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2011-07-06up
おしどりマコ・ケンの「脱ってみる?」
第10回
株主総会の大株主さま2社&
住民の内部被曝関連の闘い途中経過
まずは前回のご報告から☆
株主総会で9割が賛成した脱原発議案が否決となった理由の大株主の2社、どこなのかしら~? と翌日の共同会見で質問してみました。
東京電力は案の定、「お答えできません」(東電・松本さん)。まぁね、そうだろね。
で、細野原発担当大臣にお聞きしてみました。株主総会の経緯を説明したあと、
「これだけの原発事故を起こしたあとの脱原発議案の採決はもはや1企業のことではありません。国民の知る権利、アクセス権としてその2企業を知りたいのです。原発担当大臣として、その情報を公開するよう指示をされるお考えはおありでしょうか?」
細野大臣「民民のことなので…口をはさむことではないです。」
ミンミン、まぁ夏らしいわね☆ あらあら教えてくれないということで、ま、いいですよ、すぐわかるでしょ。
そして東京電力の株主トップランキングの企業2社を順列組み合わせで足し算をし、株主総会のとき、勝俣会長がおっしゃってた議決権にちょうどなる2社を探しました。ふむふむ、この2社かしらね? ま、推測だけれど。
そして、ツイッターで、この2社ってどこなんでしょうね? と呟いたら、「勝俣会長が総会で漏らしたそうですよ、こことここ」という呟きが返ってきたのが、私が計算で出したとこと同じでした☆ というわけで、発表。
第一生命と日本生命です(1社は電話で確認済み)。
まぁね、この2社だけではなく、他の大株主も代理人を立てて、議決に参加して、脱原発議案の採決に参加したら良かったんだからね、この2社だけがどうとかこうとかじゃないんだけれど。
まぁ、あの株主総会の日、とっても暑くてみんなが怒ってたあの日、どこの会社だよ!? という声が多かったので調べてみました☆
***
次は今、いちばん心配している住民の被曝関連の話(第4回も参照)今の段階まとめです。
毎晩、電話している飯舘の仲良し、とも今月中にはカタつけようぜ! とも言ってんですが、終わりゃあしないね!
初期の解決したかった問題のひとつに、「3.30の小児甲状腺サーベイ(調査)の結果を住民に伝えてもらう」というのがあります(当たり前のことやんねぇ)。で、それは説明会を開いて伝えてもらう道筋はついたんだけど、このサーベイについて詳しく調べていったら??? なことがいっぱい出てきて。
まず、甲状腺サーベイのスクリーニング(選別)のレベル(指標)が高すぎる! スクリーニングレベル0.2μSV/hというのは1歳児で換算すると、100mSVなのです。1歳児が100mSV浴びると甲状腺に0.2μSV/h出てくると。
いやいやいや! 1歳児100mSVも浴びたらダメでしょ!? と、質問しましたら、安全委員会の加藤さん、
「これは安定ヨウ素剤を投与するかどうかの判断基準だったのです」
いやいやいや! 安定ヨウ素剤は予防剤として使うか、被曝してから12時間以内に服用しないと効果ないでしょ!?
「専門家の判断に従ってますので…」
どんな専門家やねん!
こういう攻防を5月末から始めておりました。そして、6月いっぱいそれを続けて、今まで調べたり、取材したり、質問したりでわかったこと、出てきたことのまとめ。
飯舘村で3月30日の甲状腺サーベイをするきっかけとなったのは、3月23日に出たSPEEDIの結果だ、というのを安全委員会は繰り返しおっしゃいます。が、甲状腺サーベイが安定ヨウ素剤の判断基準だったとすると、飯舘が放射性プルームに覆われたのは15日の夜だったので、それは遅すぎる。なので、公表されているデータで一番早くに飯舘で高汚染量を記録しているものを探しました。
それは福島県のホームページに掲載された「環境モニタリング第5報」。これに16日0時の段階ですでに飯舘の空間線量がとても高いことが出ています。それなのに、安定ヨウ素剤の投与の検討はされなかったのか?
安定ヨウ素剤投与の判断基準はダストモニタリング(核種別のモニタリング)によってなされます。なので、文科省にいつからダストモニタリングを始めたか出してきてもらいました。
そうして出てきたデータは3月20日から。3月16日に高汚染を認識していながら4日後からダストモニタリングを始めるのは確実におかしくない? (6月17日に出た東電の資料にも、安定ヨウ素剤の服用は被曝から12時間以内でないと意味がない、とはっきり記載されているのです)
それをもって文科省に問い詰めると
「初めに、どこの空間線量が高いかあちこち調べてから、ダストモニタリングを開始したので…それに3日かかりました。」
いえ、でも、空間線量の高いところから、安定ヨウ素剤の投与の検討に入らないといけませんよね、平行して、ダストモニタリングすることは可能ではなかったのですか?
「文科省はモニタリングして本部に報告するだけなんで…」
ちなみにそのデータによると、川俣町のダストモニタリング開始は3月25日。その時点で555Bq/m3だったので、その汚染が3月15日の放射性プルーム由来のものと考えると、安定ヨウ素剤を投与するか検討されるレベルに至ります。
3月の事故後の安定ヨウ素剤投与の議論、その根拠となるデータこそ、今、一番必要なものなのです。それが出てこないと、住民被曝を過小評価されてしまうから。
ヨウ素は半減期が8日。なので、今からいくら調べてもほとんど出てこないうえ、生体半減期もとっくに過ぎているので、ホールボディカウンターで内部被曝を今から調べても未検出なのです。
6月17日に、東京電力の作業員で高線量被曝された方お2人のデータが発表されました。
Aさん:678.08mSV
(外部被曝88.08mSV、内部被曝590mSV)
Bさん:643.07mSV
(外部被曝103.07mSV、内部被曝540mSV)
こんなに高線量被曝なのに、ラディオガルダーゼ(体内セシウム除去剤)は服用していない。なぜ?
ラディオガルダーゼはセシウム被曝で300mSV以上のときに服用するのです。なので、東京電力にホールボディカウンターで計測した内部被曝のヨウ素とセシウムの割合を出してもらいました。するとほとんどがヨウ素被曝。
このお2人は、3月11日~16日に福島原発で作業しており、そのときの被曝がこの値なのです。そして、福島原発から北西の方向に流れた放射性プルームはガス状のもの、ほぼ、ヨウ素ではなかったか、と考えられています。
なので、今、もうすでに半減期も生体半減期もとっくに過ぎているヨウ素を過小評価されてしまうと、住民の内部被曝が大幅に過小評価されてしまうのです! ヨウ素はもう出てこないけど、細胞のDNAは傷つけられたまま。そしてそれが健康被害となって出てきても、因果関係を証明できない。私はそれを一番恐れています。
関連でもうひとつ。6月30日に福島の子供10人の尿からセシウムが検出されました。しかし文科省は健康の問題はない、とコメント。それはどういった推定の内部被曝の計算をしましたか、と文科省にお聞きしたら
文科省・坪井さん「3月12日に被曝した、と最大の被曝量を考えての計算です」
では、そのときヨウ素被曝は考慮しましたか?
坪井さん「ヨウ素は尿に出てこなかったので計算していません」
セシウムだけ被曝して、ヨウ素被曝してない、ということはありませんよね? それを考慮せず、健康の問題はない、というコメントはおかしいのでは?
坪井さん「専門家のコメントを伝えただけなので…」
その専門家とは放医研?
坪井さん「はいそうです」
安全委員会の加藤さんに、以前、健康調査についてずっと質問していました。
6月7月から住民の健康調査をしても、ヨウ素は全く出てこないではないか? その場合、どうやってヨウ素被曝を評価するのか?
何回かいろんな方にお聞きしていたら、加藤さん、調べてきてくださいました。
加藤さん「身近にいた専門家に聞きましたら、ヨウ素はやはり出ないだろう、ということですが、セシウムが出れば、その値から推定してヨウ素被曝も計算して出せるそうです」
こう言ってくださってましたからね。
そのことを踏まえ、文科省と安全委員会に、尿から検出されたセシウムだけの評価で健康に問題は無い、というコメントはおかしいのではないか、と問いただしました。すると、この調査は第三者機関が行ったもの、民間が行ったものなので、そこまで詳しい調査はしない、とのこと。
じゃあねじゃあね、国と県が行う、住民の健康被曝の調査で、ヨウ素被曝をどうやって出したか、計算式を教えてね? もう先行して放医研が始めていて、住民に問題は無かった、ってコメント出てるよね? そのヨウ素被曝をどうやって出したか、その計算式のもととなった空間ダストモニタリングのデータも一緒に出してね? 放医研の監督官庁の文科省さん、お調べしてきてね?
今はそうお聞きしているところなのです。
そして、福島県が国の指示で、各市町村に安定ヨウ素剤を配布していたことも調べました。なので、飯舘にそれをいつ持ってきたのか? その根拠となるデータは何? と細野大臣に、お調べしてご回答よろしく☆ とお願いいたしました。
あと、飯舘で、警官と駐屯していた自衛隊もそれぞれ線量計を持って測定してらしたそうなんだよね、で、それも当時の少ない空間線量のデータに付け加えるととても貴重なものなので、それらも出してきてほしい、と細野大臣にお願いしています。
で、飯舘が放射性プルームに覆われていた頃、村に避難所があって、それはおもに南相馬の方々が日本海側に避難するときの中継所になってたんだけれど、そちらの方々も(2000人くらい)かなりの内部被曝をされてるのではないか、と考えています。でも住所が飯舘でないぶん、のちのちの証明が難しいの。
その方々については把握している? と聞きましたら、「福島県の住民は行動手帳をつけて頂くことになっているから、結果的にそちらでわかるのではないか」とのこと。
でもその、行動手帳、福島県のHPにあってプリントアウトして使うらしいんだけど、めちゃくちゃ見つかりにくい! で探しまわってみたけど、こりゃ年配の方にムリじゃない?
福島の方々に聞いたら、
「行動手帳? 聞いたことあるけど県のHPまだ見てない」
「あー今、避難所でPCもプリンターも流れちゃった。避難所のは自由に使いにくいし」
「高齢者にはパソコンはムリだよ」
んーもう、やっぱりな!
安全委員会の加藤さんにこの現状をお伝えしたら加藤さん、
「私もそれは気になってたので、改善するよう、こういう指摘があったと伝えておきます」だって。
まー加藤さんの好きなところはこう言ったら本当に伝えておいてくれるところ。「変わるかどうかわかりませんが、一応伝えておきました…」。恐らく職務外だけど、いつもきちんと回答して動いてくださいます。小児甲状腺サーベイの結果を住民に伝える件も加藤さんからのプッシュも効いたと思うしね。
保安院は経産省だし、文科省といい厚労省といい、もーう官僚ってばよー、という印象なのですが、安全委員会は内閣府の組織下、つまり官僚では無いんですよね、なので、安全委員会にもう少しがんばってもらいたい! けど、委員長があんまりなんだよね…
とにかく、住民の内部被曝を過小評価されないよう、本当に本当に気をつけなくては! 安全委員会と、細野原発担当大臣に、ヒミツ主義の官僚に切り込んでいってもらいましょう! 頼むよ、お二方!
【今週の針金】
宮城県庁で怒り沸騰担当大臣?松本龍復興担当大臣(辞任したね)
「今の言葉はオフレコ。書いたらもうその社は終わりだから」じゃあ曲げてみよっ!
おしどりプロフィール
マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2003年結成、芸歴は2005年から。
ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパの劇場をまわる。マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。
マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。
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