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2011-04-20up
雨宮処凛がゆく!
野菜にも一言いわせて!
さよなら原発デモ。の巻
大分KCIAと。
4月17日、東電は原発事故収束への工程表を示した。それによると、原子炉を安全な状態で停止するのにかかる時間は6〜9ヶ月。が、この工程はあくまで停止するまでで、しかも計画通りにいくかどうかは当然誰にもわからない。避難地域の人たちがいつ戻れるかは相変わらず不明のまま。1ヶ月を超えた避難生活で精神的なストレスは限界に来ていると聞くし、今後の仕事や生活のことを考えると、不安材料はあまりにも多岐にわたる。改めて、4月10日のデモで見た「俺の双葉町を返せ!」という叫びが蘇る。
一方、あまり報道されていないが、ここのところ全国各地で「反原発」を掲げるデモの開催が続いている。16日には大阪で「原発いらん! 関西行動」があり、17日には新潟でも「卒原発デモ」が開催されたようだ。また、原発を巡る緊急シンポジウムや集会も各地で続いている。他にも鎌倉や北海道、富山でも反原発デモが開催されている。また、5月1日には仙台でも「原子力発電に反対する集会とデモ」が開催予定だ。
そんな中、16日、東京・渋谷で開催された「野菜にも一言いわせて! さよなら原発デモ」に参加してきた。
「農家に土を返せ」
PARC主催のこのデモは、「放射能で被害にあったり、風評被害で迷惑している野菜や魚、牛や馬など生きものの声を代弁します」という主旨。集合場所の公園に駆けつけると、野菜や牛のコスプレをした人たちや、ネギや水菜を持った人、頭の周りにレタスを巻き付けた人、フライパンを持った人、割烹着姿の人などが大集結、一体なんの集まりだかよくわからない感じになっていたのだった。10日の高円寺とはまたひと味違ってそれは一見「牧歌的」なものの、「脱原発」というプラカードがその「エコでロハスで無農薬」っぽい光景を一気に不穏なものにする、という効果を生み出している。ちなみに「野菜コスプレ大歓迎」だったので、私はコスプレこそしなかったものの、最近自主規制していた「いちご柄のロリータ服」を着用。麦わら帽子のヘッドドレスも装着し、果物・野菜との連帯をアピールしたつもりだ。
この日のデモのプラカードにも様々な言葉が躍っていた。
「俺に野菜を売らせろ!」「農家に土を返せ!」という切実なものから、牛のイラストの横に「俺の草汚れてるぞ」と書かれたものもあった。大分KCIAは「安全なメシが食べたい」というプラカードを持っている。
今まで、「食の安全」とか、そういった問題には恥ずかしながらあまり関心が高くなかった。というか、プレカリアート層の多くは「食の安全」以前に、「安さ」のみを追求したファストフードくらいしか食べられない、という現実がある。しかし、今回の原発事故は「食の安全」どころの話ではない。
この日のデモには1500人が参加し、渋谷の街で「さよなら原発」の声を上げたのだった。ちなみにデモが始まってすぐに通りかかった東電の「電力館」前だけはものものしいほどに警官がびっしりと立ち尽くし、なんだか異様な光景だったのが印象的だ。デモ隊が暴徒化して「電力館」を襲うとでも思ったのだろうか?
「俺の草汚れてるぞ!」
さて、そんなふうに「反原発」の声が各地で上がっているが、24日にも芝公園で「原発反対デモ」が開催される(芝公園23号地・14:30〜集会、15:30〜デモ)。私もどんどんいろんなデモに参加して、「原発反対」の声を上げようと思っているが、18日に発表された朝日新聞の世論調査では原発を「減らす・廃止」は41%。一方、「現状程度にとどめる」という人は51%という結果が出た。なんか、驚きだ。
ちなみに前回の原稿で「日本の電力が原発に依存しているのは3割程度らしい」と書いたわけだが、これについて意見を頂いた。この書き方だと、「原発がなくなると電気が30%なくなってしまうと思われる」ということで、原発がなくなったからと言って3割の電気がなくなるということではないということを強調すべき、という意見を頂いたのだ。私自身、まだまだ原発についてはわからないことだらけで、その上いろんなデータが飛び交っていて混乱するばかりだが、「原発がなくなるとものすごく不便になる」というイメージは、「安全神話」以上に浸透しているように思う。その上、私のような原発初心者は、誰のどんなデータを信用すればいいのか、そこからさっぱりわからない。しかも学校で勉強してなかったせいで、電力の計算とか、そこからもうできない!
ということで、今までの無関心を反省しつつ、これから勉強の日々が始まる。ちなみにプレカリアート問題、貧困問題にかかわって気がついたことなのだが、「もともと頭のあまり良くない人(私)が一から勉強・取材すると、とてもわかりやすい文章が書ける」ことがあるため、どうか気を長くして待っていてほしい。
いつも大活躍の素敵なドラム隊
全国で、次々にあがりはじめた「脱原発」の声。
「デモでは何も変わらない」という声もありますが、
「国策」であった原発推進を変えていくには、
いろんな形で意志表示をしていくしかないのでは?
こちらのページにも情報を掲載しています!
雨宮処凛さんプロフィール
あまみや・かりん1975年北海道生まれ。作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。若者の「生きづらさ」などについての著作を発表する一方、イラクや北朝鮮への渡航を重ねる。現在は新自由主義のもと、不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に取り組み、取材、執筆、運動中。『反撃カルチャープレカリアートの豊かな世界』(角川文芸出版)、『雨宮処凛の「生存革命」日記』(集英社)、『プレカリアートの憂鬱』(講談社)など、著書多数。2007年に『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。「反貧困ネットワーク」副代表、「週刊金曜日」編集委員、、フリーター全般労働組合組合員、「こわれ者の祭典」名誉会長、09年末より厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員。オフィシャルブログ「雨宮処凛のどぶさらい日記」
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