以上が、この日の朝日新聞の一面の記事のすべてです。つまり、この4本の記事で一面は埋められていたのです。
前置きで書いたように、なんだか私たちの国は、末期症状に陥ってしまったみたいです。
自分たちの天下り先を確保するために、官僚が主導して談合を図る。これは、旧道路公団や成田空港公団などで摘発されたものと、同じ構造です。つまり、決してこれが特別な犯罪ではなく、長年にわたって慣例のように行われてきた税金食い散らかしの、ほんの一例にすぎないのです。
逮捕された人たち、ほとんど罪の意識はないようです。「仲間の就職先を確保してあげただけ、何が悪いのか」というのがその心情でしょう。
自分たちさえよければ、国民のことなど知っちゃいない。
小泉サン、末端の公務員を減らすことがあなたの言う「改革」ですか?
こんな税金を食い物にする高級官僚たちの生態にメスを入れ、天下りという悪しき慣例をぶち壊すことこそが、まず最初に手をつけなければならない「改革」だったのではないですか?
天下り廃止の掛け声ばかりで、実際は野放し状態のまま。これではやはり、
とにかく改革ええじゃないか、
中身はどうでもええじゃないか、
というワンフレーズ政治の空騒ぎとしか思えないのです。
ところで、東横インの西田社長のインタビュー、ごらんになりましたか?
ごらんになったなら、あの光景、どっかで見たことがあるような、いわゆるデジャヴ(既視感覚)に襲われませんでしたか?
はい、あのヒューザーの小嶋社長ですね。なんだかヘラヘラと、まるで罪の意識がない。
「ぼく、オジャマモン、ね」とニタニタ笑いしてた小嶋サン。
「制限速度60キロのところを67〜8キロで走っちゃたぁ、みたいな。はい、法律違反を犯しましたぁ」とヘラヘラ笑いで西田サン。
よく似ていました。どちらも、まるで事態を把握していない。ヘラヘラと誤魔化し逃げきれると、世間を甘く見ている。
でもね、この二人、確かによく似てはいるけれど、もう一人、よーく似た大物が浮かんできませんか?。
そーです! もちろん、我らが小泉首相であります。
「人生いろいろ、会社もいろいろ」
「女の涙には勝てない」
「自衛隊のいるところは非戦闘地域」
「ホリエモン支援と逮捕とは別問題」
などと、ウスラ笑いやヘラヘラ笑いを浮かべながら、歴史に残る迷文句のワンフレーズを連発してくれましたが、最近もその迷言ぶりには事欠きません。
ホリエモン逮捕で、「反省しろって言われれば、そりゃあ批判は甘んじて受けますけどね、しかし、メディアだって持ち上げてたじゃないですか」と、逆切れです。
自分への批判を他人に転嫁して逃げようとする、もっとも単純でもっとも程度の低い言い逃れ。少なくとも、一国の責任者が口にすべき言い訳ではありません。全然「甘んじて受けて」なんかいませんね。
さらに、米国産牛肉輸入再開での失態を指摘されて、「そんなに責めなくてもいいじゃないですかあ。責任は日本じゃなくてアメリカにあるんでしょ」と、これまた得意のウスラ笑いでの責任転嫁。
本音が出たと言ってしまえばそれまででしょうが、少なくとも、国民の健康について責任のある一国の宰相としての言葉とは、とうてい思えません。まず、自らの責任をきちんと表明して、その上でようやく相手への批判もできるというのが順序でしょう。
特に今回は、閣議決定すら無視して輸入再開を急いだという、決定的な誤りがすでに表面化しているのに、それを笑って誤魔化すなど、ほとんど政府の体をなしていない。
担当の中川昭一農水相もまた、BSEならぬ無責任病に感染中。午前に言ったことを、午後には平気でひっくり返す。首相が首相ならその下の大臣もそれに倣う、ということです。ほんとうに、私たちの国はいったいどうなってしまったのでしょう。
あの小泉サンのウスラ笑いでの言い訳ぶりが、ヒューザー小嶋社長や東横イン西田社長のヘラヘラぶりと重なって見えるのです。みなさん、そうは感じませんか?
「鯛は頭から腐る」といいます。
一国の責任者が、理屈にもならないリクツでなんとか批判を切り抜けようとする。その際に使われるのが、こんなの大した問題じゃないよ系のヘラヘラウスラ笑い。テレビ視聴者は、なんとなく、ああ、それって大したことじゃないのか、と分かったような納得したような---、となるらしい。
当然、それは一般にも波及します。
「あれで切り抜けられるんだったらオレも」と考える人が出てきても、それは仕方がありません。で、小嶋サンや西田サンがその手を使った。ところがこれが裏目に出た。まあ、そんなことなのでしょうね。
鯛は頭から腐っても、捨てればすみます。しかし、国の場合はそうはいきませんよね。それこそ、「国家の品格」が問われ始めているのです。
同じ紙面で、小泉内閣と自民党の支持率が落ち始めている、との記事もありました。まだそれほどの下落ではありませんが、ようやく小泉マジックの危うさが露呈し始めた、と思いたいところです。
このコラムでも、諦めずにキナ臭さを指摘していきます。
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