マガジン９

　久しぶりに、駅前でゲリラ飲み会が行われてしまった！　毎週木曜日は、夜１０時からインターネットラジオをやっている（これは素人の乱のホームページ上で聴ける）んだが、最近、むやみに街頭に出てラジオをやるようにしている。先日は、下北沢に行って来た。

　下北沢はもともと友達も多い街なこともあり、その連中と駅前の広場でちゃぶ台を出してラジオの生中継をやろうというもの。路上で突如ちゃぶ台を出して、通行人を巻き込みつつ飲み会を始めるというのは、素人の乱の店を始める前まではよくやっていたことだった。さて、久しぶりにやったらどうなるのか？

　１０年近く前は、たまに下北駅前に出没したりしていたが、その時はまだ駅前にも広々とした広場があり、その辺をウロついている謎のオッサンとか、パンクスの兄ちゃんとかが飲みに来て、やたらと地元情報を教えてくれたりした。ところが、その後、下北沢では再開発問題が浮上し、街をあげての大騒ぎになった。街の真ん中に超巨大な道を通すというもので、「それじゃあ街が死んじゃう」ってことで反対する商店主が多く、反対運動なんかもやたらと盛り上がった。が、その一方で容認する地主さんなんかも出たりして、なかなか街が一枚岩にならない隙に、行政もどんどん話を進め、現在ではすでに事業認可まで下りてしまい、下北沢の街は明日をも知れぬ状態になっている。おかげで、最近は、駅前の広場も工事中で狭くなっているし、駅付近にやたらとでかいビルが建ち始めたり、なんだかちょこちょこと工事が多くて、不穏な感じだ。

　さて、この日も行ってみると、いつもはいた路上で物を売ってる人や、絵を描いている人などの気配もない。主に下北駅前で活動しているマンガ読みの達人＝東方力丸氏はいたんだが、なんだか知らないが、駅前の時計屋さんの前でギリギリ縁石の内側に入って、やたらと狭そうにしてマンガを読んでいる。なんだなんだ？　

　下北沢の友達も集まってきたので聞いてみたら、どうも最近は厳しいという。以前はみんながいろんなことをやっていた駅前も、いまはすぐに警備員や警察がやってきてうるさく注意するらしく、おかげで、路上でいろいろやっていた人たちの中には、下北沢を去って行った人も多いという。ありゃー、これはヒドイ！　また文化が一つ失われつつある！　なるほど…、だから力丸さんも豪快な出で立ちの割にあんな小さいところに陣取ってたんだな…。

　さらには、再開発されることが決まったら、土地でひと儲けしようっていう輩がゾロゾロ出てきて、駅周辺の店の家賃が数倍に跳ね上がってしまい、とてもじゃないが個人経営の店なんか新しく入れなくなっているという…。そら、言わんこっちゃない！　妙な商業目的の再開発なんか、やったってロクなことない。しかも、実際にはまだ着工してないから、仮に本格的な再開発が完了しようもんなら、街はひどいことになるんだろうね。喜ぶのは大企業と地主と税収の増える行政だけ。まったく、喜ぶ連中は全員金目的じゃねえか、くだらねえ！！

　やい！　区長なのか大地主なのかマフィアなのかよく知らないが、世田谷区を牛耳ってる諸君。悪いこと言わないからやめといた方がいいよ！　下北沢を新宿や渋谷のようにしようったってムリだ！！　今からでも遅くはない！！　中止中止！

　さて、区長で思い出したので文句ついでに言っておくけど、我らが杉並区のボス＝山田区長もとんでもない。あのオッサン、ちょっと前になんだか知らないがよくわからない政党を作ったようで、どうも様子がおかしいと思っていたが、案の定、突如杉並区長を辞めて、自分も参院選に立候補するという…。こら、バカにしてんのか。オマエ区長だろ！！　どこ行くんだ、こら！

　ま、立候補は個人の気分もあるだろうから百歩譲っていいとしても、あのオッサン、最後の最後にとんでもない置き土産をして去っていった。なんでも、区の税金を積み立てていって、５０年ぐらい経ったら大量の金がたまるので、その利息でやっていけるので、税金を集めなくてもよくなるという…。要するに、いま貯金をして孫ぐらいの連中を養おうってこと。まったく、この総貧乏人の時代にそんなことやってる場合かよ、コンチクショー！　金返せ、そもそも杉並区民税高えんだよ、このやろう！　

　ましてや、利息、要するに不労所得でやっていこうなんて、そんな根性の悪い話はない。例えば、スラム街かなんかで、近所の人がみんな苦労して困っているときに、それを横目に一人だけジイさんが貯めた金の利息や株の配当あたりでノウノウとメシを食ってたらどうか？　そんなのみっともなくて肩身狭くて町も歩けやしないし、無防備に歩こうもんならまず袋叩きは免れない。　そもそも、貧乏人に働かせといて、テメエは不労所得でメシを食おうって魂胆が貧乏人の敵の発想だ。けしからん、こんちくしょー！

　どこの地区でもそうだが、行政の考えることってのは基本的に金持ち連中の発想だから、こんなんじゃ街が良くなるわけないね。

　おや？　長くなった。今回は下北沢の話だった。

　さて、下北沢に住んでる人にちゃぶ台を持ってきてもらい、大量に酒を買い込んで、駅前から公開ラジオ生放送を開始！　やってみると、相変わらず下北沢に住んでいる人は変わっていないらしく、たまたま通りかかった知り合いやら、通行人の酔っ払いやら、いろんな人がちゃぶ台に遊びに来る。なんだ、昔とあまり変わらないじゃないか！　で、これがまたみんな意外と神経が太く、「自分もしゃべらせろ」とばかりにラジオ出演して、いろいろ盛り上がってから家に帰っていく。おお、いいね！

　さらに、夜も更けてくると、ちゃぶ台の隣でマジシャンが手品をやりだしたりと、どこからともなくいろんな人が出現しだした。おお、おお、いいねいいね！！

　ということで、なんだかんだと、いろんな人が遊んだり、出会ったり、くつろいだりっていう空間はやり始めれば一瞬でできてしまうもんだ。まあ、よくよく考えたら行政がいくら悪だくみをしようと、街っていうのは、結局はその街をウロつく連中によって作られてるってことだね。

　…ってことは、街っていうのは、行政が妙なことをやりだして滅んでいく例はたくさんあるけど、結局のところ、それはみんなが何もやらなくなって滅んでいくっていうことかもしれない。

　よし、こうなったら、やはりむやみに騒動を起こした方がいいね～。