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2011-06-22up

おしどりマコ・ケンの「脱ってみる?」

第5回

週間報告☆
(その1)

 ケンパル「マコちゃん、僕ら今、生活の大半は原発だよね!」
 睡眠時間2、3時間で勉強したり取材したり会見に行ったり。今回は怒涛のように行っている会見模様をピックアップいたしましょう☆
 あ、でも怒涛すぎて超長くなったので、4つに分かれています。4日連続でお読みになってね!

 その前に、前回書いた、放医研のホールボディカウンターの件。飯舘の方にお電話して「どうだった?」とお聞きしました。

 「スペクトルピークグラフを頂けたことは頂けたんだけど…」
 「ん? どうしたの?」
 「すごい小さくて数値があまりよくわからなかったから、元の生データ、数字のデータも頂けませんか? って言ったんだ、そうしたら、生データは渡せないって」
 「は? 請求したらデータ頂けるって、文科省の坪井さんも統合本部の細野さんも約束して頂けたけど?」

 「生データは渡す用意をしていない。このグラフを見たらわかるんでしょう?」と言われたそう。
 確かに、「基準値以下なので大丈夫」と言われただけだったから「スペクトルピークグラフも見せて欲しい」とお願いし続けていて、「生データも見せて欲しい」と言ったのは昨日が初めてだったわけなんだけど…。
 放医研さま…取りにこい、と呼びつけておいてこれですか…。まぁ、もう放医研はいいか、ということを話し合いました。
 でもやはり、グラフデータが小さすぎて、生データが無いと、他の医学者の方が判断できないんですって。なので改めて、細野さんに、生データもくださるように放医研にお伝えください、とお話ししました☆ 苦労するわ…

 という報告のあと、会見メモスタート!

***

6月14日(火)山本拓議員会見

 地下原発を提唱されている福井県の衆議院議員の方。5月31日に超党派の地下原発議連の勉強会があったのね。で、山本議員は地下原発の本も出版なさったほどなので、これはゼヒともお話を伺わなくっちゃ! と走って行ってきました。
 この時期、原発推進の方のお話を伺えるなんて貴重な機会じゃない? よく記者会見を受けてくださったものだわ!
 けど、地下原発について全く知らなかった私は前日に一夜漬けで、地下原発のことをいろいろ調べていきました。

 でも、日本の文献や資料ってあんまり無いんだー、不思議。と思ってたらそれにも理由はあったんだけど。で、しょうがなく、海外の論文、資料を探しました。
 でさ、ひとつ思いついて、地下原発を推進している海外の研究者の論文をいろいろ探してみたの(ネットの翻訳サイトは超便利だぜ! 英語はもちろん、ロシア語もドイツ語も中国語もらっくらく♪)。
 まぁ、いろいろな考え方がありますわな、という感じでしたが、どの資料にもわりと共通して挙げられているデメリットで面白いものがありました。

 地下原発はどうしても、地上より小型にしか作りにくいの(バカみたいに深く掘るのは大変だし、コストかかるし…)。なので、広大なところにちまちま並べるか、比較的小さいサイズの原発プラント(30~50メガワット)でもコスト効果があるようなところに作るべきなんだって。
 あと、技術的な問題は、「こうしたら大丈夫!」「いやそれでもダメ!」などなど、わりと水掛け論になっちゃうと思うんだけど、はっきりとどれにも書いてあったこと、「地震多発国には向かない!」。うん、まぁこれは地下原発に関わらず、地上の原発も同じだけれど… 。
 地下原発はちょっとした修理なんかもやりにくいんだよね、地下だから! そして放射性物質を外に少しずつ逃がすのも難しいから作業員の安全性をはかるのも、地上より難しいみたい。
 で、ちょっと配管ずれたよ! とかでも地下のほうが大事になるから、地震多発国には向かない、と。地下原発を研究しているシンガポール国立大学の研究者さんははっきり、「地震多発地域、日本のような国にはむかない」と名指しで書いていました。

 なので、山本議員にそれらを踏まえて質問いたしました。
 「海外の地下原発をしている方の論文をいくつか読んだのですが、共通して指摘されているデメリットがありました。サイズの小さい地下原発プラントを、日本のどこに作ればコスト効果を得られますか? そして、地下原発は地震多発国にはむかない、ともあったのですがこの点についてはいかがですか?」
 答えは…驚愕だったのよ! いろいろおっしゃって頂いたのですが、要約するとこう。
 「学者さんはいろんな意見をおっしゃるでしょう。正反対の意見もあるでしょう。僕は、僕の信用できる学者さんの言うことしか信じない。海外の学者さんは参考程度」

 わー!! 身もフタも無いよ!!

 まぁ、原発推進も、脱原発も、それぞれ信じるデータを持って動いているっつーことは永遠の水掛け論なのかしら…。
 けど、興味深かったことは、今まで、地下原発推進者は、脱原発と同様! すごく虐げられてたんだって。面白いでしょ? 地下原発を推進することは、地上の原発の安全神話に影を落とすことになるから、地下原発を研究する方々はいつの間にか左遷されたり、辞めたりしていったんだってさ。
 地下原発のメリットのひとつに、「事故が起こったときに放射性物質の漏洩を封じ込めやすい!」とあるのね。事故が起こらない! と言い張る安全神話にはそれがジャマだったと。同じ原発関係でも、排除していってたのか…。

 まぁ、この会見の収穫は、原発の安全神話の洗脳は徹底していたということ、そして政治家さんは、自分の信じる学者さん以外の情報は興味ないということ☆

***

6月15日(水)元佐賀大学学長上原春男氏記者会見

 原子力発電が始まったころは敗戦国の日本では原子炉の開発は禁止で、日本の技術者に設計が許されていたのは、「複水器」という熱交換器のみ。上原氏はその熱交換器の研究者! 福島原発の3号炉の熱交換器も設計なさったんですのよー。

 お聞きしたことは前日の会見を踏まえて、「地下原発の超党派の議連が立ち上がったが、地下原発の日本でのメリット、立地について技術的な見解を」。
 けどさ、回答は「原発はもう、政治家が決めることではなく、ましてや科学者が決めるものではない。原発をどうしていくかは国民が決めること」ですって。
 全体的にそんな雰囲気の会見でしたとさ。

***

6月16日(木)統合本部共同会見

 東京電力で行われている、保安院、安全委員会、統合本部、東京電力の共同会見ですよ☆ まぁ、私たち、行けるときは必ず行ってるんですけど。IAEAに報告に行ってらっしゃった細野補佐官が帰国して、この日から復帰だったので、たくさんの記者さんでした。

 この日は国交省の方が来られて、「放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方」が示されました。
 上水汚泥がけっこう放射性物質で汚染されてんのよね! まぁ、それはけっこうきちんと上水道がろ過されてる、ということを示しているわけなんだけど、ろ過してないものはガンガン入っている、ということです。
 で、この「当面の取扱いに関する考え方」のキモは、「放射性セシウム濃度が10万Bq/kg以下の汚泥等は住宅地等と適切な距離を保った上で、管理型処分場に仮置きができる」ということと「処分について、放射性セシウム濃度が8000Bq/kg以下であれば、跡地を居住等に利用しない前提で、埋め立て処分できる」ということ。

 おっとそれはどういうことよ!? とか思ってる間に「国交省の方は次の会議があるので、ご質問は今から15分間だけ受付けます。先にこの汚泥処理に関する質疑がある方だけお願いします」。えええ!? そ、そうなの!?
 NHKの方がお一人だけ手をあげ、セシウムだけの濃度を測定するだけでいいのか、というご質問をされていました。いや、肝心なのはそこじゃないな、セシウムだけについてもこの基準はアナだらけだぜ! と、その間に必死で資料を読み込む。
 「次のご質問の方」。
 いない! ううう、まだ全部読めてないけど、このまま質疑が終わったらダメだ! 手を挙げて質問!

 「脱水汚泥等を利用した副次産物の利用についてですが、この(3)のところに『再利用に関する評価が定められていない』園芸用土、とありますが、再利用に関する評価は今後定められないのでしょうか。あと、製品の出荷を自粛する事が適切とありますが、もし、この脱水汚泥、評価が定められてない脱水汚泥の副次産物の製品が地上に出回った場合、自粛だけだと罰則も何もないという状態ですけども、このあたりの事を詳しく教えて下さい」 
 回答は、園芸用土はこれから農水省が基準を定める、ということ、そして今のところ法的な根拠が無いので自粛という形ということだそうです。
 でも、販売する段階で線量計で放射線量を測定することは簡単にできるのでは? そして自粛という形でも市場に出回ることは多いのではないか? と重ねて質問すると、
「自粛という要請で今のところ十分だと思います」とのこと。
 …まぁこれ以上は水掛け論だわ…

 でもそのあと、次々とNHKの方、フリーランスの方々が私の関連の質問や、保管の質問や、埋め立て地の質問をしてくださって良かった!
 正直、どう考えても、不安いっぱいの通達ですぜ! 8000Bq/kg以下の汚泥はセメントや生コンに再利用されるから要注意!

 あと、後ほどいくつか質問しましたがその関連はまとまってから出します。

その2へ→

【今週の針金】
僕を飲んでも安全だよ☆ プルトくん!
プルトニウムの安全性! を強調したアニメの主人公、プルトくん。

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おふたりが伝えてくれる会見の様子、
聞けば聞くほどあいた口がふさがらない、ことだらけですが…。
本日より4日連続更新! でお届けします。ご期待を。

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おしどりプロフィール

マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2003年結成、芸歴は2005年から。
ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパの劇場をまわる。マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。
マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。

ブログ:
 http://oshidori.laff.jp/
twitter:
 マコ:@makomelo
 ケン:@oshidori_ken
その他、news logでもコラムを連載中。

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