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2011-03-28up
松本哉ののびのび大作戦
第57回:インターネットラジオ「素人の乱」がまた始まってしまった!
なんと、台湾の友達の結婚式であいさつ!
どうもどうも。なんとあの大震災と原発事故から早くも1周年を迎えてしまった。う~ん、早い! 特にあの原発事故はもうこの世の終わりかと思うほどのインパクトがあった。で、それ以降、謎の自粛ムードやら、謎の停電やら、前代未聞の巨大デモやらいろんなことが巻き起こっている。で、当の原発は相変わらず何の解決策もなくそのまま。…どころか、最近は再稼動の話なんかもよく出ているぐらい! なに考えてんだろ、本当に。しかもその再稼動の話が完全に展望のない話なのがまた腹立つ。「○年後に全廃するまでの間で、今は一時的に○基動かします」っていうことでもなく、「原発は安全だから将来は全開で稼動するよ! 原子力万歳!」ってわけでもない。結局なんの展望も示さずに動かすなんて、そんなバカげた話はない。
あれだけのことが起こったのに、1年経ってまだのらりくらりと原発動かそうとしてるって、もう恥晒しもいいところ。これまさに、自分らで解決能力がありませんって言ってるような物でしょ。よそ様に合わす顔がないよ、ホントに。みっともない!!!!
先住民の新年会! とんでもないバカ騒ぎ! まさに大宴会とはこのこと
さて、そんな感想もあるわけだが、この間の2月19日の脱原発杉並デモ(あれはものすごかった)のあと、ちょっと台湾に行ってきた。なんと『貧乏人の逆襲! タダで生きる方法』(筑摩書房)が、台湾で翻訳されてしまったので、その出版記念イベントとして行ってきたのだ。
この辺、ブログ『素人の乱5号店・店主日記』にも少し書いてるので、様子はこちらを見てもらいたいが、とりあえず、どいつもこいつも明るいしマヌケパワーが全開だった! しかも、いいかげん(←とてもいい意味)! 出版記念のほかにも、素人の乱台湾店(物々交換所)イベントとか、台湾の友達の結婚式の証人をやらされたりと、盛りだくさんだった。また、先住民のアミ族の集落の新年会にも行ってきたんだが、これまたすごい。この集落、政府から集落ごと追い出しをかけられていて、「冗談じゃない!」と、戦ってるエリア。そのため、「抗戦の新年会!」みたいなやる気満々の新年会だったので、大変な集会なんじゃないかと思っていたら、とんでもない。いや、とんでもないバカ騒ぎ! 文字通りの大宴会に続いて、謎の歌手やら謎の芸人やらが出てきて全員大爆笑しながらの徹底抗戦!!! これはすごい! いやー、この明るさこそいろんなものへの原動力。
一方、今の日本、なんだか暗すぎる。去年の大惨事もあるので多少暗いのはしょうがないとして、問題はそれ以外。なんだか気付かないうちに薄暗くなってきていて、小さいことにもすぐにシリアスになってしまってる世の中の風潮があるような気がする。店番しているとわかるんだけど、ここ1年で、街にも夜中に飲んだくれて騒いで歩いてるような連中の数も明らかに減った。あるいは、売れ筋商品も変わってきていて、意味不明の明らかにムダだけど面白いものなんかはだんだん売れなくなってきて、冷蔵庫や炊飯器みたいな生活必需品にシフトしてきている。なんだか街の遊びが減ってきているような気がする…。ええい、なんだか暗い暗い! 景気悪い!
ただ、原発反対の機運も相変わらず高いままで、世論調査でも7~8割の人が原発はなくなったほうがいいと答えている。デモも相変わらず盛んで、1周年の3月11日には東京でも1万人ほど集まり、その勢いはまだまだ衰えてない様子! うーん、これはすごい!!
台湾作戦のチラシ。『はじめちゃん、台湾に来る!』と、やたらとなれなれしいところがいい
さてさて、ここで一年間を振り返ってみると、デモやら街頭に人が繰り出して意思表示するということではものすごいインパクトがあったものの、いざ自分の足元を見てみると、素人の乱が本来やってきた謎の場所作りや、勝手に遊びを作るってことなんかが、だいぶおろそかになってたことに気づいた! よく見ると、デモばっかりやってて気が緩んだのか(震災の影響もあるけどね)、店の売上は下降気味! 赤字赤字! 新しい謎のスペース作りも、一昨年秋の「なんとかBAR」オープンを最後に止まっていて、去年は1店舗も増えなかった。おまけに、商店街の会合なんかも欠席しがちで、ついには商店会長から「最近、よそへ行きすぎじゃない? オマエも役員なんだから、もうちょっと頼むよ…。来週は来てよ」と、愚痴られる始末。ヤバいヤバい!
デモも大事だけど、やはりこういうところが手薄になっていたら何の意味もない! そもそも原発なんて、金さえ払えば何とかなるっていうような消費社会だったり、エラそうな連中が集まって勝手に貧乏人から金をせしめるシステム作りだったりの象徴みたいなもんだ。そういう発想自体に対抗するようなことを着実に拡大するってこともやって行かないと、トドメを刺すことはできないんだろう。その証拠に、世論調査でも7~8割の人が「原発なくなったほうがいい」って言ってんのに、まだのうのうと再稼働したいとか言ってる政治家がたくさんいる。そう、金塊にしがみついてまだしぶとく頑張ってる権力者諸君がまだ粘ってるのだ。うーん、ばかばかしい!
よし、こうなったら、やはりここは店を立て直し、謎の大バカスペース作りの再開だ!
で、驚くなかれ。何を始めるかと思ったら、素人の乱・ラジオ放送局を再開してしまったのだ!(地味!) しかし! 素人の乱初期からの一味である山下陽光、小笠原ケイタらと始めたんだが、これがまた非常にくだらなくていい。みんながマジメに前向きに効率よく無駄なくしっかりとやって行く世の中ほどつまらないものはない。よし、諸君! 原発もビックリの、何の役にも立たないラジオを聞いてみるしかない!! (ちなみに、アーカイブもきけてしまう!)
さて、改めてのびのびマヌケ作戦が再開してしまう! おそらくこれから、どうでもいいことが続出していくはずなので、しばらくは高円寺北中通り商店街から目が離せない!!
4月9日&23日
松本哉BAR開催!
(高円寺・なんとかBAR)
★おしらせ!
素人の乱ラジオがついにFM放送開始!
半径約30mしか受信出来ない、無免許・合法・88.0Mhz !!!!!!
高円寺・素人の乱店舗や近辺の広場から放送予定!
放送のある日はポータブルラジオを持って高円寺北中商店街を徘徊しよう!
さらに、遠方の方に朗報!
番組をラジカセで録音して、後日ポッドキャストで配信予定。
さあ、今すぐPodcastを登録しよう!
http://www.shirouto.org/archive/
*
なんとリサイクルショップ「素人の乱」よりも歴史の古い(?)、
インターネットラジオ「素人の乱」が復活!
その「歴史」については、この回で松本さんが説明してくれてます。
効率とかお金儲けとかスピード化とか、
みんながそんなことばっかり考えてきた結果が今の息苦しい世の中。
そう思えば、松本さん言うところの「くだらなくってどうでもいいこと」って、
実はめちゃめちゃ重要だったりするのでは?
そんなことも、まずはラジオ聞いて、ゆるーく考えてみましょ。
松本哉さんプロフィール
まつもと・はじめ「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ
「松本哉ののびのび大作戦」
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松本哉さん登場コンテンツ
- 2010-12-22日本で韓国で「のびのび大作戦」
【この人に聞きたい】
松本哉さんに聞いた
- 2008-01-09その1:路上を僕らの解放区に!
- 2008-01-16その2:消費するだけの街から文化は生まれない