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2010-12-22up

松本哉ののびのび大作戦

第26回: 世界初の暴挙! ベルリン鍋集会! ヨーロッパツアー(2)

まずは駅構内に鍋を設置! なんだか炊き出しみたいだ。

 先週は、ドイツやフランスの連中は新アジトをやたらと作りまくってスゲエ、って話をした。できては潰れ、潰れてはまた新しく作るというのを繰り返して、場所を切り拓いている。

 ところが! 前回も紹介したレンヌという町のスクワットが大変なことになったという速報が舞い込んできた。そう、あの「レンヌ総評会館」だ。今月上旬のある日、明け方ごろに大量の警察が攻めてきて、建物の中身を破壊しつくしたという!! ダンプを何台も連れてきて中のものを私物やら造作物を問わず、すべて積み込み、約1時間後にはそれらのものをすべて破壊したんだって! しかも、泊まっていた10数人も捕まえ(すぐ出てきたみたいだけど)、その隙に突貫工事で建物を囲う強固な壁を作られてしまい、完全に制圧されちゃったとのこと!!! いや~、ひどい! だれにも迷惑をかけずに空いてる建物を使ってるだけなのにね…。しかも、予告も警告もなく破壊するって、まったくフランスもサルコジ政権になってから、懐が狭くなったもんだね、本当に。よし、サルコジのオッサンも、高円寺歩いてるのを発見したらリンチだな!

強烈なお父さんも登場。最後までテンションが高かった!

 さて、景気の悪いニュースはこれぐらいにしておいて、景気のいい話を。

 スクワットなどの場所づくりや、デモの景気の良さなど、ヨーロッパは日本と比べるとだいぶ進んでるところが多いんだが、じゃあヨーロッパは全面的に文化・政治の先進国なのか? いやいや、福沢諭吉じゃあるまいし、いまどきそんなことあるわけない。日本にだってちゃんと、江戸の元禄文化以来(?)、ヒマすぎて文化が生まれまくったという偉大なマヌケ伝統がある。そう、国家権力が暴力で貧乏人を制圧しに来るときに、暴力で対抗するんじゃちょっと芸がない。やいやい、江戸の町人の恐ろしさを知らしめてやれ!!

 ということで、ドイツのベルリンに滞在中、伝家の宝刀=鍋集会を決行することになった! さあ、果たしてどうなるのか!?
 日本では、以前やたらと路上鍋集会をやっていたことがあって、これがまた面白い。とりあえず駅前などの目立つ所で鍋を料理し、通りがかりの人々に「ちょっと、一杯いきますか!?」などと声をかけると、たちまちマヌケなやつらが集まり始め、路上ゲリラ大パーティーになる。

 さて、まずはベルリンの中心部にあるドイツ人の知り合いの家で、鍋の準備! ベルリン人の奴らも「ドイツでこんなことする奴なんかいない! いったいどうなるのか楽しみだ!」とのこと。
 とりあえず、鍋の仕込みが終わったらいざ街へ出撃! ついでに大量のビールを買い込む(日本円にして中瓶が一本4~50円。さすがドイツ)! ちなみに、この時点で日本人も結構たくさんいたんだが、どいつもこいつも大バカな連中ばかりなので、氷点下なのに下駄をはいてくる奴がいたり、ちゃんちゃんこを着ていたり、巨大な鍋を持っていたり、完全に大バカな日本人が多いうえに、ドイツ人の友達も集まってきたので、もはや意味がわからない集団に!! そういえば、「来る途中にフリマでちゃぶ台を1ユーロ(130円ぐらい)で見つけたから買ってきた!」という、センスの鋭いドイツ人までいた。これはすごい! 座布団1枚!
 謎の集団は、まずはAlexanderplatzというターミナル駅の構内へ! 鍋を設置し、ビールを広げ始めた瞬間に、いきなり黒人の兄ちゃんが飲みに来る(早い!)。そして次に現れたのが、全身黒い服を着て、赤い星のついたゲバラ帽子をかぶった好青年! おお、早くも革命家が現れたか! 今日は大変なことになりそうだな!!! さらには、完全に酔っ払い度全開の素性不明の男が叫び声とともに出現したと思ったら、真面目そうな韓国人学生がやってきたり、通りがかりの人も飲み始め、早くも賑わってきた!! この日、活躍したのが、高円寺から一緒に行った“フジロッ久”と“どついたるねん”というバンドの連中。鍋をやりながらいきなり駅の構内でゲリラでライブを始めたりと、いよいよ大混乱に!

とうとう駅員が登場! ニセゲバラがやたらと言うことを聞く!!

 で、そんな感じでやっていると、案の定、駅員さんが現れた。「いや、困るよ、こんなところでパーティーやったら」みたいなことを言ってくる。この辺は日本と全く同じで、最初は軽く注意してくるだけ。特にかまわないときはそのままだし、ほんとにアウトの時は2度3度来て、だんだん怒ってくるので、頃合いを見て移動するのが普通だ。そこで、早くも「まずいまずい、移動しないと怒られるよ! これは大変なことになってしまった!」と一人で焦り出したのが、あのニセゲバラ! おい、オマエの風貌は一番それ言っちゃいけないキャラのはずだろ、こら! で、一人で「片づけないと大変だよ。お~い、みんな聞いてくれよ~」とさらに焦る! でもみんなゲバラの指導にはほとんど耳を向けず、黒人兄ちゃんは鍋を食ってるし、凶暴酔っ払いは「酒だ~!! ウホー!!」みたいなことを叫んでゴキゲンにナンパしまくるし(迷惑)、気付いたらいたカウボーイ風のドイツ人は犬を連れてウロウロしてるし、どついたるねんボーカルのワトソン氏なんかは言葉がわからないからひたすら「チンパンジー」を連呼しながら即興の曲を歌ってるからそれが面白くてドイツ人もやたら盛り上がってるし、もう完全に収拾がつかない! しびれを切らしたニセゲバラは、そこまで駅員さんも怒ってないのに「ダメダメ! もう限界だよ! 駅の外だったらいいって言うから、みんなで移動しよう!」とかいって氷点下の駅の外へみんなを連れ出そうとする。おい、やめろ、勝手なことするな、そっちは寒い!
 そこで協議の結果、電車に乗ることに! ベルリン環状線(山手線みたいなもの)にのれば乗り換えなくて済む!

ベルリン山手線の車内で鍋決行! 車内に出しのにおいが!!

 電車内がまたいい。日本はなぜか「電車内は静かにすべき」という、世界に類を見ない謎のしきたりがあるが、日本以外の国の電車は、路上と同じで賑わっている(大阪も賑わってるけど)。この下地があるから、これまたいい。とりあえず車両の真ん中に鍋を置き、また大宴会続行! また、チンパンジー・ワトソン率いるどついたるねんもライブを始め、車両内大混乱! 
 この夜遅い時間のドイツ人がまたノリがよくて、やたらと反応がよく大喜び! 挙句の果てには、その車両内の別のところで勝手に歌い始める奴らがいて、そっちはそっちで盛り上がり始めた! なんだなんだ、これは!!
 ちなみに、ベルリン環状線はまさに山手線と似ていて、渋谷‐新宿‐池袋みたいなところは賑わっているが、巣鴨とか駒込みたいなところまでくると、やたらと空いてくる。巣鴨あたりの山手線で誰もいない車内で外人がポツンと鍋を囲むのも、明らかにおかしいので、今度は地下鉄に乗り換え!!!
 ってなことを繰り返していたら終電を迎え、外はあまりにも寒すぎるので徐々に解散!

 ま、とりあえずこの日はベルリン市内が、国際的な大バカ貧乏人集団によって解放された一日であった! めでたしめでたし。

 さて! 今回はどうしようもないマヌケな闘いだったが、次回はヨーロッパツアー報告の最後! ツアー終盤、ついに我々の前に出現したネオナチ・極右ファシスト軍団との武力衝突!! 思い返すだけで身の毛もよだつ恐ろしさで年も越せないぞ! 果たして、生きて帰ってくることができるのか!!!!!! 続きは来年!!!!!!!!!!!!

ホームで乗り換え中。とりあえず、むやみに旗を広げてくつろいでみる。

【スケジュール】

12月22日(水)
ONE LIFE
~ Where is your way?~

ZEPP福岡 13:00~20:00
http://onepiece2010.wordpress.com/

12月24日(金)
昼ごろ:
韓国入国イベント
福岡発→釜山行
(場合によってはUターン)
夜から:
ソウル 大バカイベント
ホンデ・トゥリバンにて。
20バンドが集結して朝までイベント&酒
※入国に成功していたら行く予定

2011年1月1日
前代未聞の元日デモ(詳細未定)

★話題の新店舗
「なんとかBAR」
予定はここを参照→http://www.shirouto.org/nantokabar/schedule/

【お知らせ】

このコラムが一冊の本になりました。しかもなんとハングル版! 1月13日より韓国の有名書店で絶賛発売中。
タイトルは、「貧乏人の騒動ショー」、副タイトルが「松本哉ののびのび大作戦」です。

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ベルリンの駅前で、電車の中で、
なぜか鍋からもうもうと上がる湯気。
想像しただけで楽しくなってきちゃうのですが、
果たして周りの人たちの目にはどう映っていたのか!?
テンション最高潮のまんま、「続きは来年」です!

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松本哉さんプロフィール

まつもと・はじめ「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ

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