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蓮池透さん×森達也さん「拉致」解決への道を探る(その3)北東アジアの危機を救うべき方法を考えよう

硬直したまま動かない「拉致問題」と、「北東アジアの危機」は、無関係ではありま せん。そしてそれは、一部の外交トップや専門家に任せておくことだけではないので す。私たちの「民意」もそこに、大きく影響を及ぼし、方向を決めているのです。

蓮池 透●はすいけ とおる1955年、新潟県柏崎市生まれ。1997年より2005年まで「北朝鮮による拉致被害者家族会」の事務局長をつとめる。著書に『奪還 引き裂かれた二十四年』、『奪還 第二章 終わらざる闘い』(新潮社)、近著に『拉致 左右の垣根を超えた闘いへ』(かもがわ出版)

森 達也●もり たつや1998年、オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画「A」を公開、各国映画祭に出品し、海外でも高い評価を受ける。2001年、続編「A2」が、山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。著書に『死刑』(朝日出版社)、『ぼくの歌・みんなの歌』(講談社)、『視点をずらす思考術』(講談社現代新書)。近著に『神さまってなに?』(河出書房新社)、『きみが選んだ死刑のスイッチ』(理論社)がある。

●拉致問題をめぐる世論

編集部  メディアが萎縮し、政治家や外交担当の役人たちが、家族会や救う会の言動を過剰に気にしていたということが、拉致問題硬直化の要因の一つであったという話ですが、その背景にあったものとして、世論の反応も大きかったですね。

 大きいとか小さいとかのレベルではなく、この国の政治とメディアの最大の問題点は、世論を最優先するポピュリズムにあると僕は考えています。3年くらい前に『毎日新聞』の対談の席で、「北朝鮮への経済制裁や人道的支援の停止は、政府首脳や軍の上層部に対しての効力はほとんどなく、飢えに苦しむ一般国民をさらに苦しめるだけだ」と発言したら、ネットで「非国民」とか「金正日の手先」とか「北朝鮮に帰れ」などと叩かれました。僕のレベルですらそうなのだから、政治家や官僚たちが萎縮することは、ある程度は想像できます。ただしあくまでも「ある程度」です。民意に全面的に従属するのであれば、政治家を選ぶ必要はない。何でも国民の多数決で決めてしまえばよいということになります。

蓮池  役人も政治家も「ちょっと家族、黙れ」と言うぐらいの人がいないとだめですよ。

 僕もそう思います。でももし家族会に「黙れ」などと言ったら、以前なら蓮池さんがまっさきに噛みついていたはずだけど。

蓮池  それを言われると、耳が痛いんですが。

 世論が北朝鮮に対してヒートアップした局面は、過去に何度かありました。そのひとつが横田めぐみさんの遺骨問題です。2004年に日本政府代表団が北朝鮮側から渡されて持ち帰った遺骨のDNAを、科警研(警視庁科学警察研究所)は高温で焼かれているため鑑定は不可能であると表明しました。足利事件ではとてもずさんな鑑定で菅谷さんを有罪に導く役割を果たした科警研だけど、このときはとてもまともでした。ところが同様に鑑定を依頼された帝京大法医学研究室の吉井富夫元講師は、「横田めぐみさんのものとは異なる二種類のDNAが検出された」との鑑定結果を報告し、それを受けて政府は「北朝鮮政府から渡された遺骨はめぐみさんのものではない」と公式に発表しました。これによって世相は一気に、「北朝鮮を許すな」と高揚した。スポーツ新聞や週刊誌には、「なめるな!」みたいな見出しが大きく掲載されました。きわめて高度な外交問題のはずなのに、何だか場末の喧嘩のようになってしまった。

 その後、英国の科学誌『ネイチャー』が、高温で焼却された遺骨の灰からDNA抽出は普通なら不可能であるとして、どのような手法を使ったのかと吉井元講師にインタビューしたら、「今回の鑑定は実のところ断定的なものではない。サンプルが汚染されていた可能性もある」と吉井元講師はしゃべってしまった。要するにめぐみさんの遺骨ではないと断言はできないということです。ネイチャーはこのインタビューを二度にわたって掲載しました。でもほとんどのメディアはこれを報じないし、政府も結果としてはネイチャーの記事を黙殺しました。

 民主党の首藤信彦議員が、国会で吉井元講師の喚問と科学的データの開示を求める旨の質問をしたけれど、問題は曖昧なままで終始しました。実はネイチャーに記事が掲載された直後、吉井元講師は科警研法医科長に引き抜かれています。民間の大学の講師が科警研の役職に抜擢されるということが、どれほど頻繁にあることなのか僕にはわからないけれど、時期が時期だけに、とても恣意的なものを感じます。首藤議員は国会で「証人隠しの疑いがある」と発言しています。実際に新聞の記者に聞いたけれど、吉井元講師に取材を申請したら、現在のポジションを理由に断られたらしい。

 いずれにせよ拉致問題の周辺には、不合理なこと、あるいは何らかの作為が働いているとしか思えないことなどが、とても濃密に存在しています。もしも「王様は裸だよ」と言った子供が今のこの国にいたら、「ねえ、なにか変だよ」と言いたくなるはずのことばかりです。でもその「なにか変だよ」という言葉が出てこない。家族会や救う会を聖域にしてしまったメディアは、これらの不合理性について大きくは報道しない。あるいはしたいけれどできない。こうして憎悪は高まり、危機意識は刺激され、仮想敵国としての北朝鮮の位置はより強固なものになる。

森

●恐怖と不安をあおって「仮想敵」を作り出す

 最近で言えば、北朝鮮の「弾道ミサイル」問題がこの典型です。発射直後にミサイルという言葉を使っているのは、僕の知るかぎりは日本だけです。北朝鮮とは休戦状態の韓国ですら、「ミサイル」ではなく「ロケット」と呼称していました。4月に出された国連安保理の議長声明のリリースの際にも、recent rocket launch (最近のロケット発射)という箇所を、外務省はより軍事的ニュアンスが強い「最近のミサイル発射」と翻訳した。でもほとんどの人はこれを知らない。なぜなら、本来ならこれはおかしいと異を唱えねばならないはずのメディアが、むしろ率先して「ミサイル」という用語を使っているからです。

蓮池  仮想敵国を作っておいた方が、都合がいい人たちはいるんだと思います。

 近代戦争のほとんどは、危機管理意識によって起こります。つまり自衛の意識。明確な侵略の意図を持って始まる戦争などほとんどない。
 田母神元空自幕僚長が書いた論文を要約すれば、「あの戦争は間違いではない。なぜなら侵略ではなく自衛の戦いだったから」との趣旨でした。ならばこれに対しての反論は、ワンフレーズでいい。戦争はすべて自衛から始まるのだと。
 今の北朝鮮も、まさしく自衛意識のかたまりになっています。金正日の体調悪化で国内指導体制も揺らいでいるし、国際的にも孤立している。だから周りが怖くてしようがない。怖いからこそ必死で吠え、牙を剥きだしにして、周辺を威嚇しようとしている。そんな状態のところに石を投げてどうするのか。罵声を浴びせてどうなるのか。どう考えても、ますます荒れ狂うばかりです。
 70年前、日本が国際連盟を脱退した時と状況は近い。軍部の大陸進出を批判する国際社会に対して日本は同調せず、脱退を宣告し(*1)、帰国した松岡洋右外相は新聞などで凱旋将軍と賞賛されました。孤立すればするほど、批判されればされるほど、危機意識は高揚し、自分たちの正当性が強化される。国際連盟脱退後の日本は軍事化路線を加速させ、三国同盟を締結し、日米戦争も始まります。そんな歴史と記憶があるはずのこの国が、なぜ率先して北朝鮮を追い詰めようとするのか、僕にはさっぱりわからない。

*1)日本が国際連盟を脱退・・・1931年の満州事変から始まった日本の満州全土制圧に対して国連は調査団を送り、33年に国連特別総会において、日本に満州の中国返還を求めた(リットン報告書)が採択され、賛成多数で可決された。松岡洋右はその場を退席し、同年3月に国際連盟への脱退を表明。その後、日本は日独伊三国軍事同盟を結び、戦争への道を歩んだ。

蓮池  そうですね。国連安保理にしても、日本の追加制裁にしても、どこまで腹くくってやってるのか? 六者協議は、もうぶっ壊してもいいと思っているのか? 北朝鮮が暴発して、自暴自棄になってしまって、何をするかわからない。そこまで覚悟してやっているのかどうか、その辺がよくわからないんですよね。

 おそらく覚悟はしてないでしょう。そういう事態の想定すらしてないと思います。あるいはそういう意識を持つ政治家や官僚がもし、いたとしても、今のこの状態でなかなか発言はできないでしょう。

蓮池  締め上げれば、六者協議の場に戻ってくる、というのは、ちょっと今の状況じゃあ考えられないでしょう。今回のテポドンの発射と核実験では、また北が見返りを求めてくるんじゃないか? というふうに言ってる人もいますけど、今回はちょっと違うんじゃないかという気がするんですよ。後継者問題もあるんだとは思いますが、非常に危険性をはらんでいて、もう死なばもろともで、「やっちまえ!」という可能性も十分にあるのではないか、と私は思っています。

森

 同感です。

蓮池  現実にあるリスク、危機というものを、もっと直視して対策を考えていかないと、本当にとんでもないことになる可能性があります。

 ここ数年の北朝鮮脅威論に対して僕は、「北朝鮮など脅威ではない」という言い方をしてきました。敢えて、の部分もあるし、本音の部分もあります。でも今は本音で怖い。だってこれほどに追い詰めてしまった。やらねばやられる式の自衛意識を、これほどに高揚させてしまった。その臨界はどこなのか。もしかしたらもう臨界なのかもしれない。

●今そこにある、北東アジアの危機

編集部  先日のタイで行われたASEAN地域フォーラムで、閣僚会議が開かれ、北朝鮮問題について話し合われました。北朝鮮の代表も参加するということで、注目されましたが、ニュースによると、日米韓の強攻姿勢に北朝鮮は孤立を深め、会議は決裂し、日本はそこでも外交交渉に失敗しましたね。

蓮池  私は、オバマ大統領も北朝鮮問題をどう解決しようとしているのか、ちょっとよくわかりません。これは、『朝日新聞』が書いていたのですが、6月にホワイトハウスで行われた米韓首脳会談の共同記者会見の冒頭で、オバマ氏は「核廃棄と平和共存は平和的な交渉を通じてのみ可能である、北の前にはそれが開かれている」と言っています。つまり、北朝鮮とは、平和的な交渉を通じてのみ、平和が訪れる。君たちはその道があるんだと言っておきながら、最後は李明博大統領と2人で、アメリカの核の傘でやっていこうねと、全く矛盾することを言ってるんですよ。
 北朝鮮は、アメリカとの平和条約というのを目指しているわけです。ですから、アメリカはどうにかして、オバマ大統領が乗り込んでもいいですし、ヒラリ−国務長官でもいいんですけど、北東アジア危機を何とかおさめるような方策を早くとらないと、まずいと思うのです。そして、それは日本の首脳がアメリカに進言するべきことでしょう。

 「北はアメリカしか見ていない」というレトリックは確かに一面的には正しいけれど、でもアメリカを見ながら北朝鮮は横目で、日本をじっと凝視しています。言い方を換えれば、日本は北に対して、相当に強い影響力や発言力があったわけです。でもそのカードを、拉致問題を理由に、この国は自らどんどん捨ててしまってきたという気はします。

編集部  日本は国際社会に向けて、「拉致」の問題解決を訴える一方で、北東アジアの安全保障についても、アメリカ任せではなく独自にやっていかなくてはなりませんね。

 申し訳ないですが、僕は今、優先すべきは、核問題だと思います。だってこのままでは、多くの人が死ぬ可能性がある。でも優先できない。口にすらできない。なぜなら「拉致」を優先させろとの民意が、この国には強固に存在しているから。
 今の政府は国益などで動いていません。そもそも僕は国益という言葉や考え方が好きではないけれど、その国益重視ですらない。原理としては、やはりポピュリズムです。民意迎合。

 家族会や救う会に対して、「政府の方針に口を出すな」と言う政治家はなぜ現れなくなったのか。現状においてこの発言は、民意に対しても「口を出すな」との意思表明と同義です。だから徹底的に批判される。選挙で不利になる。だから政治家は沈黙した。福田康夫元総理が官房長官時代、これに近い発言をしたとして相当に批判されました。あるいは家族会の意向に背いて北朝鮮と交渉したとして、山崎拓議員も激しく叩かれた。こうして気骨ある政治家が現れなくなった。

蓮池  それを最初は、安倍さんに期待したわけです。しかし、彼は全く逆だった。

 北朝鮮憎しの民意を、彼は結局、追い風にした。つまり向きを変えた。向きを変えれば、逆風は追風になりますから。

●北朝鮮問題解決に向けての、民意とキーパーソン

編集部  今まさに、国家存亡の危機にある北朝鮮は、本当にこわいと思います。それを前提にした上で何か打開策って考えられませんか。

蓮池  去年、外務省の斎木昭隆参事官(当時)が中国に行って北朝鮮と交渉した時にやろうとした「行動対行動」の原理で、制裁の一時停止か緩和しかないと思います。制裁はやらないのが一番だったと思いますけど、既にやってますから、「ちょっとワンランク下げるから、あなたたちも交渉のテーブルについてよ」ということしかないと思うんです。

 その場合、先に口火を切るのは、日本側でなければならない。

蓮池  はい。行動は日本が握っていると思いますね。

 民意がこの方向転換を支持すれば、幾らでも政府は言いますよ。でも今の家族会や救う会、あるいはその背景にある民意は、絶対にこの方向転換を支持しないでしょう。民意が変わるための第一段階としては、メディアの報道が変わらなければならない。聖域化や萎縮をやめて、自由な角度からの議論をしなければならない。
 ここで僕は、蓮池さんがキーパーソンになると考えるわけですが、蓮池さんは、現状のメディアについては、どんなふうに捉えていますか?

蓮池  北朝鮮問題は、テレビではすっかり「エンターテイメント」になっていると、あるジャーナリストが言ってましたが、その通りだと思います。北朝鮮は、変な国、貧しい国、不思議な国、怖い国のイメージで、番組もそうやって作られていて、だから視聴者も「ひどいな、北朝鮮がまた何かやってる」と、見るだけです。北朝鮮問題に関しては、メディアは、事の真相を暴くとか、追求するとか、そういう役割を忘れてしまっている気がします。
 私は、本にも書きましたけど、「平壌宣言から7年経て、なぜ拉致問題は何も動かないのか」、それをきっちり検証する番組を作って欲しい。1時間でも2時間番組でもいい。でも、それを誰もやろうとしません。

 「聖域」に触れますからね。本気でやる気になったら。

蓮池  しかし、それをあえてやるようなテレビ局とか、記者が出てこない限り、この問題はなかなか動かないと思うんです。

 メディアが健全に機能すれば、制裁一辺倒の今の民意も多少は変わるかもしれない。でも・・・。

編集部  誰がその鈴を猫につけるか、ですか。

 鈴をつけるのは、というか、鈴を今持っているのは蓮池さんです。僕は鈴を持っていない。・・・でも猫はいないね(笑)。メディアも含めて、実はみんなネズミなんです。猫という巨大な悪は存在していない。
 とにかく蓮池さんが発言を始めたことで、それを見聞きしたメディアの人の中から、「ならば自分もこの問題に違う角度から光を当ててみよう」とか、「聖域を考え直してみよう」という人が出てくるかもしれません。そこに期待するしかないかな。

●タブーをぶち破るまで黙らない

編集部  少し話が変わりますが、蓮池さんは、『拉致』の中では、かつて改憲派の集会に訳のわからないままかり出されて、「憲法9条は拉致問題の解決を阻害しているから、改正しろ」というふうに口走ってしまった、という言い方をしていますよね。今は、これについては、率直にどう思っているのでしょうか?

蓮池  今は、あれは失敗だったなと思っていますよ。あのときは、行け行けどんどんで舞い上がってましたから。だめですね、ああいう言動は。完全に自己批判します。あのときは「北に攻め込め」という論理でしたから、攻め込むには9条を変えなきゃいかんという、単純なことです。あまり深く考えていません。

編集部  今は9条改正に関してはどういうふうにお考えですか。

蓮池  9条を変えてしまったら、核を持つとか、軍備強化とか、そういう道に走ると私は思っています。私は仕事柄、核は平和利用にしか使わない、それが鉄則だと思っています。だから、軍隊を強化する方向に行くことについては、私は反対ですね。しかし、今思うと、ちょっと勘違いしてましたね、私も。一夜にしてスターになった気分になっていたのかもしれません(笑)。

 かつて蓮池さんがそんな気分に浸っていたとするならば、増元さんたちは未だにに、そんな心理状態にあると考えることもできますか。

蓮池  そうですね。

 何かのきっかけがあれば、彼だって「あれ、そうだったのか」って思うかもしれない。

蓮池  でもこういう話になると、「あなたのところは、家族が全員還ってきたからでしょう」と言われるんです。それを言われると弱いんですけど。だから黙って静かに暮らしている方が、本当は賢いんだと思います。

 ・・・・ならば沈黙しますか?

蓮池  黙らないですよ。

 これまでの責任もあります。

蓮池  そうですね。今は私が言わなきゃ誰が言うのか? と言うのがあるので。
 1人でも賛同してくれる人を探して、何とかこのタブーをぶち破りたいなと。タブーをぶち破れば、解決への道は開けるんじゃないかなというふうに思っていますんで。

 追い詰めるような言い方をして申し訳ないです。でも蓮池さんは、今のこの硬直した民意を変えるためのキーマンであり、強力なツールです。・・・ツールと言い方も失礼だけど。
 いずれにせよ、かつてタブーの中心にいた蓮池透さんがタブーを踏み越えろと言っているのだから、メディアにおいても、ならば踏み越えようという人が出てくるかもしれない。聖域を壊そうと思う人が現れるかもしれない。今はそれに期待するしかないです。

編集部  大手メディアが無視するのであれば、こうやって草の根でも広げていくしかない。

 メディアがなかなか動かないならば、草の根を広げつつ、メディアに刺激を与えてゆくしかないでしょうね。情けないな。本当はメディアが民意に刺激を与えなければいけない存在なのに。

編集部  今回の対談は、この7年間を振り返るような話にもなりましたが、やはり拉致問題をきっかけに日本はかなり変わりましたね。

 僕から見れば、この国の激しい変化はオウム以降です。でも確かに拉致問題は、この変化を大きく加速しました。ただ変わったという意味合いでは、やっぱり蓮池さんがその筆頭です(笑)。

蓮池  確かに(笑)。

 想像の域ですが、蓮池さんへの反発や批判は、今後も相当にあると思います。微力ですが、これからも蓮池さんを全面的にバックアップするつもりです。風除けくらいにはなるかもしれない。そのくらいの覚悟は僕にもあります。

蓮池  ありがとうございます。今日はお会いできて良かったです。

--対談を終えて--

森 達也  オウム信者を被写体にしたドキュメンタリー映画を発表して以降、バッシングされることに対しては、耐性を身につけているつもりだった。視点をずらせばまったく違う世界が見えてくるという感覚は、いまや信条に近いし、その意味では拉致問題をめぐるこの国の世相のありかたへの違和感については、批判されながらも、ずっと発言してきたつもりだった。
 おそらく今の蓮池さんの状況は、僕とは比べものにならないくらいに厳しいものであることは、容易に想像がつく。
 だからこそ逆風に敢えて身をさらすことを決意した蓮池さんに、まずは「ありがとう」と言いたい。礼など言われて蓮池さんも戸惑うとは思うけれど、でもこれは本音。
 バックアップなどと柄にもないことを最後に口走ってしまったけれど(そもそも僕のバックアップなど迷惑かもしれない)、これも本音。今も変わらないし、たぶんこれからも変わらない。断言はあまり得意ではないけれど、でもこれについては断言する。意義ある対談でした。次回は熊本で。

蓮池透森さんが様々なメディアで私の言動に対するご意見を発信して下さらなければ、私の本は出版まで至っていなかったでしょう。そういう意味で是非お目にかかりたかったのですが、今回それが対談という形で実現し心からうれしく思っています。「マガジン9条」のスタッフの皆さんに深く感謝します。
 森さんは、国内外の政治、社会、外交・安全保障等の諸問題を詳細に研究し精通され、理性的で堅固な見識を有する思ったとおり素晴らしい方でした。
 一方、一見厳しそうに感じましたが「全面的にバックアップする」と優しい言葉をかけていただき、ややもすると孤立しがちな中、非常に勇気付けられました。森さん本当にありがとうございます。熊本での再会を楽しみにしています。
 

総選挙を前に、今まさに政治と民意とメディアの関係が言われている時でもあります。
手がつけれない「拉致問題と北朝鮮問題」ではなく、冷静にこの問題についても真実
を見極め、私たち一人一人が、考えて取り組みたいと思います。蓮池さん、森さん、
貴重なお話をありがとうございました!

このお二人による講演と対談が、 8月22日(土)熊本にて、行なわれます。
詳しくは、「お知らせメモ」をご覧ください。

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