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その42
今週のネタ↓

  ともかく年が明けました。あけおめ、ことよろ、であります。  

  それにしても、年末〜年初からなんだかサムくてツライ、ニュースばかりですね。
  凄まじいばかりの大寒波、猛烈な豪雪。
  大雪と突風による羽越線脱線事故では、5 人の死者が出ました。
  さらに、この雪で、すでに60人を超す死者が出ているといいます。(実は、私の故郷も北国、今回の豪雪に故郷が喘いでいます。とても他人事とは思えません)
  宮城では、生後間もない赤ちゃんの誘拐事件。まあ、なんとか無事保護されたからよかったものの、体ばかりではなく心も冷える事件でした。
  と、寂しい前振り。でも、気を取り直していきましょう。

  さて、今週のネタ、です。

●2006年1月9日付朝日新聞より

「脅威論」日中に影
局長級会議で応酬  報道規制に中国言及
「小泉後」の打開にも関門

   日中両国の首脳や閣僚級の対話が途絶える中、両政府の非公式局長級協議が9日、北京で開かれた。中国側は、日本国内で「中国脅威論」が高まり始めていることへの懸念を表明。日本のメディア報道にも異例の注文をつけた。靖国神社参拝問題で小泉政権下では本格的な日中関係の改善は難しいとみられるだけに、中国脅威論をはじめとする「ポスト小泉」の対中姿勢が、06 年の日中関係を占う試金石となってきた。 <略>
   4時間以上に及んだこの日の協議は、脅威論やメディア報道をめぐるやりとりがかなり長かったという。日本側出席者は会談後、「そういうところから解きほぐしていかなければならない日中関係の現状がある。中国側は脅威論にかなり神経質になっていた」と語った。
小泉首相が靖国神社参拝の持論を変えない以上は、首脳会談の再開など日中関係の抜本的改善は難しい。さらに、ポスト小泉の有力候補の間で脅威論が強まれば、次の政権でも事態打開の機運がしぼみかねない。<略>

  記事は、このあとも安倍官房長官や麻生外務大臣、さらには前原民主党代表などの発言を取り上げて、政府与党や最大野党の民主党をも含めた「中国脅威論」の高まりに触れています。
  なんだか年の初めから、みなさん、けんか腰。元気がいいというのか、大声が国民受けすると思い込んでいるのか。うまくことを収めてアジア外交を元に戻したい、なんて気はさらさらないらしいのです。

  小泉サンは、年が変わっても相変わらず。年始の会見で、またもや中国・韓国批判を繰り返しました。
  「ミスター追随マン」の麻生外務大臣はトーゼン中国脅威論。(祖父である吉田茂元首相が、草葉の陰で泣いているのではないでしょうか)。
  安倍官房長官も「一つの問題があるからといって、すべての交流を絶ってしまうやり方は間違っている」と、小泉サンのオウム返し。(これには、やはり祖父の岸信介元首相が喜んでいるのかもしれませんが)。
  でも、これじゃあ、冷える一方なのは豪雪寒波の日本列島ではなく、アジアでの日本外交。本当に、冷え冷えします、ブルブルッ---。

  それなのに、またもや国連安保理常任理事国入りの政策を振りかざし始めたのには、ビックリです。
  一体、どんな勝算があるのかしら? アメリカにさえ見捨てられたのに、どの国が応援してくれるというのでしょう。またしても、膨大なお金を使っての大空振りという醜態を演じなければいいのですが。それよりもまず、アジアでの外交を立て直すのが先決じゃないんですか。

  「近隣諸国とは仲良くすべきだ」とこのコラムで書くと、「そんなことをいうから舐められるんだ。断固たる態度で臨め!」と勇ましい言葉が返ってくる、そんな風潮になってしまいました。
  しかしそれなら、殺人容疑の米兵を日本の警察が逮捕するのに「アメリカ側の好意」にすがるしかない現状に、この人たちはなぜ「アメリカに舐められるな」「断固たる声」を上げないのでしょうか。
  (今回、ようやくアメリカ側が米兵の容疑者を日本へ引き渡したのは、この事件の現場・横須賀が小泉首相のお膝元だったからで、そうでなければ、引き渡しには応じなかったかもしれない、という報道も一部でありました)。
  それとも、安保条約でアメリカは日本を守ってくれているのだから、一人ぐらいの人命とは比べるべきではない、とでもいうのでしょうか。人命よりアメリカですか? 
  沖縄では、こんな事件が何度も繰り返されているのですよ。

  軍隊は国民を守りはしない。彼らが守ることを義務付けられているのは「国家という体制」なのだ、と、このコラムでも何度か指摘してきました。日本でも、沖縄での日本軍や旧満州における関東軍の行動を見れば、そのことは簡単に理解できるはずです。
  軍事に頼るのではなく、外交が戦争を防ぐのだ、ということを肝に銘じてほしいのです。外交なくして平和はあり得ません。戦争を防ぐのは軍隊や軍備ではなく、政治・政治家・外交なのです。その外交を、どうも小泉サン以下、現在の政府自民党は放棄しているとしか思えないのです。

  「心の問題に踏み込むな」と小泉サンたちは言います。心の問題ならば、密やかに人知れず手を合わせることで十分に満たされるはずじゃありませんか。また「一国会議員として、一国民として参拝した」と仰います。
  何度でも繰り返しますが、総理大臣が「一国民」であるはずはない。参拝の警備に2千人の機動隊員を配備した人間が、なぜ一国民なのか。どうしてこんな詭弁に踊らされるのでしょうか?

  小泉靖国参拝に賛成なさる方々は、あの日本が行った戦争が正しかったとお考えなのでしょうか? そうだと言うのなら、私には返す言葉もありませんが、もしあなたが「あの戦争は間違っていたけれど、靖国に参るのは戦没者追悼なのだから非難されるようなことではない」とお考えなら、一度、靖国神社の付帯施設・遊就館を覗いてみることをお奨めします。(実は私も、先日訪れてビックリしてしまいました)。
  ここには戦争を否定するものや批判するものは何も展示されていません。あの戦争はやむを得ず行ったもの、あの戦争は日本にとって正しい戦争だった、という歴史観に裏付けられた、「大東亜戦争肯定論」的展示のみなのです。(正しい戦争なら、また繰り返してもかまわない、ということになりかねません)。
  つまり、靖国神社とは、そのような考え方に支えられた場所なのです。「あの戦争」は正しかった、のです。
  「あの戦争は正しかったが、間違いも犯した。それは率直に認めよう」とでもいうのならともかく、ここにあるのは絶対肯定だけです。
  それは、「あの戦争」で被害を受けた近隣諸国の人たちにとって、到底受け入れられる考えではないでしょう。
  だから、そういう場所への参拝に反対する人たちが、アジア諸国のみならず、日本国内にも多数存在するのです。それを、「心の問題」にしてしまうのは明らかに問題のすり替えでしょう。

  悪いところは悪いと批判すればいい。嫌なものは嫌だと拒否すればいい。でも、その上で共存する道を探すのが外交というものでしょう。相手の立場や感情をまるで無視して、「断固たる態度」を強調するのが賢い外交手法だとは、とても思えないのです。

  新しい年です。新しい外交政策を構築して欲しいと、心底思います。

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付録・今週の(ちょっとした)ネタ1↓
2006年1月9日の毎日新聞より

コラム「さだまさしの 日本が聞こえる」
「変だ」という勇気を持とう

  <前略> この国の未来を思うとき、僕たちは繰り返してはいけない失敗に蓋をしてはいけないと思う。かといって羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹くのは恥の上塗り。是は是、非は非として面倒くさがらずにその都度整理しなければ、後からそれを受け継ぐ人々の価値観が混乱する。思いつきで石に木を接ぐように誤魔化してきたことを反省しよう。年の初めに自分に言い聞かせる。是は是、非は非。「世の中が変だ」と思ったら「変だ」と言う勇気を忘れまい、と。
今週のフムフム

  このコラムは、週一回、ミュージシャンのさだまさしさんが思いつくままに、近辺雑記などを連載しているものです。
  あまり政治的な発言などはしない方ですが、やはり「世の中が変だ」と思い始めているようですね。
  今回のコラムは、年末のNHK「紅白歌合戦」での自分の『広島の空』という歌や、吉永小百合さんの「原爆詩の朗読」に触れながら、自らの心境を綴ったもの。こういう立場の人たちも、そろそろ世の中の流れに危機感を抱き始めた、ということなのだと思います。
  そうです。みんなが自分の場所から思いを発信していかなければ、いつの間にか手遅れになってしまうかもしれません。そう思わざるを得ないような世の流れです。
  だから「マガジン9条」のインタビュー欄にも、あれっ、この人も? と思うような方々が、次々と出てきてくださるのです。

  これを読みながら、そう思いました。

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付録・今週の(ちょっとした)ネタ2↓
各紙に載っているのですが、例えば見出しはこんな具合。
2006年1月9日の朝日新聞より

自民がクセ球投げるなら応援しない
公明代表が大連立批判

  公明党の神崎代表は8日、小泉首相が民主党との大連立構想をほのめかしていることについて「来年の参院選は厳しい選挙になる。そこに大連立というくせ球を投げられると『自民党を本気になって応援していいのかな』という気になる」と述べた。公明党・創価学会による選挙協力を引き合いに大連立の動きを牽制(けんせい)したものだ。NHKの番組で語った。
   神崎氏は大連立を「議会制民主主義を否定することになりかねない」と改めて批判。「(与党間の)信頼関係が損なわれる可能性がある。あんまりすきま風は吹かさないでもらいたい」と強調した。
今週のヤッパリネー

  まったく、笑い話に近い感じになってきましたねえ。
  当コラムで何度も指摘したことが、ついに現実味を帯びてきちゃった、というわけですな。
  とにかく政権の旨味や甘味にベタベタとくっついていくばかりでは、いまにひどい目に遭いますよ。あの小泉総統、必要なくなったと判断したら、途端にバッサリですからね、てなことを書きました。あの「くノ一刺客騒動」を見れば、一目瞭然じゃないですか、とね。

  書いた通りになりつつあります。

  小泉サンにとってみれば、公明党より前原民主党とのほうが意見が合うもんネ、だからもう公明党はお払い箱サ、というわけですね。
  そこで困ったのが公明・イカンザキさん。自らの党是である「平和主義」に目を瞑ってまで小泉サンに協力してきたのに、この扱いは何なんだアー! と臍を噛む思いなのでしょうね。利用価値がなくなれば捨てられる、まあ、政治の世界ではイロハなのに、分からなかった神崎サン、ちょっと「うぶ」だったんじゃありませんか、ってことですよ。
  大体が、小泉サンは、実は大の公明党嫌い。今までは政権維持のために仕方なく公明党と連立を組んできたけれど、もうその必要もない。選挙だって自分の任期中にはないし、だから選挙協力も、もうオレには関係ない。だからここらで、嫌なモンはバッサリ、というのが小泉サンの心境だ、というのが、知り合いの政治記者の解説でした。
  政治の世界で笑い者にされるほどの屈辱はありません。政治生命にかかわることさえあるのですよ。
  さて、公明党、神崎サン、どうします?
  ここらで、結党の原点に戻ったらいかがでしょうか。

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