春の統一地方選挙がまもなくです。(投票日/4月12日:知事選、政令指定市長選など。26日:政令指定都市以外の一般市長選、東京特別区長選、町村長選など)。地方再生の重要性については、トップからも草の根からも繰りかえし語られてきました。また、地方議会や議員のレベルの低さについては、「号泣会見」や「セクハラヤジ」などで、白日のもとにさらされた感があります。ですから今度の地方選挙は、今まで以上に有権者たちの注目が集まり、盛り上がるものだと思っていました。実際、各新聞メディアも「統一地方選」特集を今年に入ってから、かなり力を入れて組んでいます。しかし先日、朝刊見出しの「無投票選挙区33%」には、愕然としました。これは記録が残る第3回統一選挙以降で、もっとも高い割合だということです。新聞によると、野党第1党の民主党の候補者が目立って少なく、このような結果になったと分析をしています。従来の政党政治や代表制民主主義では、複雑で多様な価値観を持つようになった市民からの、信頼や興味をつなぎ止めることができなくなってしまったのでは、とも感じました。
しかし一方、自分たちの生活と政治が密接に結びついているということを3・11以降に気がつき、行動を始めた人たちもいます。国府田さとみさんは、食の安全といった観点からその思いを強め、地元の候補者のことをよく知るために、女性主体で公開討論会を開き、女性票も意識させる、という試みを勢力的にやってきましたが、先日、地元の町議選に立候補したという知らせ聞きました。
また、昨年秋からあちこちで開催されている、「怒れる女子会」の会場などでも、次の地方選挙に無所属で立候補する予定だと、何人かの参加者から聞きました。そこで出会った女性たちは、以前はノンポリに近い感覚だったけれど、3・11以降に現実政治に疑問を持ち、食・教育・介護・子育てといった毎日の生活の問題点や疑問点を話し合う勉強会などを通じてネットワークを作りながら、「今の政治が変わらないなら自分が変えよう」と地方議会に出ていくことを決めた人たちでした。そういった動きもまたあるのだ、ということもここに書き留めておきたいと思います。
先般、上智大学教授の三浦まりさんが、「怒れる女子会」の勉強会で「今はまだ将来豊かな実をつける木がうまく育つための、土を耕している状態。より良い植物は良い土からしか育たない。そしてその土づくりには時間がかかる。あきらめずに、20年のスパンで私たちは土を耕し続けていきましょう」と語っていましたが、まさに今そんな心持ちで、きたる統一地方選挙を迎えようとしています。
(水島さつき)
安倍政権は報道機関へ口を出し過ぎる。報道機関は行政の中立性が要請される公務員ではないのだ。 権力に対するチェック機能の弱体化を図る意図は明らかである。でも、12日の全国地方選挙の結果、有権者は安倍自民党及びその補完勢力にNOとはしなかった。 私達は、民主主義の維持発展に常に記憶に止めておかなければならないことがある。それは、「表現の自由」は民主主義の生命線。しかし、一旦侵害された「表現の自由」は民主政の過程で回復できない特徴を持つということである。 私たちは、子どもの頃から従順さを叩き込まれてきた。民主主義に欠かせない「批判精神」が醸成されないのは自然の成り行きかも知れない。
「良きことはカタツムリの速度で動く」とガンディーは言った。今回の選挙を通じて常に原因と結果を直視しさらなる闘いが求められていると感じた。