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その38
今週の、サムイ話題↓

このところ、気が重くなるニュースばかりですね。日本って国は、なんだかタガが外れっちまったような気がします。

特に、耐震データ偽造問題は、ひどい状況になっていますね。だーれも責任をとろうとしない。あげく、「BSE問題」で世論の徹底批判を浴びた自民党武部幹事長(当時・農水大臣)が、またも大失言!(失言の内容はトップページが触れています。とても分かりやすい財界寄りのご発言です)。
これは、それこそ万死に値する失言だと思うのですが、「小泉首相の偉大なるイエスマン」を恥ずかしげもなく自称するこの方に、なぜかマスコミはすっかり腰が引けています。批判記事がほとんど出てきません。あの「BSE問題」のときの批判は、何だったのでしょうか。

さらにこの武部サン、おチョーシもんぶりを発揮して、今度は「日本は天皇中心の国」と5日に水戸市内で開かれた自民党県議のパーティーであいさつ(12月6日付・讀賣新聞ほか)。あの森前首相が同じ発言で批判を浴びたことなんか、まるで覚えていないみたい。健忘症、というよりも、すっかりマスコミを舐めきっているってことなのかもしれません。
これでもマスコミの方々は、この失言大王・武部サンを追及しないのでしょうか?
小泉選挙の後遺症? 批判すると、絶大な権力を握った「あの方」のしっぺ返しが怖いとでも思っているみたいですね。マスコミ、こんなことでいいのかあーっ! と一言叫んでおきたい気分です。
と、サビシク始まりましたが、さて、気を取り直して---。

 

今週のネタ↓
2005年12月3日の毎日新聞より

[コラム]
 近聞遠聞 岩見隆夫
もはや「ローカル国家」か

 <前略>
韓国・釜山で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会合での模様は<隔離>という表現がふさわしい。各国首脳の反応からは、
<コイズミ、相手にせず>
という空気が読み取れた。アジアでの孤立はローカル国家の道につながる恐れがある。
小泉外交の評価をめぐっては、破綻論から、このままで耐えろ、という肯定論まで複雑に割れているが、小泉純一郎首相が外交戦略家でないことはだれの目にも明らかになった。
一連の小泉発言のなかで、外交シロウトにも異様に感じられたのは、先の日米首脳会談のあと、小泉が記者団に語った次の言葉である。
「日米関係が緊密になればなるほど、中国、韓国、アジア諸国をはじめ世界各国と良好な関係を築ける」
そうなればめでたしかもしれないが、実際は中韓などと不良な関係だ。首相OB たちもそろって首をかしげた。
「いままでの歴代首相はアメリカと話すときに、必ずアジアに触れる。単にアメリカ一辺倒じゃなく、アジアの多元性とか、日本として主張しておくんですよ。あの発言にはそれがない。だから、中国や韓国から日本が段々見下されるようになってきた。非常に残念だ」
と中曽根康弘元首相は嘆いた。宮沢喜一元首相も、
「日米関係さえよければすべてよし、という印象に受け取られたが、適当な発言とは思わない。どうしてあんなことを言ったのか」
と言う。小泉外交への不信はきわどいところにきている。
最近は、戦後最悪の外交環境、という見方だけではなく、戦前との対比までささやかれだした。
<後略>

(このあと、文章は、1933年の松岡洋右首席全権の国際連盟総会からの退場とそれに伴う国際連盟脱退、そして「深刻な孤立」。やがて、ナショナリズムの昂揚と「大東亜共栄圏」「日独伊3国同盟」から日米戦争へ、ついには敗戦へ至る道筋、と続きます。面白いです。全文をお読みになりたい方は、岩見さんのホームページをどうぞ)
今週の、ほぼ同感

このコラム「近聞遠聞」は、毎日新聞政治記者だった岩見さんが、コラムニストとして週一回連載しているもの。テレビなんかでも、おなじみの顔ですよね。このコラムに、今回はおおむね納得、同感であります。

麻生外務大臣は、会見で「靖国問題で日本を批判しているのは、中国と韓国だけだ。あとのアジア諸国は日本とは良好な関係にある」と述べました。
しかし、そう受け取っているのは、実は政府関係者にもほとんどいない、外務省などは、困り果てている、というのが実情だといいます。
「こうなれば、来年の9月までは寝たふりしてよう」などと公言する外務官僚もいるそうです。(これは想像などではありません。外務省担当のあるジャーナリストから、直接聞いた現実です)。

時流に乗って、麻生サンと同じような意見を述べる評論家などがこのところ増えてきています。しかし、実際に現場に出ている外交官やジャーナリストに雰囲気を聞けば、到底そんな麻生風意見でくくれるようなヤワな状況ではないらしいですよ。

小泉サンにしたところで、本当はそうは思っていず、ひたすらそう突っ張ることで国民人気を維持しようとしているだけだと言う政治評論家もいます。なぜか、そんなツッパリ・ワンフレーズが受けてしまう、というテレビ政治状況も困ったものだと思いますが。
麻生大臣に至っては、小泉後継を狙って、ひたすら小泉サンの意に沿うような発言を繰り返しているだけにすぎないと酷評されています。

さすがに長い間の政治記者、この辺の事情はすっかり見抜いているようです。
APECで「隔離」され、各国首脳からはまるで「相手にされなかった」小泉外交のヒドサを「戦後最悪の外交環境」と、きちんと書き留めています。

こんなことは想像などで書けるわけもなく、当然、APECに随行した毎日新聞記者たちの報告や取材から確かめてのことでしょう。

さらに小泉サン、日本の保守化の親分とも言えるような中曽根元首相にさえ、「非常に残念だ」とバッサリやられちまったというわけです。
それでも平気、ざわめくナショナリズムを煽ってさえいれば、とりあえず、来年9月の任期までは大丈夫、という読みなのでしょうか。
しかし、10年、20年先のことまで視野に入れて行うのが政治というものじゃありませんか。
岩見さんがコラム後半で触れているように、「深刻な孤立」から、きな臭い戦前のような状況が生まれつつあります。そのことに対する危機感が、まるで感じられないこの人は、政治家と呼ぶに値するとは思えません。
歴史の教訓を、なぜ学ぼうとしないのでしょう。オペラや歌舞伎、Xジャパンも結構ですが、たまには歴史書でもひもといて、過去を振り返ってみたらいかがでしょうか、「政治家」として。

このような孤立状況の中で「改憲」を言い出せば、アジア諸国のみならず、相当数の国々からさらに「孤立」していく。
みなさん、そうは思いませんか?
 
ツッコミ人も自らの故郷や風土がいとおしい。それを「愛国心」とは呼びたくありませんが、この国に暮らす人々や風土を愛する気持ちは人一倍持っているつもりです。
そんな私の愛する国が孤立していくのを、黙って見ている訳にはいきません。
「孤立」から「ローカル国家」へと没落し、やがてアブナイ刑事ならぬアブナイ国家になるなんて、考えるだけでも恐ろしい。
そうならないためにも、「ツッコミ」は小さなコラムだけれど、これからも小泉サンの政治姿勢をきちんと批判し続けていくつもりです。

イラスト

と、ここで今週はお終いにしようと思ったのですが、またツッコマなければならないニュースが飛び出しました。

 

で、今週のネタ・その2↓
各紙に載っているのですが、例えば見出しはこんな具合。
2005年12月6日の讀賣新聞より

「防衛省」昇格
公明、条件付き容認

支持母体に異論 党内調整で曲折も

公明党は5日の与野党幹事長・政調会長会談で、防衛庁の「省」昇格を条件付きで受け入れる姿勢を示した。これを受け、政府・自民党は来年1月の通常国会に「防衛省設置法案」を提出する構えを見せている。ただ、公明党は、他の政策テーマなどとの見合いで最終的な対応を決める考えで、両党の綱引きはなお続きそうだ。<以下略>

ツッコミます!

先週、多少の希望をもって、公明党にエールを送ったのですが、悲しいことに1週間しかもたなかったわけですね。
危惧したように、公明党はズルズルと政権の美味しい蜜の味に引きずられて、どこまでも自民党にくっついていくようです。

庁が省に昇格する。つまり、はっきりと軍隊が顔を見せる、ということじゃないですか。これでは先週書いた公明党副幹事長の発言も、どっかに霞んでしまいます。
その際にも指摘したように、公明党は肝心なところで前言を翻してしまう、という危うさを持っています。その危うさが、早くも露呈してしまいました。寂しくも悲しい----。

さらに恐ろしいこと。
毎日新聞が書いていましたが、なんと公明党は「教育基本法」の改定までも、冬柴幹事長が容認の姿勢を示したといいます。
これは自民党の中でも右よりの方々が、改憲の次に位置づける重要な目標で、かなり復古的な内容になるのではないか、とされているようです。自民党の方々が強調しているのは、国家への奉仕や愛情の明確化、学校教育の国家統制、家庭教育への介入、親子関係や地域自治会(隣組?)などへの言及など、まさに戦前の「教育勅語」の再現を目論むようなものだといいます。
さすがにこれだけは、戦前の弾圧の歴史を忘れてはいないはずの「支持母体創価学会」が拒否するだろうと思っていたのですが、その期待すらもこのままでは裏切られかねません。

国家に隷属する宗教、それは存在自体が矛盾ではないでしょうか?

しかし、こんな「防衛省」昇格という国家的な大問題が、毎日新聞を除いて、一面トップではなかったということが、最近の新聞の衰弱ぶりを示しているとは思いませんか、みなさん。

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