ホームへ
もくじへアーカイブトップへ

バックナンバー一覧へ


その45
  もう、世の中メッチャクチャって感じじゃありませんか。
  ライブドア事件や耐震偽造データ問題でボーゼンとしていたら、今度は東横インというホテルで違法改築。ひでぇなあ、と呆れているヒマもなく、お次はアメリカ産牛肉輸入再開にからむ中川農水相の、なんとも無責任な開き直り。さらにさらに、息継ぐ間もあらばこそ、防衛施設庁の官製談合でトップ3名の逮捕。

  ああ、もう声も出ません。

   日本という国が、国家の土台から揺らぎ始めているということでしょうか。私たち国民には見えない根っこが、すでに腐りかけているのでしょうか。表層で踊っている人たちが、自分たちの都合のいいようにこの国を引きずりまわしている。
  気づいたときにはシステムが崩れ、そして、最終仕上げの「憲法改定」がやって来る。
   わけの分からぬままの「ええじゃないか踊り」が、すでに私たちの周りで踊られているような気がします。あの「小泉劇場」が象徴していました。

  面白ければええじゃないか、
  あとさき考えずにええじゃないか、
  選挙で勝てりゃええじゃないか、
  小さな政府でええじゃないか、
  勝ち組負け組ええじゃないか、
  俺たち勝ち組ええじゃないか、
  弱い奴ぁ潰れてもええじゃないか
  とにかく改革ええじゃないか、
  中身はどうでもええじゃないか、
  アメリカ万歳ええじゃないか、
  中国韓国ええじゃないか、
  ぶっ潰しちゃえばええじゃないか、
  愛国心でええじゃないか、
  とにかく強けりゃええじゃないか-----。

  なんだか、こんな大騒ぎが、私たちを取り巻き始めているような、きな臭いニオイを感じて仕方ないのです。


  ある日の新聞の一面が、そんなこの国の現状を表していました。
今週のネタ↓
●今週はすべて、朝日新聞1月31日の一面「見出し」のみです。

防衛施設庁審議官ら逮捕
「官製談合」の疑い
空調工事 不正受注を調整
額賀防衛庁長官「慙愧に堪えぬ」

米牛肉輸入 農水相が謝罪を一変
答弁書 政府方針とズレ
衆院予算委再三の中断

東横イン偽装
2 都道府県50棟に
本社集計4割以上に不備確認

内閣支持率45%に低下
米産牛肉 輸入再開 賛否は二分
本社世論調査

  以上が、この日の朝日新聞の一面の記事のすべてです。つまり、この4本の記事で一面は埋められていたのです。
  前置きで書いたように、なんだか私たちの国は、末期症状に陥ってしまったみたいです。

  自分たちの天下り先を確保するために、官僚が主導して談合を図る。これは、旧道路公団や成田空港公団などで摘発されたものと、同じ構造です。つまり、決してこれが特別な犯罪ではなく、長年にわたって慣例のように行われてきた税金食い散らかしの、ほんの一例にすぎないのです。
  逮捕された人たち、ほとんど罪の意識はないようです。「仲間の就職先を確保してあげただけ、何が悪いのか」というのがその心情でしょう。
  自分たちさえよければ、国民のことなど知っちゃいない。
  小泉サン、末端の公務員を減らすことがあなたの言う「改革」ですか? 
  こんな税金を食い物にする高級官僚たちの生態にメスを入れ、天下りという悪しき慣例をぶち壊すことこそが、まず最初に手をつけなければならない「改革」だったのではないですか?
  天下り廃止の掛け声ばかりで、実際は野放し状態のまま。これではやはり、

  とにかく改革ええじゃないか、
  中身はどうでもええじゃないか、

  というワンフレーズ政治の空騒ぎとしか思えないのです。

  ところで、東横インの西田社長のインタビュー、ごらんになりましたか? 
  ごらんになったなら、あの光景、どっかで見たことがあるような、いわゆるデジャヴ(既視感覚)に襲われませんでしたか?
  はい、あのヒューザーの小嶋社長ですね。なんだかヘラヘラと、まるで罪の意識がない。
  「ぼく、オジャマモン、ね」とニタニタ笑いしてた小嶋サン。
  「制限速度60キロのところを67〜8キロで走っちゃたぁ、みたいな。はい、法律違反を犯しましたぁ」とヘラヘラ笑いで西田サン。
  よく似ていました。どちらも、まるで事態を把握していない。ヘラヘラと誤魔化し逃げきれると、世間を甘く見ている。
   でもね、この二人、確かによく似てはいるけれど、もう一人、よーく似た大物が浮かんできませんか?。

   そーです! もちろん、我らが小泉首相であります。

  「人生いろいろ、会社もいろいろ」
  「女の涙には勝てない」
  「自衛隊のいるところは非戦闘地域」
  「ホリエモン支援と逮捕とは別問題」
  などと、ウスラ笑いやヘラヘラ笑いを浮かべながら、歴史に残る迷文句のワンフレーズを連発してくれましたが、最近もその迷言ぶりには事欠きません。
  ホリエモン逮捕で、「反省しろって言われれば、そりゃあ批判は甘んじて受けますけどね、しかし、メディアだって持ち上げてたじゃないですか」と、逆切れです。
  自分への批判を他人に転嫁して逃げようとする、もっとも単純でもっとも程度の低い言い逃れ。少なくとも、一国の責任者が口にすべき言い訳ではありません。全然「甘んじて受けて」なんかいませんね。

  さらに、米国産牛肉輸入再開での失態を指摘されて、「そんなに責めなくてもいいじゃないですかあ。責任は日本じゃなくてアメリカにあるんでしょ」と、これまた得意のウスラ笑いでの責任転嫁。
  本音が出たと言ってしまえばそれまででしょうが、少なくとも、国民の健康について責任のある一国の宰相としての言葉とは、とうてい思えません。まず、自らの責任をきちんと表明して、その上でようやく相手への批判もできるというのが順序でしょう。
  特に今回は、閣議決定すら無視して輸入再開を急いだという、決定的な誤りがすでに表面化しているのに、それを笑って誤魔化すなど、ほとんど政府の体をなしていない。
  担当の中川昭一農水相もまた、BSEならぬ無責任病に感染中。午前に言ったことを、午後には平気でひっくり返す。首相が首相ならその下の大臣もそれに倣う、ということです。ほんとうに、私たちの国はいったいどうなってしまったのでしょう。

  あの小泉サンのウスラ笑いでの言い訳ぶりが、ヒューザー小嶋社長や東横イン西田社長のヘラヘラぶりと重なって見えるのです。みなさん、そうは感じませんか?

   「鯛は頭から腐る」といいます。
   一国の責任者が、理屈にもならないリクツでなんとか批判を切り抜けようとする。その際に使われるのが、こんなの大した問題じゃないよ系のヘラヘラウスラ笑い。テレビ視聴者は、なんとなく、ああ、それって大したことじゃないのか、と分かったような納得したような---、となるらしい。
   当然、それは一般にも波及します。
   「あれで切り抜けられるんだったらオレも」と考える人が出てきても、それは仕方がありません。で、小嶋サンや西田サンがその手を使った。ところがこれが裏目に出た。まあ、そんなことなのでしょうね。

  鯛は頭から腐っても、捨てればすみます。しかし、国の場合はそうはいきませんよね。それこそ、「国家の品格」が問われ始めているのです。

  同じ紙面で、小泉内閣と自民党の支持率が落ち始めている、との記事もありました。まだそれほどの下落ではありませんが、ようやく小泉マジックの危うさが露呈し始めた、と思いたいところです。

  このコラムでも、諦めずにキナ臭さを指摘していきます。

イラスト

  最後に、もうひとつ、書いておかなければならないことがあります。
  記事は提示しませんが、麻生太郎外務大臣の発言についてです。
  この人、自ら「右翼」を標榜しているようですが、ついに「天皇の靖国神社参拝」にまで踏み込んでしまったのです。

  「英霊で総理大臣万歳と言ったものはゼロだ。みんな天皇陛下万歳と言って散った。ならば、天皇参拝なんだと思う」という意味の分からない発言ですが、ようするに、靖国問題に決着をつけるためにも、天皇に靖国参拝をしてもらいたい、ってことらしいのです。これ、大問題発言でしょう。

  あの戦争への本当に痛苦な反省から、戦後一貫して天皇の政治利用はタブーでした。かつて臣民は天皇の赤子であり、軍は天皇の軍隊とされていました。そして、あの戦争が天皇の名において行われたからです。
  もちろん、日本国憲法は天皇の政治参加を厳しく禁じています。この麻生発言は、それを根底からひっくり返す「天皇の政治利用」ではないでしょうか。一昔前なら、この発言をめぐって、国会は言うに及ばず、マスコミも世間も大揺れに揺れていたことでしょう。
  ところが、なぜか新聞では、東京新聞が1月29日に一面で囲み扱い、朝日新聞が31日の社説で触れたぐらいで、あまり大きな記事にはなっていません。テレビにいたっては、ほとんどがニュースで1回流しておしまい。

  現憲法を根底から否定してしまうような現職外務大臣。彼を任命した首相の責任は、それこそ大きく問われなければなりません。
  しかし、自らの靖国参拝を「心の問題」と矮小化する小泉サンにそんな責任を問うても無駄です。
  ならば、少なくともこれを読んでくれているネットの読者の皆さんに、自分のブログや参加しているサイトで、ぜひこの問題を議論していただきたい、と痛切に思うのです。

  かつて天皇は、「現憲法を順守して」と明確に発言していました。
  天皇は、この麻生発言をどう感じているのでしょうか。

イラスト
ご意見募集!
ぜひ、ご意見、ご感想をお寄せください。
このページのアタマへ