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その29
今週のネタ↓
●東京新聞 2005年9月29日より
自民新憲法草案
  
自衛隊 → 自衛軍 →「国防軍に」
圧勝受け独自派台頭

「与党で3分の2を取ったんだから、自衛軍でなく国防軍とすべきだ」

ある国防族幹部は衆院選後、起草委幹部に対し、当選の挨拶もそこそこに、持論を展開したという。

改憲のためには他党、特に連立のパートナーである公明党との合意が最重要だ。公明党は現行の九条を堅持し、自衛隊の明記を検討するにとどまっている。

このため、これまでの自民党の議論では「国防軍」よりはマイルドな「自衛軍」という表現で決着済みだった。それを覆す動きに起草委幹部は「自衛軍ならまだしも、国防軍では公明党は賛成しないだろう」と嘆いている。

また、国民の権利・義務関係でも、同じような現象が起きている。「独自派」は、今の憲法が、あまりにも権利の列記に偏っているとして、新たな「責務」を盛り込むべきだと主張してきた。

この問題は、「国民の反発が避けられない」(起草委幹)として、見送られる方向で一応の決着をみていたのだが、26日に開かれた「権利・義務」小委員会では「家庭を保護する責務」などを盛り込むべきだとの意見が続出。近く小委員長の船田元氏が「責務」盛り込みを与謝野馨政調会長に要望するという。

ついに出てきた。何が?

一度は死んだはずの、「戦前」という名の亡霊が。

勢いに乗る小泉総統の尻馬に乗って、まるでゾンビのような有象無象が、夜の料亭の酔っ払いタワゴト放題の闇の中から、とうとう陽のあたる場所にノコノコと這い出てきたのだ。  

「勝ってくるぞと勇ましくぅ〜っ」と、あの日章旗を振り回しながら、またアジアのどこかへザックザックと軍靴の音を響かせながら出て行こうというのだろうか。  

なぜそんなに「国防軍」が欲しいのか。ああ、アメリカになりたいのネ。アメリカのように「国防省」って胸をはりたいわけネ。

しかし、アメリカの「国防省」が「国防」に徹したことなんかあっただろうか。いつだって、「国防」の名の下に他国に出かけて行っては爆弾の雨を降らせてきたではないか。

「国防」が文字通りの「国防」であったためしなど、どこを探してもありはしないのだ。  

戦争はどうやって始まるのか。それは常に「自衛」であり「邦人保護」であり「侵略への対処」だったのだ。「仮想敵」を想定しては「侵略者」を作り上げ、やがてそれを「仮想」から「現実」へと移し変えていく。  

イラク戦争。アメリカがここで行なったこと、それが「仮想から現実へ」の、最近における最もあからさまなケースだったはずだ。  

さすがにアメリカ国民も、ようやくそれに気付き始めた。イラクで死んだ米兵の母が撒いた種が、数十万人のデモとなってワシントンを埋め尽くした。  

私たちの国は、そんな現実にも盲いてしまったのか。  

もうどうやったって銃など持てそうにもないオヤジたちが国防軍を唱え、訳分からずに国会ではしゃぎまくる「くの一刺客」のおばさんたちが、その後押しをする。グロテスクな構図だ。  

こんな連中に憲法改定など、させてなるものかっ!  

自らの手で、血にまみれながら人を殺す決意のない者が、他人に人殺しを命じてはならない。もしどうしても「国防軍」が欲しいのなら、それを言う人間たちは、アメリカ軍と一緒にイラクの地で、劣化ウラン弾の恐怖に怯えながら、砂埃にまみれて来るがいいのだ。

さらに許せないのは「今の憲法があまりにも権利の列記に偏っている」から、国民に「新たな責務」を負わせるべきだ、という戯言だ。

一体、どういう思考回路を持った連中なのだろう。

「家庭を保護する責務」だとーっ!?

「勝ち組・負け組」を「自由競争・優勝劣敗・市場原理」の成果だなどとほざき、当然のこととしたのは誰か。

セイフティーネットもいい加減に放置したまま、企業にリストラという名の首切りを奨励し、年間3万人を超える自殺者を生み出したのは、いったいどこの誰なのだ! 

大量の「負け組」とごくごくわずかの「勝ち組」を作り出すことで、この国をいびつな形に歪めてしまったのは、お前か?

リストラされ、行き所なく若年ホームレスにならざるを得ない30〜40代を増やしてしまった責任者は、どこに隠れているのか。

そんな状況を作り出した張本人たちが「家庭を保護する責務」などと口走る。寒気がするほど腹が立つ。自殺まで考えざるを得ない人に「家庭を保護しろ」などと、お前は本気で言えるのか。


優しさの毛ほどもない連中の考える「新憲法」とは、いったい誰のためのものなのか。

結論は見えている。

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