球について。「学校の課外活動」であるはずの高校野球には、けれどそれにとどまらない「事情」もあって…。
「マガ9レビュー」は、高齢化と少子化が加速する日本の経済の今後を考える『「人口減少経済」の新しい公式』を取り上げます。
みなさんに協力いただいた5周年記念「マガ9アンケート」の結果についても報告があります。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
「つぶやき」もはじめています。良かったら見てね。
それでは、今週も「マガジン9条」、じっくりとお読みください!
「つぶやき」もはじめています。良かったら見てね。
それでは、今週も「マガジン9条」、じっくりとお読みください!
'10.03.24
VOL.250
銃弾から命へ
お彼岸も終わり、春です。お隣の家の庭には大きな桜の樹があります。つぼみが仄紅く膨らんできました。もうじき開花します。満開になると、空まで薄紅色に染まります。我が家のベランダからお花見ができます。場所取りの必要はありません。羨ましいでしょ?
すべてを忘れてぼんやり花陰で過ごしたいと思います。でも、世の中はぐるぐる回っています。
アメリカではオバマ大統領悲願の医療保険制度が、ようやく成立したようです。でも、「財政赤字をこれ以上増やすのか」とか「個人の自由の侵害だ」などという反対論も強いらしい。そのニュースを聞いていた89歳の義母が、ふっとつぶやきました。
「あら、アメリカさんは、戦争をやめればいくらだってお金はあるでしょうに」
まったくその通りです。戦争をやめ、世界中に配置してある米軍基地を引き揚げれば、数十兆円の金なんか簡単に浮くはずです。沖縄の米軍基地も、どんどん引き揚げていただきたい。戦争をやめれば軍事基地は必要なくなります。抑止力うんぬんの議論はありますが、戦力均衡論の虚しさは、2度の世界大戦で十分に身に沁みたはずじゃないですか。
戦争のための軍事費を命のための保険に回す。日本の民主党のスローガンは「コンクリートから人へ」でしたが、米民主党には「銃弾から命へ」を掲げてほしいものです。
“太田総理”のセリフじゃありませんが「こうして世界は平和になったのだ」。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「ぼくらのリアル★ピース」が更新。毎年6月23日の沖縄・慰霊の日イベントなど、さまざまな企画を世に送り出しているライブハウス「新宿ネイキッド・ロフト」の上江洲修店長にお話を伺っています。
「癒しの島・沖縄の深層」は、「沖縄駐留米軍・海兵隊は「抑止力」なのか?」。すでに「県内移設」で最終調整、との報道もあるけれど、その前に本当に議論は尽くされたのでしょうか?
畠山理仁の「永田町記者会見日記」は、「ニコ動」の大臣記者会見によって、何が変わったか?
「雨宮処凛がゆく!」は、引き続き「大分KCIA」の話を。日本にやってきて初めて「徴兵制がない日常」の存在を実感したという彼、これもまた「徴兵制のある国」の現実です。
「Kanataのコスタリカ通信」は、女性省のお話。マチスモ(男性優位主義)が根強い中南米ですが、それを変えていこうとする試みもまた、進んでいます。
短期集中連載「いま、山本周五郎が経営者だったら。」は、名作『さぶ』を題材に。かつて確かに社会を支える一つの要素だった「相互扶助」について考えます。
「マガ9スポーツコラム」は、国の「スポーツ予算」について。スポーツのためのお金はどう使われるべきなのか。「仕分けされるべき」はどの部分なのか?
その他「みんなのこえ」も更新しています。
「つぶやき」もはじめています。良かったら見てね。
それでは、今週も「マガジン9条」、じっくりとお読みください!
'10.03.17
VOL.249
なにっ、人道目的の武器!?
ちらりと見出しを見て、思わずプッと吹き出し、すぐその後でモーレツに頭にきた記事がありました。14日の朝日新聞の1面です。
<人道目的なら輸出解禁 防衛省 武器3原則の例外検討>
ここまで来るともう、できの悪いギャグとしか思えません。「人道目的の武器」って何ですか? 語義矛盾の極みでしょう。
記事を読むと、海上救難活動などに使用する自衛隊の救難飛行艇などを指しているらしいのですが、それらが軍事目的に転用されるのは目に見えています。事実、精密機器やレーダー類が軍事転用されるということで摘発された事例は、これまでにたくさんあるではないですか。そして「人道的武器」が解禁されたなら、やがて小火器から重火器、さらには戦闘機、ミサイルへとエスカレートしていくことでしょう。そんな例は他にいくらでもある。
日本はアメリカの戦争政策への追随を、世界から批判されてきました。しかし、武器禁輸を貫いてきたことで、ある程度の尊敬を得てきたのは事実でしょう。ところが今度は、それをも投げ捨てようとしている。軍隊を海外派遣しないという尊敬の種を腐らせ、さらに武器禁輸の誇りさえ足蹴にしようとしている。私たちの国はまるで、自ら尊敬されることを拒否しているみたいです。国際社会からの尊敬よりも、武器輸出という経済利益の優先…。寂しいかぎりです。
最近、妙に日本バッシングが目につきます。それは私たちの国が、世界から尊敬されるような政策を、なぜか次々と捨て去っているからではないでしょうか。バッシングをなくし、尊敬を受けられる国になるには、徹底的な非戦、核廃絶主導、大量破壊兵器の率先廃棄、軍備縮小、そして武器禁輸、人道支援などの平和外交しかない。
そうは思いませんか?
さて、今週の「マガジン9条」は、
短期集中連載「いま、山本周五郎が経営者だったら。」は、人々を病気や貧乏から救おうと苦闘する医師を描いた連作小説『赤ひげ診療譚』を題材に。医師・赤ひげの言葉は、現代を生きる私たちにどう届く?
畠山理仁の「永田町記者会見日記」は、担当大臣も知らなかった記者クラブのもう一つの優遇ぶり。当事者たちがわざわざ知らせるわけはないですから、国民が知らないのも当たり前、のことについて書いてます。
「雨宮処凛がゆく!」は、韓国人留学生「大分KCIA」をめぐるミニ連載の第2回。2008年、韓国で燃え上がった「キャンドルデモ」に、まだ10代だった彼が身を投じた理由とは?
「鈴木邦男の愛国問答」は、もうひとりの「クニオ君」が自民党離党と新党結成を表明、のニュースを受けて。政治家に「次こそ」と期待しては裏切られる「ないものねだり」はもうやめよう、と叫ぶ鈴木さんです。
「40歳からの機動戦士ガンダム」は、戦時下における「言葉の持つ力」について考えます。人民を煽り、ときに戦争へも駆り立てる「言葉」とは…。
「マガ9レビュー」は、ニューヨークの地下鉄を舞台にしたサスペンス映画『サブウェイ123 激突』を取り上げます。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
「つぶやき」もはじめています。良かったら見てね。
それでは、今週も「マガジン9条」、じっくりとお読みください!
'10.03.10
VOL.248
「返還」が「移設」にすり替えられた
社民党と国民新党から、普天間基地の「移設案」が提示されました。平野官房長官をトップとする政府与党の沖縄基地問題検討委員会が、これらを含めて検討に入り、正式な政府案を決定するとしています。
しかし、どうにも納得がいかないのです。なぜ「移設案」なのか。普天間基地は「返還合意」だったはず。「返還」という言葉には「代替物を造る」などという意味はありません。単純に「元の持ち主にお返しします」という意味でしょう。それがいつの間にか、「返還=移設」とすり替えられてしまった。おかしいじゃないですか。政治の言葉は厳格でなければなりません。
1966年ごろ、名護市東海岸に軍港を含む米軍基地を造るという案が存在しました。かなり具体的な青写真まで出来ていたということですが、アメリカは当時、ドル下落とベトナム戦争の戦費のためこの案を諦めました。まだ日本復帰前の沖縄では、建設費用は米側負担だったからです。結局のところ、「辺野古案」はこの計画の復活なのです。決して「普天間移設案」ではありません。普天間問題とは関係なく40年以上も前に立てられた計画なのです。
今回の「移設案」は、すべての費用が日本持ちです。アメリカにすれば一度諦めた辺野古案を、日本側から言い出してくれた。こんな都合のいいことはない。断るはずがありません。「日米合意案が最善だ」と言い続けて損はないのです。
その辺の事情については、大田昌秀元沖縄県知事、伊波洋一宜野湾市長、琉球朝日放送のドキュメンタリー『狙われた海』、沖縄タイムスや琉球新報、さまざまな人物やメディアが指摘しています。実は、そういう事実を知らないのは、私たち本土の人間だけなのかもしれません。
そして、知っていて知らせないのが、日本政府と本土マスコミなのかもしれないのですよ。
さて、今週の「マガジン9条」は、
短期集中連載「いま、山本周五郎が経営者だったら。」は、まず1冊目『将監さまの細みち』から。病気の夫を抱え苦しむ1人の女を描いたこの物語を、どう読み解く?
「癒しの島・沖縄の深層」は、引き続き普天間基地問題について。キャンプ・シュワブ陸上案など「県内移設で決着」も囁かれる中、気になるあの人の発言は…。
「雨宮処凛がゆく!」は、再びミニ連載がスタート。留学先の大分県で「徴兵には行きたくない!」と訴える韓国人の若者、「大分KCIA」の「叫び」を雨宮さんが伝えます。
「畠山理仁の永田町記者会見日記」は、昨日行われた外務省での記者会見について。「密約はあった」とする報告を受けて岡田大臣は・・・。
「Kanataのコスタリカ通信」は、3通目のレポートが到着。週末に訪れた海岸では、「環境先進国」コスタリカの、豊かな自然を垣間見ることができたようです。
「マガ9レビュー」は、中国と北朝鮮の国境地帯の、ここ10年ほどの変化をレポートする『中朝国境をゆく——全長1300キロの魔境』を取り上げます。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
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'10.03.03
VOL.247
どうなっているのだろう?
昨年の政権交代には、少し気分が晴れました。ようやく、自民党政治の終焉。何かの枷から解き放たれたような気がしたのです。民主党中心の連立政権スタート時には、それなりに期待も膨らみました。
すぐに鳩山首相や小沢幹事長の「政治と金」を巡る問題が取沙汰され始めましたが、それでも、それと政策とを混同せずに新しい政治の行方を見守りたい、とも思ったものです。しかし…。
普天間米軍基地問題について、またもや名護市のキャンプ・シュワブ陸上案を推す声が政府部内で強まっているようです。国外か県外か、それが民主党の公約だったじゃありませんか。沖縄県民を愚弄するのもいい加減にするべきです。
原発推進政策に舵を切ったようです。原発企業のみならず、政府も一体となって、ベトナムなどの東南アジア諸国向けプラント輸出に走り出しそうな気配です。安全よりも経済ですか? 高濃度放射性廃棄物処理は一体どうするつもりなのでしょう。日本でさえ確立された処理技術がないというのに、それをアジア諸国にばら撒こうということですね。半減期数万年という恐ろしい放射性物質を。
政府は高校の授業料無料化を、朝鮮学校へだけは適用しない方向で検討中だそうです。それが拉致問題解決につながると、本気で思っているのでしょうか。在日コリアンの高校生にどんな責任があるのですか。政府が先頭に立って差別主義政策を取ることに、国連人権委員会からも疑問の声が上がっています。日本は他国の人権問題に口出しする資格を、自ら投げ捨てようとしています。
これらはみな、自民党の旧い政策そのものではありませんか。私たちが抱いた新しい政治への期待は、どこへ?
「マガジン9条」は、とうとう創刊6年目に突入しました。これからも、憲法問題を中心に、その時々ニュースや問題にアタックしていきたいと考えています。そのためのリニューアルの準備も現在着々進行中です。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、ミュージシャン・伊丹英子さんの第2回。昨年宜野湾で行われた「ピース・ミュージック・フェスタ! 09」について、今後の辺野古や基地問題について思うことなどをお聞きしました。
今週からお届けする「いま、山本周五郎が経営者だったら。」は、現在の貧困問題について、山本周五郎の作品をテキストに、カタログハウス相談役の斎藤駿氏が、自らの体験をもとに企業セーフティネットについて論じます。
「森永卓郎の戦争と平和講座」は、普天間基地の移設問題に関して。5月のタイムリミットに向けて「移設先」を模索する政府与党ですが、それよりも先に考えるべきことがある、と森永さんは指摘します。
「松本哉ののびのび大作戦」は、土曜日の高円寺で開催された、謎の「ロックンロールショー」レポート。高円寺って面白そう! と思っちゃうこと間違いなし。
「畠山理仁の永田町記者会見日記」は、日曜日の朝、携帯にかかってきた丁寧な電話は、なんと外務省報道課からだった!
「雨宮処凛がゆく!」は、「支援」とは何か。の巻。プレカリアート問題や貧困問題をはじめ、さまざまな「支援活動」に取り組んできた雨宮さんですが、「支援」という言葉にはどこか違和感も付きまとう?
「鈴木邦男の愛国問答」は、「政治家と政治評論家」。今では政治家の出演が当たり前、のあの討論番組、当初は「政治家お断り!」だったって、知ってました?
その他「みんなのこえ」も更新しています。
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'10.02.24
VOL.246
「政治というもの」とは何か?
2月19日、沖縄入りした平野博文官房長官は、仲井真弘多沖縄県知事と会談。その際、「(普天間基地移設は)ベストの方向で」と語った仲井真知事に対し、平野官房長官は「ベストが望ましいが、ベターもありうる。それが“政治というもの”です」と応じました。つまり、仲井真知事が「県外、国外へ移すのが沖縄県民にとってはベスト」と言ったのに対し、平野官房長官は「アメリカの要求どおり県内移設もありうる。日米関係にとっては、それがベター」と答えたわけです。
最近のあらゆる政治家の発言の中でも、最低最悪の言葉です。
政治とは誰のためのものか。「政治というもの」が、国民の希望を踏みにじるためにあるのなら、それは政治ではない。それでも「それが政治だ」と言うのなら、そんな政治はいらない。政治とは、虐げられ苦しむ人たちをまず念頭において行うべきものではないのか。
「政治のために、個人の願いは我慢せよ」。
これがこれまでの日本の政治家たちの言い草でした。政権交代で、それが変わるのかと期待しました。しかし、平野官房長官の言葉は政権交代以前の、まったく旧来の政治家の意識そのものでした。
どこの自治体も、自分のこととして沖縄の米軍基地問題を考えてはいません。「沖縄県民には気の毒だが、日本のために我慢してもらうしかない。むろん、自分の地域に基地が来るのには反対だ」
これが、あらゆる地方首長たちの本音であり、それに乗って、沖縄県民に基地を押し付けたまま恬として恥じないのが平野官房長官らの政治家です。どうしても日本に米軍基地が必要だと言うのなら、なぜ誰も「それなら我が地域が日本のために引き受けよう」と言わないのか。
平野官房長官も「私の選挙地盤の大阪・関西空港に基地を誘致しよう。選挙では不利になるかもしれないが、それが日本の政治家としての責務だ」とでも言えばいいのです。そんな覚悟もないくせに、なにが「それが政治というもの」ですか。心底、腹が立ちます。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、「ソウル・フラワー・ユニオン」などの活動で知られるミュージシャン、伊丹英子さんが登場。沖縄に住む伊丹さんが、基地問題にかかわり始めたきっかけなどをお聞きしました。
「畠山理仁の永田町記者会見日記」は、今週は動画配信も行った畠山さん。この会見場でのフリーが行う動画撮影についても、ひと悶着あるようです。
連載第2回、「Kanataのコスタリカ通信」も更新。大学の語学クラスに通い始めたKanataさんが、コスタリカの日常生活のあれこれについて教えてくれました。
「柴田鉄治のメディア時評」は、普天間問題をめぐるメディアの「劣化」について。これはもう捏造? と思わずにいられない報道が、あちらにもこちらにも。
「雨宮処凛がゆく!」は、「ベーシックインカム」をテーマとした討論会に出演した雨宮さんが、それを通じて改めて考えたことを。デモやイベントの告知もあり。
「癒しの島・沖縄の深層」は、民主党政権と小沢幹事長をめぐるメディア報道の話題を。そして、岡留さんが普天間問題にこだわり続ける理由とは?
「マガ9スポーツコラム」は、いよいよ終盤、のバンクーバーオリンピック、これまでについての「雑感」を。
「マガ9レビュー」は、是枝裕和監督が描く静かなホームドラマ、「歩いても 歩いても」を取り上げます。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
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'10.02.17
VOL.245
5年間、私たちは見続けてきました。
毎回繰り返しているようだけど、ほんとうに寒いですねえ。2月が1年の中で、いちばん寒いといわれますが、その言葉どおりです。みなさん、風邪などひいてはいませんか? 実は私、少し風邪気味です。医者に行くほどではありませんが、少し頭が痛い。
でも、そんな2月もあと2週間弱で終わります。もうじき、ひな祭りですね。そう聞くと、なんだか春の気分です。
春の気分。そうです。私たちの「マガジン9条」が産声を上げたのは、2005年の3月でした。春、だったのです。
あれから、もう5年が経ちました。
小泉旋風が吹き荒れる中での船出でした。さらに「憲法改正」を高らかに叫ぶ安倍政権の誕生と無残な崩壊。続く福田内閣、麻生内閣。自民党の断末魔を目の当たりにしました。そして、ついに半世紀ぶりの選挙による政権交代。期待は大きかったのですが、このところの民主党政府の迷走ぶりには疑問符がつきます。
私たちは、そんなこの国の行方を5年間、見続けてきました。これからも見続けて行かなければならないと思っています。そのために、春から大幅に誌面刷新を図る予定です。
もう少し、みなさんのお力を貸してください。カンパやパトロンになって下さる方、なにとぞご協力をお願いいたします。
さて、今週の「マガジン9条」は、
まずは、5周年記念「マガ9」アンケート!!です。よりよいサイトにするために、みなさまのご協力をお願いします。
畠山理仁の「永田町記者会見」は、記者会見場での臨場感たっぷりの、大臣とのやりとりが届いています。
「松本哉ののびのび大作戦」は、とびっきりわくわくする「大騒動」のお知らせを。2・27、高円寺で何かが起こる!? リアルデモ申請@杉並警察署、のレポートも
あり。
「鈴木邦男の愛国問答」は「論争」がテーマ。かつて、納得のいかない批判をされたとき、「相手を見つけていきなり殴りかかった」という鈴木さんですが…。
「コラムリコラム」は、今回でひとまず締めくくり。ということで、オリンピックからトヨタのリコール、「もんじゅ」まで、気になるあの事件、このニュースを、まとめて取り上げました。
「マガ9レビュー」は、フランソワ・トリュフォー監督、カトリーヌ・ドヌーブ主演の「終電車」を取り上げます。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
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'10.02.10
VOL.244
和解と融和による国家再生
今日(2月9日)は、久しぶりの暖かさ。庭の福寿草が、ようやく眠りから醒めて黄色い花を覗かせています。もうじき春だよ、とでも言うように…。
7日の日曜日、先週の「マガ9レビュー」でも触れていた『インビクタス 負けざる者たち』を観て来ました。
いやあ、いいっ! お薦めです。
南アフリカ、ようやくアパルトヘイトのくびきから解き放たれた国家。しかし、依然として白人と黒人の憎しみの連鎖は断たれていない。人種間の融和こそが国家再生の基本だと考える初の黒人大統領ネルソン・マンデラ。南アフリカ代表ラグビーチーム「スプリングボクス」に、マンデラはその夢をかける、というストーリーです。
マンデラ役はモーガン・フリーマン、スプリングボクス主将にマット・デイモン、そして監督はクリント・イーストウッド。
繰り返します。いやあ、いいっ!
国家なるものが和解と融和の上に成り立つのだという思想を、ラグビー試合にダブらせて描く。南アを描いた映画と言えば『遠い夜明け』(リチャード・アッテンボロー監督、デンゼル・ワシントン主演)のように、厳しく切ないものが多かったけれど、この『インビクタス』は後味が格別。剛速球のど真ん中。ズバンッ!と心地よい快感。
いつもはガラガラの映画館。この日は日曜ということもあったでしょうが、ほぼ満席。ちょっと観客年齢層が高かったけれど。
さて、今週の「マガジン9条」は、
まずは新連載「永田町記者会見日記」。フリーランスライター・畠山理仁さんが、「記者クラブ」の厚い壁を打ち破るべく、永田町界隈で日々奮闘中。乞うご期待!
そしてこちらも新連載、「kanataのコスタリカ通信」。「軍隊のない国」中米・コスタリカに留学中の大学生が、自分の目で見たその国の姿をお届けします。
伊勢崎賢治さん&マエキタミヤコさんの「JAZZ HIKESHIレポート」のその2も更新。マエキタさんに、「HIKESHI」ってそもそも何? をお聞きしま
した。
「雨宮処凛がゆく!」は、年末年始の公設派遣村にやってきた人たちの「その後」についての報道に接して、雨宮さんが考えたこと。「所在不明」の人たちは、今どこで、
何をしているのでしょうか。
「癒しの島・沖縄の深層」は、普天間基地移設問題をめぐる最近の動きを。内閣内からさまざまな発言・暴言が飛び出す中、鳩山首相の真意はどこにある?
「マガ9レビュー」は、香川県の小さな町を舞台にした自伝小説『財田川夏物語』を取り上げます。
「コラムリコラム」、今週はお休みです。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
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'10.02.03
VOL.243
最後の雪
東京で見る雪は これが最後ねと…、というのは『なごり雪』という歌でしたね。庭に消え残った雪を見ていると、ふとそんな歌詞が浮かんできました。
テレビでは、雪の影響をアナウンサーが寒さに震えながらレポートしています。北国の人たちが聞いたら、笑うしかないでしょう。
昨夜、降り始めた雪を窓辺で眺めながら酒をすすっていると、古里の親友から電話がありました。
奥さんの訃報でした。私もよく知っている、明るくて気さくで、笑い声がよく似合う女性でした。癌でした。転移が激しく、昨年の正月に「もって3ヵ月」と宣告されたけれど、ほぼ1年間を頑張り通したのです。でも、力尽きました。
「独りっきりになっちゃったよぉ……」と、友人は嗚咽していました。
すぐに帰ろうと思いましたが、友人は「話したいことがいっぱいある。いまは葬儀やなにかで忙しい。落ち着いてから来てほしい。アイツの写真の前で、ゆっくり話を聞いてもらいたいんだ」と。
今月末あたりに、帰るつもりです。
泣きたいだけ、泣かせてやろうと思います。
彼女は、最後の雪を見ながら旅立ったのでしょうか。
さて、今週の「マガジン9条」は、
伊勢崎賢治さんが、昨年11月に東京で開催されたアフガニスタンの和平に関する国際会議について、その背景と成果を語ってくれています。
「雨宮処凛がゆく!」は、「広義のホームレス調査と第2のセーフティネット。の巻」。前政権がつくった「第2のセーフティネット」、その内容をあなたは知ってますか?
「鈴木邦男の愛国問答」は、解雇か引退勧告かの声も飛び交う、横綱・朝青龍をめぐる騒動について。そしてもう1人の「悪役」、あの人の事件についても触れています。
「40歳からの機動戦士ガンダム」は、ガンダムに見る「戦争と子ども」の第2弾。突然の戦火によって家族を奪われた子どもたちの姿は、そこでどのように描かれているでしょうか。
「コラムリコラム」は、「鳩山首相は歴史に足跡を残せるか」。首相が「継続使用はしない」と明言した普天間基地問題、小沢幹事長の動向と外国人参政権、そして住民投票条例…「宇宙人」総理は、さまざまな問題に、どう立ち向かう?
「マガ9レビュー」は、日本でもまもなく公開、南アフリカの初代黒人大統領・ネルソン・マンデラを名優・モーガン・フリーマンが演じる『インビクタス 負けざる者たち』を取り上げます。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
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'10.01.27
VOL.242
春、山笑う季節が。
春が近づいています。近所の公園に出かけたら、もう梅がほころんでいました。全体でまだ2分咲きといった程度ですが、梅特有のほんのり甘い香りが漂っていました。
国会では、相変わらず「政治と金」を巡って、いつか聞いたような議論です。既視感覚(デジャヴ)みたいな…。
沖縄県名護市の市長選挙は、普天間基地の辺野古移設に反対する候補が、誘致派候補を破って当選しました。これで辺野古移設はほぼなくなった、と各メディアは伝えています。
では、普天間基地をどうするのか。新聞もテレビも、その具体策をまったく示しません。
「我々は、普天間問題をこうして解決すべきだと考える」と具体的提案を行うことこそ、メディアに課せられた使命だと思うのですが、もうそんな力を失くしてしまったのでしょうか。巨大メディアが衰退していくわけです。
世は動きます。
季節は、そんな世の動きなど知らぬげに、ゆっくりと衣を着替えていきます。もうじき、「山が笑う」でしょう。若葉の里山を歩いてみたい季節が、そこまで来ています。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は土井香苗さんのその2。人権状況改善のために、日本が大きな役割を果たせるケースの一つとして、ビルマとスリランカについてお話を伺いました。
「柴田鉄治のメディア時評」は、連日、新聞や雑誌に刺激的な見出しが躍る小沢一郎民主党幹事長の事件について。今こそ、メディアに求められる姿勢とは?
「松本哉ののびのび大作戦」は、今年最初の更新。年越し直後、新宿に向かった松本さんたちを襲ったある「事件」とは?
「癒しの島 沖縄の深層」は、名護市で「基地受け入れ」反対派の市長誕生、のニュースを受けて。示された「移設NO」の声は、事態をどう動かすか?
「雨宮処凛がゆく!」は、「「助けて」と言うために。の巻」。仕事や住む場所を失い、ぎりぎりに追いつめられても、怒ることも助けを求められない人が大勢いるのは、なぜなのでしょうか?
「コラムリコラム」は、名護市長選の結果を受けた、今後の基地問題の行方について。「基地なき島」沖縄の将来像についても語り合っています。
「マガ9レビュー」は、マスメディアを取り巻く今後の状況を論じた新書『2011年 新聞・テレビ消滅』を取り上げます。
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'10.01.20
VOL.241
「死ぬなよ…」
切ない言葉です。
1月15日夜に逮捕された石川知裕衆議院議員の父親は、逮捕直前の電話で、息子に「死ぬなよ」と言ったといいます。何があっても子どもの命だけは守りたいという親心がにじんでいる。多分、それは涙声だったでしょう。
これまでに、いったい何人が政治の闇の中で、自ら命を絶っていったでしょうか。大きな疑獄事件が起きるたびに、事件の中心人物ではない人間が、誰を守ろうとしてか、何を隠そうとしてか、語ることを避けて闇の中へ消えていったのです。生きていれば語らざるを得ない。ならば、言葉のない世界へ行けばいい。そう思い込んだ、いや、思い込まざるを得なかった人たちの悲劇。
そのことを、石川議員の父親も感じていたのでしょう。
ほぼ同時に逮捕された池田光智元秘書については、しばらく行方がつかめなかったことから、検察は「自殺のおそれがあると判断して逮捕を急いだ」ともいわれています。
政治とは、人間を狂わせる魔力を持っているのかもしれません。そういえば、ライブドア問題の際、「偽メール事件」で政界を去った永田寿康元民主党衆院議員が自死したのは、2009年1月のことでした。たった1年前のことなのに、もう誰も彼のことを語りません。
「死ぬなよ……」
なんと悲痛な言葉でしょう。
何があっても死ぬことはないのです。守るべきは人間の尊厳であって、決して個人や組織の秘密などではないはずです。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」東京ディレクター、土井香苗さんが登場。HRWの活動について、日本政府の「人権」に対する姿勢について、伺いました。
「鈴木邦男の愛国問答」は、鈴木さんがなんとある人を「脅迫」したときのお話から。小沢民主党幹事長と検察の「闘い」についても、鋭いコメントをいただいています。
「雨宮処凛がゆく!」は、18日に「閉村」を迎えた公設派遣村について。嵐のような「バッシング報道」が浮かび上がらせた現実とは何だったのか?
「コラムリコラム」は、「激動の年が始まった…」。安保改定50年、名護市市長選挙、小沢民主党幹事長の進退、ハイチ大地震など、年明け早々から続くさまざまなニュースを読み解きます。
「マガ9レビュー」は、第二次世界大戦前夜、中国との和平を目指し奔走した外交官の回想記『外交官の一生』を取り上げます。
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'10.01.13
VOL.240
北国からの便り
寒い日が続きます。みなさん、お元気ですか?
「マガジン9条」ではおなじみの、やまねこムラの辻村村長さんからのメールには「元旦から雪が降り続き、もう1メートルも積もりました。雪かきに汗を流しています」とありました。でも、ハウスでは美味しい野菜が育っているらしいです。楽しみです。
海だべがど おら おもたれば
やっぱり光る山だたぢゃい
宮沢賢治は『高原』という詩で、そう書いています。これは夏の高原をうたったものでしょうが、私には、白く輝く雪の山々が海に見えた、というふうに思えます。
やまねこ農園は岩手の山裾にあります。村長さんご夫婦は、輝く山を見て、「あれは海みでえだなや」と、もう身についた岩手弁で話しているかもしれません。
寒さの折、みなさんも風邪などひかぬよう、新しい年に踏み出してください。
私たち「マガジン9条」も、5周年へ向けて走り出しましたよ。
さて、今週の「マガジン9条」は、
伊藤真さん、小林節さんによる「マガ9対談」は今回で最終回。憲法9条のもとでの「国際貢献」について、アメリカとの関係について、そして今後の展望について、さらに議論は進みます。
「雨宮処凛がゆく!」は、先週レポートした公設派遣村への「バッシング」についての雨宮さんの意見を。最近の「個人的なブーム」についても綴っています。
「癒しの島・沖縄の深層」は、引き続き普天間移設問題について。さまざまな声が飛び交う中、気になる「要注意人物」の動向とは?
「コラムリコラム」は「普天間問題についての根本的な問い」。この問題で、日米関係は本当に「揺らいで」いるのか? 「移設先」を探す前に考えたい、根本的な問いがいくつもあります。
「マガ9スポーツコラム」は、新年の風物詩、箱根駅伝について思うことを綴っています。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
「つぶやき」もはじめています。良かったら見てね。
それでは、今週も「マガジン9条」、じっくりとお読みください!
'10.01.06
VOL.239
正月の散歩
正月の3日、さすがにゴロ寝にも飽きたので、散歩に出てみました。雪国の方たちには申し訳ないけれど、東京はものすごいほどの晴天。冷気はキリリと澄んで、樹々や建物の輪郭がクッキリと鮮やかでした。
それが今日は5日、空は快晴ですが、あの鮮やかさは失われ、風景は少しぼやけています。人間の普段の生活が始まると、突然、空気が濁り始めるのでしょう。環境に負荷をかけているのは、私たち自身なのだということを、否応なく思い知らされた気がしました。
それでも季節は巡ります。
近所を歩いていると、かなり濃厚な花の香りが漂います。どこかの家の庭の蝋梅(ロウバイ)が、もう満開でした。春の先触れです。芳醇な匂いに誘われてか、ヒヨドリたちが蕾をつついていました。
2010年はどんな年になるのでしょうか。
「マガジン9条」は、9条がもっと輝くように、もう少し頑張ろうと思っています。今年もよろしくお願いいたします。
さて、今週の「マガジン9条」は、
伊藤真さんと小林節さんの「マガ9対談」は第2回。「憲法改悪につながる」との声もある「憲法審査会」について、「もっと前向きなとらえ方が必要」と指摘するおふたりです。
「雨宮処凛がゆく!」は、国と都によって開設された「公設派遣村」について。ボランティアとして駆け付けた雨宮さんがそこで見た光景は?
「鈴木邦男の愛国問答」は、鈴木さんのある「過去」のお話。右翼仲間から怒鳴られ、糾弾されたその行動とは?
「コラムリコラム」は、政界の今後の動きを大予想。基地問題や憲法をめぐって、不穏な気配も見え隠れします。
「マガ9レビュー」は、メディアのスポーツ報道の問題点を鋭くえぐる『メディアスポーツ解体』を取り上げます。
その他「みんなのこえ」も更新しています。
「マガ9」を応援してくれる「バナー広告」が「もくじページ」の上にありますので、みなさん是非、訪れてくださいね。
それでは、今年最初の「マガジン9条」、じっくりとお読みください!
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