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その28
今週のネタ↓
●毎日新聞 2005年9月24日朝刊より
憲法問題
国民投票法案 焦点に
報道規制 与党と民主なお溝

自民、民主、公明3党などの賛成で衆院憲法調査特別委員会(中山太郎委員長)が設置され、改憲に必要な国民投票法案を審議する土俵が整った。投票法案の中身をめぐる3党の一本化調整が、当面の焦点となる。国会で巨大与党が誕生し、民主党も積極改憲論者の前原誠司氏が代表となり新局面を迎えたとはいえ、与党案と民主党案は報道規制などで隔たりが大きく、参院との温度差も抱える。今国会での合意案提出にはなお、ハードルが高そうだ。<以下略>

●日本経済新聞 2005年9月21日朝刊より
衆院副議長に横路氏就任へ
発言力封じ狙う 民主執行部

民主党の前原誠司代表は二十日、「次の内閣」の陣容を整えるなど新体制を始動させた。距離のある旧社会党系のリーダー、横路孝弘氏を衆院副議長に送り出し、発言力を封じた。<以下略>

もう、着々と準備が整っています。

毎日新聞は「なお溝」と書いていますが、いわゆる民主党内「護憲派」のリーダーを形式的な名誉職に送り出し、何も具体的な発言ができないようにバリアを張り巡らしたわけです。それでなくても弱っている党内「護憲派」は、これで発言することすらも困難な状況に追い込まれたことになります。「財界新聞」と揶揄される日経にさえ「発言力封じ」と書かれる始末です。

なにしろ副議長、軽々しく政治的に一方に与するような発言は控えなければならないからです。

改憲派党首・前原氏の面目躍如です。これで心おきなく「小泉総統」と組んで、「憲法改定国民投票法案」作りに邁進することができるというもの。改憲派同士のヤラセ党首討論にも、熱が入ることでしょう。

しかし、横路氏もなんで拒否しなかったのでしょう。そんなに名誉が欲しかったのでしょうか。 先週のこのコラムでも指摘したのですが、かつて社会党が犯した過ちを、ここで横路氏は繰り返すことになるのです。 あの土井たか子さんが衆院議長としてまつりあげられ、発言力を封じられているその隙に、社会党は次々にそれまでの政策の根本的な変更に追い込まれ、ついには熱心な支持者たちにも見放され、現在のような絶滅危惧種的状況に転落してしまったのです。

先週も書いたように「二度目も悲劇」です。

そして、それはもっと大きな破局を招きます。つまり、民主党護憲派の追放が、やがて始まるのです。それは、口を封じられた旧社会党系の人たちの脱党、という形で決着することになるでしょう。

「あいつらは遅れた考えの『守旧派・抵抗勢力』だった。あいつらがいなくなってスッキリした。これでやっと自民党と大連立が組める。ようやく政権の座に着ける」

多分、そういうことでしょう? ね、前原さん。

国民投票法案は必要でしょう。しかし、今回は順序が違うと思うのです。

まず憲法の中身を議論することのほうが先のはずです。自民党は11月にも改憲案を発表すると言っています。ならば、連立を組む公明党はそれをどう評価するのか、また独自にどんな案を提出できるのか。

だって、公明党は九条の改定には、いまだに慎重姿勢を崩していないじゃありませんか。なのに与党だからといって、自民党案を丸のみしてしまうというのでしょうか。

それならば、もう公明党などと独自の党名を名乗らずに、自民党に吸収合併されておしまい! です。自民党にお願いして「自由公明党」とでもしてもらいますか。どうせ民主主義なんか忘れた両党、民主なんて文句は捨てたって痛くも痒くもないでしょう。

民主党の改憲案も出てはいません。

まあ、前原代表なのだから、かなり自民党案と似通ったものが出てくるのかもしれません。しかしそれにしても、自分たちはまったく中身を示さずに、中身を変えるための法案の審議はしようという。中身の議論をまるでしないで、その中身を変えるための国民投票法案を先に審議する。これ、どう考えてもおかしいでしょ?

まるで、料理の材料、食材をまったく揃えずに、まな板と包丁、それにお鍋にフライパンを準備しました、って言ってるようなものじゃありませんか。どんな料理が作られるのか、私たちはどうやって判断すればいいんですか?

(ツッコミ人は、ヘンなたとえ話で政治なんかを語るヤツを信用してはいけない、と常々言ってきたのですが、今回ばかりはお許しください。自らの信条を崩してしまうほどに、腹立たしいのです)

とりあえず、国民投票法案については、毎日新聞が与党と民主党の違いをよくまとめてくれていますので、参考にしてください。

でもこの程度の違い、すぐにでもくっつきそうな気がするのは、ツッコミ人だけなのでしょうか。

最近亡くなった後藤田正晴氏が言っていたそうです。

「社民党と共産党は一緒になって、国会の中で一定の発言力を確保したほうがいい」

そうですよね。いまさら党名なんてどうでもいいじゃありませんか。後藤田さんの遺言、生かそうという動きを作らなければならない時期にきている。そうでもしなければ、この国は一色に染め上げられてしまいかねない

後藤田さん、惜しい人を亡くしてしまいました。最後の「本当の保守政治家」だったような気がします。

イラスト
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