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その43
今週のネタ↓

  私は沖縄が好きでよく遊びに出かけます。
  沖縄のことをもっと知りたくて、「琉球新報」を、まとめて送ってもらって読んでいます。
  本土の新聞ではあまり大きく扱われないことが、沖縄では切実な問題として取り上げられている、ということがよくあります。
  そこで、今週は、沖縄に触れてみます。

●2006年1月11日付 琉球新聞より

衆院沖特委
「強い反発、不満実感」
基地の実情視察し会見 審議通し負担軽減努力

   米軍再編協議の中間報告を受け、沖縄の基地問題に関する実情調査のため来県していた衆院沖縄・北方問題特別委員会の川内博史委員長(民主)らは十日午後、那覇空港で会見した。
<略> 川内委員長は「強い反発、不満が実感された」と指摘し「沖縄における基地問題の深刻さを委員会としても自分自身の問題としても共有しなければならない」との考えを表明した。<略>

  その他、この日の同紙では同じ面に

基地内強盗で抗議相次ぐ
外務省などに綱紀粛正要請 自民党県連
厳重抗議を県に申し入れ 共産党県委

   という記事や、翌12日には、

深夜上陸訓練実施か
キャンプコートニー 空砲とみられる音響く

   などという記事も掲載されています。

  今ごろ何を言っているのか、と呆れるような、衆院沖縄問題特別委の視察会見です。
  普天間基地移転が政治問題化したのは、もう何年も前からの話です。今ごろやっと腰を上げ、沖縄県知事や名護市長などに意見聴取。しかし、あまりに遅すぎます。
  すでに、移転先とされる辺野古地区を抱える名護市では、この移転計画の是非をめぐって三つ巴の市長選が展開されています。
  すべてが、アメリカ国とその鼻息をうかがう日本国の駆け引き政治の中で翻弄されている沖縄なのです。当然、そのおこぼれにあずかろうとする人たちも、ザワザワと陰で蠢き始めている、という状況。これはもう、沖縄も本土も変わらぬ悲しい現実でしょう。

  そして、本土ではほとんど報道されない、辛い事件の数々。上の記事の「基地内での強盗事件」もその類です。今回は、横須賀での米兵による強盗殺人事件があったため、それとの関連でほんの少しは報道されましたが、扱いは虫眼鏡程度。
  さらには、地元住民の迷惑などまったく念頭にない、相変わらずの米軍深夜訓練などなど。
  これだけ踏みつけにしておきながら、最終的にはやはり米軍基地は沖縄に押し付けたままの現状を変えようとはしないのが、私たちの国の政府です。せいぜいが、米軍再編に乗っかった沖縄県内の基地たらい回しを画策しているにすぎません。
  まるでナントカの一つ覚えのように「小さい政府」を称え、「官から民へ」を旗印に改革を叫ぶ、小泉サンとそのお回り大臣、官僚たち。
  「小さい政府」は、基地の重圧に喘ぐ沖縄の人々を、どんな手段で救おうというのでしょうか。基地さえも「官から民へ」で民営化しろ、などとはまさか言わないでしょうね。

  このように書くと、必ず出てくる意見が「沖縄は、基地経済で潤っている部分が大きいのだから、基地返還ばかりを言うのは一部の人たちだけであり、短絡だ」とか「実際は、心の中で基地の存続を願っている人のほうが多いのだ」などというものです。
  つまり、「すべては金である。金をばら撒くから、多少の不便や騒音、犯罪などには目をつぶるべきだ。日本のために犠牲になってくれい」というのが、日本の小泉サンを筆頭とする政治家や官僚、御用学者さんたちの本音なのでしょう。沖縄もまた日本であるということを、すっかり忘れ(または忘れた振りをして)よく政治家や学者をやってられるものだと思います。

  1970年代に脚光を浴びた(現在も現役ですが)沖縄のフォーク歌手・佐渡山豊さんに『どぅちぇむにぃ(独り言)』という曲があります。

唐ぬ(の)世(ゆぅ)から大和(やまと)ぬ世(ゆぅ)
大和ぬ世からアメリカ世
アメリカ世からまた大和ぬ世
ひるまさ変わりぬ くぬ(この)うちなー(おきなわ)

  つまり、唐、日本、アメリカ、そしてまた日本という、変わらぬ支配を受け続ける沖縄を歌った歌です。絶叫調で訴える彼の歌に鳥肌だったのは、もうずいぶん昔のことです。しかし、その佐渡山さんが歌ったかつての状況と現在では、いったい何が変わったというのでしょう。
  この歌のように「なにも変わっていないこの沖縄」ではないですか。

  はっきり書いておきます。

  名護市市長選挙では、基地に反対する候補に勝ってもらいたいと、私は切実に思っています。できることは少ないのですが、とりあえず、カンパを送ります。

イラスト
ネタその2↓
2006年1月16日の毎日新聞より

首相施政方針演説案
少子化「一層取り組み」
危機感表明しつつ ⇒⇒⇒ 新施策触れず 分量昨年並み

  小泉純一郎首相が20日招集の通常国会の冒頭に行う施政方針演説で、少子化対策に関する部分の原案が15日、明らかになった。昨年末に人口減少の加速が明らかになったことを受け、首相は「我が国では予想よりも早く初めての人口減少社会を迎え、今後少子化対策への取り組みが一層必要だ」と危機感を表明する。ただ、具体策は昨年末までに固まっていたメニューを並べる「現状追認」にとどまり、新たな対策の指示やけんとうは盛り込まれていない。 <略>
政府関係者は「演説で常に踏み込んだ方針を打ち出してきた構造改革に比べ、少子化への取り組みは消極的に映る可能性がある」と指摘している。。
その2

  まあ、小泉サンらしいやね。
  とにかく、目の前になんか話題になりそうなことがあれば、中身はどうであれ、とりあえずパクッと喰らいついてみる。話題にさえなればいいのだから、政策としてじっくりと検証してみる、なんてことはしない。だって、マスコミは中身よりもワンフレーズに群がるのだから、言いっ放しでも、これでイイノダっ! 
  まったく小泉サンのなすがままですな。(ナスがママならキューリはパパだ、なのですが)バカボンのパパだって呆れてしまいます。

  だいたい、日本の人口が2005年から減り始めるなんて、2004年以前に政府のどの機関が発表しましたか? 膨大な税金を使って統計を取り、それに基づいて人口動態を予測し、そこから年金などの政策を立案する。その基礎となるものがまったく間違っていた、予測は大外れだった!
  厚生労働省や総務省が人口予測を大きく誤り、それが私たちの国の高齢化対策の基本とも言うべき年金政策を凄まじいほど歪めてしまった。それこそ、国家の基本を揺るがし、若年層に将来への不安感を抱かせ、「もう子どもを産めない」と思わせる原因となった大失政だったではありませんか!
  そんな原因を作った官僚にはなんのお咎めもないまま、失政を逆手にとって自分の人気取りに利用する。それがまた、なぜか受けてしまう。ホントにこんなことでいいんだろうか?
  その上、中身のない演説で誤魔化す。少子化なんか止められるわけがない。

  知り合いの未婚の女性(仮にAさんとします。年齢は30歳少し前です)と、ちょっとだけ話してみたことがあります。
  ある飲み会でのことですが、中年の私たちが子どもの話で盛り上がっていました。そしたら、隣に座っていたAさんが話しかけてきたのです。


A「子どもって楽しそう。わたしも子ども、欲しいなあ---。でも、今は産むつもりとか、ないですけど---」

私「あれっ、Aさんって結婚してたっけ?」

A「わっ! セクハラっ!」

私「あっ、そんなつもりじゃなかった、ごめん(ペコリッ)」

A「まっ、許してあげますけどぉ(笑)。でもね、わたし、ちゃんと彼はいますよぉ。よく彼と子どものこと話すんですから」

私「じゃあ、どうして産むつもりがないと----?」

A「逆に、こんな世の中の流れの中で、どうしてみんな、疑いもなく子どもがつくれるのかわたしには疑問なんです。だから、そのことも、彼との結婚に踏み込めない原因のひとつなんですよぉ」

私「世の中のせい?」

A「全部そのせいにするつもりはないですけど、でも、なんだか戦争の臭いとかがこのごろしませんか? わたしね、絶対に戦争しない、ってことが分かれば、産みたい気はしてるんです。だけど、このごろ、なんとなく、戦争もできるような国にしようって雰囲気とか強いような気がしません?」

私「たしかに、誰も戦争をしたいなんてことは、口が裂けても言わないけれど、何かがあったら戦わなきゃ、そのための準備はしとかなきゃ、って言うような人たちが増えてきているね」

A「でしょ? でも、何かがあったら、ってどんな時ですか? 準備をするってどんなことですか? いろいろ言い方とかは違うけど、結局は戦争につながるんじゃないんですか」
私「まあ、よく言われるのは、北朝鮮が攻めてきたらどうするのか、とか、中国の軍事力強化が日本の脅威になりつつある。だから、それに備えなきゃ、ってことだよね」

A「じゃあやっぱり、戦争のこと考えてるんじゃないですか。わたしが今、子どもを産んで、その子が男の子なら、いっくらイヤだって言ったって、戦争の準備に駆り出されてしまうわけでしょ? 戦争そのものはしなくても、戦争準備に引っ張り出されれば、やっぱりいつかは銃を撃ってみたくなるんじゃありませんか。わたし、そんなの嫌なんです。自分の子が誰かに銃を向けるなんて、ましてや誰かに撃たれるなんて、想像もしたくない。だから、産む決心がつかない---」

私「じゃあ、絶対に戦争をしないと国が誓えば、子どもは欲しいということなんだ」

A「多分、そう考えると思います。今の仕事は続けたいから、なんとか頑張って、子育てと仕事が両立できるように---」

私「うーむ、そりゃあ究極の少子化対策かもしれないなあ」

A「そうでしょ? 絶対に戦争なんてないってことを、女の人たちみんなが納得すれば、わたしはもっと出生率とかも上がると思うんだけどなあ」

  まあ、飲み会で、他の人もたくさんいた中での話ですから、この通りだったとは言えませんが、おおむね、話した内容には間違いありません。普段はあまりこんなことを話す女性ではないのですが、多少お酒も入っていたので、少し本音が出たのでしょう。
  つまり、時代を覆う不安感が、少子化へ拍車をかけていることもひとつの事実なのです(もちろん、それがすべての原因だ、などと言うつもりはありませんが)。
  小泉サン、少子化に本気で歯止めをかけたいとお思いならば、とりあえず、今の世の中を覆っている「きな臭さ」を取り除くことも、重要な施策なのではありませんか。
  でも、靖国参拝を繰り返して自分で「争点」を作っておきながら「靖国を外交や政治の争点にするのはおかしい」とおっしゃる「おかしい」方ですから、とてもこんな意見を聞き入れてくださるとは思えませんけどね。

イラスト
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