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これまで「高円寺一揆」や、「クリスマス粉砕デモ」など、
数々の脱力系にして最強の「運動」を繰り広げてきたカリスマ店主、松本哉のコラム連載です。
高円寺から世界へ「のびのび大作戦」、日本のみならず世界各地でも増殖中!
翻訳ツールもつけました。
まつもと・はじめ 「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ
ちょっとソウルに行ってきました。今回は「ハンギョレ21」という雑誌の講演会企画があって、そこに招待されてしまったので、行ってきた。講演会では「ヒマ人が文化を作るんだから、勝手なことをやろう」というようなことを話してきた。
一昨年書いた『貧乏人の逆襲』という本の翻訳版が、去年の春に韓国で出てから、なにかと行く機会が多くなった。ところが、毎回、人前で話したり交流会で飲み歩いたりしてることが多かったので(もちろんこれはこれで楽しいのだが)、今回はなんとソウルで路上ゲリラ集会を試みた!! 果たして、謎の外人主催で、イベントが可能なのか!?
4月5日の講演会の後、スタッフの人らと飲んでいたとき「ソウルでもやったら面白いですね~」って話になった。で、その人らがまたノリがよくて、「やろうやろう! 明日!」と、やたらと盛り上がってしまった!!!! 酒の勢いで勝手なイベント企画が急浮上し、そのまま決行するというパターンは、まさに高円寺と同じだ! すごい!
とりあえず、その講演会があったソガン大学が新村という新宿のような街にあるので、そこでやることになった。翌日、さっそくビラを作り、大学で大量に印刷! さらには、近くのスーパーで魚やマッコリ、つまみなどの買い出しをした。しかし、ソウルの連中はなんだかやたらとノリがよく、手伝ってくれる人も続出! まあ、ナゾの日本人がなにやらよくわからないことをやらかすというので、面白がって集まってくるのかもしれない。自ら鍋と辛ラーメンを持ってくる人もいるし、ビラをばら撒くのをやたらと手伝ってくれる人もいた。うーん、このテンションの高さはいいね!!!!
ちなみに開催場所はソガン大学の正門を入ってすぐのところにある「コンジャガプラザ」というところ。ここは、もともとは普通に学生が集うような広場だったのが、韓国の企業が金を出して、こざかしいショッピングセンターと化してしまい、一応大学の中なのに商業地区のようになっているところ。「実にけしからんから、あそこでやろう」という、ソウルの連中の勧めで場所は決まった。
さて、準備万端で、いよいよ夜9時半スタートの路上集会! 大学のキャンパスを入ったところでやったのだが、夜のせいか意外に通行人も少なく、しかも4月上旬のソウルはまだ寒く、始まったときはちょっと閑散として、さびしい感じだった。しまった、大丈夫かこれ?
ただ、やはり魚の力は強い。カセットコンロで魚を焼きまくり始めると、そのショッピングモール一体が焼き魚の煙とにおいで充満した! よし、ざまあみろ!! こうなってくると「なにやってんの?」と、立ち寄ってくる人も出始め、少しにぎわってきた。さらに、ばら撒いたビラにソウルで使っていたレンタル携帯の番号を書き「今すぐ電話くれ!」と書いておいたので、電話もじゃんじゃんかかってくる! しかし、惜しくも韓国語はほとんどわからないので、そういうときはすかさず手伝ってくれた韓国人に代わり、説明してもらった。ただ、誤算だったのはメールが異常に来ること。そうだ、忘れていた! 海外ではEメールではなく、電話番号で直に送るメールが主流なんだった! しまった! というわけで、ハングルのメールがひたすら来る。これもお願いして返事を返してもらったんだが、これがちょっと大変だった。すまん、ありがとう!!
そして、飲みながら集会は続くが、ビラやメール返信の効果も出てきて、ワラワラと集まってくる。さらに、韓国はネット先進国という噂通り、twitter などで情報が広がりまくり、人も増えてきた! そして、この日も行われていた別の講演会が終わるころになると、学生なんかもやたらと増え始め、結局4〜50人ぐらいになり、やたらと騒がしくなって来た!
と、そこへ、警備員が登場! 「ダメだ! こんなところで騒いだら!」と、怒鳴り込んでくる。おお、このへんも日本とまったく同じパターンだ!
もちろん、これも予想していたので、「もし警備員や警察が来たら、責任者は俺ね」と、みんなに言っておいたので、まんまと「責任者はアイツです」と言うことになって、警備員がこっちへ怒って来る。が、主催者が謎の外人と言うほど強いものはない。警備員が韓国語でひと通り説教し終わった後に、こっちは「いや、ごめんなさい。日本語しかできない」というと、警備員も「おい、はじめから言え!」という感じになり、「おい、誰か通訳しろ!」などと、困り果てる。さらに、通訳できる人が来たら来たで「お父さんも一緒に飲みましょうよ」などと呼びかけると、よけい面倒くさくなってきたらしく、「だめだ、もう面倒くさいからいい。勝手にしてくれ」みたいなことになってしまった。おお、作戦大成功だ!!!
で、そのまま延々と飲み続けたわけだが、韓国の酒のノリの良さは予想以上で、そのまま3次会まで続き、朝の7時ごろまで飲み会は続いた! おい、飲みすぎだよ!!!
最近、ソウルでは、イ・ミョンバクっていうどうしようもない奴が大統領になったおかげで韓国の人々は窮屈でしょうがなくなっている。みんな口をそろえて「自由がなくなってきた」と言っている。そんな背景もあるのか、日本の社会運動なんかにも少し興味があるようで、「日本には、遊びのある路上集会みたいなことができて羨ましい」みたいなことをいろんな人に言われたする。が、やってみたら、まんまと、ふざけた連中が集まってきて大盛り上がりになった。なんだ、同じじゃねえか!
日本と韓国は、もちろん違いは多いながらも、やたらと似ているところが多い。ソウルの若い連中と話していても「突出して目立つのはちょっとねえ」とか「かあちゃんに怒られる」とか「先輩にはあまり強くいえない」というような、日本の連中とほとんど同じようなことを言う。世間を見わたしてみても、物を大事にしないで新製品を買いまくってたり、ろくでもない政権なのはみんな知ってるのにオリンピックでメダルが多かったら支持率が上がったり・・・、こういうところまでなんだか似てる。これだったら、似たようなことができないわけがないし、仲がよくならないわけがない!
ということで、「次は街中でやろう」などと盛り上がっていたので、また近々ソウルに駆けつけなきゃいけないな!! こりゃ大変だ! ソウル行きの手配だ!! 韓国語の勉強だ!!
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