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2013-07-24up
松本哉ののびのび大作戦
第75回:高円寺に自民党もビックリのゲストハウスがオープン
自民党バンザーイ、自民党バンザーイ! いよっ、大統領! 安倍将軍サイコー! おい野郎ども、頭が高い頭が高い! 全員自民党に土下座だ! ・・・というわけで、今回もまた国を挙げたマヌケイベント=選挙があって、相変わらず暗黒の時代は続くようだが、我々はすでに暗黒の時代を生き抜くマヌケ作戦を発動中なので(コチラを参照)、残念ながらいまさらビクともしないのだ。何なら自民党には衆参あわせて10000議席ぐらい取ってもらってもいい。
ま、最近はいろんな政党があるけど、金持ちの代弁者の党ばかり。自民党(←悪の権化)を筆頭に、維新(←名前がオッサンっぽい)だの民主(←名前が大ウソ)だのみんな(←名前がキモチ悪い)だの、いまある訳の分からない党はほぼ金持代弁党(たとえば「経済優先」とか言い出すところはだいたいロクなもんじゃない)。これじゃー、友達同士で政権取り合ってるみたいで、ハタから見てたらバカバカしくてしょうがない。ってことで、しょうがないから社民党とか共産党とか、最近気付いたら出来てた緑の党とか、貧乏人っぽい党に頑張ってもらいたいところだが、いかんせんショボクレててパッとしない(あ、今回共産党はちょっと頑張ってたっけ)。ともかく今のところは依然として金持ち優先勢力が相変わらず世にはびこっている。やいやい、自民党! 謝るぞコノヤロー!!!
さてさて、そういう小さい話題は放っておいて、今回もすこし世界の話を。
高円寺では、長年にわたって計画されてきた素人の乱ゲストハウスが、ついにほぼ完成してしまったのだ!! これはすごい! ついに!!!! なかなか前途多難で、やれ床面積がどうとか、やれ消防設備がどうとか、認可を取るのがやたらややこしくて手間取っていたものの、ようやく仮オープンにまでこぎ着けた!! 場所は素人の乱のリサイクルショップやら古着屋、雑貨屋なんかが軒並み並ぶエリアのちょうど中程。ビルの4〜5階部分を借りてゲストハウスとして改装し、7月中旬から仮オープンしてしまったのだ。まだいろいろ完成してないところもあるので、準備を進めながらの仮オープンだが、意外と快適!
ってわけで、早速いろんな人が泊まりに来るんだが、まずこのゲストハウスってのがいい。これまでも、日本中や世界中から素人の乱に遊びに高円寺に来てくれる人はたくさんいたんだけど、やっぱり昼間にちょっと遊びにきてもなかなかうまく交流が出来ない。素人の乱各店も、いくらみんないい加減な店などをやってるとはいえ、さすがに昼間はちゃんと働かなきゃいけないので、慌ただしい時もある。たいてい、「ああ、どうもどうも。今度また飲みましょうねー」程度で終わっちゃう時が多い。あるいは、やる気満々でやって来て飲み屋なんかで始発まで飲みまくって帰って行く人もいて、これは一挙に仲良くなったりすることも多いけど、やっぱり慌ただしかったりもする。
ところが、ゲストハウスに泊まりにくる人はやたら落ち着けるのでいい。まず、高円寺にやって来て、荷物を置いてゆっくり休憩して、ちょっと散歩に出かけてみたり、夜には高円寺のアホ共と飲みに出かけてみたりして、疲れたら普通に帰って寝ればいい。もちろん、高円寺に住んでる人の家に泊めてあげることも多いけど、人数に限界があるし、意外と気を使っちゃう人に取っては落ち着かない時もある。ゲストハウスに泊まれば、高円寺に着いた瞬間に自分の家があるみたいな物だから、自分のペースで遊んでいける。
それだったら、ネットカフェに泊まったり、安いビジネスホテルでいいんじゃないかと思うかもしれないが、そんなことはない! このゲストハウスのすごいところは、ただ自分の宿泊所ができるだけじゃなく、高円寺の人たちの生活の中にも一瞬で入れるってこと。もちろんそんなに人付き合いを求めてない人は普通に泊まって一人で行動すればいいんだけど、いろんな人に触れようとしたら、いつでも山のように人がいる。目の前が北中通り商店街なので、知り合いの店がたくさんあるので、その辺をウロウロしてみるだけで知り合いがたくさん出来る。すぐ近くには、素人の乱の日替わり店主BARの「なんとかBAR」もあるので、夜になったら素人の乱界隈の人やら、近所の住人やらが飲んだりしている。この辺でいろいろ情報を仕入れれば、おいしい食べ物とか面白そうなイベントとかの情報にありつける可能性も高い。まあ、ともかく来た瞬間に高円寺(特に北中通り)の住民の生活が送れてしまうのがいい。世の中にゲストハウスはたくさんあるけど、旅行者同士の交流だけじゃなく、街の人たちと一瞬で仲良くなれるゲストハウスってのは意外と多くない。
ついこの間も、友達から情報を聞いて韓国から女の子が二人遊びに来たんだけど、普通にオシャレして来て、免税店でたくさん買い物をして大荷物で来る感じで到着。もちろん素人の乱も知らないし、アナーキースポット=高円寺も全く知らない。しかも、本当は新宿あたりの何万円かのホテルを予約してたんだけど「せっかく知り合いがやってるなら行ってみたい」ってことでやって来た! ヤバいヤバい! そんな高級ホテルと比較されたらたまったもんじゃない! ってことで、最初連絡が来た時は焦って「ゴミ溜めみたいなところだよ!」「朝食もドアボーイもないよ!」「死体安置所と思っといてね!!!」とか言ってガッカリされないように念を押しておいた。そのおかげで到着後は「思ったより全然キレイ」と言ってくれてギリギリセーフ。危ない危ない。そんな“ザ・観光客”って感じの二人だったけど、高円寺の人たちとご飯を食べに行ったり街を歩いたり、飲みに行ったりしまくって帰って、最終的には「いや〜、高円寺は本当にいいところ。また日本に遊びに来たい!」と大満足してくれて、こっちも嬉しい限り! まったく前情報なしにやって来た人もこの街を気に入って帰ってくれるってのは、場所作りをやってる上での一番うれしいこと。いやー、これはいいね!
そしてさらにもうひとつ特殊な利点! 素人の乱がやってる自分たちの場所作りや謎の大バカライフスタイル作りを通しての知り合いが日本中、世界中にいるので、そのツテをたどって面白い人たちがたくさん集まってくる。この連載でもこれまで紹介して来たような、日本各地、世界各地でいろんなことをやらかしてる人たちのつながりでも人は集まってくるはず。そうなってくると、各地の面白いことをやってる人らがココで出会い、仲良くなったりもするはずだ。しばらく滞在してるうちに面白いことやってて自分とセンスの似た人が現れるかもしれない。
リビングルームもあって快適!
今の日本社会、問題も山積してるし、相変わらず悪い奴らが牛耳り続けるすごい政治。こんなとき、そういうつまんない奴らに惑わされてたらたまったもんじゃないし、時間ももったいない。まあ、海外に目を向けてみても、どの地域もくだらない政治が牛耳ってるところばかりだけど、その地域でウロウロしてる奴らの中にはとんでもなく面白い奴らも山のようにいる。似たようなセンスを持っている人たちが行ったり来たりして、国境を軽く越えちゃうことは実はメチャクチャ簡単。ずっと国内しか見ていないと忘れがちだが、実は国ってのは別にそこまで絶対的で大した物じゃないってことを実感するのが大事だ。国境を越えてゴチャゴチャやってみることが、実は今の日本社会がいい感じになってくる第一歩にちがいない。国内もそうで、自分の街だけにいると煮詰まりがちだけど、行き来し始めると何かと面白いことが起こる。
そんなときにゲストハウスが出来て、また一歩、国際交流レベルが進歩してしまった! いやいや〜、こうなったらもう、むやみに泊まりに来たり、自分の街にゲストハウスを作ったりしまくるしかないね!!!!!
景色のいい和室VIPルーム。布団が乱れててすいません
【こんな人にオススメ】
- 東京に安く滞在したいけど、ゲストハウスの多い東京東部より中央線のほうがいい
- 高円寺のライフスタイルを味わってみたい
- 変わったことやってる人に出会ってみたい
- 1ヶ月東京に用事があるけど、マンスリーマンションは高い
- 仲間やサークルなどで高円寺合宿(和室の部屋貸しできます)
- カミサンに黙って新しいゴルフクラブを買ったのがバレて、家を閉め出されたので一泊
- 悪者を倒すためにまだ見ぬ同志が来るのを待って長期逗留
- うちは一家で共産党なのに、寝ぼけて投票所に行き間違って公明党に投票してしまって家に居られなくなった
- スノーデン氏が日本亡命に成功したものの、不動産屋に「アメリカの敵!? そいつぁちょっと具合わりいな〜」と、なかなか下宿先が見つからないとき
- 飛行機に乗るのが怖いので海外に出たことがないことを息子にバカにされ「ばかやろう、このやろう〜! シコーキだろ? あんなもん、怖かぁねんだよ。アメリカでもソ連でも行ってやろうじゃねえか、おい! 見てろよ、クソボウズ!!」と、勢いで家を飛び出たけどやっぱり怖いので行き場がなくなった定年直後の団塊オヤジ(当ゲストハウスは宿泊情報は守ります)
- 金に困って銀行強盗をしてしまい、素人の乱ならかくまってくれるんじゃないかと勘違いしてココに駆け込む(←これはダメ! 潜伏先としてのご利用はご遠慮願います)
- 師匠が道場破りのカンフーの達人に殺されたので、師匠の残した指南書を手がかりに特訓を重ね、悪の達人を倒せるようになる実力がつくまでここで滞在(長期割引もあります)
- 自分の部屋にゴキブリが出た
- 飲み過ぎて自分の家がどこだかわからなくなった(泥酔者はお断りする場合があります)
- 毎日大家が家賃の催促に来る→家賃はないけど2500円は持っていた
- 金持ちすぎて田園調布と芦屋に住んでるし、歯も全部金歯だけど、たまには庶民の生活が見てみたくなった(貴重品管理は各自の責任でお願いいたします)。
- 自分の部屋に出たネズミと戦って負けた
などなど! とても便利なゲストハウス!!!!!!
最後に一応、情報と料金表を載せとこう。
これがドミトリー。もはや帝国ホテル級!
素人の乱ゲストハウス
〒166-0002 東京都杉並区高円寺北3-8-12 フデノビル(受付4階)
チェックイン 15:00以降
チェックアウト 翌12:00まで (基本10時に出なきゃいけない日本のホテルと違って世界基準!)
【宿泊料(一泊)】
ドミトリー(2段ベッド) 2500円
個室(和室・一人当たり)
一人利用 6000円
二人利用 4500円
三人利用 3000円
四人以上で利用 2500円
【長期割引】 一週間で二割引
例) ドミトリー 14000円/週(一日2000円換算)
和室
一人利用 33600円/週(4800円/日)
二人利用 25200円/週(3600円/日)
三人利用 16800円/週(2400円/日)
四人以上 14000円/週(2000円/日)
※6泊以上泊まればお得です。
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またまた新たな「のびのび大作戦」がスタート!
いろんな人が集まれる「場」があることは、
社会に蔓延する「息苦しさ」を、
少なからず吹っ飛ばしてくれそうです。
前から高円寺や素人の乱が気になってたという遠方のあなた、
この機会に偵察に来ちゃって、
ついでに地元にもこんな「場」を作っちゃうのはどうでしょう?
松本哉さんプロフィール
まつもと・はじめ「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ
「松本哉ののびのび大作戦」
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松本哉さん登場コンテンツ
- 2010-12-22日本で韓国で「のびのび大作戦」
【この人に聞きたい】
松本哉さんに聞いた
- 2008-01-09その1:路上を僕らの解放区に!
- 2008-01-16その2:消費するだけの街から文化は生まれない