この前原さん、なんで民主党にいるのでしょう。これだけはっきりと「憲法改正」「集団的自衛権容認」、さらに「中国脅威論」を振りかざすのであれば、なにも民主党に固執する必要はないですよね。
だって、「自民党より右寄り」であるという噂を、自分の言葉で明確に証明してくれたのだから、手勢を引き連れて自民党に合流したらいいじゃありませんか。もっとも同じ意見で同志(?)の西村真悟議員は、やむを得ず党を除籍処分にしたようだから、人数はひとり減っちゃったかもしれませんが---。
でもこれでは、本当になんのために民主党にいるのか分からない。
他の民主党員たちは、この発言に賛成なのでしょうか。はっきりと前原発言を批判する民主党員の声がちっとも聞こえてこない。民主党はこのまま前原風に乗って、右へ右へと流されて行くのでしょうか。
国の背骨ともいえる「憲法」の改定問題を、ほとんど「個人的見解」のように表明してしまう。これが大政党の代表ですか?
少し前に、民主党の「改憲に関する提言」なるものが出て、その危うさに驚いたのですが、その提言でさえ、「集団的自衛権の容認」には踏み込んでいなかったはずです。つまり、党内でもかなり意見が割れている問題に、党内合意も得ずに言及してしまう。こんなことが許される党だったんですか、民主党という「民主的(?)な党」は。
まあ、外国に出かけて行って舞い上がり、つい本音を口走っちゃう、というのは自民党議員さんたちにありがちなパターンだったのですけどね。このあたりも前原サン、自民党の方たちによく似ていらっしゃいます。体質的にも自民党のほうが合ってるみたいに思えます。
党内の意見もよく聞かずに持論をまくし立てる。「とにかく俺について来い、俺に反対するやつはすべて抵抗勢力だ」と吠える「小泉総統」と、なにも変わらない。党内合意など無視して暴走するところなど、そっくりじゃありませんか。
前原サンも「私は民主党をぶっ壊すっ!」てなことを、もうじき言い出しかねませんな。
ああ、なるほどね、腑に落ちました。
民主党をぶっ壊して解党させ、手勢(主に松下政経塾出身者たち)を引き連れて自民党に加わり、自民党内右派にも呼び掛け、若さにものを言わせて一気に多数派を結成、来年9月に首相辞任を明言している小泉サンの後釜を狙って首相の座を奪取! なーんて戦略なのかもしれませんね。
民主党代表の座も一応は来年9月までですから、ちょうどいい時期。それに、小泉サンのおかげで自民党内派閥の力なんて見る影もない状態ですから、外様でも一気に将軍になれるかもしれません。
うーむ、前原ウジ、おぬしも策士よのぉ。
まあ、これはワルイ冗談ですけどね。(ジョーダンじゃないかもしれないよ、などと不気味な声も聞こえたりして---)
性格が似ているから、小泉サンに「大連立しましょうよぉ〜」なんて持ちかけられるのでしょう。でもね、上のように考えてみると、あり得ないシナリオではない、と思えてきますよね。
民主党という政党は、なかなか一枚岩にはなれません。党内に、旧社会党系、旧民社党系、松下政経塾出身の若手、小沢一郎氏率いる旧自由党(新進党)系、さらには鳩山由紀夫氏らの自民党系、また管直人氏らの市民運動系、とまさに誰が誰だかよく分からないバラバラの寄り合い所帯。
だから、これをまとめるのは不可能だ、と前原サンは思ったのかもしれません。そうなると、首相(権力)の座は遠のくばかり。ここは乾坤一擲、小泉サンよろしく「反対するヤツは抵抗勢力じゃあーぁ!」と絶叫しつつ勝負に出る。そんなこともあるんじゃないでしょうか。政治家サンの考えることは、私たちには分かりませんからねえ。
しかし、国民にとって、これはかなり由々しき事態です。
なぜなら、このままでは「憲法」については殆ど選択肢がなくなってしまうからです。政権を争う、という「2大政党」が、いずれも「改憲・集団的自衛権容認」で一致するなら、それを受け入れられない人たちには、投票する相手がいない。
むろん、改憲に反対する社民党や共産党は存在しています。しかし、今回の選挙結果が示すように、小選挙区制という制度の中では、この2党への投票の多くは「死に票」にならざるを得ませんでした。
それは、みなさん、よくお分かりのはず。50%に遠く及ばなかった自民党が296議席を獲得してしまったカラクリは、前にこのコラムでも指摘したとおりです。
こうなれば、やはり前にここで指摘したように、民主党は分裂したほうがいいのかもしれません。国の政治にとって最も重大な「憲法問題」で意見が違いながら同じ党に所属していること自体が、私には不思議でなりません。多分それは、ただ権力を握りたい、という単なる政治的野望にしかすぎない。
民主党内でも、リベラル派がそれなりの勢力を持っているといいますから、彼らが先頭に立って、社民党や共産党に(できれば公明党の良質な部分にも)呼び掛け、「9条の精神を育て広めていく勢力」の結集を図るよりほかに方法はない。そんな時期に来ていると思います。
本当に、仲間割れしている場合じゃなくなってきたのです。
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