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憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。
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マガ9書店の選書
2011年04月
編集部が選んだ「今読む小説」の選書
あたりまえのことですが、社会を「ある視点」から描き出す―それが小説というものだと思います。現代を浮かび上がらせる多様な視点からの小説をピックアップしてみました。
『おれのおばさん』佐川光晴著(集英社)突然父親が逮捕され、伯母・恵子が切り回す札幌の児童養護施設で暮らすことになった中学生の陽介。施設の仲間や恵子おばさんのストレートな生き方に影響をうけ、だんだん大人になっていく過程に、じ〜んとくる。“タイガーマスク現象”などによって注目される児童養護施設。もちろん本作はフィクションではあるが、虐待や育児放棄などの増加により、施設で育つ子供たちも増加している。そんな子供たちも、こんなふうに素敵な大人に見守られて大きくなってほしいな、と思わせる快作。 | 『来福の家』温又柔著(集英社)著者は、台湾生まれ日本育ちの在日台湾人。日本語と中国語と台湾語。日本人と中国人と台湾人。言葉と歴史とアイデンティティの揺らぎの中で、主人公の女性(著者と同じ設定)は家族を思い、しなやかに未来をみすえていく。複雑な過去を越えて一緒に歩いていけたら……と心が前向きになります。言葉のリズム、なんとなく南国のにおい、ゆったりしたアジアが浮かびあがる。 | 『苦役列車』西村賢太著(新潮社)第144回芥川賞を受賞した本作。もうひとりの受賞者と対象的に「美女と野獣」と評された著者。もちろん、野獣のほうである。中卒で日雇いで働く貫多。生活のための港湾労働で「さわやか」系の日下部と知り合う。つかのまの交流に心を開きかけるのだが……。私小説だとされる本作の現実の厳しさ。人はやはり誰かとつながりたいのだ。 |
『ネバーランド』藤野千夜著(新潮社)これはもう、イライラする恋愛話なのです。小説家ミサが、年下のイケメン隆文にふりまわされる。前の女とは別れない。ただご飯を食べにやってくる。食費もいれない、何も手伝わない。やめよう、こんな男!とミサは思いつつ、ずるずると続く関係。あんた、いい加減にしたら! と女友達のようにミサに説教したくなる。だけど今の日本って、女性がこのくらい寛容にならないと男をみつけられないのかもと、目からウロコでした。でも、イライラしますよ。 | 『黒うさぎたちのソウル』木村紅美著(集英社)沖縄2世の麻利、ビジュアル系バンドに夢中。奄美3世の奈保子、奄美の島歌の歌い手。そんな二人は同級生。だけど互いの島への愛情からケンカが勃発! 普通の暮らしの中で、ふとしたことからルーツを意識する。おばあの気持ち、米兵少女暴行事件、島歌の言葉。沖縄、奄美それぞれの痛みを認識しながら、二人は成長していく……。こういう形で沖縄と奄美の歴史を浮き彫りにする著者の手法に感心する。 | 『人質の朗読会』 小川洋子著(中央公論新社)この本全体に仕掛けられた「人質が語る言葉を盗聴器が記録したもの」という形式がしみじみと沁みる。反政府ゲリラに拉致された日本人旅行客8名は、閉じ込められた小屋でさまざまな切れ端に自らの人生の鮮やかな記憶を書きつけ、それを順番に朗読する。彼らは全員救出されることなく爆死するが、盗聴された声だけが残る。一つ一つの短編(人質の朗読の内容)は、もう小川さんの真骨頂。日常に現れる不思議な出来事、煌く一瞬を静かに切り取ってみせる。一人分の物語の終わりに、その人質のプロフィールが1行添えられている。その1行を読むとき、彼らが語る一場面から爆死するまでの時間に想いをはせざるをえない。お見事! とうなってしまうすばらしい作品。災害に心が痛んだら、ぜひ。 |
2011年03月
編集部が選んだ「原発問題を考える選書」
これまで、原子力発電を「クリーンなエネルギー」として、危険性に目をつぶって推進し続けて来た日本。その代償は、あまりにも大きなものになろうとしています。今こそ、すべての人に読んで、見て、考えてもらいたい本とDVDです。
『危険な話 チェルノブイリと日本の運命』広瀬隆(新潮文庫)「チェルノブイリのような事故は日本でも起こりうる」として、原発の危険性や推進のカラクリを鋭く指摘する1冊。その「指摘」が現実のものになったことに愕然とさせられる。 | 『原発ジプシー』堀江邦夫(講談社文庫)福島、美浜などの原発での就労経験を持つ著者が、被曝の危険性も含めた原発労働者の劣悪な労働環境を告発したノンフィクション。 | 『敦賀湾原発銀座[悪性リンパ腫]多発地帯の恐怖』明石昇二郎「原発銀座」と呼ばれる地域で、ガンが急増している? その情報の真偽を確かめようと行われた住民調査を通じて、明らかになった事実とは…。 |
『原発列島を行く』鎌田慧(集英社新書)日本列島の海岸線に、しかも過疎地をねらい打つようにして立ち並ぶ原子力発電所。詳細な取材を通じて、日本のエネルギー政策そのもののおかしさを告発する。 | 『原発はなぜ危険か』田中三彦(岩波新書)著者はかつて、原発の圧力容器設計に携わっていた技術者。製造中に体験した重大事故の事例も紹介しながら、「原発はなぜ危険なのか」を解説する、説得力ある1冊。 | 『原発と地震 柏崎刈羽「震度7」の警告』 新潟日報社 特別取材班(講談社)震度7の中越沖地震で停止した柏崎刈羽原発。その事故が鳴らした警鐘を、なぜ私たちは活かせなかったのか? 今だからこそ、改めて読んで、考えたい。 |
『カレン・シルクウッドの死』リチャード・L.ラシュキー(社会思想社)核燃料製造所に勤務する女性が、そこで行われていた不正を告発しようとした矢先、謎の死を遂げる…。実話をもとに、原子力利権の恐ろしさを描き出す1冊。 | 『内部被曝の脅威』肥田舜太郎、鎌仲ひとみ(ちくま新書)核の恐ろしさは、直接放射線を浴びる「外部被曝」だけではない。身体の中に取り込まれた放射性物質が、長時間にわたって身体を傷つけていく「内部被曝」のメカニズムと恐ろしさを、医師とジャーナリストが、それぞれの立場から説き明かす。 | 『六ヶ所村ラプソディー』(鎌仲ひとみ監督)使用済み核燃料の再処理工場が置かれた青森県六ヶ所村に生きる人たちを追ったドキュメンタリー。核の危険性とともに、それを一部の人たちに「押しつけている」現代社会の構造にも気づかされる。 |
2010年12月
野上暁(児童文学評論家)さんが選んだ「子どもに贈りたい本」
もうすぐクリスマス、そして1週間後にはお正月を迎えます。お子さんへのプレゼントに、大人が読んでも楽しめる、季節感のある本や、戦争と平和を考えるきっかけになる絵本などを紹介します。
『さむがりやのサンタ』レイモンド・ブリッグズ作/すがはらひろくに訳(福音館書店)12月24日になると、「やれやれまたクリスマスか」なんて起きてきて、北国に住んでいるのに寒さが苦手なサンタさん。『ゆきだるま』や、核の恐怖を描いた『風が吹くとき』の作者による傑作絵本です。 | 『くるぞくるぞ』内田麟太郎・文/長新太・絵(童心社)大雪が降り続いた後、森の動物たちがあまりの寒さに穴倉で丸くなっていると、「ズシーン!」と森が地面ごと持ち上がったのでびっくり。動物たちは大怪獣の仕業だなどといいながら、「くるぞくるぞ」と、一斉に逃げ出します。さて、その正体は? | 『じゅうにしものがたり』瀬川康男・作(グランママ社)神さまが、一年の最初の日に来たものから順に、名誉の仕事を与えるというおふれを出しました。それで動物たちの先陣争いが始まります。十二支物語をユーモラスに紹介した、新年を祝うのにふさわしい、絢爛豪華で祝祭的な絵本です。 |
『ここが家だ─ベンシャーンの第五福竜丸』ベンシャーン・絵/アーサー・ビナード・構成・文(集英社)1954年、ビキニ環礁で、アメリカの水爆実験によって被爆した、マグロ漁船・第五福竜丸の悲劇を描いた絵本です。リトアニア生まれの20世紀アメリカ美術の巨匠が描き続けた作品をもとに、アメリカ生まれの詩人が、核根絶の願いを込めて構成した一冊です。 | 『戦争なんて、もうやめて』佐藤真紀・日本国際ボランティアセンター・編(大月書店)パレスチナ、イスラエル、イラク、北朝鮮などの子どもたちの絵とメッセージで構成されたユニークな絵本です。平和を願う子どもたちの絵とメッセージが素晴らしく、読む人たちの心をとらえます。 | 『せかいいちうつくしいぼくの村』小林豊・作(ポプラ社)内戦や爆撃により国土が荒廃し、政治的混乱が今も続いているアフガニスタン。戦火に見舞われる前の、豊かで美しい村の光景と人々の暮らしが描かれ、戦争によるその破壊と喪失を、静かに訴えかけてくるようです。 |
『なぜ戦争はよくないか』アリス・ウォーカー・文/ステファーノ・ヴィタール・絵/長田弘・訳(偕成社)人間ばかりか、地球全体をむしばみ、破壊してしまう戦争の恐ろしさを、象徴的な場面をはさみながら、優しい言葉で語りかけられます。戦争はなぜいけないのかを、深く考えさせる、画期的な絵本です。 | 『ひつじがいっぴき』木坂涼・詩/長谷川義史・絵動物を描いた詩ばかりが31編。「ねむれないとき ひつじをかぞえる ひつじがいっぴき ひつじがにひき ひつじがさんびき ひつじがかぜひき」そして、「ひつじがゆきかき ひつじがしりかき ひつじがいびき」なんて続くので笑っちゃいます。 | 『子ども・大人』文・野上暁+ひこ・田中/絵・ヨシタケシンスケ(大月書店)最後に紹介するのは、筆者が編集委員の「考える絵本」シリーズの中の一冊です。子どもは大人になれるけど、大人は子どもに戻れません。1回こっきりの子ども時代を、しっかり楽しんで欲しいいう願いを込めて作りました。 |
2010年11月
編集部が選んだ「死刑を考える選書」
月替わりで、コラムの執筆者によるテーマ別「選書」を紹介しています。
11月は、マガ9編集部で選んだ「死刑を考えるための本と映画」です。
これまでの「選書」はこちら→
『死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う』森達也(朝日出版社)死刑囚、元刑務官、被害者遺族、死刑廃止運動に携わる弁護士…さまざまな人に出会い、その声に耳を傾ける中で、著者自身もまた迷い、揺れ動く。まずは「死刑」を考えるきっかけにしたい1冊。 | 『元刑務官が明かす死刑のすべて』坂本敏夫(文藝春秋)「死刑執行」のニュースの陰で忘れ去られがちなのは、その「執行」を実際に担う人たちの存在があるということ。執行の瞬間、死刑囚との会話…刑務官の目線から見た「死刑」。 | 『死刑のある国ニッポン』森達也,藤井誠二(金曜日)死刑「存置派」と「廃止派」の論争――の一言では片付けたくない1冊。ときに一致し、ときに相反する2人の意見。どちらにも、たくさんのことを考えさせられます。 |
『弟を殺した彼と、僕。』原田正治(ポプラ社)被害者遺族の苦しみは「犯人が死刑になれば終わり」ではない。弟を殺人事件で失った著者が、その加害者の死刑に反対したのはなぜだったのか――。残念ながら絶版なので、図書館などで。 | 『絞首刑』青木理(講談社)存置か廃止かの議論の前に、まずは徹底して「現場」にこだわった、という1冊。死刑囚や教誨師、死刑判決を受けた元「少年」たちなど、「死刑」を取り巻く人々の思いや苦しみを、丹念な取材で描き出す。 | 『極刑 死刑をめぐる一法律家の思索』スコット・トゥロー(岩波書店)『推定無罪』などの作品で知られる作家で弁護士の著者が、「死刑」をめぐる自身の思考の軌跡をたどる。随所に見えてくる、アメリカの司法の現状も興味深い。 |
『そして、死刑は執行された』合田士郎(恒友出版)元無期懲役囚で、服役中には「死刑囚監房掃夫」として、多くの死刑囚の最期を見届けたという著者。あまりにもリアルな「人間」としての死刑囚の姿が、生々しく伝わってきます。 | 『休暇』[DVD]監督:門井肇(ポニーキャニオン)結婚を控えた刑務官(小林薫)と、1人の死刑囚(西島秀俊)。刑務官は新婚旅行の休暇を得るため、死刑執行の「支え役」を買って出るが――。「死刑」をめぐり交錯する生と死が、淡々と描かれる。 | 『赦し その遙かなる道』(韓国SBS制作)[DVD]連続殺人事件の犯人に妻と母と一人息子を殺された父親は、犯人を「赦す」ことに決めた。しかし・・・苦悩する被害者たちの姿をドキュメンタリーで追った作品。「赦す」ことの困難さを、私たちに突きつけてくる問題作。 |
2010年10月
鈴木耕さんが選んだ「沖縄を考える選書」
月替わりで、コラムの執筆者によるテーマ別「選書」を紹介していきます。
10月は、「鈴木耕さんが選んだ”沖縄を考える”ための12冊」です。
『沖縄歴史物語』(伊波普猷、平凡社ライブラリー)「沖縄学の父」と呼ばれた著者が、沖縄の千年に及ぶ歴史を解き明かす。著者死後に編まれたアンソロジーだが、沖縄理解の基礎文献としては欠かせない。「歴史物語」としての面白さも十分に堪能できる | 『小説 琉球処分』(大城立裕、ファラオ企画、講談社文庫)長らく絶版同様の扱いだったが、沖縄問題が焦点になり菅首相が言及したことなどから講談社文庫として復刊。江戸から明治への激動期の沖縄の苦難を、異なる立場の人間たちの群像劇として描いた大作。 | 『琉球処分以後 上・下』(新川明、朝日選書)幕府打倒を果たした明治政府は、「琉球国」を日本国に組み入れるべくさまざまな策を弄する。その結果、1879(明治12)年3月27日、ついに琉球国はその歴史を終える。以降の苦難に満ちた沖縄の歩みを詳述する。 |
『命こそ宝 沖縄反戦の心』(阿波根昌鴻、岩波新書)「ヌチ ドゥ タカラ」。命こそが何よりも宝であるとする沖縄の平和思想を実践し、反基地闘争の先頭に立ってきた著者の語り下ろし。復帰後の沖縄の現実を見据え、伊江島に「反戦平和資料館」を作った意味を伝える。 | 『沖縄戦と民衆』(林博史、大月書店)日本国土内で唯一の悲惨な地上戦だった沖縄戦の実相を克明に調べ、正確に伝える労作。特に「集団自決」の構造をこれほど学問的に明らかにしたものはない。同著者の近著『沖縄戦が問うもの』は分かりやすい解説。 | 『沖縄現代史 新版』(新崎盛暉、岩波新書)1972年の米軍政下から日本への復帰で、沖縄の何が変わったか? 米軍基地の集中という基本的構造は復帰後もそのまま。その怒りが噴出した「少女暴行事件」の県民大集会。苦渋の筆致が沖縄現代史の惨状を抉る。 |
『沖縄基地問題の歴史 非武の島、戦の島』(明田川融、みすず書房)沖縄と日米安保体制の関連を、基地問題と絡めて探っていく。なぜ沖縄が基地の島として位置づけられたのかの歴史的経緯を追う。安保改定が沖縄の犠牲を前提とした上でなされ、結果が本土復帰であったという事実。 | 『沖縄、基地なき島への道標』(大田昌秀、集英社新書)学者から政治家へと転じ、1990年から8年間、沖縄県知事を努めた著者の、現状批判と未来展望の書。現在の普天間基地問題が、すでにそのころから起きていたことがよく分かる。日本政府との関係も明らかにされる。 | 『沖国大がアメリカに占領された日』(黒澤亜里子編、青土社)2004年8月13日、沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落。普天間基地の危険性が露わになった事故だった。しかし問題はその後にあった。米軍は沖国大を1週間にわたって完全封鎖。そこで何が起きたのか問うドキュメント。 |
『占領27年 為政者たちの証言』(宮城悦二郎、おきなわ文庫=ひるぎ社)これは珍しい内容。沖縄を支配した米軍・米政府関係者のインタビュー集である。多くの高等弁務官や高官が極めて率直に支配者の論理を語っている。ライシャワー元駐日大使の話など、一級の歴史的資料である。残念ながら絶版なので、図書館・古書店などでチェックを。 | 『沖縄文学選』(岡本恵徳・高橋敏夫編、勉誠出版)沖縄文学の全体像をまず俯瞰したい、と思う向きには最適のアンソロジー。小説、琉歌・短歌・詩、戯曲までを網羅しており、近代沖縄、米軍統治下、復帰後の文芸の流れを一望できる。かなりのボリュームでもある。 | 『沖縄へ 歩く、訊く、創る』(鈴木耕、リベルタ出版)恥ずかしながら自著を末尾に加えておく。自宅近所の旧米軍基地跡の現状から、普天間返還後の跡地利用を展望する。さらに「沖縄医療特区」なる妄想的構想を膨らませる。珍しい「極私的沖縄論」であると自負する。 |
2010年9月
芳地隆之さんが選んだ「"インテリジェンスとは何か"を考える選書」
9月は、「マガ9レビュー」でおなじみの芳地隆之さんによる9冊。
ご自身の近著『満州の情報基地ハルビン学院』(新潮社)もまさにそんな1冊です。
前回の、伊勢崎賢治さんが選んだ「"平和と和解"のための選書」はこちら→
スパイ行為とインテリジェンス活動はしばしば混同されがちです。前者は諜報や謀略も含まれますが、後者の中心は、たとえば対象となる国、組織、人間に関する情報を集め、それらを分析・解釈し、後の外交や商談などに生かすこと。007やミッション・インポッシブルのイメージとは違って、統計数字の山と格闘するような地味な作業です。いずれにしても市井の私たちには縁遠い職業ですが、彼らの仕事や人間性を知ることで、私たちも情報の目利きになれるかもしれません。以下、読んで面白く、権力をもつ人や組織の嘘を見抜ける力のつく本をご紹介します。
『ヒューマンファクター』(ハヤカワepi文庫)英国情報部に実在した二重スパイをモデルにした小説。読み終わった後、タイトルの意味をかみしめることに。 | 『ゾルゲ 引裂かれたスパイ』(新潮文庫・上下巻)20世紀を代表する国際スパイの一人、リヒャルト・ゾルゲがコーカサスで生まれ日本で絞首刑になるまでの生涯を描いたノンフィクション。 | 『間諜二葉亭四迷』(講談社文庫)日露戦争勃発前夜。ロシア語の達人、二葉亭四迷はロシア情勢を把握するため、ウラジオストク、ハルビンに渡る。諜報活動を行った文豪の実録風小説。 |
『城下の人―石光真清の手記1〜4巻』(中公文庫)二葉亭四迷と同様、ロシア極東各地やハルビンで現地情勢を探る任務を負った男の手記。全編、大陸に生きる人々への優しいまなざしに貫かれている。 | 『榎本武揚シベリア外伝』(文藝春秋)帝政ロシアと交渉し、樺太・千島交換条約を締結した旧幕臣、榎本武揚が書いた「シベリア日記」をめぐる、現代を舞台にした上質なミステリー。 | 『外交官の一生』(中公文庫)中国の専門家として外務省に入り、日中戦争について的確な分析をし、それゆえに外務省を追われた一人の外交官の回想。 |
『ストックホルムの密使』(新潮文庫・上下巻)太平洋戦争終結間際にアメリカが日本に原子爆弾を使用する情報を入手したスウェーデン駐在武官と彼の密使を描くエンターテイメント。 | 『ハルビン学院と満洲国』(新潮選書)1920年、ハルビンに設立されたロシア語専門学校「ハルビン学院」の理想と挫折を通して迫る満洲国の実相。 | 『コスモポリタンズ』(ちくま文庫)著者、サマセット・モームの分身と思われる主人公が描く世界各地の人々。インテリジェンスが直接のテーマではないが、根無し草の主人公はスパイ的な存在かも。 |
2010年8月
伊勢崎賢治さんが選んだ「”平和と和解”のための選書」
月替わりで、コラムの執筆者によるテーマ別「選書」を紹介していきます。
8月は、「伊勢崎賢治さんが選んだ”平和と和解”のための9冊」です。
『ドイツはなぜ和解を求めるのか 謝罪と戦後補償への歩み』日独の戦後補償。単純に比較はできないが、被害者個人に焦点を当て、そして官民一体となった取り組みの歴史はただただ感心するのみ。 | 『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』オバマさん。これが僕が考える対テロ戦の出口戦略です。 | 『拉致 左右の垣根を越えた闘いへ』「拉致被害者救済のための制裁」から「拉致被害者救済のための国交正常化」へ。 |
『伊勢崎賢治の平和構築ゼミ』戦争にかかわる勧善懲悪的なステレオタイプを崩す。 | 『国際貢献のウソ』国際協力業界をめざす若い人たちに、読んでもらいたい。 | 『ロメオ・ダレール 戦禍なき時代を築く』「保護する責任」に、自衛隊は使えるか? |
『ドキュメント 戦争広告代理店』民主主義に殺戮行為をさせるには? | 『戦争請負会社』軍事の民営化抜きに現在の安全保障は語れない。 | 『戦争プロパガンダ10の法則』同じ「殺す正義」のつくられ方がいかに歴史上、そして今でも繰り返させられているか。 |
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- 伊勢崎賢治の平和構築ゼミ
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