5月26日、安倍政権が今国会で成立を目指すという安全保障関連法案が審議入りしました。国会中継を聞いても、NHKの討論番組を見ても、政権側の論理は矛盾だらけ。世論調査で「成立反対」が多くなるのも当たり前のことでしょう。
このような現在の状況について、「憲法」の観点からはどのように見ておけばいいのかを、先日塾長こと伊藤真弁護士に伺ってきました。
「まず押さえておかなくてはならないのは、昨年7月の集団的自衛権の行使容認を決めた閣議決定だけが問題ではないということ。第一次安倍政権のときから、『戦争ができる国づくり』は着々と進められおり、あの閣議決定も一連の中での出来事だと位置付けておく必要があります」と伊藤塾長。そしてそのゴールは、自民党が野党時代に発表した「憲法改正草案」であるときっぱり。
あの自民党の憲法草案と言えば、「トンデモ草案」として、当時は学者をはじめ、自民党議員でさえも「自民党内のいわば改憲マニアが作成したものにすぎないから、議論に値しない」と切り捨てられていたシロモノ。しかし塾長は、この草案に書かれていることが、今まさに現実に進められていると指摘されました。
改憲案の9条2項は、閣議決定で集団的自衛権の行使容認によって達成。9条の2第4項にある「軍事機密の保持」は秘密保護法の制定によって達成。さらに「改憲案9条の2第3項は、法律で決めさえすれば、国際協力の名目で国防軍が自由に世界で軍事行動を取れるという条文ですが、まさにこれが、今回の安保法制の整備で具体化してきていますね」と具体例をあげられました。
伊藤塾長は「平和と自由とは一体であって、9条が保障しているのは単なる『戦争のない状態』ではないんです」と語られましたが、日本国憲法が保障している、ひとり一人の人間としての権利や尊厳についても、全文と9条2項が変更される自民党の改憲草案では、大きく制限されることになるでしょう。
「戦争は嫌だ」「自由は素晴らしい」という考えがまだこの国の多数派だとしたら(そう信じたい!)、「そんなことになりっこない」は、もはや通じない段階にきていることを、今、多くの人たちと共有しなくてはと思います。
憲法をめぐる状況や私たちがやるべきことについて、さらに詳細に説明いただいている塾長のインタビューは、来週より3回にわたって掲載していきます。
(水島さつき)
「戦争は嫌だ」「自由は素晴らしい」という考えがまだこの国の多数派だとしたら・・・
ほとんどの人はそう思っているでしょう。
ただ,戦争ってこっちから仕掛けるだけじゃなくて,仕掛けられる可能性もありますから。
そのへんをどう考えているかで,変わってくるんだろうな。