もうじき、2007年も暮れます。と書いただけで、なんだか寂しい気分になります。今年を表す文字が「偽」ということでした。その切なさと共に、今年は去っていくのでしょう。
でも、少ないけれどいいことだってあったような気がします。これ、と名指しできないことが、ますます寂しいけれど。
私たちは、9条の存在の意義をアピールするために集まったグループです。政界の動きによっては、改憲への流れがいつ加速するか、まったく予断を許しません。
08年で「マガジン9条」も4年目に入ります。よく続いたものだと、スタッフも感慨しきりです。
もう少し、できることを続けます。小さな力ですが、これからも頑張りたいと思います。改憲を志す人も、9条をこのままにと願う人も、同じ地平で議論できれば、と思っています。そのための「マガジン9条」です。
さて、今週の「マガジン9条」は、
まずは年末年始特別企画として、伊藤真さん、小林節さんのおふたりによるスペシャル対談が実現! お互いの意見の一致する部分について、異なる部分について、たっぷりと語っていただきます。「その1」となる今回は、2007年の憲法論議を振り返りつつ、お話しいただきました。
「この人に聞きたい」は、マエキタミヤコさんの第2回。クリエイティブディレクターとして、9条についてもっと多くの人に広げていくため、「今、何が必要か」を語っていただきました。
「伊勢崎賢治の15歳からの国際平和学」は、「国会に呼ばれました」。ますます混迷を深めるアフガニスタンについて、支援をどう考えるべきか、について書いてくれました。
「森永卓郎の戦争と平和講座」も更新。参院選挙で自民党が大敗、改憲に向かう流れに大きな変化があった2007年を振り返りつつ、2008年に向けての展望を示してくれました。
「雨宮処凛がゆく!」は、「グッドウィル事業停止と「貧乏人一揆」、の巻」。「厚生労働省が人材派遣大手のグッドウィルに事業停止命令」とのニュースに、雨宮さんは何を思ったのか。来年発売予定のオススメ本の話題も、あわせて。
「デスク日誌」は、「NHKと、安倍前首相の負の遺産」について。NHKの会長人事をめぐる話について。 ジャーナリズムの危機です。
「マガ9レビュー」は、防衛省元幹部3人が9条の意義を語った『我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る』を取り上げます。
その他、「世界から見た今のニッポン」「みんなのレポート」「みんなのこえ」「お知らせメモ」と、盛りだくさんの更新です。
来週は合併号でお休み。また1月9日にお目にかかります。
お風邪など引かれぬよう、お元気でいてください。
マガジン9
憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。
これまでの「今週のマガジン9」
'07.12.26
VOL.140
2008年もよろしく!
'07.12.19
VOL.139
裁判所はどこを見ているのか?
納得できない判決が続きます。
共産党の宣伝ビラを集合住宅に撒いていた住職に、東京高裁が逆転有罪の判決。表現の自由など、もうどうでもいいってことなのでしょう。権力批判は許しません。
薬害肝炎訴訟に対して、大阪高裁が和解勧告。薬害にあった患者さんたちのうち、投与を受けた時期を限って賠償を認める、というもの。つまり、その期間に入っていなければ賠償は認められないことになります。同じ薬害に苦しみながら、投与時期で差別されるわけです。患者側原告団は、当然ながら「全員救済」を求めて和解案を拒否しました。ホント、ひどいもんです。
へんな判決もありました。
学生時代に反戦デモで逮捕され、その後27年間も何事もなく勤務し続けた郵便局員を、そんな昔のことを理由に解雇。しかも、その解雇は正しいから退職金も支給しなくていい、だって。これって、妥当でしょうかねぇ。
おーい、裁判所さんよーッ、どこを見てるんだぁーッ。
こんなんじゃ、裁判員制度が始まったって、裁判員になんかなりたくないゾ。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」には、クリエイティブディレクターのマエキタミヤコさんが登場。「100万人のキャンドルナイト」や「ほっとけない 世界のまずしさ」など、数々のキャンペーンを成功させてきた経験を伺います。
そして、雨宮処凛さん・堤未果さんの対談「格差×戦争 若者のリアルと憲法」の後編をお届け。互いに手をつなぎ、立ち上がろうとする日米の若者たちの姿が語られます。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、「武力による防衛」すなわち自衛軍を持つこと。について検証していきます。
「やまねこムラだより」も更新。のどかなムラの光景の後ろには、多くの農村に共通するある深刻な問題もあるのです。
「雨宮処凛がゆく!」は、今月文庫化された雨宮さんのデビュー作、『生き地獄天国』について。25歳のときに書いたこの自伝的作品を、雨宮さんが振り返ります。
「デスク日誌」は「銃社会と政治」。仲のよくない隣人が、もし銃を持っていたら、あなたはそれにどう対処しますか?
「マガ9レビュー」は、アルジェリアの独立闘争を描いた映画「アルジェの戦い」を。当時から40年以上が経った今、改めて見直したい名作です。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.12.12
VOL.138
今年1年を戯れ唄で
「マガジン9条」の更新も、今年は今回を含めてあと3回でおしまい。早いものです。
ということで、この1年を戯れ唄にしてみました。
7月のあっと驚く参院選。与野党逆転大騒ぎ。それに続くは安倍首相。投げ出し涙目辞任劇。突如始まる総裁選。たった一夜の大雪崩。あれよあれよの首相の座。射止めてニンマリ福田さん。さらに激動大連立。バカッ騒ぎの大混乱。辞めてやるぜと小沢さん。なのに居座りわけ分からん。裏でうごめくメディアのドン。おねだりゴルフの防衛省。底なし疑惑は死の商社。消えた年金そのまんま。口先ばかりの厚労相。薬害肝炎ほったらかし。人の命もなんのその。選挙目当てのパフォーマンス。沖縄教科書書き直せ。それに怒った11万。慌てた政府のだらしなさ。自動死刑の法務相。タリバン君とはお友達。吉兆なんかにゃ行かないよ。どうせ行く金ないけれど。食品偽装は数知れず。お詫び会見ああ無残。人気絶頂東知事。調子に乗って徴兵制。口は災い閉じときな。馬脚あらわす人ばかり…。
書いてるあたしも、ああしんど。
それ、ちゃかぽこちゃかぽこ……。
さて、今週の「マガジン9条」は、
まずは「憲法カフェ・プロジェクト」主催のトークイベントより、格差×戦争をテーマにした対談「雨宮処凛×堤未果」。思わず耳を疑ってしまいそうな、衝撃の事実がいくつも登場します。
「やまねこムラだより」は「もうひとつの<自己責任>」。
ここ数年、言葉だけが独り歩きしている「自己責任」ですが、肝心なところではなぜか、無視されていたりすることもあるようです。
「雨宮処凛がゆく!」は、ちょっと早めですが「今年を振り返る、の巻」。書いたり しゃべったり歩いたり、盛りだくさんだったこの1年で、雨宮さんが「一番嬉しかっ たこと」は?
「デスク日誌」は、「国際貢献と国益と」。何が本当の「国際貢献」で「国益」なの か、今こそもう一度考えてみる必要がありそうです。
「マガ9レビュー」は、名作「ブリキの太鼓」を原作者のギュンター・グラスの証言 と共に、批評しています。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.12.05
VOL.137
マガ9りんごが届きました
カレンダーが、いつの間にか最後の1枚になりました。紅い葉隠れに、冬の青い空がのぞきます。駅に続く欅並木の舗道は、落ち葉のプール。歩くたびに、足元で小気味よい音をたてます。もうじき、今年も終わります。
そんなある日、スタッフのよしだっちが、大騒ぎで事務所にやってきました。青森の友人が育ててくれたという「マガジン9条りんご」を10個ほど抱えて、ニッコニコ顔。
写真のように、「マガジン9条」のロゴと「9ちゃん」が浮き出ているりんごは、大きくて、とてもおいしそうだけれど、でも、食べてしまうのがもったいない。
いろんな場所に、私たちのことを応援してくれている友達がいる。そのことも、素敵なりんごと同じくらいに嬉しい。
ありがとう。私たちも、もう少し頑張れます。
さて、今週の「マガジン9条」は、
さて、今週の「マガジン9条」は、
「やまねこムラだより」は、「若者の心身を鍛練するために、徴兵制のような場が必要」という、先日の東国原宮崎県知事の発言から考えたこと、思ったこと。
「雨宮処凛がゆく!」は、以前からその計画についてお伝えしていた「反戦と抵抗の祭<フェスタ>」について。雨宮さんが「歴史的瞬間」と呼ぶ、その当日の様子をレポートしてくれました。
「デスク日誌」は、すべての人に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する、憲法25条について。昨今、厚生労働省が次々に繰り出す施策の数々には、「冷酷さ」さえ感じます。
「マガ9レビュー」は、演出家・栗山民也さんの初著作「演出家の仕事」を取り上げます。
そしてお待たせしました!恒例の「2008マガ9オリジナル」な「年賀状とポチ袋」が登場です。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください!
'07.11.28
VOL.136
はかないいのちが生まれる頃
正式な名称は知りませんが、私が勝手に“雪虫”と呼んでいる虫が、まるで綿雪のように、頼りなげにふわふわと漂い始めました。近所の小さな丘の公園の雑木林が、どうやら“雪虫”たちのふるさとのようです。
もうじき冬、きりりと冷たい空気のなかで彼らは生まれ、冬日のきわだつ光に照らされて、風花になります。
体長わずか数ミリ。よく見ると、透明な羽と真っ白な産毛、背中にかすかな紫色。ほんとうに夢のように美しい、けれど切ないほどはかない束の間のいのちが、ふわふわと…。
こんなはかなさが、いまも生まれ出ることのできる街。それだけでも大切にしなければなりません。
永田町には、こんなはかない美しさなどないでしょう。ほんとうの美しさとは何か。静かに街を散策しながら、考えてみたらどうですか? などと言っても、あの町の住人たちには通じるはずもないのだけれど。
世界中で誰も知らなかった給油活動。そんなことに回すお金があるのなら、そのもっと美しい使い道を、“雪虫”の舞う散歩道で考えて欲しいものです。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、林博史さんの第2回。ご自身が現在の研究テーマに取り組み始めたきっかけから、私たちが過去の歴史と向き合うことの本当の意味について、じっくりと語っていただいています。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、「憲法の観点から考える自国の防衛」について。自衛権をどう考えるのか? 9条問題の核心部分に迫ります。
「雨宮処凛がゆく!」は、雨宮さんが先日出演したイベントのレポート。ジャーナリスト・堤未果さんが語る、アメリカ貧困層の若者たちが置かれた現状に、思わず呆然としてしまいます。
「デスク日誌」は、先日出版された、ある1冊の本について。憲法9条の出発点は、200年以上前に書かれたこの本の中にこそあるのかもしれません。
「マガ9レビュー」は、カンヌ映画祭でパルムドールも受賞した、旧ユーゴ映画「パパは、出張中!」を取り上げます。
「みんなのこえ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください!
'07.11.21
VOL.135
ものには潮時があります
やまねこムラから、初雪の便りが届きました。北国には、もう冬が訪れたようです。東京でも「木枯らし1号」が吹きましたが、薪ストーブで暖をとる寒さにはほど遠い。
私の散歩はいつも下駄履きでしたが、さすがにもう冷たくていけません。春が来るまで、下駄は下駄箱へ。
ものには潮時というのがあります。使わなくなったものは、そっとどこかへしまっておくのがいいのです。
例の“給油法”も、そろそろお終いの潮時です。もう使うこともないでしょうから、国会のアーカイブにでも、ひっそりとファイルしておくことです。軍艦を動かすために支払ったお金でも労力でも、もっと現地の人に具体的に喜ばれる別の使い方があるはずです。
例えば、井戸を掘る中村哲医師に使ってもらいたい。軍艦は人を殺すために用いられるけれど、井戸は人の渇きを癒し作物の成長を促します。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、沖縄戦や従軍慰安婦問題についての研究で知られる、関東学院大学教授の林博史さん。ご自身の著書も深く関わることになった、沖縄戦での集団自決をめぐる教科書検定問題について、詳しくお聞きしました。
「森永卓郎の戦争と平和講座」は、久しぶりの更新。世界の金融機関に大きな衝撃を与えている、アメリカの「サブプライムローン」問題を取り上げます。
「雨宮処凛がゆく!」は、雨宮さんが読み終えたばかりの1冊『若者を見殺しにする国』の話題から。「優しさ」と「自己責任」について、改めて考えてみました。
そして、雪景色に衣替えした村からの「やまねこムラだより」。昔ながらの知恵を生かした冬支度が、着々と進んでいるようです。
「デスク日誌」は、「世にも不思議な年金制度」。私たちの「不安のない老後」を支えるはずだった年金制度は、いま?
「マガ9レビュー」は、井筒和幸監督の力作「パッチギ! LOVE&PEACE」を。 その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.11.14
VOL.134
管理を拒否した連中が見せてくれた夢
かつて、西鉄ライオンズというプロ野球球団がありました。1950年代~60年代にかけて、日本中の野球ファンを熱狂させた壮烈な野武士軍団でした。とにかく野放図、何をしでかすか分からぬ連中、次が読めない驚きの野球。
一番高倉、二番豊田、三番中西、四番大下、五番関口、六番河野、七番仰木、八番和田、そして九番ピッチャー稲尾…。
これが全盛時代の西鉄のラインナップです。私は今でも、そらんじることができます。それほどに、子どもだった私に大きな夢をくれた球団でした。中でも、稲尾和久さんは、神様仏様稲尾様と崇められ、鉄腕稲尾と呼ばれた大投手でした。アトムも鉄腕だけれど、この鉄腕は実在したのです。
その稲尾さんが亡くなりました。まだ70歳、悪性腫瘍だったとのことです。すべてが管理される現代と違い、まさに既成の枠からはみ出た連中が見せてくれた、野球の幾多の奇跡。その象徴が稲尾さんでした。ほんとうの、私のヒーローでした。
だから、ほんとうに、ほんとうに、寂しい…。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、作家の落合恵子さんの第2回。ちょうど終戦の年生まれの落合さんにとって、ご自身の体験や記憶と「憲法」とは、どんなふうにつながり合っているのでしょうか?
「雨宮処凛がゆく!」は、全国各地で上がる「反撃」ののろしについてレポート。すべては「生きのびる」ために!
そして緊急レポート。沖縄本島北部・やんばるの村で続く、米軍施設建設反対運動の現場で、ミュージシャン・UAのライブが開催! その様子をお伝えします。
「デスク日誌」は、食品や建築物など、相次いで発覚する偽装問題の「背景」について。
「マガ9レビュー」は、作家・高村薫の、2冊目となる時評集を取り上げます。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.11.07
VOL.133
どうか、分裂してください
自民・民主大連立密室会談と、それに伴う小沢一郎民主党代表辞意表明の大騒動。いやはや、です。
安倍前首相の「会ってくれないんならやめちゃいますぅ逆切れ涙目辞職」に呆れていたら、今度は小沢代表が「オレの言うこと聞いてくれないんなら辞めてやるっ」です。
「もういやっ!」と言いたいのは、私たち国民のほうじゃないですか、まったくぅ。
どちらの党も党名に“民主”なんて言葉がついているけれど、「そんなの関係ねえぇ!」だったわけですね。党首おふたりで仲良し密室、連立相談。党内には何の相談もなし。そういうやり方が“民主的”だとはとても言えません。
自衛隊の海外派兵のための恒久法を作るんだ、なんて言う人たちは、分裂して別の党を作ればいい。その上で連立でも何でもやればいい。そのほうが、国民にとってはより分かりやすくなるわけですから。
私たち「マガジン9条」は、自衛隊の海外派兵には、いかなる場合でも反対です。医療や建設、教育、農業、インフラ整備…、民生分野で国際貢献できる道はたくさんあります。あくまで平和的な協力で国際的な尊敬を得るほうが、銃を引っさげて出て行くよりもずっといい方法だと思うのです。なぜそんなに“軍事”にこだわるのか。そのわけが分かりません。 軍事力に頼ったアメリカが、アフガニスタンやイラクの国民の尊敬を集めていますか? ひたすら反米感情を煽っているだけじゃありませんか。
ペシャワール会の中村哲医師の言葉が、胸に響きます。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、作家の落合恵子さんの第2回。ちょうど終戦の年生まれの落合さんにとって、ご自身の体験や記憶と「憲法」とは、どんなふうにつながり合っているのでしょうか?
「雨宮処凛がゆく!」は、全国各地で上がる「反撃」ののろしについてレポート。すべては「生きのびる」ために!
そして緊急レポート。沖縄本島北部・やんばるの村で続く、米軍施設建設反対運動の現場で、ミュージシャン・UAのライブが開催! その様子をお伝えします。
「デスク日誌」は、食品や建築物など、相次いで発覚する偽装問題の「背景」について。
「マガ9レビュー」は、作家・高村薫の、2冊目となる時評集を取り上げます。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.10.31
VOL.132
官僚と議員とメディアと…
守屋武昌・前防衛省事務次官の国会証人喚問を、録画してすべて見てみました。うんざり。これほど癒着が凄まじいとは…。
しかし、問題はそんな薄汚いところにはない。本質は「アメリカ艦船への給油が法規外で行われたかどうか」であるはずです。
守屋氏は「米国に、目的外では使っていないと言ってくれ、と申し入れた。その結果、米国側は、その通りだと回答してきた」と、明確に証言しました。つまり、アメリカは日本側から要請されて前言(イラク戦争にも使用していた)を訂正したのです。アメリカが自発的に訂正したのではないことが、この証言で明白になりました。日本が「嘘をついてくれ」と頼み、アメリカがそれに応じて「嘘」をついた、という図式です。
なぜこの根本的な問題を、議員たちは守屋氏にぶつけなかったのか。せっかく守屋氏が「私が米国に頼んだ」と述べて、日本がアメリカに嘘を言わせたことが明らかになったというのに。
言っては悪いが、ほとほと議員たちの程度が知れました。ゴルフや焼肉接待の回数がどうのこうのというのが“追及”なのか。そんなことよりもっと重大な「テロ対策特措法」違反問題を、なぜ追及しなかったのか。
官僚たちが議員をバカにする理由が、よく分かります。
しかし、メディアも似たようなものだなあ。核心に触れた報道には、とんとお目にかかっていない。
さて、今週の「マガジン9条」は、 「雨宮処凛がゆく!」は、「予想された現在」。働く場を失い、貧困に追いやられる若者たち。でも、その現実が、実はずいぶん前から「予想」されていたものだとしたら?
「やまねこムラだより」は、「飢饉」のはなし、その2。決して絵空事とはいえない「飢饉再び」の現実に、思わず背筋が冷たくなるかも。
「デスク日誌」は、先日静岡地方裁判所が出した、中部電力浜岡原発の運転差し止め訴訟判決について。「安全性に問題はない」というこの判決、あなたはどう受け止めましたか?
「マガ9レビュー」は、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦を舞台にした映画「ノー・マンズ・ランド」。戦闘シーンはほとんどないけれど、戦争の本質を鋭く突いた作品です。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.10.24
VOL.131
ノーサイド
第6回ラグビー・ワールドカップ・フランス大会が、とうとう終わってしまいました。
結果は、南アフリカがイングランドを決勝で、15対6で破って優勝。この試合、すべての得点がペナルティキックとドロップゴールによるもので、肝心のトライは一本もありませんでした。その意味では、いささか物足りなかった感もありました。
しかし、印象はきわめて爽やかなものでした。
なにしろ開催国のフランスは、準決勝でイングランドに敗れ、さらに3位決定戦でも、アルゼンチンに負けたのです。当然、決勝戦の観客は少ないと思われたのですが、サンドニ・スタジアムは超満員。イングランドは隣国ですから大量のサポーターが詰めかけました。しかし、南アの好プレイには惜しみない拍手、逆にイングランドのラフプレイにはブーイングでした。
ラグビーの試合終了は、ノーサイドといいます。つまり敵味方なし、ということです。観客も選手も、その精神をきちんと身につけていたのです。
スポーツの楽しみに、妙な愛国心はいりません。
さて、今週の「マガジン9条」は、
まずは「伊勢崎賢治の15歳からの国際平和学」番外編、緊急インタビューの後編をお届けします。武力行使ではない、日本が果たすべき国際貢献の「オプション」とは何なのか?
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、「国連の軍事行使と9条」について。
「やまねこムラだより」は、「飢饉」のはなし。前後編の第1回です。人が飢えて死ぬとはどういうことなのか、まずは日本の歴史を振り返ってみましょう。
「デスク日誌」は、近ごろあちこちで耳にする「不気味な丁寧語」について。過剰なほどへりくだったその言い回しの向こうに見え隠れする意図について考えます。
「マガ9レビュー」は、天才ボクサーの半生を綴った映画『アリ』を。世界中の喝采を浴びた天才ボクサーが、その胸に抱き続けていた思いとは?
その他、「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.10.17
VOL.130
油止め インド洋上 秋風ぞ吹く
急に涼しく(というより寒く)なりました。慌てて暖かな服を、タンスの底から引っ張り出しています。柿の実が美味しそうに熟れ始めています。銀杏のなんとも言いようのない匂いが、近所の公園から漂ってきます。異常気象とはいいながら、やはり季節は巡るのですね。
もうじき11月です。インド洋にも秋が来るのでしょうか。秋はどうか知りませんが、海上ガソリンスタンドを店じまいする時期が来たことは間違いありません。
アメリカ艦にずいぶん気前よく油を差し上げたようですが、本音を言えば、その分、日本国内のガソリン価格を安くして欲しい。これまでに、アメリカにあげた油の値段は数千億円分。むろん、それは私たちの税金です。
ガソリン価格高騰に悩む全日本のドライバーよ、団結せよ!って叫びたい気分です。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「15歳からの国際平和学」でおなじみの伊勢崎賢治さんが、その「番外編」として緊急インタビューに登場。話題を呼ぶ「小沢一郎手記」について、その問題点や矛盾点を、鋭く指摘していただいています。
「雨宮処凛がゆく!」は、「自らの過労から、過労問題を考える、の巻」。原稿の〆切にイベント出演に、日々飛び回る雨宮さん。そのパワフルさに、改めて驚かされますが…。
「やまねこムラだより」は、QOL(Quality of Life)がテーマ。やまねこムラを一つの例に、人生の「豊かさ」とは何かを考えます。
そして「デスク日誌」は、今週のメディアの話題を独占した「亀田騒動」について。問題の本質は、果たしてどこにあるのでしょう?
「マガ9レビュー」は、魚住昭氏と佐高信氏の対談集『だまされることの責任』を。その他「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.10.10
VOL.129
進むべき国際協力の道
ようやく涼しくなりました。いつもの年よりずっと遅れて咲いていた彼岸花も、その紅さを失い始めたようです。あなたの街ではいかがですか?
さて、自民党惨敗で一段落したと思った「自衛隊海外任務」の論議が、小沢一郎民主党代表の発言で、またも雲行きが怪しくなりました。「国連決議があれば、武力行使を伴う海外任務にも自衛隊の派遣は可能」という、小沢流国連第一主義です。
しかし、私たちは「自衛隊の武力行使可能な海外任務」には、やはり反対します。医療や建築、破壊されたインフラの再建など、武力を伴わない民生分野での国際協力の道はあるはずですし、それが憲法9条を持つ日本の進むべき方向でしょう。
小沢代表は、あのペシャワール会の中村哲さんとお会いしたとのことですが、いったいどんな話をなさったのでしょうか。
さて、今週の「マガジン9条」は、
まずは「マガ9対談企画」。森永卓郎さんと雨宮処凛さんが、前回に引き続き「貧困と格差と戦争」をテーマに語ってくれています。
「雨宮処凛がゆく!」は、雨宮さんが最近読んだ3冊の本から。プレカリアート運動にも、そして9条にも深くかかわる「生存権」について、さらに考えてみました。
「やまねこムラだより」は、「格差なのか? 個性なのか?」。携帯電話はつながらず、もちろんコンビニも近くにはないやまねこムラ。けれどそこには、違う形の価値がいくつもあります。
「デスク日誌」は、教科書書き換えへの抗議集会が行われた沖縄からのレポートを。実に県人口の1割にもあたる人たちを動かしたものは、いったい何だったのでしょうか。
「マガ9レビュー」は、ロックミュージシャン・忌野清志郎のメッセージが詰まった1冊『瀕死の双六問屋』を取り上げます。
その他、「マガ9から生まれた本」には、新たに読者から寄せられた感想を追加。「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください!
'07.10.03
VOL.128
「軍」というもの
痛ましい事件です。フォトジャーナリストの長井健司さんが、ミャンマー(ビルマ)で、国軍兵士に至近距離から撃たれ、死亡しました。「流れ弾の偶然死」と言っていた軍政当局でしたが、ビデオ画面から、それはほとんど狙い撃ちだったことが確認されました。日本でも、その独裁軍政への怒りの声が上がっています。長井さんを悼み、ミャンマーの現状を告発する緊急集会が開かれます。至急、jvja.netへアクセスしてみてください。
また、もうひとつの「軍」の問題に関して、大きな集会が沖縄で開かれました。なんと、11万6千人もの人々が「教科書検定意見撤回を求める県民大会」に集まりました。これは、沖縄県の総人口のほぼ1割に当たります。東京ならば、200万人規模の人間が集まった計算になります。いかに沖縄の人々の怒りが大きいのかを、圧倒的な数で示したのです。この集会については「デスク日誌」で触れています。ぜひ、お読みください。
さて、今週の「マガジン9条」は、
まずは「マガ9対談企画」。森永卓郎さんと雨宮処凛さんが、前回に引き続き「貧困と格差と戦争」をテーマに語ってくれています。
「雨宮処凛がゆく!」は、雨宮さんが最近読んだ3冊の本から。プレカリアート運動にも、そして9条にも深くかかわる「生存権」について、さらに考えてみました。
「やまねこムラだより」は、「格差なのか? 個性なのか?」。携帯電話はつながらず、もちろんコンビニも近くにはないやまねこムラ。けれどそこには、違う形の価値がいくつもあります。
「デスク日誌」は、教科書書き換えへの抗議集会が行われた沖縄からのレポートを。実に県人口の1割にもあたる人たちを動かしたものは、いったい何だったのでしょうか。
「マガ9レビュー」は、ロックミュージシャン・忌野清志郎のメッセージが詰まった1冊『瀕死の双六問屋』を取り上げます。
その他、「マガ9から生まれた本」には、新たに読者から寄せられた感想を追加。「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください!
'07.09.26
VOL.127
バカ騒ぎの陰で
自民党総裁選で大騒ぎです。テレビは連日、もう結末の見えた試合の模様を延々と流し続けます。その騒ぎが終わると、今度は役員人事だ組閣だと、これまた国民不在の政治劇。私たちには何の関わりも持てないところでの勝手芝居です。
しかし、少し目をずらしてみれば、もっと切実なことが起きていることに気づきます。
沖縄では、9月29日に大規模な「教科書問題県民大会」が開かれます。中央のメディアではほとんど報道されていませんが「沖縄戦での住民集団自決は日本軍の強制による」という記述が教科書から削除されたことに対する、沖縄県民の血の出るような抗議の叫びです。
これは、一連の「歴史見直し」の流れの中で起きていることでしょう。しかしその歴史見直しが正しいとするならば、なぜ沖縄県の市町村議会県議会のすべてが抗議声明を出しているのか。ほとんど全沖縄の「島ぐるみ闘争」の様相を呈しているのはなぜなのか。
私たちは、もっと知る必要があります。政界のバカ騒ぎの陰で、もっと大切なことが進行しているのを見落としてはなりません。
さて、今週の「マガジン9条」は、
新シリーズ「マガ9対談企画」の記念すべき第1回は、森永卓郎さん×雨宮処凛さん。テーマは「格差と貧困と戦争」。今週は、「日本がなぜ格差社会になったのか」を明らかにします。
「この人に聞きたい」は、映画監督・鎌仲ひとみさんの第2回。私たちの生活と「核」について、さらに詳しく伺いました。
「伊勢崎賢治の15歳からの国際平和学」では、アフガニスタンの現状について考察する新シリーズがスタート。まず今回は、アフガンに関する国際会議が開かれたベルリンでの話題から。
「雨宮処凛がゆく!」は、大成功に終わった労働者からの「反撃」イベントのお話を。「歴史が動く」瞬間を見逃すな!
「やまねこムラだより」は「肥料のはなし」。決して効率がいいとはいえない無農薬有機農法に、「五反百姓」がこだわる理由とは?
「デスク日誌」は、自民党総裁選と「福田首相」誕生に関する感想を。皆さんは一連の「茶番劇」を、どう見ていましたか?
「マガ9レビュー」は、映画「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?」を。外国の話とは言っていられない「真理」がそこから見えてくるはずです。その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.09.19
VOL.126
安倍首相と朝青龍
「青天の霹靂」という言葉をご存知でしょう。雲ひとつないような青空に、突然雷が響き渡ること。つまり、それほどありえないことの譬えです。
福田康夫氏にとっても、今回の事態は青天の霹靂、それも嬉しい誤算の霹靂だったのではないでしょうか。あっという間の総理就任確実。本命視された麻生太郎氏をたった一晩での大逆転。福田氏も逆転された麻生氏にとっても、あれよあれよの展開ではなかったでしょうか。政界(それも自民党)とはヘンな世界です。
今回の安倍騒動、なんだか朝青龍騒ぎと似ている気がしませんか? 北の湖理事長や高砂親方のソーレツなでたらめぶり。誰も責任を持ってことに当たろうとしないいい加減さ。傍らで、それこそ無責任にワイワイ言うだけの親方衆。ね、自民党のてんやわんやぶりにそっくりでしょう? 同程度のレベルなのですね。
それはともかく、どちらがなるにせよ、私たち『マガジン9条』は、新首相が憲法についてどんな考えを持っているのか、じっくり検証していくつもりです。
さて、今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」は、『ヒバクシャ』『六ヶ所村ラプソディー』などの作品で知られる映画監督、鎌仲ひとみさんの第1回。核の問題にかかわるようになったきっかけから、映画に込めたメッセージまで、たっぷりと語っていただきました。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、「安倍首相と私の夢」。塾長自らの夢について語っています。
「雨宮処凛がゆく!」は、「再チャレンジしなかった安倍、の巻」。数々の迷言を残して去った安倍首相が掲げていた「再チャレンジ」。その実態とは?
「やまねこムラだより」は「死に方にも、格差があるのか?」。テレビや新聞で連日報道される「死」と、見向きもされない「死」と。その間に横たわるものは何なのでしょう?
「デスク日誌」は、ある休日、出かけたお祭りで顔を合わせた知人との会話から。
「マガ9レビュー」は、ハリウッドの巨匠、ロバート・アルトマン監督の遺作となった「今宵、フィッツジェラルド劇場で」を取り上げています。
「マガ9から生まれた本」では、マガジン9条の連載から誕生した書籍たちを大宣伝させていただきます!
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.09.12
VOL.125-2
ワールドカップ
毎週水曜日が「マガジン9条」の更新日。読者のみなさんも楽しみにしてくれているようです。やっとその更新が終わって、スタッフもホッとしているところに「安倍首相辞任表明」のニュースが飛び込んできました。唐突な、サヨナラです。
「マガジン9条」はこれまで、安倍首相の「戦後レジームからの脱却」路線、改憲志向の戦前回帰型政治に、一貫して反対をしてきました。その意味では、安倍退陣を喜ばなくてはならないのかも知れません。でも、なんだかそう単純ではない気がするのです。
これが自民党政治の崩壊の始まり、であることは間違いありません。しかしここから始まるのが、民主党をも巻き込んだ「大連立」という大政翼賛型の政界再編、という可能性もあるのです。むろん、それを仕掛けようとしているのは、劣勢に立たされた自民党です。
そのあたりを、私たちはじっくりと見つめ続けていかなくてはなりません。そして、それがまたも改憲へつながる流れであるならば、批判の矢を収めてはならないのです。
さて、今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」は、劇作家・永井愛さんの第2回。9条について思うこと、参院選の結果への感想など、たっぷり語っていただきました。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、「外国人問題を憲法から考える」。急速な「国際化」が進む今、絶対に避けては通れないテーマです。
「雨宮処凛がゆく!」は、「天皇ごっこ」と死刑、の巻。作家・見沢知廉氏の三回忌に際し、「償うということ」という重いテーマについて考えています。
「やまねこムラだより」は「百姓は、武器を持つ」。ちょっとドキッとさせられるタイトルですが・・・。
「デスク日誌」は、テロ特措法延長をめぐる安倍首相の発言について。そのデタラメっぷりに思わず言葉も失う!とも言っていられません。
「マガ9レビュー」は、多くの歴史の謎を胸に秘めたまま亡くなった「昭和の参謀」瀬島龍三の足跡を追うノンフィクションを取り上げます。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新。英語版も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.09.12
VOL.125-1
ワールドカップ
ワールドカップ2007フランス大会が、9月7日から始まりました。サッカーに比べて、日本での熱狂具合はいまひとつですが、私の大好きなラグビーの祭典です。
初戦では、開催国フランスがアルゼンチンに12対17で敗れるという大波乱がありました。(ちなみに、ランキングではフランスが3位、アルゼンチンは6位です)。
他の競技なら暴動が起きかねないような開催国敗戦ですが、スタジアムの観客は、アウェイのアルゼンチンの好プレイにも、かなり平等に拍手を送っていました。それを衛星中継のケーブルテレビで観ながら、私はとてもいい気分でした。これがスポーツです。
妙に愛国心を煽るようなスポーツ中継が増えたような気がしていたのですが、ここではそれがありません。純粋に、スポーツを楽しめる、そんな気がします。嬉しい。
でも、全48試合。これが終わるまで、私の寝不足は続きます。
さて、今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」は、劇作家・永井愛さんの第2回。9条について思うこと、参院選の結果への感想など、たっぷり語っていただきました。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、「外国人問題を憲法から考える」。急速な「国際化」が進む今、絶対に避けては通れないテーマです。
「雨宮処凛がゆく!」は、「天皇ごっこ」と死刑、の巻。作家・見沢知廉氏の三回忌に際し、「償うということ」という重いテーマについて考えています。
「やまねこムラだより」は「百姓は、武器を持つ」。ちょっとドキッとさせられるタイトルですが・・・。
「デスク日誌」は、テロ特措法延長をめぐる安倍首相の発言について。そのデタラメっぷりに思わず言葉も失う!とも言っていられません。
「マガ9レビュー」は、多くの歴史の謎を胸に秘めたまま亡くなった「昭和の参謀」瀬島龍三の足跡を追うノンフィクションを取り上げます。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新。英語版も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.09.05
VOL.124
どこまで続くぬかるみぞ
安倍首相は、実にキチンとした内閣改造を行いましたね。ほんとうに、テレビの前の視聴者の期待通りの改造でした。
まるで「エンタの神様」。
今度はどんな新キャラのスターが登場するのか、期待に満ちてテレビを見ていると、その期待をまったく裏切らずに、不思議な可笑しさの大臣が、スポットライトにスキンヘッドの反射光。突如ピン芸を見せて「ここ(農水省)だけはイヤだった」と笑いを取ったかと思う間もなく、ステージから退場。たった8日間の「大臣の椅子」でした。
ま、かつて(1988年)、リクルート事件に連座してわずか4日間で法務大臣の座を去った長谷川峻さんという方もおられましたから、日本新記録というわけにはいかなかったようで、惜しいことをしました。
と、ふざけなければ見ていられないほどの酷さです。あと何人の大臣の首をすげ替えれば、解散総選挙ということになるのでしょう。
安倍総理、「戦後レジームからの脱却」とは、このような官民癒着構造や政治家の金銭スキャンダルという「戦後体制」を壊すことであり、「憲法」や「教育基本法」をいじくることではなかったんじゃありませんか?
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」に、脚本家・演出家の永井愛さんが登場。今年6月、永井さんの作・演出で行われた、9条がテーマの「ピースリーディング」について伺いました。
「伊勢崎賢治の15歳からの国際平和学」は、「平和か。それとも正義か。」シエラレオネを舞台にしたシリーズがいよいよ完結です。
「雨宮処凛がゆく!」は、「頑張ればなんとかなる」という幻想、の巻。住むところや食べるものにさえ事欠く若者が増えているのは、果たして「やる気の問題」なのでしょうか?
「森永卓郎の戦争と平和講座」は「これでいいのかテロ特措法」。延長の是非を巡って論議が続く中、聞き逃せない話が飛び込んできました。
「やまねこムラだより」は、農薬の話を。安全なものが食べたい、と言うのは簡単。でもその前に、私たち自身の意識を振り返ってみる必要もあるのでは?
「デスク日誌」は、やっぱり黙ってはいられない、発足1週間で早くもボロを出し始めた改造内閣の、構造的な「腐敗」の構図を探ります。
「マガ9レビュー」は、アカデミー賞外国語映画賞を受賞したドイツ映画「善き人のためのソナタ」を。「世界から見た今のニッポン」には、アメリカからの記事が届いています。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新。英語版も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.08.29
VOL.123
身体検査
毎年4月の新学期、私が通っていた小学校では「身体検査」が行われました。雪国ですので、4月はまだうすら寒い。新学期にはもう焚いてはいないストーブを、この日ばかりは復活させた保健室に、クラスごとに分かれ、上半身裸になって私たちは並びます。3年生までは男女一緒、4年生からは男女別々に行っていたような記憶があります。みなさんの小学校ではいかがでした?
こんなことを、東京のど真ん中で、いい歳をした大人たちが真剣な顔でやっているらしいのです。なんだかとても恥ずかしい「身体検査」を。
小学生のように、この一年で何センチ背が伸びたかな? なんて可愛らしいやつじゃありません。
どのくらいお金まみれで汚れているのかな? 何人くらい愛人がいるのかな? 事務所費をどれだけ誤魔化してきたのかな? なんて、上半身だけじゃ分からない、ぜーんぶ脱がせての「身体検査」。これをパスしないと大臣にはなれないとのこと。そもそも「検査」しなければならないことが、すでに問題だと思うのですが。
情けない、です。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「雨宮処凛がゆく!」は、「オール憲法違反!!の巻」。当たり前のようにまかり通る人権侵害や憲法違反に、もうこれ以上黙っていていいはずがないのです。
「やまねこムラだより」では、ついに40%を切ってしまった日本の食料自給率について。ミサイルよりよっぽど怖いこの現実を、あなたはどう受け止めますか?
「デスク日誌」は、安倍改造内閣について。新大臣や役人の顔ぶれから、この内閣の裏を読み解きます。
「マガ9レビュー」は、韓国の民衆劇団による来日公演「立ち上がる人々」を取り上げます。
そのほか、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.08.22
VOL.122
記録的暑さと原発
凄まじい、という形容詞があてはまるような暑さです。各メディアがよけいに暑くなるような報道を繰り返すものだから、もううんざり。「うるさーいっ! 夏は暑いに決まってんだあーッ!」と叫び出したくなるような「40.9℃報道」です。その暑さに乗じて、電力会社や政府が「地球温暖化防止には、やはり原発が必要」などと、地震災害の危険性については頬かむりしたまま言い立てるものだから、よけいに暑さは倍化します。
自然エネルギーやバイオマス、燃料電池の研究などに助成金を出すという対策のほうが、地震国日本では、いま早急に行われなければならないはずなのに、それらはないがしろにされたまま。日本近海に膨大な埋蔵量があり、新世代のエネルギーとして温暖化ガス抑制にも効果があるとされる「メタンハイドレード」利用についても、政府は熱心ではありません。
やはりそれだけ、原発利権は美味しいということでしょうか。
原発被災は、立地県のみの問題ではありません。狭い島国の日本では、一度起きたら、それこそ全国民が壊滅的な被害をこうむるのです。現に、千葉県を中心に関東地方で不気味な群発地震が発生しているではありませんか。これが、現在55基ある日本の原発の中で、最も危険と言われている浜岡原発(静岡)に巨大被害を与えるであろう東海大地震の前触れなどでなければいいのですが。
さて今週の「マガジン9条」は、
「伊勢崎賢治の15歳からの国際平和学」は、「行き過ぎた恩赦」。ようやく終結へと向かったシエラレオネの内戦、その過程でアメリカがとったある「手段」について考えます。
「雨宮処凛がゆく!」は、近著「生きさせろ!」で日本ジャーナリスト協会賞を受賞した雨宮さん、その授賞式でのお話。「人前で誉められるのは人生初」という彼女が、そこで何を思ったのでしょう?
「やまねこムラだより」の今回のテーマは「美しい国」。安倍首相が掲げる言葉と、「五反百姓」の辻村さんが考える「美しさ」とのギャップとは。
「マガ9レビュー」は、朝日新聞の連載をまとめたルポ「偽装請負」。コスト削減の呼び声の陰で、過酷な労働条件で使い捨てられていく多くの労働者がいます。
「デスク日誌」は、夏休み期間中に編集部員が考えたアレコレを綴っています。
そのほか、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、どうぞじっくりとお読みください。
'07.08.08
VOL.121
広島の平和宣言
8月6日朝、秋葉忠利広島市長の声が、広島の平和公園に響きました。
「世界に誇るべき平和憲法を遵守し、アメリカの間違った政策に従ってはならない-----」
式典の最前列で、まるで苦虫を噛み潰したような顔でこの秋葉市長の「平和宣言」を聞いていた安倍晋三首相は、そのとき何を思ったのでしょうか。
世界に向けて発進する力の重さでは、いまや落ち目の安倍首相とは比べものにならないほどの影響力を持つ「平和都市広島市長」の明確な宣言です。改憲論者の安倍首相とは違う、世界へ向けたもう一つの考え方の発信です。
現在の日本国総理大臣は改憲を叫ぶけれど、核廃絶に向けて平和憲法を遵守することこそが大切だと考えることの正しさを、秋葉市長は当の安倍首相の真ん前で訴えたかったのでしょう。
久しぶりに、きちんとことの是非を訴える演説でした。このような政治家がいるということは、この国にまだ希望があることの証拠でしょう。
さて、今週の「マガジン9条」は、お盆を挟んでの合併号。
まず、「この人に聞きたい」は、新藤兼人監督を迎えてのロングインタビューでお送りします。脚本・証言・主演を務められたドキュメンタリー映画『陸に上がった軍艦』の話に始まり、戦争について、平和運動について、広島について、存分に語っていただきました。
そして、特別企画「シムピース」。一人の美大生が「憲法9条について伝えたい!」と卒業制作で作ったブックレットを原本に、ウェブ版にしました。作者へのインタビューもあわせてどうぞ。
さらに、新連載も登場。岩手県で農業を営む辻村博夫さんが、農家の目から見た社会のあれこれを書きつづる不定期連載、「やまねこムラだより」〜岩手の五反百姓から〜です。
「雨宮処凛がゆく!」は「「人生を変えた言葉」と高遠さん、の巻」。今週も雨宮さん、いろんなところでいろんな出会いがあったようです。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、「原爆と原発」。久間元大臣の「しょうがない」発言が問題になりましたが、原発もまた「しょうがない」では済ませられない、大きな問題を抱えています。
「デスク日誌」は、参院選の結果を受けて、今後の政界の動きについて考えます。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、どうぞじっくりとお読みください。
'07.08.01
VOL.120
参院選が終わりました。
安倍自民党、歴史的大敗、です。憲法を、なかでも特に9条を目の仇にしている安倍晋三首相が惨敗。私たち「マガジン9条」にとっては、とりあえずほっと胸をなでおろす結果となりました。
でも、残念なこともありました。私たちの仲間であり、このサイトの発起人の一人でもあった上原ひろ子さん(前国立市長)が、当選できなかったことです。私たちの応援も、もう一歩届きませんでした。ほんとうに、悔しいことでした。
もちろん嬉しい結果もありました。私たちが応援していたもう一人の候補者・川田龍平さんが激戦の東京選挙区を見事に勝ち抜いたことです。薬害によるHIV感染を自ら公表して政府に立ち向かった、ほんとうに勇気ある青年です。彼はまた、私たちと同じように、憲法9条に強い想いを抱いています。
川田さんの活動を、私たちはこれからも応援し続けたいと思っています。
さて今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、鈴木邦男さんの第2回。強まる「監視社会化」について、お話を伺いました。
「雨宮処凛がゆく!」は、「参院選、終わる。の巻」。予想を超える自民党「惨敗」となった今回の選挙結果を、雨宮さんはどう見ていたのでしょう?
「デスク日誌」は、参院選の翌日に訃報が伝えられた「小田実さんのこと」。常に権力に立ち向かい、闘ってきた小田さんの遺したものを、私たちはどう受け継いでいけばいいのでしょうか。
「マガ9レビュー」は「戦争解禁」。イラク戦争について、それを支援した日本政府について、舌鋒鋭い批判を続けてきた藤原帰一さんのインタビュー集です。
「世界から見た今のニッポン」では、韓国からのある「宣言」を紹介します。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.07.25
VOL.119
誰がこの国を建て直せるのか?
安倍自民党、歴史的大敗、です。憲法を、なかでも特に9条を目の仇にしている安倍晋三首相が惨敗。私たちに「マガジン9条」にとっては、とりあえずほっと胸をなでおろす結果となりました。
でも、残念なこともありました。私たちの仲間であり、このサイトの発起人の一人でもあった上原ひろ子さん(前国立市長)が、当選できなかったことです。私たちの応援も、もう一歩届きませんでした。ほんとうに、悔しいことでした。
もちろん嬉しい結果もありました。私たちが応援していたもう一人の候補者・川田龍平さんが激戦の東京選挙区を見事に勝ち抜いたことです。薬害によるHIV感染を自ら公表して政府に立ち向かった、ほんとうに勇気ある青年です。彼はまた、私たちと同じように、憲法9条に強い想いを抱いています。
川田さんの活動を、私たちはこれからも応援し続けたいと思っています。
さて今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、鈴木邦男さんの第2回。強まる「監視社会化」について、お話を伺いました。
「雨宮処凛がゆく!」は、「参院選、終わる。の巻」。予想を超える自民党「惨敗」となった今回の選挙結果を、雨宮さんはどう見ていたのでしょう?
「デスク日記」は、参院選の翌日に訃報が伝えられた「小田実さんのこと」。常に権力に立ち向かい、闘ってきた小田さんの遺したものを、私たちはどう受け継いでいけばいいのでしょうか。
「マガ9レビュー」は「戦争解禁」。イラク戦争について、それを支援した日本政府について、舌鋒鋭い批判を続けてきた藤原帰一さんのインタビュー集です。
「世界から見た今のニッポン」には、韓国からのある「宣言」を紹介します。その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.07.18
VOL.118
この怒りを、誰に向ければ…
台風が去ったと思ったら、今度は大地震です。空の彼方で、誰かが怒っているような、そんな気がします。
この地震で亡くなった方は9人(7月17日現在)。それが、すべて70歳以上のお年寄りばかりでした。夫婦で暮らしていたのか、一人ぼっちのお年寄りなのか。いずれにせよ、切ない話です。
こんな大災害の時には、弱い者から犠牲者が増えていく、と言われますが、その通りの結果になってしまいました。
もちろん、体の自由があまりきかない老人だから災害時には弱い、ということはあるでしょう。しかし、特に地方のお年寄りたちが政治から見捨てられている、という気がしてなりません。
2時間強の安倍首相の災害地視察を、批判するつもりはありません。行かないよりは行ったほうがマシです。しかし、弱者への手当てを減らし、増税し、健康保険料を上げ、病院窓口での支払いを増やし、さらに消費税アップで追い討ちをかけようとしているのは、いったい誰なのでしょうか。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、田中優さんの2回目をお届けします。前回に続き、「目からうろこ」なお話が満載です。
隔週連載「15歳からの国際平和学」も第3回。武装解除と平和構築のため、「第二の祖国」シエラレオネに戻った伊勢崎さんが見たものとは。
「雨宮処凛がゆく!」は「餓死と参院選」。北九州での「餓死事件」にショックを受けながら、大阪へ向かった雨宮さんです。
「マガ9レビュー」は、ちょっと趣を変えて、グレアム・グリーンのスパイ小説を。
「世界から見た今のニッポン」は、ドイツと日本にルーツを持ち、現在は八ヶ岳の麓に暮らす持留 ヨハナ・エリザベートさんからの寄稿。前後編です。
「デスク日誌」は、地震の発生を告げるTVニュースの画面に映し出された、ある異様な光景の意味について考えます。
そのほか、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.07.11
VOL.117
選挙が近づきました
とうとう参議院選挙の公示日が、明日(7月12日)ということになりました。私たちの「マガジン9条」は、これまで特定の政党とは距離を置くけれど、憲法9条を大事にしよう、という人や組織とは常に等距離で協力関係を保っていく、というスタンスでさまざまな意見を発信してきました。
ときには、その意見が批判や反発を招いたこともありました。
しかし、どんな意見であれ、基本に「9条を大切にする」という一点さえあれば、私たちは腕を組めるのだ、と今でも考えています。
そんな私たちですが、今回は、「マガジン9条」の発起人のひとりであり、私たちと一緒にボランティアとしてこの「マガジン9条」を支えて来てくれた、前国立市長の上原ひろ子さんを応援します。ぜひ頑張って、勝ち抜いてほしいと思っています。
同じ憲法9条を高く掲げる人として、川田龍平さんの頑張りにも、大きな期待を寄せています。
お二人が、新しい場で活躍できることを、心から願っています。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、坂本龍一さんらの参加で話題になった「ap bank」をはじめ、ユニークなNPO活動の「仕掛け人」として知られる田中優さんにご登場いただきました。
「森永卓郎の戦争と平和」は、ここ最近のニュースにたびたび登場した、あのフレーズがテーマです。
「雨宮処凛がゆく!」は、「北海道で「ホームレス」を考えながら、グッドウィルユニオン・フルキャストユニオンに萌える。の巻」。故郷・北海道を訪れた雨宮さんが思い出したあのこととは・・・?
「デスク日誌」は、「家族の悲哀」。事務所費についての弁明を繰り返す農水大臣、その姿の向こうに、あまりに悲しい光景が浮かび上がります。
「マガ9レビュー」は、朝日新聞の連載が書籍化された『カラシニコフ』を。「紛争地の主役」ともいわれた銃を通じて、世界の現実を見事に切り取ってみせた力作です。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.07.04
VOL.116
破れかぶれの「しょうがない節」
しょうがない。ほんとうにしょうがない。原爆落とされてもしょうがない。言ってしまったものはしょうがない。いまさら辞めさせてもしょうがない、と安倍さんシラをきるのもしょうがない。年金消えてもしょうがない。ボーナス返上程度で誤魔化されてもしょうがない。税金上がってもしょうがない。お年寄りや年金生活者がヒイヒイ言ってもしょうがない。格差が拡大してもしょうがない。大企業は史上最高の利益計上だからしょうがない。いずれ労働者にもおこぼれがあるだろうから我慢しなけりゃしょうがない。集団自衛権もしょうがない。アメリカのためだもの日本は言うなりになるしかしょうがない。だから沖縄の基地もしょうがない。教科書から沖縄戦住民集団自決が消されてもしょうがない。政府がそうせいと言うのだからしょうがない。ああしょうがない。ほんとうにしょうがない。
でももうじき選挙だから怒りの一票を入れに行かなきゃしょうがない。でなきゃ私の腹の虫がおさまらないっ!
さて、今週の「マガジン9条」は、
「伊勢崎賢治の15歳からの国際平和学」の第2回は、「革命から大量虐殺へ」。内戦へと向かう当時のシエラレオネの様子が、リアルに綴られています。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、「憲法の力と国民の力」。参院選挙も間近、憲法が持つ最大の「力」について考えます。
「雨宮処凛がゆく!」は、「ワーキングプアの反撃」と「アキバ解放」と「反貧困」、の巻。連帯と反撃から生まれた、新して楽しいこんなデモはいかが?
「世界から見た今のニッポン」は、日本とドイツ、二つの国の、対照的ともいえる「過去」との向き合い方について。
「マガ9レビュー」は、ロック・バンド、ソウル・フラワーユニオンを取り上げています。
「デスク日記」は、「石棺の悪夢」。民主主義の「象徴」であったはずの国会議事堂は、もはや民主主義の「石棺」へと変わりはててしまったかのようです。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.06.27
VOL.115
猛スピードにブレーキを!
故郷へ帰ってきました。寝たきりの母親の見舞いです。母親が倒れてから、もう3年近くになります。なんとか時間を見つけては、東北の故郷に帰るようにしています。寝たきりではあるけれど、私の顔を見ると、なんともいえない微笑を浮かべます。私はそれを見たさに、帰ります。
たまには寄り道も、と思い、今回は途中で蔵王に一泊。翌日、蔵王連峰を車で越えました。山形側へ入ると、ものすごい霧。4、5メートル先も見えないほどの濃霧。ゆっくりゆっくり走ります。フォグランプさえほとんど役立たない山道から、対向車がこれもノロノロと姿を現します。
そう、視界不良のときは、急がず慌てずゆっくりと行くのがいいのです。
なのに最近の政治ときたら、とにかく大慌ての大騒ぎ。選挙目当ての大盤振る舞い空約束、突然言い出す首相閣僚社保庁そろってのボーナス返上、選挙対策ミエミエのパフォーマンス。誰か、騙されます?
クラッシュ寸前の霧中の猛スピード。危ないですよ、ほんとうに。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、ダグラス・ラミスさんの第2回。沖縄を取り巻く政治的状況について、人々の抱える思いについて語っていただいています。
「雨宮処凛がゆく!」は、「連帯! 連帯! そして反撃!!」、の巻。低賃金で「使い捨て」にされてきた若者たちから、反撃の狼煙が上がりはじめました。
「松崎菊也の笑うニュース・クイズ」は、旬のトピックス、年金問題に関する発言に注目。社会保険庁長官のこの方、果たしてどんな発言をしたでしょう?
「マガ9レビュー」は、広島を舞台にした漫画「夕凪の街 桜の国」。映画を見に行く前に、ぜひ原作もどうぞ。
そのほか「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
'07.06.20
VOL.114
ハーバード大学も認めた「マガ9」!?
エドウィン・ライシャワー氏は、1961年から1966年まで駐日アメリカ大使を務めた、日本でもよく知られた知日家・親日家です。
同氏は大使退任後、ハーバード大学日本研究所所長として日本研究に携わり、多くの研究者を指導。その功績が認められ、同研究所が「ライシャワー日本研究所」と改称されたのは1985年のことです。
現在もライシャワー日本研究所は様々な研究プロジェクトを立ち上げていますが、そのうちのひとつに「憲法改定研究プロジェクト」があります。ここ数年、日本で起こっている改憲への動きに注目しているこのプロジェクトは、それをとりまく様々な研究者、NGOや市民グループたちのウエブサイトをアーカイブしています。「マガジン9条」も次のように紹介されています。
「マガジン9条は、とくに憲法改定に関心のない人たちに読んでもらうよう、様々な視点をもった興味深い記事を載せている。風刺漫画家によるデザインは、アピール度大」
護憲・改憲問わず、憲法に係わるいろいろなウエブサイトが紹介されています。
ぜひ、読み比べてみてください。
さて、今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、政治学者のダグラス・ラミスさんの登場です。日米安保と9条、護憲運動の矛盾について語っています。
世界の紛争地を歩いてきた伊勢崎賢治さんによる「15歳からの国際平和学」の新連載がスタートです。第1回はシエラレオネを舞台に考えます。
参議院選挙直前企画として、党派を越えた対論「上原公子さん×川田龍平さん」が実現!お二人がじっくりと語っています。
「雨宮処凛がゆく!」は、安保闘争世代の集会とデモに参加した時の模様について、ユーモアを交えつつ、マジな彼らの闘いを紹介。
「松崎菊也の笑うニュース・クイズ」は、猪瀬直樹が語らなかったこと。いかにも言いそうなのですが・・・。
「デスク日誌」は、年金問題でさえも、自分の都合の良いように利用しようとする安倍首相の有様について。
「マガ9レビュー」は、写真集「北朝鮮の日常生活」を取り上げています。
その他「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.06.13
VOL.113
私を監視しないで
紫陽花は不思議な花です。強い陽の光の下では、なんとなく元気がなさそうにしんなりと色を失っています。それが雨に濡れると、艶々とその存在を主張し始めます。植物にもいろんな生き方があるのです。陽光を好まないからといって、それが間違った生き方だというわけではありません。
人間だって同じこと。なのに、私たちの国は、ひとつの生き方しか許さないみたいです。政府に反対する者は、いずれ、日陰者扱いにされてしまうことになるのかもしれません。
自衛隊が、国民を監視していたという事実が、共産党の調査で発覚しました。開き直るだけの自衛隊や政府。歯止めのきかない超右派安倍政権下で、とうとう軍事組織が蠢き出したということでしょうか。小さな批判の声さえ、監視対象になっていました。
梅雨入りを前に、恐ろしくも不愉快なニュースです。私は、誰にも監視されたくありません。
さて今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、ジャーナリスト・江川紹子さんの第2回。日本の外交政策について、社会の「右傾化」についてなど、さらに突っ込んでお聞きしました。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、「自衛隊の市民監視による萎縮効果」について。「問題ない」と言い放つ大臣の言動に、塾長もびっくり!
「松崎菊也の笑うニュース・クイズ」は、麻生外相の国会答弁について。「ポスト安倍?」の声も聞こえるこの人の、想像力のなさが嫌になるほどにじみ出た発言です。
「雨宮処凛がゆく!」は、「反貧困」と「戦争」、の巻。連日、貧困や雇用問題に関するイベントで活躍中の雨宮さん。そこで初めて実感した「あること」とは?
「世界から見た今のニッポン」は、「環日本海経済圏と日本」。日本と海を挟んで対峙する中国やロシアとの関係を、「経済」をキーワードに考えます。
「デスク日誌」は、自衛隊が市民を監視していたというあの事件について、取り上げています。
「マガ9レビュー」は、「50年前の憲法大論争」。半世紀前に国会を舞台に行われた、改憲をめぐる大論争は、私たちに深い示唆を与えてくれます。
その他「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください!
'07.06.06
VOL.112
公明党支持者の胸のうちは?
消えた5,095万件の年金、あんまりだよなあ、と思っていたら、やはりその気分はみなさん同じだったようです。各メディアの世論調査では、軒並み安倍内閣の支持率が急速にダウン、と報じられていましたが、6月4日付けの朝日新聞では一面トップで「内閣支持率 最低30%」。
内閣の「危険水域」というのが支持率30%である、というのは政界の常識です。ついに安倍内閣、危険水域ギリギリにきたわけです。
それにしても、とここで考えてしまうのが公明党です。というより、公明党の支持者の方々についてです。年金問題がこれほどひどいことになっている、しかも、その問題の解決策をたった1日で法案化し、さらにたった4時間の審議で衆議院を通してしまう。こんな強引強行策を、公明党支持の方々はどう見ているのでしょうか。自民党と組んで強行採決にひた走る公明党のやり方を、支持者の方々は、それでも「支持」しているのでしょうか。
多分、個々の政策とは違う別の要因があるのだと思います。だから、その胸のうちをきちんと聞いてみたいのですが、お答えいただける公明党支持者はいらっしゃらないでしょうか。
さて今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、ジャーナリスト江川紹子さんの登場です。社会や時事問題について、確かな批評を展開している江川さんに、憲法改正について語っていただきました。
「雨宮処凛がゆく!」は、「遭難フリーター」、の巻。工場で働く、ある「派遣労働者」の若者が撮った1本の映画を紹介します。
「松崎菊也の笑うニュース・クイズ」は、「柳沢厚生労働大臣は語るよ」。国民の怒りが爆発している「消えた年金」問題、その最高責任者ともいえるこの方の発言に注目します。
「デスク日誌」は、安倍首相の「美しい日本語」について。
「マガ9レビュー」は、雨宮処凛さんの新作「右翼と左翼はどうちがう?」について。
下北沢でのイベントの様子を伝える「みんなのレポート」も届いています。
その他「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
'07.05.30
VOL.111
青空の下の風を楽しんだけれど……。
よく晴れた日曜日、ある大学教授が主宰する「田植え」に参加してきました。ゼミの学生たちや、そのOBなどが集まって、実際に自分たちの手で米を作り収穫するという、とても「楽しい講座」です。その講座の端っこに、特別参加させてもらったのです。
もう季節は初夏。青空の下、蛙が泳ぎ、アメンボがちいさな波紋を作るきれいな水を張った水田に、思い思いの格好で泥を跳ね上げながら入ります。
十数人が横一列に並び、張った紐に沿ってまっすぐに(とはなかなかいきませんが)、苗を植えていきます。指導してくださる農家のベテランに、呆れられたり誉められたりしながら数時間かけて、三枚の田んぼに苗を植えました。水田脇の森からは、鶯の声が豊かに響きます。
「美しい国」というのが、皮肉ではなく実感できます。どこかの首相も、こんなところで田植えでもしてみればいいのです。口先の言葉ではなく、ほんとうの「美しさ」がお分かりになるはずです。
と、ここまで書いたところで「松岡農水相が自殺」というニュース。ああ、またも命で政治の裏を塗り込める。死者に鞭打つつもりはないけれど、命を使って疑惑に蓋をするというこの日本政治の悪しき風習を、どうにかできないものでしょうか。
さて今週の「マガジン9条」は、
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、「権力の側が考える「自衛隊」「軍隊」の怖さ」。憲法をテーマとした論戦番組に出演した塾長が、その感想を語っています。
「雨宮処凛がゆく!」は、「「右翼」と「左翼」、の巻」。雨宮さん自身の経験を当時の社会の出来事とリンクさせながら、「昔も今もぶれないこと」について書いています。
「松崎菊也の笑うニュース・クイズ」は、金子一義衆議院予算委員長の発言から出題。大事件が起こる前に、この人は松岡氏について、どんなことを言っていたのか?
「世界から見た今のニッポン」は、スイスの大学で日本学を研究するリチャード・デーラーさんの、日本の「捕虜観」に関する論文の一部を紹介します。
「デスク日誌」は、松岡農相自殺の“裏”について。
「マガ9レビュー」は、宮崎県の小さな村が舞台の映画「美しい夏キリシマ」を。故・黒木和雄監督の「戦争レクイエム3部作」の第2作です。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは今週もじっくりとお読みください。
'07.05.23
VOL.110
歴史が泣いている
沖縄の普天間基地の移設先とされる名護市辺野古沖での、海洋調査が始まりました。大きな反対運動が渦巻く中、政府・防衛省は強硬姿勢です。
しかし、ここにきて、その強硬姿勢に見逃せない変化が起こりました。なんと、自衛隊が直接、調査活動に介入し始めたのです。これには、地元沖縄は総反発。保守系である仲井眞知事さえ、「沖縄県民の感情を無視し、踏みつけるもの。すぐにやめるべきだ」と、異例のコメントを出して強い不快感をあらわにしました。
「軍が沖縄の人たちに集団自決を強要したかどうか定かでない」という理由で、教科書の書き直しを命じた日本政府(文科省)は、それでは飽き足らず、今度は自衛隊という軍事力を背景に基地移転反対運動を押さえつけようとし始めたのです。
「歴史は繰り返す。一度目は悲劇、二度目は喜劇として」という警句があります。しかし、日本政府は一度目を悲劇として捉えていない。だから、二度目もまた、悲劇として繰り返そうとしているのです。地上戦の記憶がまだ残る、この沖縄で。
「歴史を学ばぬものは、未来に対して盲目になる」と言ったのはドイツの大統領でした。それに比べ、我が日本の宰相といえば----。
さて今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、元・沖縄県読谷村長、山内徳信さんの第2回。「脱基地」行政を支えた、憲法への強い思いを語っていただいています。
「松崎菊也の笑うニュース・クイズ」は、元外務大臣であり、憲法調査特別委員長でもある中山太郎氏が登場。思わず口から飛び出た「ホンネ」です。
「雨宮処凛がゆく!」は、「五月病か、五月革命か。福岡で「生きさせろ!」と叫ぶ。の巻」。東京だけではない、日本各地で「プレカリアート」たちのあげる声が高まっています。
「デスク日誌」は、「犯罪と空気」。17歳の少年を突き動かしたのは、果たして何だったのか、を考えます。
「マガ9レビュー」は、5月26日から公開されるドキュメンタリー映画「ひめゆり」を紹介。
「モバイル国民投票」は、結果発表の詳細と、いただいたご意見を紹介しています。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは今週もじっくりとお読みください。
'07.05.16
VOL.109
「美しくない」国へ
とうとう「国民投票法」が成立してしまいました。5月のさわやかな空が広がっているというのに、憂鬱です。
桜前線は、海を渡り北海道に到達したようです。細長い列島を楽しませながら北上した美しい花々とは違い、ほんの一部の人たちの大騒ぎが、ついにここまで来てしまいました。けっして美しくない国への、けっして美しくない人たちの熱狂です。
熱狂がいい結果をもたらしたことなど、歴史上ほとんど例がありません。一部の熱狂が、一部のままで終わることを願わずにはいられません。
前にも書いたような気がしますが、もう一度大きく書き付けておきます。亡くなった藤沢周平さんの言葉です。
<戦争嫌い 熱狂嫌い 流行嫌い>
さて今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、元・沖縄県読谷村長の山内徳信さんにご登場いただきました。「基地の村」からの米軍基地撤退を進めた山内さんに、その最大の支えとなった「憲法力」について伺います。
「雨宮処凛がゆく!」は、「「憲法」と「平和」、の巻。」あるフリーター男性が主張した、「改憲を望む理由」について考えます。
「松崎菊也の笑うニュース・クイズ」は、安倍首相が再びの登場。国民投票法案の特別委員会での論議の中で飛び出したある一言に注目します。
「デスク日誌」は、「ある展覧会にて」。「マガ9レビュー」も今回は、現在東京で開催中の建築展を取り上げます。
「みんなのレポート」「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは今週もじっくりとお読みください。
'07.05.09
VOL.108
連休はいかがでしたか?
憲法記念日の前後には、いろいろな集会や催しが行われました。特に今年は、日本国憲法施行60周年でしたし、安倍晋三首相の何かに憑かれたような改憲志向が目立ったこともあって、多くの人たちが危機感を持って集会などに参加したようです。
また、言論抑圧への不安も高まりました。長崎市長の射殺事件では、やはり背景に黒いものを感じますし、あの朝日新聞阪神支局の襲撃事件はもう20年前のことですが、まだ私の記憶には鮮明に残っています。実は私も、あの襲撃事件の直後にある作家と一緒に支局を取材に訪れていたからです。
加藤紘一氏邸焼き討ち事件の犯人を英雄視する人たちも多いと聞きます。安倍首相の戦前復古的政治姿勢が、そんな風潮を助長しているような気がします。
自由にものが言えない時代を、再現させてはなりません。
さて今週の「マガジン9条」は、
「雨宮処凛がゆく!」は「「自由と生存のメーデー」、大大大成功!!!の巻」。「プロレカリアートの反抗」イベントに参加した雨宮さんが、興奮さめやらぬままにその様子を伝えてくれました。
「松崎菊也の笑うニュースクイズ」は「久間防衛大臣は語るよ」。アメリカでの講演中に飛び出した、あの一言についてです。
そして「伊藤真のけんぽう手習い塾」はずばり「憲法記念日」。私たちが改めて考えておくべきことについて、塾長からの提言です。
「ブロガーズレポート」は、お玉おばさんの旅のレポートがいよいよ最終回。「デスク日誌」は「シビリアン・コントロールということ」。つい最近、雑誌に掲載された論文を取り上げています。
「マガ9レビュー」はジェームス三木氏の小説『憲法はまだか』。日本国憲法誕生を題材とした物語です。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
「マガ9モバイル国民投票」も引き続きやってます。
それでは今週もじっくりとお読みください。
'07.05.02
VOL.107
60回目の憲法記念日
憲法記念日が、またやってきました。60回目です。
今年の記念日は、いつもとは少し様子が違います。安倍政権のあまりの改憲ゴリ押しに、これまではあまり憲法などに関心を持たなかった人たちが、随分たくさん集会などに参加し始めているからです。メディアなどでも、初めて憲法問題について発言するという有名人(?)が増えています。
重要な法案はみんな強行採決。なんでそんなに急ぐのか、という疑問にはまるで答えず、与党の数をいいことに、安倍さん暴走中です。その姿勢にきな臭さや危なさを感じて反発したり、もう一度きちんと憲法問題を考えよう、というような人たちが増えているらしいのです。
私は安倍晋三氏をまったく評価しませんが、眠っていた人たちの目を覚まさせてくれたことだけは、評価してもいいのかもしれません。
さて今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、憲法学者の古関彰一さんの第2回です。9条と人権の関係についても語っていただきました。
そして憲法記念日特別企画として、モバイルアンケートが復活!「モバイル国民投票」“どうする?どうしたい?自衛隊”
憲法9条をどうするかを考える時、焦点となるこの問題を考えてみましょう。そして投票に参加しよう!
「デスク日誌」は、60回目の憲法記念日を前に、お祝いムードにはならず、あえて「不気味な法則」について考えてみました。 「マガ9レビュー」は、『官僚とメディア(魚住昭著/角川oneテーマ21)』 痛烈なマスメディア批判の書です。 「みんなのレポート」は、連休前半のイベントの模様が届いています。
その他、「アピール9」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは今週もじっくりとお読みください。
'07.04.25
VOL.106
国立市バンザイ
私たちの仲間であり「マガジン9条」の発起人の一人でもあった上原公子国立市長が、2期8年の任期を終えて引退しました。上原さんは、東京多摩地区では初の女性市長でした。
問題の多い「住民基本台帳法」を拒否し、国立市の環境行政を景観の面からも推し進め、高層マンションの差し止め訴訟や木造駅舎の保存運動、さらには「無防備都市運動」など幅広い活動を続けて、市民参加、情報公開の市政を実現してきた人でした。
彼女の引退で、国立市の市民参加型市政が後退するのではないかと心配されたのですが、4月22日の市長選で、上原市政を継承すると宣言して立候補した関口博さんが、激戦を制して初当選を果たしました。「マガジン9条」としては、「おめでとう!」とエールを送ります。これから厳しい市政運営が続くでしょうが、市政に参加する多くの市民がバックについていることを忘れずに、頑張ってくださいね、関口さん。
そして、上原さんには「8年間、本当にご苦労さまでした」と。
さて今週の「マガジン9条」は、
「この人に聞きたい」は、『憲法九条はなぜ制定されたか』(岩波ブックレット)などの著書もある獨協大学教授・古関彰一さん。日本国憲法成立過程の「真実」をお聞きしました。
「雨宮処凛がゆく!」は「高円寺一揆!の巻」。日本全国で統一地方選挙運動が展開されていた先週、東京・杉並区の高円寺で雨宮さんが参加していた「一揆」とは?
「松崎菊也の笑うニュースクイズ」は、「松岡利勝農林水産大臣は語るよ」。独立行政法人での官製談合が明るみに出たのを受けて、この方がまたしても語っちゃいました。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は「力の政治と理の政治」。アメリカの大学での銃乱射事件、長崎市長の射殺事件…伊藤塾長が、そうした事件と日本の国会の現状との共通性に警鐘を鳴らします。
「ブロガーズレポート」は、人気ブロガー「お玉おばさん」による旅のレポート第2回。カンボジアのアンコールワットを訪れたときの感想を送ってくれました。
編集部による連載エッセイ「デスク日誌」も更新。ここ最近の政治家たちの、さまざまな発言を聞いて感じたことを綴っています。
そして「マガ9レビュー」は、アメリカのマクナマラ元国防長官へのインタビューを主軸にしたドキュメンタリー「フォッグ・オブ・ウォー」。キューバ危機やベトナム戦争を国防長官として体験した彼の「告白」から見えてくることとは。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは今週もじっくりとお読みください。
'07.04.18
VOL.105
嫌な感じ
銃声が響く。アメリカで、そして日本でも。
4月16日朝、アメリカ・バージニア工科大学では32人が射殺された。
同17日夜、日本では長崎市長の伊藤一長さんが狙撃され、死亡した。
長崎市長狙撃という一報に、かつての悪夢がよみがえる。1990年1月、当時の本島等長崎市長の「天皇にも戦争責任はある」との発言に激高した右翼団体幹部が、本島さんを銃撃し重傷を負わせた事件だ。そしてまたも、長崎。
今回の伊藤市長狙撃犯は、山口組系暴力団幹部だという。犯行の背景は個人的逆恨みで、政治的テロではないらしいが、銃で政治家の口を封じようとする行為は、何が原因であろうと絶対に許せない。
かつて元外務官僚の田中均氏へのテロ行為を容認する発言をした石原慎太郎なる人物が、都知事に再選された。嫌な感じがする。
テロを容認し、賞賛さえするような雰囲気が、どこかにありはしないか。戦前のような、政治テロの暗い時代の再来にならなければいいが。
それにしても、これほど悲惨な事件が続いてもいまだに「銃規制」すらできないアメリカという国に「世界の警察官」を任せておいてはならない。アメリカは「力による平和」という幻想を世界中に振りまきながら、結局は「銃の惨劇」を世界中に撒き散らしているだけではないか。
そして、アメリカに追随する安倍晋三首相。彼の戦前回帰を目指す政治姿勢が、テロが頻発する危ない時代を、この日本にも呼び寄せているような気がする。すでにその気配は、加藤紘一氏宅放火事件などに現れている。
さて今週の「マガジン9条」は、
「雨宮処凛がゆく!」は、「自由と生存のメーデー」プレカリアートの反攻、の巻。悪条件低賃金で、まさに「使い捨て」にされる労働者たちの、怒りの声が高まっています。
「松崎菊也の笑うニュースクイズ」「温家宝首相との会談で池田大作は語るよ」。来日した中国首相と会談したのは、政治家ばかりではありません。この人はさて、どんな発言を?
「世界から見た今のニッポン」は、ロシア出身の経営コンサルタント、タチアーナ・ヴィルトさんから。ロシアが介入したアフガニスタンの戦争と、アメリカが主導したイラク戦争に見える共通点とは。
「マガ9レビュー」は、あの名作「男はつらいよ」。シリーズ全作を改めてみてみると、新たな発見がありました。
そして新コーナー「デスク日誌」も登場。編集部員が綴るエッセイ不定期連載です。お楽しみに!その他「みんなの声」「お知らせメモ」「アピール9」も更新しています。
それでは今週もじっくりとお読みください。
'07.04.11
VOL.104
東京都知事選を終えて
統一地方選の前半戦が終わった。ふーっと、溜め息。
これが東京都民の選択なら、何も言うことなどない。私も都民の一人ではあるけれど、言葉はない。
あと4年間、口汚い言葉を発して弱者を貶め、外国人をののしり、歯向かう者たちには過酷な処分を下し、肉親や身内のみを重用し、豪華な旅を公費で楽しみ、週に2〜3日しか働かない男を、都民はまたもや権力者として認めたのだ。自分だけは弱者でも外国人でもなく、ましてや強権をもつ人間には歯向かうことなどしないと思っている人たちが、投票した都民の中では多数派だったというわけだ。
桜が、散っていく。
だが、ひとつだけ、書き記しておく。
それは、石原慎太郎が得た絶対得票率は27%だった、という事実。
さて今週の「マガジン9条」は、
「雨宮処凛がゆく!」は「都知事選終了、の巻」。石原氏を誰が支持したのか? 実態のない恐怖や不安を煽り、「安心・安全」を強調するやり方が勝利した。このやり方はこれからも続く・・・。
「松崎菊也の笑うニュースクイズ」は、「知事選当確インタビューで石原は語るよ」。
当確直後、テレビ番組でのインタビューに、あの人はこう答えました。みんなどう見た?
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、日本国憲法制定過程の真実について塾長が教えてくれています。
「マガ9レビュー」は、
『国民投票 憲法を変える? 変えない?』豊 秀一(岩波ブックレット)を取り上げています。
そして・・・新コーナーは二つ。
「シリーズ 国民投票を考える」は、様々な視点から国民投票を考えていきます。
「ブロガーズレポート」は、活躍中のブロガーのみなさんによる、レポートを紹介してきます。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは今週もじっくりとお読みください。
'07.04.04
VOL.103
戦前は、「美しい国」だったのか
吹雪の中、不気味な発言が続きます。
靖国神社の戦犯合祀に、旧厚生省が指導的関与をしていたと報じられたことについて安倍首相「神社側の意志だ。厚生省は協力しただけで問題はない」。
従軍慰安婦問題では「狭義での軍や政府による強制はなかったが、広義ではあった」と、これも安倍首相。従軍慰安婦問題で反省を示した河野洋平談話の見直しを叫ぶのが、中川昭一自民党政調会長や下村博文官房副長官らの安倍仲良し組。いい年をした「青年将校」たちです。
さらに、文科省までが「沖縄での住民集団自決は日本軍の強制であるとの確証はない」と、教科書検定で見直し意見。
戦前の政府や日本軍の負の部分を、なぜこうも隠そうとするのでしょう。それほど戦前が「美しい国」だったとこの方たちは思いたいのでしょうか。膨大な人間の死を招いたあの戦争を指導した政府や軍に、責任はなかったと言いたいのでしょうか。
先週までの半藤一利さんのインタビューを、もう一度読んでほしい。
そして近づく選挙で、戦前回帰を目指すような候補者は誰かを見極めてほしいのです。
さて今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」に俳優の高橋和也さんが登場です。映画やテレビドラマ、ミュージシャンとして活躍中の高橋さんに、憲法や平和について語っていただきました。
「雨宮処凛がゆく!」は、「インド・IT都市の映画祭の巻」。高層ビルとスラムが混在するインドの街で、雨宮さんが見たこと、考えたこととは?
「松崎菊也の笑うニュースクイズ」は、従軍慰安婦の問題をめぐる安倍首相の発言が大きな波紋を呼んでいますが、韓国を訪れた外相は、さて何と言ったか?
「森永卓郎の戦争と平和」は、「安倍サブマリンの新たな展開」について。今のところ彼の作戦は大成功といったところでしょうか。
「マガ9レビュー」は、「密約 外務省機密漏洩事件(澤地久枝/岩波文庫)」をとりあげています。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは今週もじっくりとお読みください。
'07.03.28
VOL.102
公明党は護憲なのか?
日曜日のテレビ『サンデー・プロジェクト』に、太田昭宏公明党代表が出演していました。そこで太田氏は「憲法9条は変えない。特に第2項を変えることには反対。自民党が9条を変えようとするなら、ぶつかる場面が出てくるかもしれない」というようなことを話していました。ここまではっきりと党代表が言うのだから、これは公明党(とその支持団体である創価学会)の意志と受け取ってもかまわないでしょう。
しかしそれならば、公明党はなぜ自民党との連立にこだわるのか。こんなに大事な、それこそ日本の針路を左右するような政治課題で大きな違いがあるというのに、なぜ?
創価学会の支持者の中にも、最近の安倍首相の超右寄り路線にかなりの危惧を抱いている人たちが増えているようです。新聞の投書欄にもそんな学会員の声が掲載されていました。そろそろ公明党は、自民党と手を切るべき時を迎えているのではないでしょうか。
さて今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」は半藤一利さんの最終回です。歴史研究家の半藤さんのするどい指摘に、おもわず納得です。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、地方統一選挙の考察から、選挙だけではなく、「投票で何かを決める」とき、まず重要になってくる事柄について。
「世界から見た今のニッポン」は、公開された戦後のCIA工作について。
「松崎菊也の笑うニュースクイズ」は、ある学校の卒業式で、わが国の総理大臣が口にした言葉とは?
「マガ9レビュー」は、映画『ホテル・ルワンダ』の紹介です。
その他、「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは今週もじっくりとお読みください。
'07.03.21
VOL.101
101回目の…
もうずいぶん昔のことですが『101回目のプロポーズ』というテレビドラマがありましたね。今回の『マガジン9条』の更新が101回目なので、そのタイトルを思い出したのですが、その中で武田鉄矢さんが言ったセリフ、「僕は死にましぇん」が大流行したと記憶しています。
だから今回は、「9条は死にましぇん」と言ってみます。99回でも100回でも、そして101回目であろうが200回だろうが、「9条は死にましぇん」と言い続けたいのです。
22日は、統一地方選の各知事選公示日です。「9条の死」をもくろむような候補には絶対に当選してほしくない。たとえそれが一地方のことであろうと、そんな人物を首長にいただくことを、断固阻止したいのです。
候補者を、じっくりと見定めてください。
さて今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」に作家の半藤一利さんの第2回目です。いわゆる「憲法押し付け論」への反論、戦前と現在に共通するもの…歴史から学ぶべきことは、たくさんあります。
お待たせしました。行動する作家、雨宮処凛さんの連載コラム「雨宮処凛がいく!」が始まります。第1回は、ご自身の体験とも重なる、現在の若者たちが置かれた状況について。
「松崎菊也の笑うニュースクイズ」は連載第2回目。官僚の天下りに関して、またあの人がヘンなこと言ってますよ!
そして地方統一選挙直前の「緊急提言」です。よりよい政治を実現するために、北海道大学の山口二郎教授からのメッセージです。
その他、「マガ9レビュー」「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは今週も『マガジン9条』を、じっくりとお楽しみください。
'07.03.14
VOL.100
本当に、戦前は良かったか?
もう80歳をとうに超えた私の義母の話です。
戦争中、義母は20歳過ぎでしたが、小さな弟たちの面倒を見るのが役目だったそうです。東京・目黒の生まれで、空襲警報に怯えながら弟たちを連れて防空壕へ逃げ込む毎日でした。ある日、弟たちの文房具を入れたミカン箱(これも当時は貴重な物資だったらしい)を持って壕へ逃げ込み、外の様子を見にちょっとだけ壕を出て、すぐに戻りました。すると、幼い弟が「おじちゃんがハコを持ってっちゃった」と泣きじゃくっていたというのです。
義母は言います。 「戦争中はみんなが心を一つにして戦っていた。あの頃のほうが今よりずっと日本人の心が強く正しかった、なんていう人がいるけど、そんなの嘘よ。いつ死ぬかもしれない毎日の中で、自分さえ良ければって大人が、今よりよっぽど多かったわよ。戦前のほうが良いなんていう人、アタシは大っ嫌いだわ」
安倍晋三首相は「戦後体制からの脱却」などと、さかんに吠え立てます。戦後から脱却して、戦前へ回帰しようというのでしょうか。
先日お会いした作家の半藤一利さんも、次のようにおっしゃっていました。
「戦争を知っている人間が生きているうちは、まだ大丈夫。しかし、私たちがいなくなったらこの国はどうなるのかねぇ」
半藤さんや私の義母の話のほうが、安倍首相の言葉よりずっと真っ当だと私には思えるのですが。
さて今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」に作家の半藤一利さんの登場です。ベストセラー『昭和史』を生み出した昭和研究家でもある半藤さんの戦中・戦後体験についてお聞きしました。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は「人権意識」について。人権感覚の低い我が国のリーダーたちは、海外からみてそうとう恥ずかしいことです。 新コーナーは二つ。「松崎菊也の笑うニュースクイズ」と「マガ9レビュー」。どうぞ末永くご贔屓に。
今週で最終回の「今週のキイ」は、「松岡利勝農水相」と「安倍首相」をとりあげます。最後にちょっといい話もあります。
「みんなのこえ」「お知らせメモ」も更新しています。
それでは、100号記念リニューアル進行中の『マガジン9条』を、じっくりとお楽しみください。
'07.03.07
VOL.99
第99号!
今回の更新で99回目を迎えました。「9条」にとっては、なんだか感慨深い9並びの回です。よく続いてきたと思います。憲法や政治思想、社会問題などについての考え方は、私たち『マガジン9条』の編集部の中でもすべて一致しているわけではありません。いろいろな考えの人が参加しています。しかし、「日本国憲法第9条」を変えてはならない、という点だけは一致しています。これからも、そのことだけは貫いていきます。
安倍首相は「支持率の低下は自らの政治姿勢をはっきり示さなかったためだ」と考えたらしく、これからは批判など気にせず、その超保守的タカ派ネオコン姿勢を露わにしてくるつもりのようです。小泉流絶叫路線が正しいと思い込んで、破れかぶれの暴走をしそうな気配です。改憲へつながるような暴走は、なんとしてでも阻止しなければなりません。
そのために小さなメディアだけれど「マガジン9条」をもっと強化していきたいと思っています。小さな声でも集まれば大きな力になります。来週の「100回記念リニューアル号」では、パワーアップのための具体的なコンテンツを企画中。新連載コラムも続々始まります。お楽しみに!
さて、今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」は、伊勢崎賢治さんの第2回目。伊勢崎さんご自身の9条に関する意見とともに、平和を構築するために今、何が必要なのかを語っていただきました。
「今週のキイ」は、お待たせしました、愛知県知事選を取り上げた2月7日付の「キイ」に関していただいていたご意見への「お答え」と、1カ月後に控えた東京都知事選についてです。
その他、「みんなのこえ」「みんなでディスカッション」も更新しています。
それでは今週もじっくりとお読みください。
'07.02.14
VOL.98
焼け跡から生まれた憲法草案
2月10日のNHK教育テレビのETV特集『焼け跡から生まれた憲法草案』をご覧になりましたか? かなり面白い番組でした。
日本国憲法の成立直前、日本国内での憲法をめぐる様々な動きのうち、憲法学者の鈴木安蔵氏ら7人の民間人が作った憲法草案の書かれた過程を追ったドキュメンタリーでした。
改憲論者たちが異口同音に批判する「アメリカによる押し付け論」に、大きく疑問を投げかける内容になっていました。つまり、鈴木氏らが作った「憲法草案」は、きわめて民主的進歩的なものであり、その内容は現在の日本国憲法の原型を作ったとされるアメリカ民生局のメンバーにも知れわたり、彼らに大きな影響を与えた、というものでした。
あのベストセラー『憲法九条を世界遺産に』が言うように、日本国憲法は本当に「日米の合作」だったのかもしれません。
さて今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」は、『3年B組金八先生』の脚本家、小山内美江子さんが登場。主に現在の日本が抱える教育の問題について、語っていただいています。
「今週のキイ・ワード」では、前アメリカ副大統領、アル・ゴア氏が今週の「キイ・パーソン」として登場。ゴアが指摘する「不都合な真実」と、それに揺れるブッシュ政権、そして安倍政権の現在について考えます。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」も、今回は環境問題にクローズアップ。日本国憲法の条文からは、環境問題に対するどんな姿勢が読み取れるのか? を解説してくれます。
そしてお待たせしました! 「マガ9」英語版“magazine9”がスタートです。世界に広めよう「マガ9」の輪!
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.02.07
VOL.97
震え上がった自民党
二つの地方選挙がありました。もうニュースで大きく報道されましたから、皆さんよくご存知の、愛知知事選と北九州市長選。とりあえず与野党激突の結果は、一勝一敗。それだけを見れば、まあ何となくことは済んだかのようですが、実は自民党には激震が走っているのだそうです。
このことについては、コラム「今週のキイ」で、かなり詳しく書かれるようなので、そちらにお任せしますが、自民党内はほとんど負け戦の後のような雰囲気だそうです。「これでは、夏の参院選はとてももたない」という声が圧倒的だというのです。
無党派層の雪崩現象、それは宮崎知事選でも「そのまんま現象」と呼ばれたほどの威力を発揮しました。今回の二つの選挙でも、無党派層は圧倒的に自民公明候補を見限ったのです。自民党、特にこの夏の参院選を戦う自民候補者が震え上がったのも当然でしょう。
さて今週の『マガジン9条』は
「この人に聞きたい」に、作家・映画監督の班忠義さんの登場です。日中関係、最新のドキュメンタリー作品、そして憲法9条について語っています。
「世界から見た今のニッポン」は、
映画監督のジャン・ユンカーマンさんからの寄稿です。英語版もまもなく公開予定!
「今週のキイ・ワード」は、「無党派層と選挙」と「野党統一候補」です。二つの地方選挙の結果から見えてきたものは・・・。
「みんなのレポート」に、読者から「憲法9条にノーベル平和賞を!」の運動報告会と勉強会レポートが届いています。
その他、「みんなのこえ」「みんなでディスカッション」も更新しています。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.01.31
VOL.96
本当に今必要なこと
まれにみる暖冬だそうです。確かに東京の気候もヘンです。今日(1月30日)など、まるで春のような陽気。近所の公園の梅がもうじき満開です。梅どころか桜も咲いてしまいそうな温かさ。あなたの町の様子はいかがですか?
これも地球温暖化の兆しでしょうか。
今やらなければいけないことがたくさんあります。それなのに、今やらなければ手遅れになってしまうようなことを全部棚上げにして、安倍首相は「憲法改正を!」と国会冒頭の所信表明演説で叫びます。
地球環境も格差是正も、安倍首相の中では優先事項ではないのです。彼は人々の生活や命よりも、祖父・岸信介元首相の執念のほうが大事なようです。なんとも寂しい宰相です。
さて今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」に、戯作者の松崎菊也さんの第2回目です。
松崎さん自身が、9条を大切にしたいと考えているからこそ、護憲派に辛口進言です。
「伊藤真の憲法てならい塾」は、表現の自由とメディアの役割について。議論が分かれる国民投票運動中の意見広告テレビCMですが、塾長の意見は、「期間中全面禁止」。
「今週のキイ・ワード」は、「政権末期」「NHKと政治家」の2本。国会が始まったばかりというのに、ボロボロと出てきた不祥事の数々。いったいどうなるの?
そして国民投票法案のメディア規制について、緊急提言!があります。テレビ業界の人、是非、ご意見を!
「みんなのこえ」「みんなでディスカッション」も更新しています。
それでは、今週もじっくりお読みください。
'07.01.24
VOL.95
日本国憲法は「押し付け」か?
1月20日(土)、カタログハウス・セミナーの催しで、『昭和史』などで有名な作家の半藤一利さんの講演会が開かれました。聞きに行きました。
日本国憲法がどのようにして成立したのか、その過程を、とても面白く、そして分かりやすくお話してくださいました。
お話の中で印象的だったのは、
「この憲法をアメリカからの押し付けだと言う人がいるけれど、それは違うと思う。確かにアメリカ側(GHQ)から提出された原案だが、それを基に1000時間以上にも及ぶ議論を重ねた結果として日本の国会が受け入れたのだし、もしこのアメリカ案が事前に国民に示されていれば、国民の大多数はあの時点で多分熱狂的にこれを支持したのではないかと、私は思っています」というくだりです。
単に現象としての押し付けなのか、それとも議論の末の納得づくの受け入れなのか、この部分は議論の分かれるところでしょうが、私は半藤さんのお話に深くうなづいたのでした。
この辺の事情については『昭和史 戦後篇』(平凡社)に詳しい。読んでみると、目からうろこがポロポロ落ちますよ。
さて今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」に戯作家の松崎菊也さんの登場です。まずは、「世相いろはがるた」でお楽しみください。
「今週のkey」は、「国民投票法案」「現代のゾンビ・共謀罪」「内閣支持率」の3本立て。今週から、国会が始まりますよ〜。
「みんなのレポート」は、 “公開討論会 「国民投票法案」のメディアを考える”についてのレポートです。
それでは、今週もじっくりとお読みください。
'07.01.17
VOL.94
どんど焼き
日曜日(14日)の朝、うちの近所の空地で「どんど焼き」がありました。今の小さなマンションに引っ越したばかりなので、今年初めて気づいたのです。窓からかなり大きな火柱が見えました。
去年1年間の厄災から大事な家族を守ってくれた神社のお札や達磨などを焼き、今年の幸せを祈って、その火で餅などを焙って食べるのだそうです。お汁粉や甘酒がふるまわれていました。
本当に、去年の厄をみんな焼き尽くしてしまいたい。歓声を上げて焼餅をほおばる子どもたちを見ながら、そう思っていました。
青空に立ち上る赤い火と、たなびく薄青色の煙。大人も子どもも一緒になって、楽しそうにはしゃぐ声。
これが本当の教育であり、そして平和ということなのですよ、安倍さん。
さて『今週のマガジン9条』は、
「国民投票」および「国民投票法案」を考えるための、大型対論はいよいよ最終回。9条の条文と乖離のはなはだしい現実。この解釈改憲をどう考えるのか? というところにまで話は広がります。
「伊藤真のけんぽう手習い塾」は、
元日に安倍首相が明言した「内閣として改正を目指す」という言葉のおかしさなどについて、鋭くツッコミます。
「海外から見た今のニッポン」は、
ドイツ生まれの日本研究家であるスヴェン・サーラさんのコラムをお届けします。「日本とドイツの戦後と冷戦後」についてです。
「今週のkey」は、
今週のキイ・ワードとして「2007年のスケジュール」。ざっと7月の参議院選挙までの重要事項を書いてみました。コレは、長期的に対策を練る必要がありそうです。
それでは、今週もじっくりとお読みください。みなさんからのご意見もお待ちしております!
'07.01.10
VOL.93
2007年、連帯の始まり
みなさん、明けましておめでとうございます。今年も、いや、今年こそ、良い年でありますように。
安倍晋三首相は、年頭の挨拶で「憲法改正を参院選の争点に」と語りました。本当に、数年前までは夢物語であった「改憲」が、実際の政治日程に載るところまで来てしまったのです。
いいでしょう、受けて立とうではありませんか!
その意味では、この2007年という年は、きわめて重要な節目の年になると言わざるを得ません。まず「憲法改定」の前哨戦としての「国民投票法案」が、今度の通常国会の重要議案として上程されます。教育基本法改定の二の舞になってはいけません。「改憲」だけは、なんとしてでも阻止します!
いろんな場所で、いろんな立場で、いろんな人たちが声を挙げ始めました。私たち『マガジ9条』も、その小さな一翼として、今年も精一杯の発信を続けていきます。
みなさん、あのベストセラー『憲法九条を世界遺産に』で中沢新一さんが提唱していたように、それぞれの場でそれぞれのやり方で「共同戦線」を張りましょう。連帯こそ力です。
さて今週の『マガジン9条』は、
「この人に聞きたい」に、江戸文化研究家の田中優子さんの2回目です。改憲派が語る改憲理由と、アメリカべったりをより強める政策との矛盾について語っています。
「誌上対論 国民投票法案」は、第2回目です。またもや長文ですが、じっくりお読みください。勉強になります!
「森永卓郎の戦争と平和」の第18回は「2007年の展望」について。
「海外から見た今のニッポン」は、日系ブラジル人のアンジェロさんから「日系移民が戦争を嫌い、ブラジル人が軍隊を信じない理由」についてのコラムが届いています。
「今週のキィ・ワード」は、「スキャンダル」と「御手洗ビジョン」。どちらも新春にはふさわしくない話題ですが、仕方ない・・・
その他「みんなのこえ」「みんなでディスカッション」「みんなの9条」も更新しています。
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