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その36
今週のネタ↓
 <略>(韓国の盧)大統領は、首相が10日に靖国神社に参拝したことに「韓国に対する挑戦である」と反発。首相は「戦争の美化、正当化では決してなく誤解だ」と自論を説いたが、双方の溝は埋まらなかった。慣例化している半年に1度の綜合訪問について首相は大統領に年末の訪日要請はできず、会談開催も合意できなかった。<以下略>  
2005年11月19日の毎日新聞より

孤立 小泉アジア外交
日米同盟ふりかざし
中韓両国は態度硬化

朝鮮半島で世界の大国である日米中露4カ国の首脳が、史上初めて一堂に会した今年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)。各国とも活発な首脳外交を展開する中、日本は小泉純一郎首相の靖国神社参拝が障害となり、精彩を欠いている。小泉首相はブッシュ米大統領との親密さを振りかざして、中韓両国に「友好」の確認を迫るが、両国はむしろ態度を硬化させてしまったようだ。強気一辺倒で押す「小泉アジア外交」には、国内政治と勝手が違って当分、局面を打開する見通しもなく孤立感が漂う。<以下略>
2005年11月19日の朝日新聞より

日韓「靖国」で溝拡大
首脳会談盧大統領「韓国への挑戦」
小泉首相 訪日要請できず

 <略>(韓国の盧)大統領は、首相が10日に靖国神社に参拝したことに「韓国に対する挑戦である」と反発。首相は「戦争の美化、正当化では決してなく誤解だ」と自論を説いたが、双方の溝は埋まらなかった。慣例化している半年に1度の綜合訪問について首相は大統領に年末の訪日要請はできず、会談開催も合意できなかった。<以下略>
同日の毎日新聞より

「日中関係全く心配いらない」小泉首相

 小泉首相は18日、APEC首脳会議で「全く心配いらない。問題があっても友好を進めることはできる。自分は日中関係を重視している」と強調。<略> 自分から「あるいは日中関係を心配する国があるかもしれない」と切り出した。

 <略>(韓国の盧)大統領は、首相が10日に靖国神社に参拝したことに「韓国に対する挑戦である」と反発。首相は「戦争の美化、正当化では決してなく誤解だ」と自論を説いたが、双方の溝は埋まらなかった。慣例化している半年に1度の綜合訪問について首相は大統領に年末の訪日要請はできず、会談開催も合意できなかった。<以下略>  

「原因は日本」中国が不快感

小泉純一郎首相が「日中関係は心配いらない」と発言したことに対し、中国外務省の孔泉報道局長は18日、記者団に「困難な状況が生じた根本的な原因は、日本の指導者が意地を張って靖国神社に参拝したことにある」と述べ、不快感を示した。<略>「(4月に)胡錦濤主席がジャカルタで小泉首相と会談した際、関係改善のための『五つの主張』を提案した。我々は日本側が実際の行動で応えることを希望する」と語った。

なんとも情けないやりとりです。
自分でケンカのタネを蒔いておきながら、相手からそれを指摘・批判されると、いやいや、心配なんかいらないよ、大丈夫、大丈夫を繰り返す。相手が不愉快だ、と言ってるのに、仲良くできるよ心配ないよ。で、どこ吹く風。
一体何なんでしょうねえ、この受け答え。
やめてくんないと仲良くなんてできないよぉ、と言われてるのに、やめなくても仲良くできるって。他人の心配なんて余計なお世話さ。
アーングリッ(空いた口が塞がらない、という表現です)。

こういうのを、古来の諺では「馬耳東風」といいます。でもそんなことを教えてあげても、小泉サン、きっと「蛙のツラにション○ン」なんでしょうなあ。
こんなお方があなたの近くにいたら、あなたな〜らどーする〜?
私なら、蹴飛ばしちまいますね、きっと。
しかし、これが私たちの国の首相なのだから、ことはジョーダンではすまないのです。

いくら批判されても「私は二度と悲惨な戦争を起こさないという不戦の気持ちで、国家のために尊い命を捧げられた方たちのために参拝するのだ」と、馬の耳首相は繰り返します。
しかし、このコラムでも何度か指摘したように、あの神社には「心ならずも戦場に赴き命を落とした兵士たち」と、「その兵士たちを戦場に送り込んだA 級戦犯たち」が合祀されているのです。
その両者を、国家の最高責任者たる首相が、同時に拝んでしまう、このどうしようもない矛盾に、なぜ目を瞑ってしまうのでしょうか?
拝まれた兵士たちは喜びますか? 自らを死地に追いやった人々を、死んだ兵士は黙して受け入れるとでも思うのですか?
この小泉サンの感性が、どうにも理解できない。
そんなに拝みたければ、さっさと首相なんぞを辞めて、それから紋付袴でも鎧兜でも好きなモンを身に着けていらっしゃればよろしい。

いまや日本の貿易相手国としてアメリカを抜き最大になったのは、中国です。その中国の動向を、アジア諸国は固唾を呑んで見守っています。あの大国ロシアの外務報道官でさえ、「日本は靖国問題を考え直すべきだ」と発言しました。他のアジア諸国も、中国の言い分を重要視し始めています。それは、日本が「国連常任理事国になりたいよーっ」と大騒ぎをしたときの、アジア諸国の冷淡な対応を考えればよーく分かりますよネ。

中国は、いまやアジアの大国としての地位を獲得したのです。どんなに否定しようが、経済的側面から見れば、これが現実です。
アジア諸国の天秤は、かつての日本重視から中国へと傾きつつあるのです。
大国が他の中小の国々の外交政策に影響を及ぼす。それが国際政治の常識ってもんでしょう。それは誰も否定できない。

このままでは日本は本当に孤立化してしまいます。
それが極まったとき、あの戦前の松岡洋右の「国際連盟相手にせず」との国連脱退の悪夢が現実となるのかもしれません。そして、戦争へ駆り立てる勇ましい進軍ラッパが鳴り響く---、という想像が重なります。
「孤立は戦争を呼ぶ」のですよ。歴史が証明しています。そして「歴史を学ばぬ者は現実に復讐される」のです。
小泉サン、そして彼を支持する「国民」の方々、そうなってもかまわないというのですか?
これこそ最大の「国益を損なう」行為ではありませんか。 

『国家の品格』(新潮社新書)という本が売れているようです。そのタイトルをもじれば、なぜ私たちの国は、こんなにも「品格」を失くしてしまったのでしょうか。
とにかく、相手の言うことを聞こうとしない、聞かないばかりか、やたらと相手の悪口を言う、嫌がることを次々と行う、ミョーにケンカを吹っかける。そしてそれを囃し立てて喜んでいる。
こんな人、あなたの隣にいたら、あなたな〜らどーする〜?
他人の悪口ばっか言うヤツに、友だちなんかできないでしょ。国だって同じこと。なのに、首相に輪をかけて、外務大臣も官房長官も右向け右。

こういうのを、「品格」という面から考えればどうなのでしょう。
反中、嫌韓、北朝鮮撲滅、アジア蔑視---。
アジア諸国に私たちが学ばなければならない点は、たくさんあります。いま私たちの国が誇っている「日本独自の文化」というものの基礎の殆どは、中国や朝鮮をはじめとするアジア地域から伝播してきたものじゃありませんか。
私たちの国の天皇でさえ、自らの中に朝鮮からの血統が流れていることを、「お言葉」の中で認めているではありませんか。
それらを全く無視して、相手国の傷ばっかりを穿り返し、妙に高みにたっての悪口雑言。
あまりに子どもじみていて、あまりに情けない。

仲良くすることで損なわれる国益なんて、ひとつもないはずなのに---。

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