私たちの国の人たちが、どうして、いつから「反政府武装勢力」などの標的とされるようになったのでしょうか。それも、親日感情が世界の中でもっとも強いと言われていた中東地域で。
もちろん小泉首相の「ブッシュの戦争支持宣言」と、それに続く「自衛隊イラク派兵」からだと考えて間違いないでしょう。
ちょっと古い話になりますが、ここでもう一度、思い出しておきたいことがあります。
小泉首相は2001年8月13日、靖国神社に参拝しました。その際、彼は記者団に対し「二度と戦争を起こしてはいけない、という祈りの思いを込めて参拝してきました」と語ったのです。
そして翌月、あのアメリカ同時多発の「9.11事件」発生。ブッシュ大統領はすぐさま「これは戦争である」と宣言。それに対し、世界中のどの指導者よりもすばやく、わが小泉首相は「ブッシュ大統領の対テロ戦争を全面的に支持する」とぶち上げてしまったのです。
この人、なんの不思議も感じなかったのでしょうか。「二度と戦争を起こしてはいけないという祈り」と「ブッシュ大統領の戦争への全面支持」とを、一カ月の間もおかず平然と語ってしまう。いくら「歴代で最も言葉の軽い首相」であるとはいえ、これはあんまりと言うべきでしょう。ことは「戦争」なのです。ちょっとした国会での失言というのとは、わけが違います。
自国の国民の生命を守る、というのがその国の政府や指導者の、もっとも基本的な、そしてもっとも重要な任務です。「憲法」とは、それを政府に強いるためのものです。現在の私たちの国の政府は、本当に政府という名に値するでしょうか。
小泉首相の声明や自衛隊派遣が、中東の人々の心を日本から離れさせ、何人もの若者の拘束、二人の外交官と一人の若者の死という悲しい結果をもたらしたとはいえないでしょうか。少なくとも、「自衛隊イラク派遣」がなければ、彼らの拘束や殺害は、別の結果になっていたかもしれない。それを「自己責任」などといういやらしい言葉に置き換えて逃げをうったのは、いったい誰だったのか。自国民を危ない目に遭わせる指導者とは、いったいどういう存在なのか。「憲法9条」をもう一度、噛み締めてみたい。どこに、自衛隊派遣が許されると書いてあったでしょう。
今回の事件、もう一度、私たちの国の行方を考え直すきっかけにしなければならないと思うのです。そして、拘束されている方の一日も早い救出を、私たちは声を大きくして小泉さんに迫るべきです。口が裂けても「自己責任」などという汚らしい言葉を投げつけるようなことは----。
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