今週の「マガジン9」

 今週(2/6・2/7)二夜連続で放送された「NHKクローズアップ現代+」が取り上げた、フェイクニュースについて、改めて考えさせられました。

 出所不明の莫大な量のフェイクニュースが、ネット上に溢れている。そのこと自体は、今に始まったことではないのですが、それがSNSによって爆発的に広がり、実際に選挙運動などに影響を及ぼしたり、非常事態にある町をさらに混乱に陥れたりと、現実社会において見過ごすことのできない様々な現象となっています。SNSによって拡散されるわけですから、フェイクニュースの作成者と拡散者とはまったく別であり、ある時は意図的に、ある時は無自覚に広がっていきます。
 衝撃的なのは、トランプ大統領が、自分を批判するニュースについては「すべてフェイクニュースだ」と言い放ち、自分たちが発信する事実とは反するニュースについては、「オルタナティヴ・ファクト(もう一つの事実)」だと公然と言っていることです。このことが世界に与える影響は、計り知れないほど大きいと懸念されます。

 日本においても、ネットの「デマ」が民主主義を揺るがしているとの警鐘をいち早くならし、自らの経験に基づき語られていた、辻元清美衆議院議員の話を思い出しました。辻元さんは、長年にわたり根拠のないネット上の中傷に苦しめられてきたと、2016年に出された著書『デマとデモクラシー』(イースト新書)でも語っています。政権与党からもそのデマを引いて攻撃されることもあったと言います。また国会答弁においても、ネット上で収集された不確かな情報が、担当省庁内での検証もなしに答弁に用いられた事例を紹介しています。
 辻元さんは、「デマに浸食されつつある民主主義」を取り戻すためには、デマには本気で立ち向かわなくてはならない、と語っておりそのためには、バカバカしいと思っても、面倒臭くてもデマを放置しておいてはいけない、と断言されています。

 デマの被害を受けた当事者本人がきっぱりと否定をして発信する、というのは一つの方法でしょう。しかし、フェイクニュースをめぐる問題は、非常に複雑です。法律で取り締まることもほぼ不可能でしょうし、そもそも「面白ければ、事実と違ってもいいじゃない」と考える、ニュースの作成者、拡散者、そして情報の受け手が、少なくないという「事実」もあります。

 今、ネットで情報発信を続けている私たちマガジン9にとっても、この問題や現象をどう考え対処すべきかが突きつけられています。今年の春のリニューアルに向けて、まだ試行錯誤中ですが、「現憲法の理念を幅広い人に届ける」をベースにおきながら、微力でも「フェイクニュース」に対抗する「真実を伝えるオリジナルコンテンツ」、を作らなくてはとの思いにも駆られています。どうか、そのためにも…ご支援をよろしくお願いいたします。

(水島さつき)

 

  

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