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2011-10-26up

松本哉ののびのび大作戦

第51回:ついにニューヨークで反乱が発生! occupy wall street 報告!

 さて、みなさんご無沙汰してます。本当は9月11日のデモの報告やらしとかなきゃいけないところだったが、どうもモタモタしてて早くも10月も終わろうとしている(しまった!)。あのときはデモ直前にコース変更されて大混乱になったり、警察も過剰すぎる警備で12人も逮捕者が出たりと、とんでもないことがあったり、その一方でまたまた大量の参加者が押し寄せて来て大盛り上がりだったりといろいろあった。ま、その辺はまた改めて報告しよう!

 で! 最近のホットなニュースとしては、ニューヨークのOccupy Wall Street(OWS)がすごいことになっている。「ごく一部の金持ちが金や利権を独占していて、結局、世の中の99%は貧乏人で、ロクな目にあってないじゃねえか!」…って感じの主張をして、ものすごい人数の奴らがウォール街に繰り出している。おお! こりゃすごい! このニュースをはじめて聞いたとき、とても感動したんだが、それはまさに「99%は貧乏人だ」っていう発想! これ、相当確信を得ている!! すごいすごい!
 日本の世の中でもそうだが、たとえば貧困問題ひとつとっても、なんだかんだと「いや、そんなこと言ったってもっと貧乏な人がいる」とか「日本なんてまだ恵まれたほうなんだからガタガタ言わず我慢しろ」などと言い出す連中もいる。これがまた貧乏そうな説教オヤジに限ってこういうことを言いがちだったりするのもたちが悪い。オマエも貧乏人なんだよコノヤロー! そんなことを言い出したら、アフリカとかで飢餓に苦しむ人しか貧困問題を語れなくなくなっちゃう。また、これちょっと違う話かもしれないけど放射能もそう。東京で「いやー、放射能危険でしょ」とか言ってると「福島の人はもっと大変だ」となる。で、福島では「いや、浜通りの人たちはもっと大変でしょ」となり、原発周辺の人でも「いや、原発作業員の人は被曝しながら働いてるんだから我慢しないと」となる。こんな感じで、困ってる人同士の争いになったところで、一番安全圏にいる超少数の連中がいい思いをしていたりする。まったく冗談じゃないよ。

「職質反対デモ」とんでもない人数で市街地へ!!!!

 …と、そんな時に「我々は99%だ!」と、反乱が起こったもんだから、もうびっくり仰天! しかも、世界の悪の総本山といっても過言ではないアメリカ帝国の本拠地=ニューヨークで火の手が上がるとは!! すごいすごい、ニューヨーク人も捨てたもんじゃないね!!!
 さて、そんなわけで大いに感激したわけだが、ここまで読んだ皆さん、驚くなかれ。何を隠そういまニューヨークに来ている。しかも、この原稿もまさにそのOWSで占拠しているウォール街脇のzuccotti公園に張ったテントの中で書いている。そう、10月17日にニューヨークにやってきて、10日間ほどOWSと行動を共にしている。報道やインターネットなんかでもその情報はよくわかる。デモ予定もわかるし、英語を翻訳すれば主張もわかる、youtubeでその行動の様子もわかってしまう。ただ、一番肝心なのは、その現場の雰囲気だったり、どういう風に人が集まってきてどういうテンションでみんながウロウロしてるのかだったりっていうところだ。こうなったら、とりあえずなにもしなくてもいいから、むやみに合流してしまうのが一番。…ってことで、来てしまった。

職質反対デモ。ひとりひとり順番に連行。群衆は大盛り上がり!!!!!

 そんなわけで、日々公園をウロついているんだが、これがまた面白い。ちなみに、タイミングとしては10月上旬に総攻撃みたいなデモが連発していたんだが、それもひと段落して、小康状態みたいな感じ。ってこともあって、広場の場所作りが着々と進行していて、いろんなものができていた。食料を配るキッチンもあるし、図書館もあるし、服を配ってるところもあれば、携帯やパソコンの充電所もある。法的なことを受け持つ部門もあるし、メディア対応の部門もある。驚くことに新聞まで出ていた。
 小康状態気味とはいえ、みんながおとなしくしてるわけでもなく、デモなんかも頻発していた。ちょうどこっちに来て数日経ったころ、警察反対デモが発生! 10月上旬には数百人が捕まるなど、警察の過剰な警備が問題になっていたころで、そのタイミングもあってのデモ。テーマは「職質反対デモ」。さっそく参加してみた。
 で、このやり方が面白い。まず、デモ前日にもデモをやり、警察署までみんなで押し寄せる。で、すごいのが抗議の意思を示して警察署の前で大演説して居座り、数十人がわざと逮捕される。で、ここには結構な著名人も混じってたりして、デモに参加した群集は「いいぞー、がんばれよ~」「カッコいいぞ!!」みたいな感じで盛り上がりまくり! で、翌日のデモは、これまたものすごい人数が集まり、街中をデモ。こっちの職質の問題は、人種差別問題も絡んできたりするので、さらに深刻なこともあってか、人の集まり方もすごい。うーん、いろいろ状況は違うとはいえ、なんだか参考になるね。

占拠された公園! 常にあふれかえる人!!

 あまりすごいすごいと言ってると、本当に完璧なムーブメントのように思うかもしれないが、まあそんなものはあるわけがない。いろいろとマヌケな奴らも大量にいるし、なんだか大変なことになっている。狭いところにギュウギュウに泊まってるもんだから、どうもストレスがたまってる奴らもいたりして、夜中に殴り合いの大喧嘩が始まったりもした。しかもタバコをくれ、あげないでケンカになったりと、くだらないことが多い。また、テントにいると突然話しかけてくる兄ちゃんがいて、「俺はこんな音楽を作っている」とか言ってニコやかに歌いだしたりして、やたらフレンドリーすぎるのであやしいと思っていたら、帰り際に靴を取って逃げようとしたり、危なくてしょうがない! こら、靴を取るな!! 
 自治空間を作るっていうのは難しいことも多いが、しかしここはそれでも場を維持している。汚くなってきたら会議で掃除の時間を決めてみんなで大掃除をしたり、なんとか克服してやっている。こういう新たな試みというのは試行錯誤が大事だし面白いね!!

公園正面では常に演奏が! とりあえずいろんな人がいる!!!

 そうだ、あともうひとつ。せっかく行くので、ただ様子を見るだけじゃもったいない。ってことで、日本はまだ原発問題が大変なことも訴えておかなきゃいけない。こっちでは金持ちVS貧乏人の戦い一色になっているが、その実、原発も構造はまったく同じ。純粋に原子力がどうか考えて、あったほうがいいと思う人なんかほとんどいないのに、結局金もうけの連中がその利益を考慮して「必要だ」といってるに過ぎない。一部の大金持ちが牛耳る世の中で貧乏人がそのとばっちりを食うということの典型例だ。
 ってことで、さっそく! 「日本はまだ原子力の金もうけ連中によって困っている。で、金持ちはまだ原子力を守ってる。だから我々はOWSと一緒に立ち上がります」っていう看板を書いて置いておいた。で、これがまたインパクト大。書き終わるやいなや、ホームレスのオッサンが近づいてきて、「いや、日本は困ってるって言うけど、俺も困ってるのに物乞いやってても日本人だけは1円もくれねえんだよ」と、グチ! いや、すいませんねえ、お恥ずかしい。なんと言っていいやら。ま、気を取り直して看板を出すと、ものすごい反応! 「反核」とでかでかと書いた漢字が効いてるのか、やたらと写真を取られ、ほとんど動物園のサル山みたいな状態になった。いろんなメディアも取材に来るし、やたら話しかけられるし、とりあえずは効果絶大!!!!

 さてさて、あらすじみたいに書いてきたけど、まわりは歌を歌ってたり楽器を鳴らしてたり、会議で叫んでる人がいたり、大騒ぎの状態のテントの中で書いてるので勘弁してくれ。そして、じつはこのニューヨークの作戦の報告会を帰国後すぐにやってしまうので、気になる人はぜひぜひ参加してみてほしい!!
 ってことで、日本でも貧乏人の大逆襲を再開してしまおう!!!

雨の中テントを設置!

【スケジュール】

11月4日(金)
ニューヨーク Occupy wall Street
報告イベント!

19:00~
Cafe★Lavanderia

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なんと! いつのまにか海の向こうへ旅立っていた松本さんからの、
現在進行形! なレポートでした。
NY市民の7割近くが支持しているとも伝えられているウォール街デモですが、
「完璧なムーブメントじゃない」のがまた重要。
試行錯誤を繰り返しながら、「つくっていく」過程もまた大切なのでは? と思います。
ということで、さらにパワーアップするはずの「貧乏人の大逆襲」in日本、
見てるだけじゃもったいない。まずは報告会へ!

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松本哉さんプロフィール

まつもと・はじめ「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ

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