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今週のキイ

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 切ない話が伝わってきます
 年金生活をしている高齢者の方たちが、悲鳴を上げているというのです。少ない収入が、なぜかこのところ、もっともっと少なくなっているからです。原因は「増税」です。

 ポスト小泉の最有力候補とされている安倍晋三幹事長は「再チャレンジ」なんてことを言い出しました。
 彼の言う「再チャレンジが出来る社会」とは、「格差社会の是正」、「一度失敗しても、またやり直しがきく社会」なんだそうです。
 でもね、格差社会では最も経済的なしわ寄せがいく高齢者たちの税金を引き上げておいて、なにが「再チャレンジ」ですか。

そ こで、今週のキイ・ワードは
 
増税と再チャレンジ
 安倍晋三幹事長は、いわゆる「小泉改革」の後継者をもって任じています。だから、その小泉改革によってこの国に広がりつつある弱肉強食の「格差社会」への批判は、安倍幹事長の路線への批判に直結します。そこで、その批判をかわすべく、こんな妙な言葉に乗っかったのでしょう。

 この安倍幹事長を支持する自民党議員たちが立ち上げたのが「再チャレンジ推進議員連盟」とかいう組織です。ちょっと、キモイ。

 しかし、安倍幹事長の言う「再チャレンジ」には、どうも高齢者は含まれていないらしい。だいたい、高齢の年金生活者に、どうやって「再チャレンジ」しろというのでしょうか。「再チャレンジ」などする時間や体力が、この人たちには残されていないのです。
 懸命に働き続けてやっとリタイアしたお年寄りたちに、ゆっくり老後を楽しむ余裕さえ与えないような「再チャレンジ」に、いったいどんな温かさがありますか。

 年金生活者なんて国の金を食うだけの邪魔者だから、さっさと人生から退場してしまいなさい、というのが、この苦労知らずのお坊ちゃま政治家の本音なのかもしれません。

 それを如実に示すのが、安倍氏が支持する小泉改革の「増税路線」なのです。それも、まるで高齢者を狙い撃ちにしたような、このところの一連の政策です。「金は取りやすいところから取れ」ということでしょう。つまり、声を挙げることの出来ない弱者、いくら絞っても別に票には響かない、とでも思っているのでしょうか。

 たとえば、朝日新聞6月18日付けの記事をお読みください。  

お年寄り“寝耳”に増税
住民税の老年者控除全廃
年金変わらず 負担8倍に
「間違いでは?」窓口殺到

<リード>
 65歳以上のお年寄りが、重くなった住民税に悲鳴を上げている。所得1千万円以下の場合にあった老年者控除が全廃となり、年金生活者のための控除も縮小されたためだ。前年度に比べ、収入は変わらないのに10倍前後に跳ね上がった人もいる。今月始まった通知で、初めて増税を知った高齢者から問い合わせや苦情が殺到、電話が長時間つながらないなど窓口の市町村では混乱が起きている。介護・医療費の増加も今後見込まれ、高齢者の負担は重くなるばかりだ。

<本文>
 大阪府内の男性(76)は妻(76)と2人、年金を頼りに暮らす。今月2日、市役所から届いた納税通知書に驚いた。05年度4千円だった住民税が、06年度は約8倍の3万1100円になっていた。
「年金収入は年間約277万円で変わっていないのに、なぜだ」
住民税は、65歳以上には二つの控除制度が適用されてきた。収入に応じて控除額を設け、65歳以上には上乗せもする公的年金控除と、所得1千万円以下に一律48万円とする老年者控除だ。だが、05年1月から公的年金控除の上乗せはなくなり、老年者控除は全廃。税は前年の所得に対してかかるので、影響は今年出る。<中略>

 男性は「この数年、厳しい出来事ばかり続く」と嘆く。長年、非課税だった所得税も同様に控除の改廃があったため、05年度分として、初めて約4万2千円を徴収された。所得税などをもとに算定する国民健康保険料は約3万5千円アップ。介護保険料も約2万円増える見通しだ。
 「電車やバスは使わず、スーパーの見切り品を食べている。これ以上、どう節約すればいいのか。親類が死んでも香典も出せない」<以下略>


  読んでいくうちに、はらわたが煮えくり返ってきます。

 ご存知の方も多いでしょうが、今月14日に参議院で可決成立した「医療制度改革関連法」も、高齢者の医療費負担を大幅に引き上げる法律です。
 では、中身はどういうものか。ちょっとおさらいしておきます。

 70歳以上で現役並みの所得(夫婦2人で年収520万円以上)がある人の医療機関での窓口負担を2割から3割に引き上げる。長期療養の70歳以上の入院患者は、食費や光熱費などを原則自己負担とする。
 さらに、08年度からは現役よりも所得が少ない70〜74歳も窓口負担が1割から2割へ引き上げられる-------。
 とにかく、ひたすらな負担増です。

 高齢者は否応なく体力が落ちます。したがって、若年者よりも医療を受ける頻度は、当然のことながら増えます。その医療費を抑制するために、高齢者の自己負担分を増やすというのです。

 人間は誰でも歳をとります。老化していきます。それを免れる人など、いません。当たり前の真実です。その人たちへの温かな支援こそ、国が行うべき政治の根本でなければならないはずです。そんなことさえないがしろにしておいて、よくもまあ「国を愛せ」などと言えたものです。よくもまあ「再チャレンジ」などとふざけた言葉が使えたものです。

 身を粉にして働いて国の復興発展に寄与し、ようやく穏やかな老後を迎えようとする人たちへの、これが国家の仕打ちでしょうか。それが、責任ある政治家たちの政策なのでしょうか。
 そんな政策を推し進めてきたのが「小泉改革」であり、それを支持することで小泉人気を引き継ごうというのが安倍幹事長なのです。
 とにかく「改革」と唱えればすべてが赦されるとでも思っていた節がある小泉首相と、彼にべったりと寄り添うことで次期首相の座を狙う安倍幹事長。考えてみれば危ないコンビです。

 知り合いの政治記者の分析です。
「何を考えているのか、何にも考えてなんかいないのか、さっぱり分からなかったのが小泉さん。その小泉さんよりもずーっとタカ派なのが安倍さん。でも、その安倍さんにしてからが、深い考えでタカ派的発言をしているとは思えない。右傾化する時流に乗って適当にしゃべっているだけ、という感じが強いんだなあ」
大丈夫なのでしょうか、この国は。


 話は変わりますが、少し前のTBS系『報道特集』という番組で、「統一教会」が、またしても霊感商法や強引な勧誘などを大々的に展開し始めた、という告発をしておりました。かなりヤバイ活動のようです。
 だいぶ前に社会問題となり、損害賠償などの裁判も多数起こされたカルト的な教団ですが、その統一教会には「合同結婚式」という、教団が決めた見も知らぬ相手と結婚するシステムがあります。
(かつて、アイドル歌手だった桜田淳子さんなどが参加して、大騒ぎになったことを覚えている方もまだ多いでしょう)。

 その合同結婚式に、なんとこの安倍晋三幹事長などが「祝電」を寄せていたというのです!!
(お玉おばさんのブログなどに、この詳しい内容が書かれていました。新聞情報より詳しいです。ぜひ参照してみてください)

 ネットの中では、この話はかなり広まっていたようですが、なぜか、マスコミは、今までこのことをまるで伝えていませんでした。
 この合同結婚式、5月13日の開催だったのだから、マスコミが今まで知らなかったとしたら、なんと不勉強、取材力不足か。
 事実を掴んでいたのに報道しなかったのならば、あのNHKの番組改変問題のときのように、安倍幹事長側からの圧力でもあったのか、と勘ぐりたくもなります。
 大手マスコミの記者たちは、少しはブロガーたちの取材力・発信力を見習って欲しい。

 それがここにきて、ようやく新聞や週刊誌などが、少しですけど書き始めましたね。しかし、やっぱりテレビは及び腰。寂しい限りです。

 でもね、安倍さん。
これもあなたがおっしゃる「信教の自由」なのですか?

 というところで、今週はおしまいにしようと思っていたのですが、そこへ、「7月中に陸上自衛隊がイラク・サマワから撤退」というニュースが飛び込んできました。
そこで、

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 ああ、よかった。と少しだけ胸を撫で下ろしたいところですが、そうとばかりも言ってはいられないのですよ。

 なぜか?

 これはあくまで「陸上自衛隊」だけの話です。
飛行機などによる輸送業務、すなわち「航空自衛隊」の任務は、逆に強化される方向にあるからです。すなわち、航空自衛隊はクウェートに拠点を置いて、そこから最も危ないとされるバグダッド空港などへ、アメリカ軍の物資などを運ぶことになるというのです。
 もちろん「海上自衛隊」も、艦船を中東地域に派遣したまま。これが小泉流「自衛隊イラク撤退」の実態なのですよ。

 またもや小泉首相お得意の猫だまし戦術。いちばん目に付きやすい部分は、パフォーマンス的に退いておいて、実は肝心のところではきっちりとアメリカの言うことはお聞きします、というこれまでの路線は堅持するわけです。

「いまだかつてない自衛隊の海外派遣を成功裡に行い、その成果を世界中に知らしめたうえで、一兵の死傷者も出すことなく見事に撤退まで成し遂げた。どうだ、歴史に残る快挙だろう」
そんなふうに胸を張って、小泉さん、意気揚々とカッコよく、9月の引退を迎えようというんでしょうね。

  日本国憲法を、これ以上ない形で踏みにじっておきながら。

 しかし結局、「最後の最後まで国民を騙し続けた首相」「もっとも憲法違反を繰り返した総理大臣」として、歴史は小泉純一郎氏を記憶することになるでしょう。

 そして、小泉首相の本当の最後のパフォーマンスとして、「8月15日靖国神社公式参拝」という、強烈な奥の手が待っているのかもしれません。


(今週のキイ選定委員会)
 
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