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2011-06-13up

松本哉ののびのび大作戦

第60回:鹿児島県知事選があるらしい!

 さて、前回、香港の報告をするといったので香港のことでも紹介してみようかなと思っていたら、急転直下世の中がまた動いてきた。野田の大バカ首相が原発を動かすとか言い始めた。申し訳ないが、香港はまた今度にして、まずはちょっと悪の手先=野田首相に一言。
 野田のバーカ、バーカ! 人間のクズ! おまえなんか生まれ変わったら毛虫になるからな! やーい、ザマーミロ!

 さてさて、そんな野田はほっといて、原発といえば鹿児島が面白いことになって来ている。実は香港大作戦から帰って来た後、その香港の報告の九州ツアーをやろうってことになり、福岡、長崎、熊本、鹿児島で報告イベントをやって来た。で、その最後の場所鹿児島で偶然出くわしたんだが、既に謎の火の手が上がっていたのだ!!!
 去年以来、各地で反原発デモが巻き起こっているわけだが、ここ鹿児島でも脱原発ムーブメントはある。で、この鹿児島はなかなか面白くて、デモにトラクターがやって来たり、いろんなアーティストに「反原発のぼり」を作ってもらって街に飾りまくったり、サウンドデモもやってしまったりと、かなり面白いことをやっている人たちがいる。何を隠そう、素人の乱の山下陽光の友達だったり、法政大学時代にやっていた野宿同好会というとんでもない集団の先輩(いま鹿児島に帰って天文館でBARをやっている)だったりと、なかなか近い人たちもたくさんいるせいか、なんだかセンスも近くていい感じの反原発運動。
 で、そんな感じで色々やっているわけだが、ここに来て日本中に再稼働の動きが始まった! この鹿児島の川内原発もその一つで、そろそろ動かそうというバカげた動きがある。で、あろうことか現職知事がまた再稼働したがっている張本人のひとりでもあり、危なっかしくてしょうがない。で、その反原発の人らが、ついに堪忍袋の緒が切れて、「じゃ、こっちが次の選挙に出るよ!」と、近所の出版社の社長のオッサンが勢い余って出馬表明! で、そうこうしていると、ほかにも出馬を考えていた共産党とかも「ま、政策は不十分だけど、反原発はいいね」などとブツブツ言いながら自らは不出馬で支持を表明(お、えらい!)。現職知事側は、自民党と民主党は同盟を結んでいるので(悪の枢軸)、これまた一本化。ってことで、あれよあれよという間に一騎打ちの様相になってしまったという。しかも超巨大組織vs謎の有象無象! なんだなんだ、こりゃ大変だ!

 さて! まあ、これだけだったらどこの自治体にでもあり得る話かもしれない。個人的にも最初はそこまで興味のない話だったんだが、この向原さんという社長のやってる出版社を写真で一目見た時、印象は一変! これがまたヤバすぎる! 完全に百姓一揆の拠点にしか見えない!!
 あまりにもパンチが効きすぎているので、早速その出版社に遊びに行ってみた。市内からちょっとはずれの山の方にあるんだが、なんとかたどり着いてみると入り口の目印が、岩に「本」と書いてあるだけ。なんだこりゃ! で、そこを入っていくと出てくるのが、傾きかけた木造建築の館! しかもなんと!! ニワトリが放し飼いがウロウロしている! これはスゴい!! これ、もう江戸時代だったら農民が竹ヤリを持って集まらざるを得ないような立地と雰囲気! いや、これは景気いいね!

入口目印の『本』。これはわかりやすい!

泣く子も黙る一揆の拠点=南方新社。ニワトリもいる!

 ちなみにこの出版社、南方新社といって、なかなか面白い本をたくさん出している。ラインナップを見てもらえればわかるが、薩摩や奄美のこととか、かなり土着的なものを民衆の視点から書かれたものが多くて、政府発表をそのまま報じるようなくだらないメディアとは真逆の感じで、なかなか気骨がありそうなところ。う〜ん、こりゃいよいよ一揆だね。
 すごいすごいと面白がっていると、数人いる社員の人たちが、お茶を出してもてなしてくれた。話を聞くと、ちょっと前「この本は間違いなく売れる!!」と、うかつに大量に刷ってしまった本が全く売れず、その在庫の重みで建物が傾いて来て、最近は雨漏りまでするようになって大変弱っているところだという。さらに、自分で説明していてバカバカしくなって来たのか「今時、本なんか売れねえよ!」と逆ギレ! う〜ん、すばらしいマヌケっぷり! まあ、この計画失敗するあたりがいい出版社の証拠だ。これは頼もしい!

『アンダーズハイ』という鹿児島の若手商店主たちによるフリーペーパーの書籍化! 表紙がよすぎる!!! もちろん南方新社刊

 振り返ってみると、大地震と原発事故からもう軽く1年以上が経っている。実際に汚染が広がっている地域や、なんらかの影響があるところと、そうでないところ(特に西の方)では、どうしても空気感の違いが出て来てしまっている。東京でもそうだと思うが、「あの時はヒドかったね〜」みたいな感じで過去の事件だと勘違いしてる人もいる。そんななか! 西も西。九州の最南端でいきなり火の手が上がったのはすごい。それもどこかの強力な組織でもなく、単にわけのわからない人々がワラワラと集まり、「コンチクショー!」と、超弱小出版社のオヤジが立ち上がってしまった感じがまたいい。自民&民主連合軍などという絶対に世の中変えられないような連中を退治したら痛快だろうね〜!! ともかく、これは要注目だね!!
 脱原発杉並もなかなかとんでもないことになっているし、やっぱりここは一つ、ローカルなところでいろいろやらかしていかないと何も変わらないね、この世の中は…。中央が腐りきってるから、各地でいろんなことが起こりまくって、国会とゴルフ場と料亭あたりを行ったり来たりしてる連中をビビらせないといけないね、本当に!

大学時代の先輩の営むJAZZ BAR「コーナーポケット」。ここも脱原発鹿児島の重要スポットのひとつ! なんだかしらないけど盛り上がっていた!!

【スケジュールです!】

7月16日
10万人規模! 
前代未聞の超巨大反原発デモ!!

代々木公園にて

 

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全原発停止後、全国で初となる知事選挙は、
なんだか気になる展開になっている模様。
中央から変わる、ことにもはや期待も持てそうにない今、
それぞれの地域が好き勝手に「やらかしちゃう」ことが、
社会を変える一番の近道なのかも?

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松本哉さんプロフィール

まつもと・はじめ「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ

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