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2011-05-18up
松本哉ののびのび大作戦
第46回:ついに福島でデモ! 空前の反原発デモブームがさらに拡大か!
「実はとっくに燃料溶け出してました」みたいなとんでもないニュースも入ってきて、福島原発もいよいよ収拾つかないことになっている。もう、これはいよいよ一刻も早く原発をなくしていく方向に持っていかなきゃ、世の中大変なことになる。…と、そんなときに、福島のいわき市で原発に反対するデモが行われるという情報が入ってきたので、思わず行ってしまった!!!!!!!
いわき市といえば、福島第一原発から50kmぐらい。放射線量も多いし、いわきの人からしたら事態はより深刻! そんな人たちがデモを起こすんだったら、これは応援するしかないぞ!!
さて、そんなわけで早速いわき市に着いたんだが、勢い余って早く着き過ぎてしまったので、せっかくだから辺りを回ってみることにした。とりあえずいわき市から車でさらに北へ向かってみると、原発から近いせいか人も急に少なくなってくる。2~30分走るとガソリンスタンドもコンビニも閉まっていて、いよいよ人っ子ひとりいなくなってきたと思ったら、そこがちょうど原発から20キロ圏。最近、ついに立入禁止になったとのことで、ものすごい量の警察が道をふさいでいて、こちらのペンキまみれのポンコツ軽自動車=素人の乱号を見つけるや否や、走り寄ってきて「UターンUターン、早く早く」って感じで、指示してくる。う~ん、「危ないから早く戻れ」と言う係ってのも酷な仕事だな~。よし、これはやはりデモに参加する権利のない警官の分まで原発に文句言わないといかんね!
さて、いわき市への帰り道。海沿いの道なので、被害も相当見られた。地震で潰れた家、燃えた家、津波で流されたがれきの山。テレビやネットでは見た光景でも実物見るとやっぱり違うね。すごい迫力、というかすごい自然の力。こりゃあ、いくら強固な原発作ってもひとたまりもないよ。
神様 仏様 東電さま 早く元の海を返せ。漁民
そういえば、この海沿いの道=国道6号線だが、実は学生時代はだいぶ世話になった道だ。北へ向かう時は、山間部を走り大きい街も多い国道4号線よりも、比較的平坦で田舎道の6号線を使っていた。しかも! 東京から歩いて来たこともあるし(この時はまさにその原発20キロ圏の楢葉町まできた!)、ママチャリで通ったことも2回あるし、バイクを使う時もたいてい原チャリだったので、この道はだいぶ頭に残ってる。おまけに必ずと言っていいほど超貧乏旅行でロクに金を持ってなかったので、野宿してたりその辺で自炊したりしたから、地元の人ともよく仲良くなったし、いろいろお世話になった時も多かった。よく泊めてもらった家もあったりした。みんな無事なのかどうか心配でしょうがないが、さすがに、こればかりは確認のしようがない。
で、今回いわき市の北端の四倉というところを通ったんだが、ここの港もすごいことになっていた! 相当津波で流されたようで、本当にがれきの山だった。ここは平凡な道を走ってくると急に漁港になって開けてるところだからよく覚えていた。が、ずいぶんと津波が押し寄せてきたみたいで、港も店も潰れまくっていて、なんだか別の場所みたいだった。
市場はやたらと活気づいていた!!
ところがなんと、港の真ん中に残った建物を補強して小さい市場ができていた。で、これがまたやたら活気がある。魚介類からお菓子、野菜などが売られていて、家族連れも多いし賑わっていた! すごいすごい! 売ってる店の人たちも楽しそうだ。やはり商売人が一番うれしいのは、お客さんにものを売って喜んでもらって、それで自分も生活していくということ。単にお金やものをもらうだけより、商売が成り立っていることが一番うれしいはずだ。よし、なんか買おう! …と、思って市場を見てまわると、なんとウニ飯が200円! おお、これはいい。しかもうまそうだ! さすがに売れ筋なのか、結構みんな買って食べている。ずるい、うまそうだ。俺も食いたい! 在庫も大量にあるみたい。よし、買う買う! ぎゃー、これはめちゃくちゃうまい!
おや? でも、よくよく考えたら、この辺原発に近くなかったかな? 海にも放射能水を1万トンとか捨ててなかったっけ?? おやおや? 大丈夫? よくまわりを見たら、ガキんちょたちも大喜びですしとか食べてるけど。細かいことはよくわからないけど、いろいろと計算してる人、頼むよ! もし危ないようだったらすぐ教えてよ。
…ただ、この問題はもういろいろと推測をしてもしょうがない。政府が情報を隠蔽してそうで怪しすぎる一方、逆に変な噂が立ったら問題ないものも危ないことになっちゃう。品目によっても全然違う。要はリスクだの生活だのを考えて、自分で考えなきゃいけないってことだ。これは難しい!
そういえば1995年ごろ、ベトナムに行ったことがある。このとき、まだロクに観光化されてなかったせいか、ちゃんとした観光ルートではなく、現地のベトナム人の兄ちゃんが「案内してやる」と、どんどんメコン川の支流のジャングルの奥のほうに小舟で連れて行ってくれた。間違いなく死ぬと思ったが、実は相当いい人たちで、いろいろともてなしてくれた。が、このエリア、まだベトナム戦争時に米軍がばら撒いた猛毒の枯葉剤が残ってる可能性があるとのこと。当時、ベトナム政府は「安全宣言」を出したばかりだったが、国内でも「観光客を呼ぶために、まだ危ないのに適当なこと言ってんだろ!」みたいな意見もあったりして、非常に怪しい感じだった。だが、そのいい人たちがまた色々頑張って「うまいもの食わせてやる」と、料理してくれる。その辺の果物や木の実は大量に持ってくるし、小川でとっ捕まえてきた、土まみれの魚とか大喜びでさばきだすし…。しかも相当うまそうだったし、情報がチンプンカンプンの自分としては、これはもう食べるしかない!!
ウニめし。これはうまい!!
東京の水道水だってわかったもんじゃないし、結局は知る限りの情報で決めるしかない。ってことで、こういう時にこそ政府が正しい情報を出してくれないと困る。秩序を保つとか金もうけとかの理由で、適当な情報操作なんかして人を実験台みたいにしてたらとんでもない大罪だからね~。あとで一揆でも二揆でも起きても知らないよ! くれぐれもそういうことはないように。と、釘をさしておこう!!!
ま、いいやそれは。さて本題のデモの話!
出発地の公園に着くと、まだ早すぎたので準備中だった。でも早くもちらほらと参加者も集まり始め、デモも盛り上がりそうな感じに! ちなみに、この日はとても天気がよく、格好のデモ日和。しかもこの公園が一面芝生でとても気持ちがよく、集会が始まるまで芝生に寝転がってちょっと昼寝! よし、こうなったら心身ともにリフレッシュしてデモに備えよう! 東京電力、ざまあみやがれい!!
そうこうしているうちに集会も始まり、ママさんの切実な訴えから、懐かしのアジテーションまで、いろんな人の挨拶が始まった。「どこどこでは何ミリシーベルトで、こっちでは何ミリだった! こんなキケンな状態を放置するな!」みたいな話も続出し、やはりリアルな感じがした。たくさんの人から「原発冗談じゃない!」っていう声が上がり、いよいよデモ出発へ!
街もまたリアルで、地震の名残で道がデコボコ。デモコースはいわき駅に向けてで、街の中心部を通って進んだ。デモは先導の演説カーに始まり、4~500人ほどの参加者が続き、中には同じく東京からやってきたイルコモンズ氏らのドラム部隊もいて、やたらとデモを盛り上げたりもしている。で、最後にサウンドカーで音楽をかける部隊と、デモは派手に続いた。しかし、さすが原発に近いだけあって、街の人も何かしらの思いはあるようだ。避難所の前を通った時には、避難してきている人たちが出てきて手を振ってくれるし、警備で出てきてる警官も「みなさんの気持ちはわかりますよ」って感じ(渋谷の警察、見習ってくれ)。デモの最後のほうには、通りがかりの部活帰りの地元の高校生3人組が思わず混じってきた。拡声器を使って「原発やめろ!」とコールし出し、ドラム部隊に混じってやたら盛り上がっていた。すごいすごい!
いわき市内をデモ! 天気も良く格好のデモ日和!
解散後はそのまま、また出発地の公園に戻り、ビールなどを買ってきて適当に交流会! いや、いいね、のんびりして。よし、また昼寝だ!
この日、政府発表がウサンくさ過ぎるってことで、いわきで小学校や幼稚園の放射線量を測ったりしているグループの人もいたので、放射線量を測るガイガーカウンターが何台か置いてあった。楽しく飲んでいると、その機械が突然「ビービー」と鳴り始めた! おや、と思って機械を見てみると、0.65マイクロシーベルト。ギャー!!! これは大変だ! 防護服、防護服! 昆布、昆布! …と、思ったが、よくよく考えたら、これがどれぐらいの数字なのかチンプンカンプンだったことに気づいたので、ひとまず深呼吸して落ち着いて話を聞いてみた。「うん、ちょっと高いね」だって。なるほど、その程度か。やっぱり、雨に混ざって地上に落ちてくるから、2か月もたつと土壌も少しずつ汚染されてくるんだって。ちなみに、地面に関しては東京も同じで、場所によっては意外と高い数字が出てるとのこと…。チキショー、さっきの昼寝どうしてくれるんだ!! だまされた。どうりで誰も寝そべってないと思った! よし、これからはハンモックだ!
ガイガーカウンター。うん、ちょっと高いね!
ともかく、そんな感じでデモも無事終了! 次の予定などはまだよくわからなかったが、福島県内でも6月11日の全世界反原発デーの時は何かあるらしい。
しかし、デモに参加する・しないを問わず、原発周辺の人がどれほどの思いなのかを考えたら、首相にしても東電社長にしても、第2第3の事故が起こる前に一刻も早く原発を止めなきゃ、人としてマズイよ、ほんとに。頼むよ!!!!
6月11日(土)
全国&全世界同地多発!
原発やめろデモ!!!!! 第3弾!
※詳細はまだ未定!
*
松本さんが参加したいわき市デモの様子は、
こちらのブログで写真を見ることができます。
さまざまな事情がありながら、声をあげはじめた地元の人たち。
それをどう、全国レベルの「脱原発」のうねりへとつなげていけるか?
震災・原発事故から3ヶ月、「6・11」は全国一斉行動の日です!
松本哉さんプロフィール
まつもと・はじめ「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ
「松本哉ののびのび大作戦」
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松本哉さん登場コンテンツ
- 2010-12-22日本で韓国で「のびのび大作戦」
【この人に聞きたい】
松本哉さんに聞いた
- 2008-01-09その1:路上を僕らの解放区に!
- 2008-01-16その2:消費するだけの街から文化は生まれない