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癒しの島・沖縄の深層

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おかどめ やすのり 1972年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。HP「ポスト・噂の真相」

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オカドメノート No.074

沖縄駐留米軍・海兵隊は「抑止力」なのか?

 ここ3日間ほど、沖縄本島は黄砂によって風景が一変した。モヤで霞んだり、霧が立ち込めたりという感じだが、せっかく晴天の沖縄シーンもこれでは台無しだ。サンゴ礁やマリンブルーの海も視界が極端に悪くなったため、どんよりとした風景にしか見えない。普段は沖縄本島からよく見える離島もさっぱり姿を見せない。屋内に駐車している筆者の車ですら、洗車したばかりなのに黄砂がボンネットに積もっていた。何よりも綺麗な海や亜熱帯の空気を求めて沖縄に来た観光客に気の毒だと思う。こういう心配をするというのは、筆者も立派な沖縄人になったということか(笑)。

 最初から雨や曇り空であれば諦めもつくが、黄砂は中国の砂漠の砂が空高く舞い上がり、それが西風に乗って日本列島に降り注ぐものだ。ペットボトルから奇妙な形の漂流物まで日本列島の海岸に打ち上げられる。たいていは、中国や韓国から流されてきたものだ。空からは黄砂、海からは漂流物がいとも簡単に日本列島に侵入してくる。砂漠には植林を、海への廃棄物には何らかの法的規制を、といっても国内においてすら公害を撒き散らしている中国と話をつけるのは容易ではないだろう。しかし、時間をかけて国際的信義の問題として話し合いを続ければある程度解決がつく問題ではないのか。世界制覇を狙うグーグルの中国市場からの撤退とは訳が違う。隣国同士の問題であり、結局は相互理解を深めていくことでしか解決の途は得られないはずだ。例えば、日本が中国の砂漠化を止める技術面でのサポートを協力するとか、方法はいくらでもあるはずだ。

 防衛・外交問題しかり。中国が毎年軍事費を増やし続けていることで、日本は米軍による抑止力が必要だという論調がある。その最終兵器は、核による抑止力だという論者も少なくない。単純な軍事力学でいえばそうかもしれない。しかし、抑止力という理由づけで双方が軍事力を強化していけば、国家予算の厖大な無駄遣いになりかねない。それよりも、双方が軍事的脅威を感じないような友好的な信頼関係を築き上げて、その軍事予算を教育や福祉に回す方がよほど人類のためである。ある意味ではトンデモ国家である米国ですら、オバマ大統領の登場によって世界の核を撤去する方向付けがなされたし、病める米国の代表的な病巣だった医療保険のない金持ち優遇、自由経済至上主義もようやく修正される道が開かれた。仮に、どこかの国が核を実際に使用するような事態になれば地球と人類の破滅であり、核は使えない兵器のシンボルとなった。「貧乏人は医者に行くな」という米国流はもはや人間社会のありようとしても限界だし、その方向に向けて人間は知恵を絞るべきというのがこれからの時代のあるべき姿勢ではないのか。

 青臭いという批判を覚悟していえば、戦争や貧困、差別という現実の矛盾を止揚していくには、人類が英知を絞って平等かつ平和な世界に向けて国際的なコンセンサスを作り上げていくしかないはずだ。それは宗教でもなく、世界的に共有できる理性的な世界観とでもいおうか。いくら時間がかかろうとも、だ。3D映画として注目を浴びた映画「アバター」に出てくるような、宇宙まで出かけて資源を搾取するような強欲な地球人はいらない。

 ——なんてことを思うのだが、現実はなかなかうまくいかない。これまで、基地か経済かという二者択一を迫ることで、在日米軍基地の75パーセントを押し付けられてきた沖縄。米軍基地があることで補助金や振興資金を引き出せるという土建業者などの経済界を中心とした勢力に県民が流されてきた部分は否定できない。それも県知事レベルだけではなく、霞ヶ関や米国も総がかりで「洗脳」に加担してきた事は言うまでもない。が、しかし、県民もいくら米軍基地の恩恵によって補助金をもらっても沖縄経済の底上げにつながらないばかりか、県民所得も上がらないし沖縄経済の自立という意味ではほとんど無意味という結果に気がついたのではないか。それが、普天間基地の県外・国外移設を主張してきた民主党への政権交代につながったし、普天間の移設先とされてきた名護市長選挙での新基地建設反対派市長の勝利に結びついたはずである。

 もはや、沖縄県民は8割が県内移設反対でまとまりつつあるところに、一人のユダが現れた。国民新党・下地幹郎議員である。米国の国務次官補・キャンベルとの人間関係に基づく防衛・外務官僚とほぼ同一目線の県内移設案である、キャンプシュワブ内に滑走路をつくり、それを15年の期限付きの暫定措置とし、沖縄の基地負担軽減のために訓練施設は国内のしかるべき場所に移すという不確定かつ玉虫色の提案だ。それに渡りに船とばかり迷走を続けてきた北沢防衛相や平野官房長官が飛びついた。下地議員はようやく基地問題に進展の兆しが見えた沖縄県民を再び絶望の淵に追い落とす「悪魔」なのか。

 下地議員は「5月末までに決着しないと議員辞職と国民新党の連立離脱」をぶち上げた。鳩山総理も最近は県内移設によろめいているフシもあるが、沖縄県民の気持を大事にすると事あるごとにほのめかしてきた以上、とことん沖縄県民が納得いく結論を得るまで期限など切ることなく熟慮・検討して欲しいものだ。それで、日米関係が危機に陥るなどという一部の言説は妄想でしかない。ユダを排除するためには、結論が6月になろうとも7月になろうとも普天間基地のある宜野湾市民も怒らないと断言できる。これまで14年間も待たされたのだから、県外・国外移設が実現するならばむしろ喜ばしいことである。

 とりあえず、政府案の取りまとめに入る予定になっているが、キャンプシュワブ陸上案も勝連半島沖の埋め立て案もまず実現は不可能な案といっていい。地元が大反対だという事実は米国にとっても重要な条件だ。にもかかわらず、沖縄県内移設に拘泥する民主党閣僚はいったい何を考えているのか。国家権力を使って強行突破するつもりなのか。まずは、県外・国外移設案を徹底調査・検証すべきであり、沖縄駐留の米国・海兵隊が抑止力とどう関係があるのか、明確にすべきである。やっぱり、今回も普天間問題になってしまった。でも、今もっとも旬な「沖縄の深層」なのだから、仕方がないさー(苦笑)。

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『沖縄タイムス』などによれば、
沖縄への基地集中は「人権侵害」であると、
国連人種差別撤廃委員会が勧告したとのこと。
http://henoko.ti-da.net/e2787368.html
またしても沖縄以外のメディアではほとんど報道されていないけれど、
やっぱり今の状況、誰がどう見たっておかしい! 
4月25日には、「県内移設反対」を掲げ読谷村で県民集会が開かれます。

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