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2011-12-07up
松本哉ののびのび大作戦
第52回:あの伝説のイベントがまたやってくる! 冬季なんとかフェス開催!!
いやはや、相も変わらずしみったれた世の中が続いてるねー。もう完全に取り返しのつかないレベルになりつつある原発事故を引き起こしといて、いまだにコッソリと原発は生き延びている。国内では自らの手で大被害を与え、そればかりか海外にも放射能をまき散らしまくってしまっている。普通なら、どんなに面の皮の厚い奴でも「ありゃりゃ、すいませんでした! もうしません」となるのが筋だ。それが、いまだに金に目がくらんだのか、手に負えない頑固ジジイのごとき意地なのかよくわからないが、反省の色なし。みっともない!
で、そんななか、ニューヨークをはじめ各地で貧乏人の火の手も上がり始めたので、思わず現地に駆けつけてきたのは前回報告した通り。いや、アメリカの連中はなかなか景気よくやってる。すごいすごい! …と、思いながら日本に帰ってくると、TPPが大騒ぎになっており、あれよあれよというまま参加の方向へ! こらー! なにやってんだ、おい! 「閉じた国を開く」というといいことのように聞こえるけど、金もうけ連中の立場から開いたってロクなことになるはずがない。採算の合わない土着の文化も風習も生活スタイルも一瞬で吹き飛んでしまう可能性もある。う~ん、何考えてんだか本当に。それに、金もうけって言ったって、いま没落の一途をたどる日米両国がお互いを道連れにするという、とんでもない話。ケッ、バカバカしい! どうやら、世界的にも経済発展を大前提にして物事を考えてきたのが、そろそろ「もうムリ!」ってことになってきて、わけのわからないことになって来たのかもしれないな~。いやー、あぶないあぶない。そんな世界にどっぷり浸かってなくてよかった!! やいやい、諸君もさっさと離脱したほうがいいぞ! こんなイカサマ博打みたいなのに付き合ってらんないよ! ちゃんと自分たちのことを始めよう。
さて、そんなニッチもサッチもいかなそうな世の中でムシャクシャしてる奴も多いんじゃないだろうか!? ニュースなんかを見ていて、完全にカチンときて「コンチキショー! もう暴れるしかない!!」と、近所の銀行に火をつけてみたり、その辺の悪い地主の家に殴り込みに行ったり、国会議事堂に乱入して悪い議員のハゲ頭をこん棒で殴ってみたりしようとしているキミ! 正しい!! が、待て。残念ながらそんなので世の中変わるほど簡単な話じゃない。それに、もしそんな殺伐とした大暴動で世の中がひっくり返ったって、もっとロクでもない世の中が始まるに違いない。それは楽しくないし、疲れそうでイヤだ。そう、こういうときに重要なのが、勝手な奴らがのさばっているようなマヌケ社会だ。そう、我々にはこの離れ小島で数百年単位で培われてきたマヌケでいいかげんな文化があるではないか! 簡単簡単。金持ち連中のイカサマ博打のルールに巻き込まれることなく、のうのうと適当に勝手なペースで生きることも大事なのだ。いや、それこそが最大の反乱かもしれない!
ってこともあって、最近は頻発するデモでおろそかになりがちだった店やら商店街イベントやらをやってみたりしていたところ。いや、地味でいいね。これはこれで…。
と、思っていたところ、まったく地味ではないあのイベントが帰ってくることになった! なにを隠そう、「なんとかフェス」だ! 毎年夏に長野の山で行われてきたこのイベントだが、今年はなんだかんだと忙しくてやってなかったのだが、これがなんと急遽開催することになった!!
“たまごさん”という、いつもイベントのときに機材を担当してくれる人がいるんだが、このたまごさん、頻発する反原発デモでも動きまわってたりして、今年は大わらわ。で、ある時、たまごさんが「今年は震災とデモばかりの1年じゃ、やってらんね~よ! 祭りやろうよ、祭り!」と言い出したのがキッカケ。おお、いいね! やろうやろう! 祭りだ祭りだ!! さっそく、数名が盛り上がりはじめていたので、すかさず自分も「行く行く! おれも行く!」と、素早く参加表明。こういうのは早く乗った方が面白い。さっそく、いろんな人に「今年もやろうよ!」と呼びかけまくった! この迅速な勢い。どうだ、まいったか! 追いつけまい。
さて、なんとかフェス開催の知らせを聞いて、やはりいろんな人が反応し、一挙に祭りムードが広がった! 去年のなんとかフェスは300人ほどが長野の山に集まり、キャンプをしながらライブやDJ、映画上映など、非常に盛り上がった。この壮絶な2011年を締めくくるにはもってこいのイベントだ! これは楽しみ!! …と、いう雰囲気が広がったのもつかの間。すぐにみんな我に返りはじめ「おや、よく考えたら冬の長野はさむいんじゃない?」などと言って、徐々に様子見の立場をとる人が続出! あっ、ズルい! どうも雲行きが怪しくなってきたところで、偶然フェス当日が皆既月食ということが判明。まったく興味がなかったんだが、「これはすごい!」「皆既月食を見るしかない!!!!」「大変だ大変だ! 月食で世界大パニック!!!」などと、強引にあおってみたが、完全にスルー。反応なし。しまった、ハズした!!! くそっ、ただの天文マニアと間違えられただけだった。やられた! 月食なんかどうでもいいよ、バーカバーカ。意地でも空見ねえからな! 覚えてろよ、月! 情勢は悪化する一方で、「氷点下になるらしい」とか「雪が降ったら車が山に入れなくなる」とか「酒飲んで変に寝たら凍死するんじゃないか」とか「騒いでクマを冬眠から起こしたら半殺しにされるでしょ」みたいな意見が続出! あっ、ちくしょ~。こっちは一度勢い余って呼びかけまくったから引くに引けねえじゃねえか! ハメられた! ええい、うるさい、黙れ黙れ! 寒くないと思えば寒くないんだよ。こうなったら、アロハシャツで長野行ってやるからな。ざまあみろ、こんちくしょう! やっぱりやめた。
もう、頭にきた!! ここまできたら、どうしても快適な空間を作るしかない!! ただ、意外と冬のキャンプ好きの人も結構いて、思いのほかやる気の人もそこそこいたので、ここはテンションの高さで突破することになった。ってことで、早速先走って、下見兼準備で長野に行くことにした!
行ってみるとこれがまた寒い。とりあえずヤセ我慢で「なんだ、大した事ねえな。東京の方が寒いや」などと大声で連呼してみるが、どうもまだ心細い。挙句の果てに、長野の人は「今日は本当にあったかい日だね~」などと言い出した。コンチクショーと思ったが、言うとみっともないので、とりあえず建造物を建てることにした。ここはリサイクルショップの出番。こんなこともあろうかとトラックで壊れた家具の板や部品をたくさん持ってきてたので、これは活用できるはずだ。「ま、寒さしのぎってわけじゃなくて、建物作ったらおもしろいよね!」などと言いながら、とりあえず骨組みと壁を作ってみる。2~3時間もやってたらだんだん輪郭ができてきた。おお、すごいすごい! よし、こうなったらあれだ。よく昔の映画なんかに出てくるような、外人の別荘だ! あれを作ろう。暖炉とソファとロッキングチェアのある、あれ、あれ! あれ、あったかそうだ。さっそく、その建造物を「アメリカ人の別荘」と命名し、工事を続行!
とりあえず、先に扉とソファとテーブルを置いてみる。家だと思えば家にも見えてくる
ただ、冬の長野の日は短く、急に暗くなってきたので作業はいったんここまで。で! 日没と同時に、急速に異常に寒く、いや、涼しく快適になってきたので一目散に下山! そして翌朝、東京に逃げ帰って来た。
さて、勢いは恐ろしいもんで、その報告イベントまでやってしまった。12月4日、新宿で行われた報告会にはそこそこ人が来た。みんな興味津々で、やはり「寒いでしょ」「雪は?」などと言ってくる。しぃーっ! 静かに!!
ちなみに、前日にコッソリ週間予報を見てみたところ、なんと開催日の9~11日の3日間のみ気温が下がりまくっていて、氷点下マイナス4度! くそ~、天気予報の野郎までグルになりやがって。ってことで、イベント前夜に急遽、スタッフで打ち合わせた結果「真実を発表すると、国民がパニックを起こす可能性がある」ということで、会場では次の図を発表(図1)。
(図1)国民に冷静な行動をとってもらうよう作られた図→謝罪し撤回
実はこれ、石垣島の天気予報を「長野」と改ざんして発表。一瞬で「それ、ちがうだろ」とバレて大ブーイング。ぬかった、見破られた! ただ、こんなこともあろうかと準備していた次善の策。「こちらで集計したデータに誤りがありました。すいませんでした」と、次の図を発表(図2)。
(図2)よく見てみると、なんとモザイク処理がかかっているのがわかる。まさか、ここまで見破られるとは…。
「見えねえじゃねえか」とさっそく、会場からヤジ。しまった、またバレた。まったく、往生際の悪い連中だ…。とりあえずいつまでも天気の話題ってのも、他人行儀でよくないってことで話題を変え、具体的な行き方とか、当日のイベント内容などについての話に。で、実はこの時、その山を使わせてくれる長野のリサイクルショップのジローさんも駆けつけてきてくれていたので、ジローさん交え、いろいろ作戦会議を展開!! 実はここでものすごいイベント企画案などが続出して、「それすごい!!!」ってことになり、その場で参加表明者が続出(←これは本当)!! う~ん、これ書きたいんだけど、シークレット企画だから残念ながらここでは公表できないのが申し訳ない!! ただ、言えるのは相当面白いのは間違いない!!
最後の手段で、巧妙な合成写真を作成し、現地速報をネットに上げるが反応なし。まさかこれもバレたのか!?
しかし、危機一髪のところでようやく盛り上がりはじめた、冬季なんとかフェス2011。これははたしていったいどうなるのか!? この社会的・政治的に一切意味のないイベントで、瀕死の状態の金持ち連中への対抗策になるのか!? あるいは、単なる貧乏人の自滅に終わるのか!? いや、こればかりはやってみないとわからない! 結果は次回!! お楽しみに!!
12月9日(金)
『貧乏人の逆襲~タダで生きる方法〈増補版〉』筑摩書房より発売開始!!!!!
あのとんでもない本が、文庫化されて帰ってくる!!!
ちくま文庫 672円
12月9日(金)~11日(日)
なんとかフェス2011
長野市安茂里・ジローズビッグマウンテンにて!!
12月17日(土)
【マガ9学校】デモから振り返る2011年 日本と世界 ~とんでもない時代の幕開け!~ 松本哉×イルコモンズ
新宿・カタログハウス本社にて 15:00スタート!!
http://magazine9.jp/gakko/014/
*
毎日寒い寒い、と思っていたら、
もっと寒い長野で、あの「伝説のイベント」が復活!
気になって次回の報告なんて待ってられない、あなたは、
自分ちの近くで新たに「マヌケイベント」やっちゃうのもあり!?
世界がすごい勢いで動いてる中、
寒さにも原発にもTPPにも負けてる場合じゃない! のです。
来年を「とんでもない1年」にするための作戦会議「マガ9学校」も、
↓にてまだまだ参加者募集中!
http://magazine9.jp/gakko/014/
松本哉さんプロフィール
まつもと・はじめ「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ
「松本哉ののびのび大作戦」
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- 2010-12-22日本で韓国で「のびのび大作戦」
【この人に聞きたい】
松本哉さんに聞いた
- 2008-01-09その1:路上を僕らの解放区に!
- 2008-01-16その2:消費するだけの街から文化は生まれない