マガジン９

　５月７日の渋谷デモも盛り上がり、次はいよいよとんでもない規模の６月１１日の世界全都市同時行動！！　いやー、これはいよいよ世の中が動くかどうかの瀬戸際になってきた～！！　大変だ大変だ！
　…というタイミングなんだが、実はなんと台湾に足を運んできた！　南国で人も明るいし、食べ物もうまいし、楽しいね。みなさんもぜひ足を運んでもらいたい。…ただ！　もちろん、こんな時期に休暇で観光に行ったわけではない！！　反原発作戦にかかわる超重要任務で行ってきてしまったのだ！

　まずは、日本と台湾の反原発デモをめぐる関係が面白いので、ちょっと紹介しておこう。
　福島原発の事故以来、全世界に反原発の火が付きまくっているが、台湾もその例外じゃなく、結構盛り上がっているという。元々、台湾では第４原発の建設を巡って、大揉めに揉めていた。台湾でも原発事故も多発しているし、第４原発建設にあたって先住民の遺跡を壊しまくったりもして、大ブーイングのなか建設されようとしていた。しかも、恥ずかしいことに、東芝、日立に加え三菱なんかも紛れ込み、寄ってたかって売り込みまくっており、ほぼ日本製の原発を押し売りのように建てようとしていた（みっともない！）。で、そんなときに本家本元の日本の原発が２つも３つも大爆発して吹っ飛んだもんだから、これはもう台湾の人たちもびっくり仰天もいいところ！　「冗談じゃねえ、やっぱりあぶねえじゃねえか！」と、大反対の声が広がりまくったという。
　で、４月３０日に台湾で巨大デモを開催することが決定。政党から市民団体からその辺のよくわからない連中まで、既存の枠組みを超えて準備が始まった。…で、これ、どこの国でもあることだが、年配の人々の渋い運動に対し、若い連中は「もうちょっと、いい感じでやりたいよな～」と言い出す。そんな時、ヨーロッパに行ったことがある奴らなんかもいて、その経験から「サウンドデモをやってみよう！」ってことが決定！　なんと、台湾初のサウンドデモ！　これはすごい！

　ただ、日本同様、重鎮たちは「なんだそれ？」「遊んでんのか？」「まじめにやれ」「意味あんのか？」などと、いまいち理解しない。でも若い奴らは「いや～、なんとかやりましょうよ～」と、説得に走る！
　そんな時、タイミングでよく４月１０日の「高円寺・原発やめろデモ」が勃発！！　日本で、超巨大サウンドデモで盛り上がっているのを、実は台湾からもUstreamやyoutubeを通して注目していたという。で、これを見て向こうの連中もテンションあがりまくりで、「これ！これ！これ！」って感じで、勢いがつきまくったという。いやー、偶然かもしれないけど、このいいつながりがまたなんだか嬉しいね～！！　で、４月３０日の台湾デモの映像を見てみたら、これまた日本のサウンドデモとそっくり！！！　２台出したサウンドカーの片方はロックやパンクが中心のバンドカーで、もう一台はテクノ中心のＤＪカー。トラックの荷台に巨大なサウンドシステムを積んで、周りで若い連中が盛り上がりまくっている…。おい、同じじゃねえか！！！　もちろん、同時進行で準備してたわけだから別にまねしたわけじゃなく、完全にノリとかセンスが似てるんだろう。うーん、これはいよいよ親近感がわいてきたぞ。それでもう、「これはお互い似たようなことやってる奴ら同士、交流して景気づけるしかないね！」という流れで、台湾行きが決まった。

深夜０時を超えたら、突如お祭りが始まって、街中大騒ぎになった！　う～ん、賑わってるねー！！

　さて、どうせ行くなら表面的なデモの話だけじゃ意味がない。なんで急遽、巨大なサウンドデモが開催することができたかってことの情報を持っていかなきゃいけない。もちろん、組織力ゼロの「原発やめろデモ」が毎回盛り上がるのは、世の中の世論だったり、各参加者の意思だったり、情報拡散しまくった人の力のおかげがほとんどだ。ただ、機材の準備や手続き、出演者との調整など、地味な裏方作業がやたらとスムーズにいってるのは、常日頃から、政治・社会運動とは関係ないイベントやら遊びをやりまくってたり、それぞれのお店の商売上のネットワークだったりっていう背景があるのが大きい。要するに、一見ムダなことや遊びをしまくっていたというのが相当役に立っている！　その辺は、この連載を読んでくれてる人ならなんとなくわかってくれると思う。
　そんなわけで、ドキュメンタリー映画の『素人の乱』（なんと友達が中国語字幕を付けてくれた！）や、なんとかフェスや昔の高円寺のデモの映像なんかも持って行って、上映＆トークのイベントをやることになった。

直走珈琲。ここは是非おすすめ！！　もちろん日本語は通じません

　さて、準備万端で台湾に行ってみると、「直走珈琲」という、まさに台北の素人の乱のような店があった！　いろんな奴らが集まって店を手伝ったりしていて、そこでいろんな情報が集まったりしている。さらに、地下室は音楽スタジオになっており、遊び場としてもいい。なかなか広いし、これはうらやましい！！　そういえば、この前韓国に行ったときも、ソウルにピンカゲ（「空店舗」っていう意味）ってカフェができていたが、ここも似たような感じだった。う～ん、それぞれ知らなくてもみんな似たようなこと考えるもんだな…。これはもう、みんな連合を組むしかないね！！

直走でのイベント。なかなかごった返している！！

　イベントは、この直走珈琲のほか、台北では芸術系のスペース＝ＴＣＡＣでもやった。ここは、書店の２階がフリースペースになっており、すごいたくさんの人が集まっていた！　さらに、２８日からは台湾南部に向かい、台南という町でイベント。この南部がまたのんびりしたいいところで、すべてが非常にスローペースでよかった。イベントはまず「知事官邸」という場所。なんて名前だと思ったら、本当に官邸。日本統治時代の県知事官邸の建物がそのまま残っており、そこが今は博物館兼ギャラリーになっている。ここで今回の台湾ツアーの主催者の友達のアーティストが個展を開いているということで、上映会もやることになった。完全にバチ当たりのような気もするが、そこの前の庭で畳を敷いて飲み食いしながらの上映！　う～ん、べつに示し合わせなくても同じセンス！　なかなかやるな！！
　最終日は、おしゃれなカフェで。台南は門前町なので、古い建物がたくさん残っており、そこを若い人たちがうまく再利用して何かやるのが流行っているという。家具や電気製品など、台湾の戦前・戦後ぐらいのものがたくさんあり、日本のものとすごい似てたり、少し違ったりして、リサイクルショップ的には相当面白かった！　ま、それはいいや。

知事官邸前で畳を敷いて飲み会の準備。これはヤバい！！

　さて、イベントのほうがまたよかった。映像などもよく受けていたし、その後のトークなどをしていても思ったんだが、これまた感覚や雰囲気が近い感じがする。おかげで、どうも話も早く、デモの手続き的にはどうなってるのかとか、警察が来た時はどうするのかとか、サウンドシステムはどうやって準備してるかとか、お互いのノウハウを交換できてかなり有意義な話になってよかった！
　ただ、もちろんイベントもよかったんだが、その合間合間でウロウロしたりしていた時の、そのライフスタイルが非常によかった！　とりあえず、超のんびりしている！　「あれをやろう」「これをやろう」と、セッカチ風に言い出すんだが、やたらと行動が遅い！！　すぐ寄り道もするし、町でも誰かと話し込んだらやたら長い。で、約束の時間なんかもあってないようなもんだし、とにかく適当な感じが非常にいい。で、自然と妙な連中がワラワラと集まってきたりして、飲み始めたり、夜の街に繰り出してみたり、なんだか生活のレベルがかなり高い！！！！　で、デモを起こす連中の悩みも、「いやー、台湾人はみんな生活に満足してるからデモに出てこないんだよ」だって。もちろん、みんながみんなじゃないだろうけど、これはこれでいいことでもあるね。少なくとも、今の東京のように、ややもするとコミュニケーションもなく荒涼とした大都会で貧困と孤独に耐えるなんていう環境はからは程遠い。ずるいずるい、楽しそうだ。ま、こういう点でもいま素人の乱がやっている高円寺の雰囲気に相当通ずるものがあって居心地いいのかもしれない！！

今回の台湾イベントの受け入れをしてくれた人々！

　そんなわけで相当仲良くなってしまったので、イベント中や飲みながら、日本と台湾のよくわからない有象無象の連中同士で、いかに面白いことを共同でできるかなどの新作戦も大量に話し合ってきたので、これは今後の進展を期待しておいてもらいたい。いや、楽しみだ！！

　さてさて、そんな感じで、日本＆台湾の大マヌケな連中の関係も、急速に緊密になってしまったところだが、日本ではついに６月１１日のデモを迎えてしまう！
　今回は、震災＆原発事故から３ヶ月の節目ということで、いよいよ３・１１以来、最初の山場がやってくる！　４月１０日の高円寺デモ、５月７日の渋谷デモに続き、今回は新宿デモ！！　西新宿の新宿中央公園から、新宿中心部に向かうかなりいいコースだ。さらに、今回は、素人の乱呼びかけの一連のデモだけにとどまらず、これまで原発に反対してきたいろんなグループや団体などが、一斉にデモを行うということになっている！！！！　それどころか、全世界でも連携してデモが発生するとのことで、まさに地球上がデモだらけになってしまうってことだ…。うひゃー、これはもうここ数十年で一番巨大な動きになることはほぼ間違いない！！
　よくよく考えてみたら、こんな事故を巻き起こしておいて、被害もとんでもないぐらいに出ているにもかかわらず、原子力政策が存続するなんて、そんなマヌケな話はない。これで開き直って「たぶんまだ安全です」なんていいだすようだったら、もう日本の世の中は終わりだ。脱原発で、いろんな国に先を越されてる場合じゃない。日本こそ、一刻も早く原発を止めないと話にならない。「あぶねえからヤメロ」ってのを振り切って、家の中で七輪を使い続けていた奴が大火事を出したとする。で、そいつがしぶとく「今度は安全に使うから大丈夫」なんて懲りてなかったら、ぶんなぐられるか、近所の人がみんな引っ越して逃げちゃうかどっちかだ。いい加減、勘弁してもらいたい。
　百歩譲って一瞬で止められないとしても、日本政府には大慌てで全速力で全廃に向けて動き出すぐらいの気概はほしいもんだね～。まったく、原発政策の張本人の自民党なんかと組もうとかバカなこと考えてる場合じゃないぞ。頼むよ、本当に！！
　さあ、こうなったらもう、デモの少ない日本では歴史的にも超稀な史上空前のデモに参加してみるしかない！　６月１１日は新宿へ！（別のデモでもいいよ）
　キミも歴史の生き証人になるしかない！！！！！