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あまみや・かりん北海道生まれ。愛国パンクバンド「維新赤誠塾」ボーカルなどを経て作家に。自伝『生き地獄天国』(太田出版)のほか、『悪の枢軸を訪ねて』(幻冬舎)、『EXIT』(新潮社)、『すごい生き方』(サンクチュアリ出版)、『バンギャル ア ゴーゴー』(講談社)、『生きさせろ!〜難民化する若者たち〜』(太田出版)など、著書多数。現在は新自由主義の中、生活も職も心も不安定さに晒される人々(プレカリアート)の問題に取り組み、取材、執筆、運動中。非正規雇用を考えるアソシエーション「PAFF」会員、フリーター全般労働組合賛助会員、フリーター問題を考えるNPO「POSSE」会員、心身障害者パフォーマンス集団「こわれ者の祭典」名誉会長、ニート・ひきこもり・不登校のための「小説アカデミー」顧問。雨宮処凛公式サイト
2月20日、福島みずほさん(よく考えてみると今は大臣)と日本ペンクラブのイベントで対談しました。
2月20日、「朝までニコニコ生激論」に出演した。
東浩紀さんが司会をつとめる新番組だ。出演したのはホリエモンや城繁幸さんなどなど。ホリエモンがなぜかチョコを持参していて私も一個もらった。旨かった。番組後半はビールを飲みながらの討論となった。長い生放送の時はいつも集中力が落ちると爪をいじったりさかむけの皮を剥いたりしてしまう癖があるのだが、今回は手のひらにイボみたいのを発見してそれをいじっていたらとれてしまい、生放送中だというのに結構な流血をして隠すのに焦った。実はこういう「生放送中にこっそり大流血」というのは何度目かで、自分の新たな「癖」を発見したのだった。
まあそんなことはどうでもいい。番組のテーマはベーシックインカム。たぶんネットで見られると思うので興味のある人は見てほしいが、なんだかとても刺激を受けた。
今、反貧困ネットワークで「貧困削減目標」を作る作業にかかわり、細かな数値目標なんかを出していて、ある意味ベーシックインカムの話はそれを全部チャラにしてしまうようなものなのだけど、私にとってはどちらの議論もとても重要なのだと改めて思った。今の制度をより使いやすくするように改良を求めることと、まったく新しいベーシックインカムという考え方を同時に考えること。
で、面白かったのが、この番組に出た人たちが全員ベーシックインカムに「賛成」だったこと。私の賛成理由はいくつかある。まずは素朴なものとしては、貧困によるホームレス化や自殺、路上死、または貧困を原因とした犯罪を防ぐのに有効だと思うから。
ふたつめは、働いても食えないから。90年くらいまでは、大多数の人は働けばそこそこ生活できた。少なくとも普通に働いていた人がいきなりホームレスになる、なんてことはあまりなかったと思う。それがこの十数年、企業社会は一定数の「働いても食えない」非正規雇用層を生み出し、それを見込んだ経営をしてきた。企業側が「うちでフルタイムで働いても生活できませんよ」と堂々と宣言しているような状態なのだ。結果、「ワーキングプア」が大量に生み出され、到底自立生活できないような賃金で働いている。賃労働によって得たお金のみで生計を維持する、というこれまでの「常識」がここまで崩壊したら、別の手立てを考えるしかない。
もうひとつは、こういった厳しい労働環境によって、不安定雇用であればあるほど「働くこと」にあまりにもがんじがらめにされている実態があるから。もう少しゆるく生きられてもいいのでは、と切に思う。
そして最後の理由は、「生活保護」に様々な問題点があるから。基本的に生活保護は「個人」よりも「世帯」を重視した考え方なので、使いづらい部分がある。例えば「出稼ぎ」で東京に来ている人がホームレス・一文無しになっても「保護義務」は家族がいる出稼ぎ元にあるので、所持金ゼロ円で東京の福祉事務所に行ってもどうにもならなかったり、最近では友達とルームシェアしている人が生活に困窮した場合、ルームシェアしている相手を含めて「世帯」と見なされたりして使えない、という問題もある。その点、ベーシックインカムの考え方は世帯でなく個人に重点を置いている。
また、生活保護については他の問題点もある。プレカリアート問題、貧困問題にかかわり始めて4年が経つが、その中で実感している課題だ。それは「生活に困窮した人が生活保護を受けて屋根の下に住み、本人も周りもほっとするが、その人の人生は当然それからも続く」ということである。福祉事務所のケースワーカーは安定した職を探すように指導するが、この不景気では正社員になどなかなかなれるものではない。結局非正規で働くもののそれが切れたらまた生活保護、という感じで、不安定雇用と生活保護を繰り返すループにもなっていく。そのループは、本人にとっては恐ろしく「消耗」するものだ。生活保護に戻るたびに「自分はダメだ」と自らを責めてしまい、本当はいろんな能力や才能があるかもしれないのに、単純労働の仕事にしかつくことができない。このことについては、私の本『プレカリアートの憂鬱』で「もやい」の富樫さん(当時20代)にインタビューさせてもらった時、痛感した。自らが「もやい」の支援で脱ホームレスし、その後もやいのスタッフとなった富樫さんはこう語っている。
「『もやい』に来れば、とりあえず死なないことはできるんです。最低限生きていくことはできる。だけど、じゃあこの先どうやって生きていくのか。非正規の仕事を途切れないように続けて、困ったら生活保護を受けるみたいな暮らしを、あと40年、50年しなければいけないのかというのは、自分の中ではすごいリアルなんです」
この言葉は、私にとってものすごく大きな問題提起だった。この言葉を聞いたのはおそらく07年とか08年で、「そうだ、これからは生活保護を受けたその後、どうやったら本人が主体的に生きていけるかを考えないと」と思ったものだが、そのあとにリーマンショックが来て、「その後」どころではなくなった。が、ベーシックインカムについてあれこれ考えると、改めてこの言葉の重みをひしひしと感じる。
今の日本は、「何かに挑戦して失敗したら死ぬかホームレスになる社会」だ。そんな中では恐ろしくて誰も何かにチャレンジしようという気など起こらない。しかし、最低限死なないのであれば、何かやってみようという気にもなる。そして現在困窮している層の中には、起業経験があったり、ものすごくスキルがあったりする人も多い。その才能や能力が制度上の都合によってみすみす潰されていくことは単純にもったいない。
そんなことを、番組に出てあれこれ考えたのだった。
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生活保護のような一時的なサポートは重要だけれど、
それだけでOKというわけではもちろんない。
その先も、長く続いていく「暮らし」そのものを、
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