(4)あやふやな規定
軍隊は国民を守るか? というのはとても大きな問題です。
でもね、軍隊は国民なんか守りません。沖縄戦や旧満州での日本軍の行動を知っている方であれば自明のことですよね。歴史が証明しています。
自衛軍の「活動」のひとつが「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し---」と自民案には書かれています。これが曲者。
この文の中の「及び」の使い方があやふやなのです。「国際的に協調して---緊急事態における公の秩序を維持---」と読むのか、ただ単に「緊急事態---」以下で独立した文章と読むのか。
つまり、国際的な緊急事態なのか、国内の緊急事態も含まれるのかどうか、重大な分かれ目です。どちらとも読めますよね。
日本国内の事態も含まれるとすれば、国内でデモ隊などに自衛軍が銃を向けるということも、この条文では可能になります。つまり、自衛軍は守るべき日本国民に対しても「公の秩序」のためには銃を向けられるのです。
これは本来は警察行動、即ち警察が行うべき取締りです。ところがこれを軍がやる。かなりヤバイ。
警察は捕まえるのが仕事、しかし、軍は殲滅する(殺す)のが仕事です。まったく役割は違います。軍は逮捕する訓練などしません。あくまで殺す訓練だけです。軍が公の秩序維持のために出てくる、となればそこに現出するのは----。ああ、もう考えたくもありません。それほどあやふやで危ない案なのです。
それでもあなたは認めますか? この自民党新憲法案を。
こんな穴だらけの憲法案を、自民党はなぜかくも拙速で出してきたのでしょうか? 小泉さんが来年の9月に退陣する、ということが背景にあるに違いない。この異常な小泉人気が持続しているうちに、とにかくやっちまえーっ! てなことなんでしょうなあ。
今に見てろよ! と唇を噛むツッコミ人なのでありました。
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