今週の「マガジン9」

 2015年は、「立憲主義」という言葉が注目されました。初めて聞く言葉、という方がほとんどだったと思います。それほどに、「平和」「平等」「基本的人権」を柱とする日本国憲法は、「空気」のような存在として生活と共にあり、それは実に幸せなことだったのかもしれません。

 今年の夏には、参院選挙があります。安倍首相は、選挙で憲法改正発議に必要な、三分の二以上の議席を与党でとる、と明言しています。選挙の結果如何によっては、年内にも国民投票の発議が政治スケジュールにのってくる可能性がある、ということを嫌でも私たちは認識せざるをえないでしょう。

 立憲主義や民主主義を守っていない現政権を選挙によって引きずり下ろすことも、主権者である私たちが力を注がなくてはならないことではあります。でも、やっぱりまだ大多数の人にとっては、「憲法を変える、変えない。よくわからない。そもそも、憲法って何?」というのが本音のところではないでしょうか?

 そうした声に答えて、「憲法の勉強会」も、あちこちで開かれるようになりました。若手の弁護士(明日の自由を守る若手弁護士の会/あすわか)の弁護士たちが、手弁当で全国各地で「憲法カフェ」を行う動きも、ますます活発に全国に広がっています。

 マガ9でも改めて「憲法を読んでみよう」とするワークショップを企画しました。3月20日(日)に開催する第40回「マガ9学校」は、「憲法を知る=知憲」を広めるべく地域で活動を始めたママたち「しるしる憲法」さんの協力で開催します。親子でも、お一人でも、参加できるワークショップです。彼女たちが作成したちらしにも紹介があります。

 日本会議系の女性部が企画をしている「ワクワク憲法カフェ」という紛らわしい名前の「集会」が、各地で行われているという情報も耳に入っています。この件については、「あすわか」弁護士のお一人である太田啓子さんがfacebookでも〈1月31日の横浜市旭区での「憲法おしゃべりカフェ」では「特に、被災地にお知り合いがいる、ある女性は緊急事態条項が憲法に規定されていないために
『震災関連死』が1600人以上生まれてしまった事実を知って、とても驚いておられました」という、全く事実に反する記載があり、非常に警戒しています。「憲法勉強会」という体裁で、このようなデマを流すというのは許しがたいことです。今の憲法には緊急事態条項の規定がないのは事実です。しかしそのために「震災関連死が1600人以上生まれてしまった」などというのは、全く事実に反します。〉と記し、マガジン9の小口幸人弁護士の「緊急事態条項」についてのインタビューを紹介してくださっています。
 この「日本会議」のやり方や思想については、私自身大変強い違和感を覚えています。日本国憲法の基本理念である「平和」「平等」「基本的人権」をまっこうから否定するものだと認識しているからです。その辺りについてはまた別途取り上げたいと思っておりますが、今や「憲法カフェ」という名前だけでは、果たしてそれが法的にも正しい「憲法学習会」なのか、判別できないような現状もありますので、主催団体がどこなのか? 講師はどういうバックボーンの方なのか、ということもよく確認されてからお出かけになることをおすすめします。

(水島さつき)

 

  

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