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2011-12-07up
松本哉ののびのび大作戦
第53回:冬季なんとかフェス決行!!! 恐怖のDIYイベントが開催!!
どうもどうも、前回の予告を見て、あの「なんとかフェス」いったいどうなったの? 誰も行かなかったんじゃないか!? と、気になってる人はいるかもしれない。
ところが! これがまたなかなかとんでもないイベントになってしまったのだ! 極寒の長野で行われた究極のDIYイベントはこれだ!!
●なんと、家が完成!
とりあえず、現地入りしてから真っ先にやらなければいけないのが、家づくりだった。昼はまだしも、日没後はクソ寒くなることが予想されていたので、なんとしてもその日のうちに完成させねばならない! このままだと、この日寝るところがない! …ってことで建造を開始したのが、その名も「アメリカ人の別荘」。
だが、これ意外と作りはじめるとなんとかなったりもするもので、徐々に家の体をなしてきた。で、いろいろみんなで寄ってたかって、壁やら屋根やらを作り出して、ついに完成!!! おお、すごい。なんとかなるもんだ。ちなみにこのアメリカ人の別荘、なにがすごいって1円もかけてないところ。この「なんとかフェス」の会場は、近所のリサイクルショップのジローさんが使っている山なので、在庫(?)やら廃材なんかが山のようにある。これを何とかかき集めて、電線だとか板だとか部品だとか、いろんなところから引っ張り出してきてアメリカ人の別荘を建築! もちろんうち、素人の乱5号店もリサイクルショップなので、使えそうな材料は高円寺からたくさん持って行ったりもした。
さらには、トイレも作ろうということになり、巨大な穴を掘り、トイレを建設。で、これが意外と快適! すごいすごい。
アメリカ人の別荘内部。山小屋みたいで快適。製作費タダ
●シャイニング事件発生
さて、一大イベントの家づくりが終わると、今度は意外と手持無沙汰になって来た! 今回はいろいろ物を作ったりしようってことになっていたので、思いのほか初日の昼で全部完成してしまうと、ヒマになってくる。
で、そんな時。この日偶然にも皆既月食があるというので、少し楽しみにしていて、みんなで見ることになった。月を見てると、ものすごい時間をかけて微妙にうすぼんやりしてくる。う~ん、まどろっこしい。遅い遅い、早く早く! で、寒い中30分ぐらい我慢してみていると、端っこが暗くなってきて月が欠けてくる。なんだ? 三日月と変わらねえじゃねえか! で、さらに月食が進んでくると、いよいよ月が全部地球の陰で隠れるという皆既月食のお出まし! やいやい、もったいぶらずにさっさと暗くなりやがれ!!! そして、ついにその時が来た! 影が全部覆い尽くして月が暗くなった! 大変だ大変だ! 天変地異だ!!! 待ってました、大統領! …ところが! なぜか完全には暗くならない。ぼんやり明るい。おや? で、聞けばそういうもんだという。あ、チキショー。だまされた! 面白くもなんともない!! 誰だ、月食とか言って騒ぎだした奴は!! だめだ、月食イベントは不発だ!
あまりにもみんなが寒い寒いというので、ヤセ我慢してアロハで撮影
で、しょうがないから映画を見ようということに。実はいくつかの映画が選ばれており、その中にはカナダの映画監督が作った『END:CIV』という文明批判の映画なんかも用意されていたんだが、ここで上映されてしまったのがなんと『シャイニング』! 言わずと知れたジャック・ニコルソン主演のホラーで、雪山で逃げられないところにいて頭がおかしくなっていくという恐ろしい映画。おお、これなんとかフェスと環境が似てて面白いぞってことで、半分ネタで上映!
ただ、こういうものって見始めると意外とハマるもので、みんな食い入るように映画を見る。非常に恐ろしい。…で!!! その時、事態が発生した! なんと「あの~、サイト見てやって来たんですけど」と山に登って来たグループが到着! しまった、これはタイミングが悪い! もちろん「おお~、どうもどうも。ゆっくりしていってくださいよ」と歓迎するが、こちらはみんなが恐ろしい顔をしてシャイニングを見ている! う~ん、これは印象が悪い! 初参加のイベントで心細く山奥を登ってきたら、アメリカ人の別荘の中で10数人がシャイニングを見ている。う~ん、これは怖い。最初は、どこから来たんですか? 何か飲みますか? と、交流も生まれるんだが、こちらはちょっとシャイニング中なので、そこまでかまってもいられない。で、とりあえず、その参加してくれた人たちも一緒にシャイニングを見る。完全に意味がわからない。
猟師さんが取った猪で鍋。これはおいしい
ほかにも、意外とサイトを見てきてくれた人も多くてパラパラとやってくる。中には山に登ってきて「すいませ~ん、この奥でフェスがあるって聞いたんですけど、どのへんかわかりますか?」と話しかけてくる。で、「いや、ここですよ!」→「ここですか!?」というやり取りまで巻き起こるぐらいの大パニックぶり! すまん、別にだましてるわけじゃないよ! 呆れないでゆっくりしていってくれ!!
結局、みんな寒さにおびえて、集まったのは20名弱。ただ、焚き火やらDJやらシャイニングやらで、いいイベントだった! 今の世の中、原発やらTPPもあるし、消費税が上がったりしようもんならいよいよ世の中むちゃくちゃになってくるかもしれず、それこそ恐ろしい世の中がやってきかねない。そんなときの心構えとしても「いざとなったら山にゼロ円で家を建てて住み始めるぞコノヤロー!」っていう気概が重要になってくるかもしれない。
ちなみに、早くもまた1年が終わろうとしている。今年はエジプト革命に始まり、日本では天変地異と人災と抗議の大騒動が巻き起こり、同時に海外でもウォール街やらスペイン、ロンドン、ギリシャと、反乱が起こりまくってきている。これ、いよいよ今の世の中の世界的なボッタクリ経済が「これ、もうそろそろニッチもサッチもいかないだろ」ってところまで来てるってことだろう。うーん、これはいよいよ、来年もいろんな騒動に目が離せなくなってきた!
ってことで、また来年!!!!
いろいろと楽しいフェスでした
*
いろんなことがあった2011年も、やっぱり「のびのび大作戦」は健在!
この寒い季節、「サイトを見て」はるばるやって来ちゃう人がいることに、
なんだかちょっと和んだ気分になりました。
そして、もう誰もが怒らずにはいられない! という状況で迎える2012年。
ますます、いろんな「騒動」の出番です!
松本哉さんプロフィール
まつもと・はじめ「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ
「松本哉ののびのび大作戦」
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松本哉さん登場コンテンツ
- 2010-12-22日本で韓国で「のびのび大作戦」
【この人に聞きたい】
松本哉さんに聞いた
- 2008-01-09その1:路上を僕らの解放区に!
- 2008-01-16その2:消費するだけの街から文化は生まれない