日本は「国連常任理事国」入りに懸命です(この新常任理事国には、いわゆる拒否権が与えられていない、言ってみれば半人前の常任理事国なのですが、それでも日本は入りたいらしい)。
でも、同じアジアの諸国からの支持がなければ、その半人前すらも実現は困難でしょう。そんなことは政府だって外務省だって、そして自民党だって分かっているはず。なのに、中国、韓国、北朝鮮だけではなく、ついに、シンガポール政府からも批判の声が挙がりました。中国がアジアの大国として近隣諸国に大きな影響力を持ち始めていることは説明するまでもないでしょう。その中国が日本批判の矛を収めなければ、もっと多くのアジア諸国が同調し始めるかもしれません。
にもかかわらず、首相以下、隣人たちの神経を逆なでするようなことを平気で言い、そして行うのです。
「我々は、小泉首相の靖国参拝で深く心を傷つけられる」と、中国や韓国の首脳が繰り返し述べているのに「私はそうじゃないと思いますね」と小泉さん。一方が「こう感じている」と言っていることに関して
「そうじゃないと思います」って、小泉さん、何でアンタは他人の心が読めちゃうの? いつから細木数子サンになったんですか?
それに輪をかけてスゴイのが「みんなで行けば怖くない」国会議員の方々(それにしても、民主党の若手が加わっているのには呆れました!)。反日デモがまだ終息するかどうか分からない状況の中で、その火に油を注ぐようなことを集団で行う。隣人たちの反発をわざと誘発し、「常任理事国入り反対」の側に追いやるような行為でしょ、これ。頭をぶん殴っておいて、「私に一票を」って言ったって、そんなもん、通じるわけないじゃないですか。どうしてそんなこと、分かんないのかなあ?
不思議でしょうがありません。
もしかしたらこの国会のセンセイ方、ホントは日本の常任理事国入りに反対なのではないでしょうか。そうとでも考えなければ、とても彼らの行動は理解できません。
しかし、靖国に行くのがいいとか悪いとかをここで論じたいわけではありません。どうしても行きたいのなら、もっとやり方を考えるべきだと思うのです。時期を変えるとか、無宗教の慰霊施設を作るとか、A級戦犯を分祀するとか、アジア諸国とこの問題の研究会を作って理解を求めるとか、方法はいくらでもあるじゃないですか。
「お前の言うことなんか聞かないゼ。俺は俺だあっ」ってそれ、大人のやり方なんですか。まるでジャイアンみたい。
ねえ、のび太くん。
憲法についても同じことが言えるでしょう。自民党や民主党の一部の方々が主張するように、9条2項を改定して軍隊を持つことを明文化すれば、日本の意図がどうであれ、アジア諸国から「日本軍国主義の復活」と捉えられることは、この靖国参拝問題への自民党や小泉首相の対応を見ていると間違いないところでしょう。そうすれば、日本は悲しいかな、いっそうアジアで孤立してしまう。
やっぱり、9条は大切な政治的財産として持ち続けていたい。これがある限り、隣人たちからの「軍国主義復活」批判には、明確に「違うぞ!私たちには9条がある」と言えるのですから。
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