マガジン9
憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。
2010-10-09up
政権交代から1年! 「記者会見フルオープン化はいつ?」座談会(大川豊さん×岩上安身さん×畠山理仁さん)
「記者クラブ」が、ない「普通の国」になる日はくるのか?
その3:オープン化に積極的な大臣、消極的な大臣
大川 僕が畠山さんと組んで、週刊プレイボーイの政治家との対談を連載でやるようになって・・・その後からですよ。TVタックルとか、政治をバラエティ化したような番組ができたのは。全部僕らに追随してきたんですよ。
畠山それまで政治はホント遠かったですもんね。ネクタイしめた人しか語っちゃいけないみたいな所に、僕らみたいなジーパンはいた人間が出かけていって。
岩上そういえば、外務省に大川さんが参加を申し込んだときに、僕の所に報道課の人から電話がかかってきた。「大川さんて、あの江頭2:50さんが所属している事務所の人ですよね?」って確認しに来たから、「そう、彼の親分」って答えたら、「あの〜会見に出てきて、裸になったりしないですよね?」って。そんなこと、わざわざ聞いてくるかと(笑)。
畠山金融庁でも聞かれましたよね。「大川さんは、今回は芸人としての参加ですか?」って。そんなわけないでしょ(笑)。でも亀井(静香)さんはね、「渋谷でシンナー吸ってるような奴も(ここに)来なさい」って、記者会見で言ってるんですよ。
大川 そういう人も来なきゃダメなんですよ、ほんとに。
編集部 亀井さんの評価って、まわりからどうだったんですか?
畠山いやあ、あんなに記者会見を楽しんでやってた人は、いないんじゃないですかね。岡田さんも楽しんでいたけど。
岩上フリーの記者が有志で集まって、5月12日に「オープン市民会見」というのを企画して主催しましたが、最初この企画を持ちかけた時に、副大臣の大塚さんらが心配して、「とんでもない質問とか、不規則発言が飛び出したらどうするんだ」という懸念を示されました。たしかに一般の人は、質問慣れしていない人もいる。でも亀井さんは、ご本人も、側近も、「全然そんなの気にしないから。ノープロブレム」という感じでした。
街頭演説って、大衆の中に入っていく行為じゃないですか。ヤジにも身を晒していくわけですし。亀井さん、そういうドブ板の街頭演説をやっているときに、街宣車が横につけてきて、「コラー亀井! 国民新党ふざけんなー!」とか、嫌がらせをされたことがあったんだそうです。ところがそこで、亀井さん、「うるさい、だまれー! 俺が演説し終わるまでそこで待ってろ!」と怒鳴り返したんだそうです(笑)。大喧嘩になったらしいんだけど、それもちゃんと後でおさめて、仲良くなっちゃった、みたいな話も聞いたことがある。胆力が違うんでしょうね。「そんなもんにガタガタ言われて、政治家なんかできるか!」みたいな。そういう胆力が無いと、オープンで市民会見なんてできないでしょう。
だから記者会見がオープンになったら、予定調和の質問以外受け付けないなんていう政治家は、淘汰されちゃうでしょうね。亀井さんの政策には、賛否あるだろうし、人柄についても好き嫌いはあるでしょう。だけど、そういう「政治家として、有権者の前に、我が身を晒す」というその身構えに関しては、非常に評価できるなと思います。
編集部逆はどうなんでしょうか? この大臣は「オープン化」に関しては、ダメだなみたいな。
畠山現在(2010年6月現在)記者会見すらオープンになってないのは、二人いますね。三人かな?
岩上もっといるでしょう、国交省の前原大臣を筆頭に。
畠山前原さんはね、今まで一度も「オープンにする」とは、言ってませんね。
岩上彼に関してはね、これは僕が取材して確認している事実なんですが、国交省副大臣の馬淵さんが、会見をオープン化すべきと、何度も進言しているんですよ。それなのにしない。
大川 何でですか?
岩上それは彼に聞いてよ(笑)。
大川 国交省の記者クラブの抵抗が強いのかな?
岩上記者クラブの抵抗が仮に強くても、一日に二回、分けてやる金融庁方式とかさ、別の日に行う環境省方式とかさ、大臣がその気になれば別方式でフリーの記者会見をもうけることができるじゃない? だから、やろうと思ったらできるに決まってるの。
畠山そもそもやる気がまったく無いんですよね。
編集部長妻大臣は? すぐにでもオープンにするのかと思ってましたが。
畠山長妻さんは、省内事業仕分けについては、オープンだったんですよ。それ終わった後にぶら下がりやったんで、その時に僕聞いたんですね、なんで通常の大臣記者会見をオープンにしないんですかって。そしたら「前向きに検討します」と。(注:5月25日、記者クラブ側の自主的な判断によりフリーランスの記者も参加が認められるようになった。詳細は「永田町記者会見日記」第14回)
編集部そんな官僚みたいな答え(笑)。あれだけ官僚を批判してた人がね。
大川 ふたりとも官僚になっちゃったってことですかね、はー。
畠山 だからもう期待してません。
編集部あとどなたですか?
畠山 中井洽国家公安委員長ですね。そして官房長官。
岩上中井さんに関して言うと、国家公安委員長だけの記者会見を開いてもあまり意味が無いんだろうと思うんですよ。国家公安委員会というよりも、警察庁長官の会見が開かれなくてはお話にならない。警察の会見が開かれるということは、非常に重要なんですよ。というのは、やっぱりメディアの報道の多くは事件ものだったりしますから、事件報道するためには警察の記者会見がオープンにならないといけない。それには、警察庁長官が開かれれば警視庁のトップの警視総監、それから各都道府県の本部長の会見も、各署長の会見も開かれることになるでしょうね。それはすごく多くの取材機会を得られるということです。しかし警察というのは、他の省庁とまた別次元の権力を持っているでしょう。警察権力という。これまでは、テレビカメラもダメ、録音もダメ、スチールもダメ、顔写真を撮っちゃダメ、何もかもダメだったんですね。それを中井国家公安委員長と警察庁長官が並ぶ形で、記者クラブだけですけど、録音、写真、テレビカメラもOKになったんですよ。政権交代して体制内改革は少し行われたんですね。しかし事件報道自体は、これまでと大して変わらないわけ。映像も全然流れないしね。
大川 たしかに動いている映像、見たこともないし聞いたこともない。
岩上だから所詮、「記者クラブ」に限定しているからで、やはりそこを「オープン」にしていかないと、変わらないんですよ。
編集部そういえば、東京地検はオープンになりますね(*注/4月23日にホームページ上で発表された)。
大川 お! とうとう。
畠山事前登録が必要なのですが、申請に必要な書類がものすごくたくさんある。気になる条件としては、「過去三ヶ月間、毎月一回以上刑事事件に関する署名記事を書いている者」。記者会見にも入れてこなかったくせに、記事書けるかよっていうの(笑)。
編集部しかも毎月一回以上って、そうとう厳しいですよね。登録できる記者は、かなり絞られますね。
岩上だから、結局フリーも限られた人しか入れないようになってるんですよ。
*
記者会見に積極的な政治家とそうでない政治家。
いくら「記者クラブ」の抵抗が強くても、
大臣がやる気になれば、「開く」のだということは、
すでに実証されているのですが・・・。
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