憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。
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2012-07-11up
佐藤潤一の「カエルの公式」
再稼働に反対のあなた、
これは必ずやりましょう
再稼働反対は「雨降って地固まる」
さあ、いよいよ夏。
この夏に、負けずとも劣らない「あつさ」を維持しているのが、原発再稼働への反対。毎週金曜日の首相官邸前だけではなく、日本中あらゆるところで再稼働反対のデモや抗議集会、イベントなどが行われています。
大飯原発の再稼働が始まってもこの勢いですから、この動きは一過性のものではなく、しっかりと社会に根付き始めているようです。再稼働反対の想いは「雨降って地固まった」と言えますね。
この1ヶ月は「非暴力」という考え方の重要さにも注目が集まってきました。「非暴力行動」については、これまでに「カエルの公式」でとりあげました。また、グリーンピースのブログでも「非暴力直接行『道』のすすめ」というブログも書きましたのでぜひそちらもご覧ください。
「原発どうする?」重要な議論が密かにすすむ
さて、みなさん、今ひっそりと「原発を含むエネルギー政策を将来的にどうするか」という重要な議論が国で行われているのをご存知ですか? この議論に対してみなさんの意見を求めているのが「パブリックコメント」という制度です。
この機会にぜひみなさんにも意見を送ってほしいのですが、その前にそもそも「パブリックコメントとは何か」をご紹介したいと思います。
「パブコメ」を知っているという方で、すぐに意見を送りたい場合はこちらからどうぞ。
パブリックコメントとはなんぞや?
「パブリックコメント」とは、国が「制度を変えようと思うのですが、国民の皆さん意見ありますか?」と、国民から制度変更に対する意見を募集しようという取り組みです。
ですから、「パブリック(国民/公共の)コメント(意見)」と呼ばれるのです。略して「パブコメ」なんて言われたりもします。
私も、正直な話、社会活動をはじめる前、パブコメという存在すら知りませんでした…。みなさん、知っていましたか?
政府の手続きや制度変更などについて、直接国民が意見を述べることができるわけですから、こんなに重要な制度はありません。でも、なぜこういう制度が広く知られていないのでしょうか?
業界からの意見が多数の「パブコメ」は「バブコメ」
この「パブコメ」、実はこれまでほとんどの場合「アリバイ」として使われてきたと言えます。
「なに、アリバイ?!」と思うかもしれませんが、実際そうなのです。
一見すばらしい制度にも聞こえますが、パブコメに意見を送るのは、政府の制度変更で利益が生まれるなどの関係産業界が圧倒的多数です。問題を指摘する一部のNGOや消費者団体も送りますが、一般国民からの意見が多数寄せられるのは非常に稀です。
そうすると、「パブコメ」という制度を利用して、国の制度変更によって利益を得られる一部の会社や個人の意見が「国民の意見」として代弁されてしまうということが起きます。
「パブリックコメント」(国民の意見)」というよりも、制度変更で儲かってバブリー(古い?)になる人からの意見、略して「バブコメ」の要素が強いのが実情です…。
パブリックコメントを募集しているのは
どうやって知るの?
残念ながら、普通に生活をしていると、「パブリックコメント」の「パ」の字に触れる機会すらありません。
その証拠に「現在募集しているパブリックコメント一覧」なんていう新聞記事やテレビでの放送などをこれまでに観たことありますか?
政府のサイトにアクセスして確認しないと、ほとんどの場合どんな意見を国が募集しているのかを知ることはできないのです。以下のサイトを開いてみると、現在募集しているパブリックコメントの一覧が出てきますが、このサイトにアクセスしている人は、どれだけいるでしょうか?
パブリックコメント:意見募集中案件一覧(電子政府の総合窓口 イーガヴ)
7月10日現在、109件ものパブリックコメントが募集されていることがわかります。
これで「国民的議論」ですか?
密かにすすむ「原発パブコメ」
さて、7月2日から政府は「国民的議論」と銘打って「日本のエネルギーをどうするのか」という国民からの意見募集を始めました。
「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する御意見の募集について(PDF) (国家戦略室のサイトより)
これは、東電の福島第一原発事故を受け、「原発をどうするのか」、「日本のエネルギー政策をどうするのか」を決めるにあたって国民の意見をもらうというとても大切なパブコメです。
しかし「国民的議論」というわりに、そもそもその意見募集がどこでされているのかもわからないというとってもお粗末なもので「本気度」は伝わってきません。
その証拠に、7月10日現在で、首相官邸、内閣府、国家戦略室のホームページでもこのパブコメを募集していることすらわかりません。
なにが「国民的議論」なんだか…。
環境省がそもそも必要のないにもかかわらず「がれきの広域処理」を強引に進めるために、細野大臣がテレビに露出し、新聞などにも広告を出したのとはまったく比べ物になりません。
再稼働反対のあなたは、ぜひ意見を!
この将来のエネルギー政策に関するパブコメは7月末日が締め切りです。
パブコメは、意見を送らなければ、「アリバイ」として使われてしまいます。「意見を国民に募集したけれども原発をゼロにしたいという意見はほとんどありませんでした」なんて言われないためにも、ぜひ意見を送ってください。
7月7日~8日に幕張メッセで開催されたNO NUKES 2012の会場で、パブコメを集めるグリーンピースのブース。二日間で合計630通のパブコメが集まった。
野田首相は、これまでにも福島第一事故を「収束宣言」したり、再稼働に関しても批判的な国民が多いにもかかわらず「一定の理解を得た」などの発言を繰り返してきたりしました。そんなことを繰り返させないためにも、「原発ゼロがいい」という声を圧倒的多数にしなければいけません。
パブコメに何を書いたらわからないという方は下記のグリーンピースブログをご覧ください。
「再稼働反対な貴方へ 国が意見を募集していますので送りましょう」 (グリーンピースのサイトより)
上記ブログには「原発ゼロがいいです」というすでに意見を出された方の文章も掲載されていますので参考にしてください。
意見聴取会もあるらしい…
また、国が全国11箇所で「意見聴取会」を開催する予定だという。
といっても、呼びかけが急すぎです…。
でも、参加できる方はぜひ参加して、あなたの意見を直接伝えましょう!
・さいたま市 7/14 (申込〆切 7/11)
・仙台市 7/15 (申込〆切 7/11)
・名古屋市 7/16 (申込〆切 7/11)
他、以下の都市で開催予定(詳細は追って発表)
札幌市、福島市、大阪市、富山市、広島市、高松市、福岡市、那覇市
*詳細はこちら http://kokumingiron.jp/
国民が国へと直接声を届けられる、
とっても重要な仕組み…のはずの「パブコメ」。
なのに、どうしてここまでその存在が知らされていないのか。
結局は「隠しておきたい」んでしょ? と不信感が膨らみます。
だからこそ、こうして「知っちゃった」あなたは、
次は行動を起こしてみませんか?
政府の「アリバイ作り」に利用されないためには、
1人でも多くの声を送りつけるしかありません。
佐藤潤一さんプロフィール
さとう じゅんいち グリーンピース・ジャパン事務局長。1977年生まれ。アメリカのコロラド州フォート・ルイス大学在学中に、NGO「リザルツ」の活動に参加し、貧困問題に取り組む。また、メキシコ・チワワ州で1年間先住民族のタラウマラ人と生活をともにし、貧困問題と環境問題の関係を研究。帰国後の2001年、NGO「グリーンピース・ジャパン」のスタッフに。2010年より現職。twitter はこちら→@gpjSato
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