マガジン9
憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。
2010-10-14up
政権交代から1年! 「記者会見フルオープン化はいつ?」座談会(大川豊さん×岩上安身さん×畠山理仁さん)
「記者クラブ」が、ない「普通の国」になる日はくるのか?
その8:「情報のフェアトレード」のシステムをつくろう
岩上 正直に、貯金を崩しながらやっていると、ツイッターで答えたことがある。これから先どうなるか分からないけど、「いずれ尽きるだろう」ってつぶやいたら、「口座の番号を教えろ、お金を寄付する」というメッセージが送られてきて、びっくりした。いやそんなもの受け取れないって断ったら、「これは、ドネーション。寄付をするということは、欧米のNPO、NGOの世界だったら当たり前のことですから」って。僕の知らなかった世界があるということを、その時知りましたね。商業ジャーナリズムの世界でずっと生きてきましたから。でも広い世間には、非営利活動に慣れている人たちがいっぱいいる。物販の世界では、ずいぶんと昔から、営利追求の生産企業や流通のあり方とは違う、オルタナティブな活動が、別に存在している。今ではネットを使った産直があったり、消費者によって協同組合方式で生産者が支えられていたり、団体や個人の寄付、カンパで支えられていたり。
大川 「情報のフェアトレード」ね。それを広めないと。
岩上 いいこと言うね、「情報のフェアトレード」。それだよそれ。
大川 総会屋だけど、市民総会屋だから。企業から金もらうわけじゃないですから。国民からカンパをもらう、これいいでしょ?
岩上 そうした人たちの話も参考にしながら、税理士とも相談して、国税に突っ込まれないように、身ぎれいにと気をつけつつ、口座を開設したら、お金を振り込んでくれるサポーターの人が意外にいてですね、えー! って、びっくりしてる。千円とか二千円とかも含めて。支援を頂いてるってことで、背中を押されてる感じがする。同時に、サポーターになってくれる人は、疲弊しきった地方にもいっぱいいるわけですよ。そういう人たちのことを考え、その暮らしを盛り上げなきゃいけない、何かできることはないかな、と、町おこし的なことも含めて考え始める。だから、僕は呼ばれれば、どこへでも出張して、お話しさせてもらいますって、言ってる。「トークカフェ」というタイトルをつけているんだけど、僕が身一つで出かけて行って、ミニトークイベントを開くだけではなくて、必ず、懇親会をする。すると、参加者ははじめはバラバラなんですけど、一種のオフ会のようなもので、同じ地域の中の人たち同士も知りあうんですよ。既存メディアに対抗するために、最も先端的なツィッターなどを使いつつ、同時に最も古いメディアである、集いと語らい、を実践しているんです。
編集部 地方とのネットワークづくりも、非常に大事ですよね。そこはネットだけじゃなく、リアルな場で顔をあわせたい。
岩上 僕自身、ジャーナリストとして現役でやれるのが、仮に40年だとすると、これまでの30年間はね、本当にしょうもない環境の中にいたなっていう感じがして、悔しい思いはあります。で、情報の受け手である市民の方も、ストレスは相当あったと思うんです。もちろん面白きゃいいや、の大衆もいると思うけど。でもお金出してでも、寄付してでも良質のメディア、良質の情報、良質のジャーナリストが欲しいと思っている人が、こんなにいるんだって最近まで知らなかった。そういうものに出会えた、そういう状況が生まれてきたというのは、ほんとうに良かったなと思います。
畠山
僕がなんでこんなお金にならないことを続けているかっていうと、「記者クラブによる情報の独占はおかしい」と思っているからなんです。記者クラブを構成するメディアも、普段は「社会の木鐸」なんて言ってるけど、本当は利益を追求する一私企業にすぎません。その上、権力側から無料の記者室などさまざまな利益供与を受けている。だから権力側や記者クラブメディアにとって「不都合な真実」を報じないというケースが出てくるんですね。
たとえば新聞とテレビの資本関係を規制する「クロスオーナーシップ規制」や「官房機密費がマスコミに流れていたという疑惑」。つまり記者クラブは情報を独占することで「報じない」という権力を行使してきた。そして「報じられなかったことは、なかったこと」になってしまう。それは国民にとっても損失です。
記者会見という公の場に、権力側とのしがらみがないフリーランスの記者がどんどん入ってかき回していくことで、結果として日本が「普通の状態」「健全な状態」になっていけばいい。記者クラブの記者では聞けない質問があったら、それはフリーの記者にさせればいい。記者クラブとフリーが対立しても、いいことなんかない。喜ぶのは「厳しい質問」にさらされない権力側なんですからね。
編集部 長時間、ありがとうございました。
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「情報のフェアトレード」システムを作ることは、
これから私たちも含め、みなさんと一緒に考えていく課題です。
健全な言論空間、世論、民主主義を作るために・・・
一緒にやってきましょう。
【読者プレゼント】
大川興業第35回本公演「OTOなOTO おとなおと」(作・演出:大川豊)のチケットをプレゼントします!
東 京公演/10月16日(土)14:00・19:00
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に2組4名ずつご招待。
希望者は希望の公演を書き、
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