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『「HIKESHI」を世界に普及させよう』マエキタミヤコ

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マエキタミヤコ●1963年生まれ。1986年よりコピーライター・CMプランナー。1997年からブランディング、クリエイティブディレクターとして、NGOの広告に取り組み、2002年に非営利広告メディアクリエイティブ・サステナ設立。雑誌『エココロ』を通して、日々、世の中を環境を意識する社会へと方向づけるために奔走。「100万人のキャンドルナイト」呼びかけ人代表、2005年「ほっとけない世界のまずしさ」キャンペーン実行委員、上智大学、立教大学非常勤講師、2008年より、東京外国語大学 平和構築学(peace & conflict studies)ピースアド担当助教。

 昨年11月に開催された初回イベントに続く第2弾。そもそも「HIKESHI」って何? どうしてジャズ? などなど、マエキタさんに聞いてみました。

——「HIKESHI」のプロジェクトが始まったきっかけを教えてください。

 そもそもは、伊勢崎さんから「紛争予防」という考え方について話を聞いたことが始まり。最初は「紛争を予防しなくちゃいけない」なんて、そんなの当たり前じゃないの? と思ったんだけど、伊勢崎さんは「いや、そうでもなくて、やってる人はあまりいない。国連もまったく機能してない」とおっしゃるんですよ。「だから、みんなでやらなくちゃいけないんだ」と。
 それで調べていくと、「世界を戦争から卒業させよう」と、いろんな形で動いている人がいっぱいいるんだ、ということが分かった。単に「平和がいいよね」とか言うだけじゃなくて、実際に戦争を止めようとしたり、これ以上戦争ができないように仕組みをつくろうとしたり。だったら、その人たちのことをみんなに知らせなきゃ、と思ったんです。

——「知らせる」ことが始まり。

 そう。だって、そういう人たちがいることを知ったら、すごい希望が見えてくるでしょう。あと、これは私がこれまで自然保護NGOの情報発信をやってきた中での経験でもあるんですけど、知らせないと絶対に「潰される」。たくさんの人たちに知らせれば、潰されないで済むんです。
 だから、伊勢崎賢治という人だけじゃなく、そこに象徴される、「戦争を防ぐ」活動をしている人たちのこと、そういう動きが実は勢いを増してるんですよ、ということを知らせていかなきゃ、と思ったんです。

——「HIKESHI」という印象的なネーミングは、どこから?

 「知らせる」にはまず名前だ、ということで、何かかっこいい名前で、シンボリックでメッセージ性があって、しかも呼びやすいものはないか、と考えたんです。で、元になってるのは実は少女漫画(笑)。萩尾望都さんの『11人いる!』の中に「火種と火消し」という言葉が出てくるんですね。戦争を焚きつける側が「火種」、それを防ごうとする側が「火消し」。それを読んで、センスのいいネーミングだなと思っていたので。
 で、その日本語をそのままアルファベットにして、世界へ発信する。憲法9条を世界に広めよう、っていうのと同じコンセプトで、戦争を「卒業」した平和国家日本が「HIKESHI」——戦争の火を消す、という概念を世界に普及していくのはどうだろう、と思ったんです。

——今回は、ジャズライブと組み合わせた「ジャズ・ヒケシ」ですが…。

 どうせ広めるなら楽しく、音楽やデザインの力を使いながら広めていこう、と。チャーミングな何か、音楽でもおいしいお酒でも料理でもいいんだけど、何か相手を魅了する力で戦闘意欲を失わせようというのが平和構築の基本ですから(笑)。
 あと、ほかには「ピースアド」というプロジェクトも進めています。これは「プロパガンダじゃない広告」、つまり戦争や全体主義を煽るプロパガンダの「毒消し」や「中和」になる、平和を構築するための広告物をつくろうという試み。大勢のクリエーターに参加してもらって、昨年から展示会もやっています。

——ジャズ、デザイン…そこからまた、いろんな活動が広がっていけば面白いですね。期待しています!

JAZZ HIKESHI の今回のメンバーです。

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「ジャズ・ヒケシ」は今後、
新宿ネイキッド・ロフトで隔月開催予定とのこと。
次回は3月5日(金)!
また現在、東京・霞ヶ関の世界銀行情報センターにて、
「ピースアド展」も開催中です。
詳細や今後の予定などは「HIKESHI」公式サイトでチェック!

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