マガジン9
憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。
2010-10-08up
政権交代から1年! 「記者会見フルオープン化はいつ?」座談会(大川豊さん×岩上安身さん×畠山理仁さん)
「記者クラブ」が、ない「普通の国」になる日はくるのか?
その2:なぜこれまで日本の大臣会見は「オープン化」されなかったのか?
岩上ちょっとね、想像を絶する世界ですよ。その手の話をしていくと、どんどん脱線するけどさ(笑)。霞クラブっていったら、外務省記者会のことだから、岡田さんが大臣になってから僕ら三人とも行ってるわけだけど。それこそ毎日新聞の記者だった西山太吉さんたちの時代は、ボスがあのナベツネさんで、霞クラブでの記者会見では、ナベツネさんの席は記者席じゃなくて、大臣の隣。記者のほうを向いて座る。しかも会見の間中、自分は一言も質問しないで、パイプをくわえて、大臣と後輩の記者たちに睨みをきかせていたそうだ。
大川 ほんとなんですか、それ?
岩上ほんとだよ。西山さんが言っていた(笑)。本人から直接聞いた話。
大川 それ政治記者じゃなくて、フィクサーが表に出てるようなもんですよね。
岩上そう、それが国民の目にさらされないだけ。しかしその当時、国民はどうやって「この世の中」について知っていたかというと、新聞とテレビの情報が頼り。
大川 それ、中継して欲しかったなー。
岩上国民は実態を全然知らされない。どれほど異常な言論空間の中に、日本人はこれまで生きてきたか、ですよ。その象徴的な存在が、ナベツネ氏であったわけです。読売新聞の政治記者として、自分が眼をつけた政治家を首相にしたりとか、戦後のフィクサーである児玉誉士夫とずっと付き合いがあったとかね。そして80代の高齢ながら、現在も日本の言論空間に圧倒的な影響力をおよぼしていて、政権交代をした直後にはあったはずの、本来の民主党的なものを、ほぼ葬り去ることに成功しつつあるわけですよ。メディア界のリーダーというよりは、この国のフィクサーのようなものです。検察に追い回される小沢一郎の権力より、ナベツネ氏の方が、ずっと上にある。そのくらい世間の常識を超えた世界なんです、日本の記者クラブっていうのは。
大川 大臣の隣でパイプの煙をくゆらすナベツネ。誰か写真とってないかなー。
岩上西山さんが言ってたんだからまちがいないよ。酒を飲みながら、「あの頃はな〜」と言いつつ、延々と昔話を話してました。俺たち、昔の新聞記者がどれだけ凄かったか、みたいな。かつての不良少年が昔のヤンチャ自慢しているようなノリでね。
編集部ところで、大川総裁は、なぜ大臣の会見に行くようになったんですか?
畠山僕が政権交代後に色んな会見に行き始めたころ、大川さんに「最近、なにやってるの?」って聞かれて、「各省庁の大臣記者会見に行ってるんですよー。まだオープンになっていないところもあるから、早く開けろ開けろって催促したり。仕事以外の活動家みたいなことやってます」と言ったら総裁が、「いーなーいーな、楽しそうだなー」って。
大川 そうそう、そうね。
畠山それで是非いらしてくださいよって。記者会見に参加するためには省庁や記者クラブが課している条件をクリアしなければならない。ライターだと、「日本雑誌協会加盟社が発行する出版物に定期的に署名記事を寄稿していること」という条件がある。その基準を最初に決めたのは岡田さんなんですけど、「大川さん、条件にかなってるんだから、ぜひ一緒に行きましょう」って。
大川 実は俺、10年以上前から雑誌で政治の連載をずっとやってきてるんだよ。例えば、田中康夫さんが長野県知事の時に、「脱・記者クラブ宣言」(2001年5月)をして、記者クラブの開放をしましたが、そこで起こったことはめちゃくちゃ面白かったよね。
畠山記者会見室の使用も市民にもオープンにしてたから、会見をやりたい人はどうぞ自由にお使いくださいと。すると、田中さんの会見が終わった後に、田中県政に批判的な人たちが来て、「田中康夫はけしからん」ていうのを延々やってるわけです。「白バラ会」と名乗る市民グループの人たち、毎回数回(注※)来てましたね。
注※:校正のチェックミスがありましたので、訂正してお詫びします。
編集部まさに開かれてますね。(笑)
大川 以前から俺は、政治は国民のものにするべきだと思ってきたから、まだ政治が「バラエティ化」してない頃に、小沢一郎氏に「週刊プレイボーイ」に出てもらったんですよ。おそらく政治家で、一番最初にあの手の雑誌に引っ張ってこれたのは、小沢さんなんじゃないかなあ。
編集部小沢さんは、昔から記者会見はオープンに開いていたそうですね。
大川 新進党の時に、やってました。
岩上断続的なのかもしれませんが、でも、基本はやってきましたよね。記者の小沢さんへの評価って、小沢のことが好き嫌いかで、書き方が変わってくる。でも例えば、フリージャーナリストの先輩である渡辺乾介さんのように、ずっと小沢さんの取材を続けてきて、記者クラブしか認められなかった外遊の同行を許されてきた人もいる。そしてそのことを、何度も雑誌や本にお書きになっていますからね。
畠山自由党の時に、小沢さんの定例記者会見、行ったことありますよ。
大川 俺もふつうに自由に入ってました。
編集部しかし小沢さんて、どういうわけかまったくオープンなイメージもたれてませんよね。なぜなんでしょう?
岩上小沢さんは記者クラブと対立していたから。だから叩かれるんでしょう。
大川 選挙で勝とうと考えてる人は、やっぱり記者クラブ(を取り込んでいる)だけじゃまずいと思うから、それはそうなるでしょう。
岩上その一方で、多くの議員は、記者クラブの機嫌を損ねて、悪いこと書かれると、選挙で落とされちゃう、という不安や打算もあるわけですよ。ご機嫌をとる人もいる。
*
戦後から今まで、
実はずっと「異常な言論空間」に私たちはいたのだ、
ということを知らされて愕然!
一刻もはやく「普通の国の言論空間」になるためには、
どうすればいいのでしょうか?
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