今週の「マガジン9」

 5月21日に飛び込んできた「大飯原発運転差し止め判決」は、久々にうれしい良いニュースでした。この判決については、先週の「時々お散歩日記」でも詳しく紹介していますが、是非、こちらの要旨全文もお読みください。「大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文」(NPJに掲載)とは言っても…全文は大変なので、冒頭の「はじめに」だけでも。

1 はじめに
 ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を問わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。

 「人格権は、最高の価値を持つ。」と憲法13条が保障しているこの権利を、堂々と最初に書いています。「原発差し止めと人格権」については、川口創弁護士の「憲法はこう使え」のコラムでも紹介しています。ここでは、志賀原発2号機運転差し止め判決を書いた、井戸謙一裁判官の判決を解説していますが、これを読むと今回の判決が、井戸判決をさらに進めたものであることが、よくわかります。

 このようなごくまっとうな司法の動きに、もっと多くの人に関心を持ってほしい。またすばらしい判決と判決文を書いてくれた、福井地方裁判所の樋口英明裁判長、石田明彦裁判官、三宅由子裁判官を有名にし、盛り上げたい。そう思っていたところ、こんなおもしろい企画を見つけました。

☆6月8日(日) 祝☆大飯原発運転差し止め判決! ありがとうパレード
●よびかけ文:憲法に忠実に、私たちの暮らしを一番に考えてくださった、勇気ある判決に、心から心から、感謝するパレードです♪

 この「パレード」については、今週の「こちら編集部」でも紹介しています。ドレスコードは、「お祝いごと」なので、華やかに。また感謝を伝えるパレードなので、否定的な言葉や表現は、NGとのことです。

 デモと言えば、権力者に対しての意義を申し立てる「反対!」や「カウンター」が主流ですが、たまにはこんな「ありがとう」の意思表示を路上で繰り広げるのも、憲法に忠実にあろうとする「裁判官」を応援する方法かもしれません。
 ただし、おかしな判決を出した最高裁判事に対しては、はっきりノーをつきつけられる「国民審査」という権利が主権者にあることも、しっかり周知していかなくてはならない。お祝いと同時に、こうしたことを改めて考える一つの機会になりそうです。

(水島さつき)

 

  

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