今週の「マガジン9」

 舛添都知事が辞職するというニュースが、本日(6/15)朝一番で飛び込んできました。これにより7月末か8月には都知事選挙が行われることになります。

 このところの一連の騒動を報道で見ていて感じたのは、都知事もまた、雨宮処凛さんがコラムで言及していた「みんなでいびり殺してもいい人リスト」に登録されてしまったんだな、ということでした。一度登録されたが最後、そこから逃れる術はなく、職や地位や名誉はもちろん、場合によっては命までもとられる恐ろしいリスト…。

 もちろん、都知事は公人であり、公私混同の疑いのある税金の支出については、きちんとした説明や情報公開がされるべきでしょう。しかし「金と政治家」の問題を言うのならば、普通に考えてもっと追及されるべきは、南部義典さんが今週のコラムで書いてくれている甘利元大臣の政治献金についてではないでしょうか。また、今週の三上智恵さんが紹介している、宮古島・石垣島での自衛隊配備をめぐる問題については、日米の安全保障を考える上でも重大な局面を迎えているにもかかわらず、本土での報道は皆無です。
 それに比べて舛添都知事がいかにケチでセコかったかということは、かなりどうでもいいことであり、彼が使い込んだ公金を返金し、本人から申し出があったようにしばらくは無給で働くという決着で良かったのではないか、と思います。

 言うまでもなく、安倍首相をはじめ与党幹部が駆けつけて応援した舛添氏に1票を投じたわけではありませんが、「はやく辞めて欲しかった」という都民の声を拾って構成したテレビ番組を見るにつけ、マスメディアが世論をあおりながら、そしていつしか世論の方が暴走を始め、一人の人間をその家族もろとも”抹殺”していく様には、違和感というか、ある種の恐怖を覚えました。こういった熱狂に巻き込まれないために、本当に私たち一人ひとりが、主体的に考えるスキルや信頼できる情報源をツールとして持っていないと、こんな社会のままでは、無自覚に人をいびり殺す側に立ってしまう…そんなことをひしひしと感じます。

 さて、参院選挙まであと1ヶ月を切りました。日本の大きな分岐点にある今夏の選挙。「7月10日は投票へ」。このキャンペーンも、マスメディア任せではなくいろいろなツールで広めていきたいと思います。マガ9も先週より「マガ9リーフレット配布キャンペーン」を行いましたが、たくさんの方から協力のお申し出を受け、あっというまに予定数となりました。この場を借りて、お礼申し上げます。また、今週からは「GO VOTE」シールを付けた「マガ9ご支援お願い」も始めました。
 また、自由と平和を求める東京藝術大学有志の会らによる“Shall we 選挙?”1票の価値を考えながらポスターを作ってみよう、という呼びかけもあります。

 マスメディアに踊らされるのではなく、自分で主体的に考えて動いて投票する。そして投票した人を、きちんとウオッチする(決していびり殺すのではなく)。そんな当たり前のことを、改めて考えた都知事辞任騒動でした。

(水島さつき)

 

  

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