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週間つぶやき日記

080709up

7月3日(木)雨のちくもり

踊り場で踊り疲れたのか景気

 不景気が、本物の不景気が、すぐそこまで近づいて来ているようです。
 日銀短観=企業短期経済観測調査(日本銀行が、企業の景気動向などを探るために年4回実施しているアンケート結果をまとめたもの)によれば、企業の景況感を示す業況判断指数=DI(景気が良いと答えた企業の数から、景気が悪いと答えた企業の数を引いた値の割合。数字が低いほど、景況感が悪いことを示す)が、このところ急速に悪化しているとのこと。
 今回の短観では、前回調査(3月)よりも6ポイントも下がって、プラス5にまで落ち込んだのです。これがマイナスになってしまったら、もう誰がなんと言おうが本気の不景気です。
 現在、「景気はまあまあです」などという企業がどんどん減って来ているということなのです。

 原油価格の高騰、それに伴う農産物など原材料の高騰。さらには、例のサブプライムローン問題に端を発するアメリカ経済の大減速の影響などが、日本経済にも色濃く反映しているわけです。
 我が世の春を誇ってきたトヨタさえ、5月のアメリカ国内での新車販売台数を、前年同月比で4%以上も落としています。
 日本経済も、もろにこれらの影響を受けています。7月2日の東京株式市場は、前日よりも176円83銭安の1万3286円37銭で引けました。これはなんと、6月19日から連続10営業日の値下がりです。10営業日連続の値下がりというのは、1965年以来43年ぶりなのだそうです。
(注・その後も株価は持ち直せず、7月4日も続落。これで、12営業日連続の値下がりです。これはなんと、54年ぶりのことだそうです)。

 日本経済は、本格的な景気後退局面に入ったのではないかと思われます。政府は、「02年から続いている戦後最長の景気拡大は、一時的な『踊り場』にある」としていますが、どうもそれをまともに受け止めるわけにはいきません。
 いわゆる「街角の景況感」は、すでに不景気そのものなのです。例えば、例の“居酒屋タクシー”で有名になったタクシー業界は、「そういう形でサービスをしなければ、顧客確保ができない」と嘆いています。料金値上げ以降、客足はほぼ3割減なのだそうです。金品をもらう官僚は卑しいけれど、そうやってお客をつなぎ止めようとせざるを得なくなるまで追い込まれたタクシードライバーを、私は責める気にはなりません。
 ようやく気づいた厚労省は、タクシー業界の規制緩和方針を見直し、もう一度、台数などの規制を始めるという方針転換を表明しました。ここでも官僚お得意の“泥縄”方式です。

 テレビのワイドショーを見れば、“生活節約術”の特集が毎日のように放送されています。でも、どんなに節約したところで、値上げのスピードにはついていけません。
 そして、更なる負担を強いる各種保険料の値上げや特別税の新設、消費税の大幅アップなどが、すでに論議されています。
 何度も語られたことですが、なぜ大企業は内部留保にのみ利益を回し、社員の給料への還元を考えてこなかったのか。
 大企業経営者は、「国際競争力を確保するために、利益を内部留保する」と言い続けます。その利益をさらに増大させるために、派遣や臨時雇い、アルバイト、フリーターなどの“使い捨て非正規雇用者”を集めてきたのです。そのくせ、株主配当や経営者たちの給料などは、数倍単位での上昇です。
 これで、景気が良くなるはずがありません。労働者にお金が回らない限り、景気が良くなるはずがないのです。いくらモノを造ったって、それを買う者がいなければ、金は回らない。あたり前のことです。
 政府も大企業経営者も、そろそろ発想の大転換を図らなければならない時期に来ていると思うのですが…。

7月4日(金)はれ

北朝鮮終わった次はイランだぜ

 不気味な記事を見つけた。
 またしても、ブッシュ大統領です!

見出し
 <対イラン、手詰まり感
  軍事介入 観測くすぶる>
(朝日新聞7月4日)
記事
 <核疑惑が取りざたされるイランに対し、米国かイスラエルが軍事作戦を仕掛けるのではないかとの観測が出ている。(中略)
 ブッシュ大統領は2日、朝日新聞など日本メディアとの会見で、イランと北朝鮮の核問題に共通する姿勢として「外交優先が原則だが、軍事介入も排除しない」との立場を繰り返した。(中略)
 背景には米メディアが伝えるきな臭い情報がある。ニューヨーカー誌(7月7・14日合併号)が、米軍の特殊作戦軍や中央情報局(CIA)がイラン不安定化をねらい秘密作戦を拡大したと報じたのが典型だ。
 イラン側が「イスラエルに攻撃された場合、ホルムズ海峡の封鎖による報復も辞さない」との構えを示したことに現地駐留の米海軍第5艦隊司令官は2日、「許容しない」と表明。(後略)>

 そうとうにヤバイ記事だ。

 残り任期が半年ほどとなったブッシュ大統領、対イラン外交行き詰まりの最後の打開策として、イラン攻撃に打って出る可能性は否定できない。なにしろ、諜報機関の報告さえ無視してイラク戦争をおっ始めてしまったのがブッシュ大統領だったのだから、今回の動きも笑い話として見過ごすことなどできない。
 北朝鮮問題が一段落したから、今度はイランだというのか。ブッシュ大統領の頭の中には、砲弾と火薬、そして血の臭いしかないのだろうか。
 あとどれだけの血を流せば、この男、満足するのか。

 特殊部隊やCIAが、イラン現地でうごめいているのは確からしい。むろん、イスラエルの名だたる諜報機関モサドも、連携しているに違いない。民族生き残りを賭けるイスラエルの軍事行動は、その容赦のなさで知られる。
 またしても、中東に砲弾が飛び交い、血が流れるのか。

 「ブッシュの(イラク)戦争」に、世界のどの国よりも素早く支持を表明してしまったのが、我が日本(小泉純一郎首相)だった。
 さて、もしもイランにブッシュが攻め込んだら、今度は日本はどうするのだろう?

 7月5日(土)くもりのちはれ

窮鼠たち猫の尻尾に怨みの歯

 いやはや、吉兆の話題が下火になったと思ったら、今度は飛騨牛、さらにはうなぎ…。
 まだまだ食品偽装事件は続く気配。ある意味で、これも“不景気”が引き起こしている事件とも言えそうです。  

 例えば、うなぎ事件。中国産ではまるで売れない。抱えた在庫に四苦八苦。苦し紛れの大偽装。という側面もあるようです。むろん、日本産と偽れば、値段は倍近くに跳ね上がるのだから、こんな美味しい話もない。
 しかし一連の偽装発覚は、もう少し奥が深い。実は、農水省や厚労省に、いわゆる“タレコミ”が激増しているのが背景にあるらしい。
 「某会社では、こんな偽装が行われている」というメールや通報の手紙が関係機関に殺到しているというのです。通報を受けて調べてみると、確かにその告発はほんとうだった。かつては嫌がらせだろうということで無視していた通報が、いまやほとんど正確だというのです。
 なぜこんなことが多発しているのか。

 理由のひとつに、非正規雇用制度があげられています。
 同じ仕事をさせられながら、賃金は正社員の半分ほど。不満が出ないほうがおかしい。さらに、いわゆる“日雇い派遣”。数日単位で変わる仕事先に、愛着など湧くわけがありません。その仕事先で、なにやら妙なものを見つけてしまったら…。
 「どうせ数日でお払い箱。正社員は威張りくさるし、いやな仕事はすべてオレらに押し付け。そのくせ、なにやら妙な不正を働いているらしい。最後に、オレは正しいことをしてやる。この会社の不正を告発するんだ」
 こう考えてもおかしくはない。
 事実、告発の多くが臨時雇いの人たちからのものと、関係機関は見ているとのこと。
 そういえば、前にここで連載していた『デスク日誌』(第30回、07年11月14日アップ)が、次のように分析していました。愛社精神など持ちようもない(使い捨てにされる)弱者の叛乱についてです。

 非正規雇用者が、見つけた不正を監督官庁に告発。
 企業と癒着している官庁はそれを握りつぶす。
 それではと、マスコミに同じ内容を通報。
 さらに、ブログなどで世間に公表。
 ネット社会で噂が広まる。
 隠し切れなくなった官庁はついにマスコミ発表へ。
 不正を働いた会社はトップがお詫び会見で平身低頭。
 不正は次々と発覚、お詫び会見が繰り返される。
 とうとう警察までもが動き出す。

 今回のうなぎや飛騨牛騒動などの一連の流れを見ていると、この分析はかなり正しいように思えます。
 賃金を抑制するために、正社員を減らし非正規雇用者を増やして儲けようとしてきた企業が、いまやその人たちに復讐され始めているようです。
 人を呪わば穴ふたつ、です。

7月7日(月)雨

誕生日祝ってやるから辞めてくれ

 本日から日本では第34回目のサミット(主要国首脳会議)が、北海道の洞爺湖で開かれています。
 1979年にフランス・ランブイエで第1回目が開かれて以来、日本では1979年、86年、93年(以上、いずれも開催地は東京)、2000年(沖縄など)、そして今回08年(北海道)で5回目の開催ということになります。
 凄まじい、と言わなければならないほどの警備が続いています。現地・北海道はもちろん、東京などでもやたらと警官の姿が目立ちます。テロ警戒という名目でしょうが、すでにデモでの逮捕者まで出ています。過剰警備との声も上がっています。

 福田首相が躍起になっている(ふうに一応は見える)温暖化対策のためのCO2削減目標設定になど、アメリカが賛成するとはとても思えません。
 あの京都議定書さえいまだに批准しないアメリカです。今回だって、財界べったりのブッシュ大統領が、削減目標をすんなりと飲むなどということはないでしょう。昨日(6日)、すでに日米首脳会談が行われましたが、ここでもブッシュ大統領は、具体的な数字は一切口にしなかったとのことです。
 結局は、議長である福田康夫氏の顔を立てて、よくわけの分からない文面の妥協の共同声明で、お茶を濁すことになるのでしょう。異常な警備態勢を敷き、無駄な大金をかけた結果が、妥協の声明文ひとつ…。

 まあ、そんなことよりも、洞爺湖周辺にはほとんど灯りもないでしょうから、“首脳さん”たちがホテルの窓から一緒に夜空を見上げて、「あの美しい星の輝きを、このままずっと後世まで残したいものだね」とでも語り合う、なんてお伽話のような光景が実現しないものかと夢想したりするのです。 まあ、その程度の期待しか抱きようがない、ということです。

 「さて、突然ですが、ここで問題です。本日は七夕ですが、昨日(7月6日)は何の日だったか、みなさん知っていますか?」
 「七夕の前の日?」
 「ブッブーッ! 違います」
 (答えは、とーってもくだらないのですが、ブッシュさんの62回目の誕生日です)。

 ほんとうにくだらない。
 「ハッピー・バースデー・ブッシュ!」なんて祝ってあげる気など、私にはまったくありません。

 今回のサミットでは、食糧問題も大きなテーマになっています。世界各国(特に途上国)では食料品価格の高騰が深刻で、ついには暴動にまで発展している国が30カ国を超えているそうです(前国連事務総長コフィー・アナン氏のインタビューより)。
 しかし、この食糧危機を招いたのは、いったい誰の責任でしょう。
 むろん、すべての責任とは言わないけれど、かなりの部分はブッシュ米大統領その人のせいでしょう。

 いまや、農業生産に絶対に欠かせないのが石油です。特にアメリカ流の集約型農業では、膨大な石油が必要です。ところが、この原油価格が凄まじいばかりの高騰をみせているのです。
 その主要な原因が、アメリカ(ブッシュ大統領)のイラク戦争と、その後の中東情勢の大混乱にあったことは間違いありません。安定的な供給を続けていた中東原油は、戦争のとばっちりで減産。サブプライムローン崩壊で行き場を失っていた投機マネーが、それを見越して原油市場に参入。それによる価格高騰。今回の原油価格の高騰は、こういう流れの中で起きたのです。

 これに輪をかけたのが、ブッシュ政権の「バイオエネルギー開発」政策でした。
 環境問題に不熱心な政権、というイメージをなんとか覆そうとしたのでしょうが、これがまた大きな混乱の原因を作ることになったのです。つまり、ガソリンの代わりにCO2をほとんど排出しない環境に優しいバイオエタノールを、これからのエネルギー源にしよう、という政策です。
 では、この環境に優しいエタノールは何から作られるのか。その主原料がとうもろこしでした。アメリカは、世界のとうもろこしの約40%を生産するという農業国家でもあります。
 そのとうもろこしが、バイオエタノールの原料となったために値段が暴騰、極端な品不足となったのです。そのため、家畜の飼料として使われていたとうもろこしが、ほとんど市場に出回らなくなりました。したがって、家畜の餌不足。牛や豚の肉がこれまた暴騰し始めたというわけです。
 ところが、ブッシュ大統領は、この原因を認めようとはしません。「バイオ燃料生産に回されているとうもろこしの量は、価格に影響を与えるほどのものではない」として、政策転換を図る姿勢など、まるで見せていません。
 つまり、食料品価格の高騰は、これからも続くというわけです。
 世界の“ジャイアン”に、鈴を付けられる“首脳さん”は、どうもいないようです。

 62歳のお誕生日を迎えたブッシュさん。
 もう十分です。さっさと退場してください。
 先ほど、祝ってやるつもりなんかない、と書きました。でも、訂正します。祝ってあげますから、早く辞めてください。
 あと半年の任期ですが、お願いですから、その間に何も新しいことなんか行わないでください、ブッシュさん。

7月8日(火)雨

頂上で何も決まらず霧深し

 アメリカは、CO2の削減目標の具体的な数値を承認するでしょうか。結局、またしても「努力する」とか「真剣に取り組む」とかの、何ら具体性のない文言の共同宣言を発表しておしまい、ということになるのではないでしょうか。
 むろん、最終日の明日(9日)の結果を待たなければ判断できないのですが、どうもそんな気がするのです。洞爺湖の深い霧の中での、何も生まない政治の駆け引き。
 そして、政治家や官僚たちが、その文言を「大きな一歩を踏み出した」とか「前回の宣言よりも前進した」などと、とても一般の人間には理解できない論理で評価してみせるという、相変わらずの茶番劇…。
 もう、サミットの役割は終わったような気がするのですが。

(鈴木 耕)
目覚めたら、戦争。

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