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その35
今週のネタ・しょの1↓
2005年11月10日の東京新聞より

超党派有志が「追悼施設議連」
首相靖国参拝に異議
反小泉勢力の受け皿にも

無宗教の国立戦没者追悼施設の建設を求める自民、公明、民主の三党の有志議員は9日、「国立追悼施設を考える会」の設立総会を開いた。諸外国の批判をよそに靖国神社参拝を続ける小泉純一郎首相の路線とは異なる動きとして注目される。先の衆院選で与党が圧勝して以来、小泉首相に異を唱える声は「絶滅」に近い状態になっているが、この問題は、与党内の数少ない火種として浮上してきた。<以下略>

しょの1

もう誰も小泉サンに文句を言える議員がいなくなってしまった自民党。その自民党にくっついていくしかなくて、まるで存在感がなくなった公明党。そして、今回の内閣改造に思わず「エール」を贈って顰蹙(ひんしゅく)を買っちゃった前原代表が率いる民主党。 日本に政党政治なんかなくなっちゃったんじゃないかと思える惨状ですが、ここにきて、妙な動きが出てきました。

さすがに、このままじゃ日本のアジア外交はめちゃくちゃだあ! と感じた(のかどうか)与野党議員たちが集まり、なんやかんやと蠢きだしたというわけです。でもさ、このメンバー、えっ? と思う人がたくさん入っています。
約130人が参加したということですが、あの小泉首相側近中の側近といわれてたのに干されちゃった感じの山崎拓サン、もう役目は終わったってことですかね。それに、なぜか今回の改造内閣では外されちゃった福田康夫サン、トンと噂に上らなくなった鳩山由紀夫サン、このところ徹底的に無視されてどうしていいのか分からなくなってイライラしてるみたいな神崎サンや冬柴サン。いやあ、超ゴーカなメンツじゃありませんか。

なにしろ、小泉首相、麻生外相、安倍官房長官と、揃いも揃ったタカ派トリオが、そのまま揃って靖国参拝をやりかねない情勢ですから、心配になるのも無理はありません。
しかし、本当にこの議連、首相参拝に待ったをかけられるのでしょうか? それにしては腰がすわっていない。だって、「国立追悼施設」建設準備への調査費すら小泉サンに無視されたままなのに、それに強く抗議する様子もないのです。真剣に作る気があるのかどうか、疑問ですよね。
とすれば、何のためにこの議員連盟を作ったのか?
もう答えはお分かりのはず。そうです。結局は次期総理の座を巡る争いへの思惑が渦巻いているだけなのです。それは、自民党の新憲法案を読めばよく分かります。

『自民党新憲法案』

第二十条(信教の自由) 

3 国及び公共団体は、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超える宗教教育その他の宗教的活動であって、宗教的意義を有し、特定の宗教に対する援助、助長若しくは促進又は圧迫若しくは干渉となるようなものを行ってはならない。

ちなみに、現行憲法では以下のように簡潔に書かれています。

『日本国憲法』

第二十条(信教の自由)

3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。  

どうですか? まあ、自民案がソートーひどい文章である、という批判は先週も先々週もやりましたし、くどいので止めておきます(しかしそれにしてもヒデー文章だよなあ! 又は、と、若しくは、のオンパレードだぜ)。

この条項に対して、公明党を含め与党は正式な批判をしていないようです。まあ、仕方ないかなあ、というところなのでしょう。
これを読めば、またしても自民党お得意の「どうとでも解釈できる曖昧文」であることが分かりますよね。特に「社会的」「習俗的」というのは、どうとでも解釈できます。靖国神社へ行こうがどこへ参ろうが、「社会的習慣だもんね」で逃げられます。だから、そこを批判しないということは、根本的な靖国参拝批判ではなく、とりあえず、それにかこつけた政治運動だと捉えられても仕方ないのです。で、実際にそうなのでしょう。
つまり、小泉独裁体制で冷や飯を食わされた面々が集まったってことです。それでも、キチンと靖国参拝批判をするのであれば、その意義も認められるでしょうが、これまた極めて曖昧モコビーバーオリーブ(このギャグ、かなりのお年の方しか分からないだろうなあ)。
やはり小泉後を狙ったパフォーマンスとしか受け取れないでしょっ。
この政治的なアセリは、特に公明党に顕著なようです。

で、次のツッコミです。

イラスト
今週のネタ・しょの2↓
2005年11月6日の朝日新聞より

公明、「蚊帳の外」に不満
靖国・人事---要望を首相無視
地方選で埋没懸念

2005年11月6日の毎日新聞より

焦り強める公明
靖国自粛要請
実現可能性低く


しょの2

2紙が同じ日に同じような記事を掲載しています。日付は違いますが、他紙にも同様の記事が出ていました。つまり、みんながそう感じ始めているってワケです(ま、蚊帳の外って、いまどき誰が使いますかね、こんな表現。ね、朝日サン)。 ここでの引用はタイトルだけですが、記事の中身はもう引用するまでもありませんよね。ちっとも小泉サンが振り向いてくれず、淋しくなっちゃった公明党が焦っている、というとても分かり易い内容なのですから。

だから言ったじゃないの、とツッコミ人は言いたいっ!  ずいぶん前のこのコラムで、「用済みの公明党はいずれバッサリやられる運命にある。そんなことも政治ゴッコの内側にいると見えなくなるのかなあ」てなことを書いたのを、覚えてる方はもおられますよね。ホラ、その通りになりつつあるではありませんか。 公明党にとっては上に引用した「憲法二十条・信教の自由」は生命線のはずです。それすらこんなふうに改定されて、それでも与党という美味しい立場にすがりつきたいのでしょうか。

立党の精神に関わるところまで無視されて、それでも政党と胸を張って言えるのでしょうか。「信教の自由」を憲法上で自民案のように書き換えられてしまえば、宗教政党たる公明党は否定されたも同然だと思うのです。

そうではありませんか? 

それでもまだ、自民党にしがみついていきますか?

イラスト
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