今週の「マガジン9」

 明日、15日に安倍首相は、私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書提出を受けて、記者会見を行うのだそうです。本日(14日)の朝日新聞の朝刊によるとこの報告書には、「他国を守るために武力を使う集団的自衛権の行使は憲法9条の定める〈必要最小限度〉の自衛権の範囲内だとして、憲法解釈の変更を求める」内容になっており、当然首相もこの考えを土台にして、「集団的自衛権行使の容認」を打ち出してくるものと思われます。

 「憲法9条のどこをどう読めば、集団的自衛権の行使が認められるのか。私にはわかりません」と阪田雅裕元内閣法制局局長は、マガ9インタビューでも首をかしげていましたが、法の専門家でなくても、私のような一般市民でも、憲法を読めば、「そんなことはまやかし」だとすぐにわかります。

 ちなみに集団的自衛権がどういうものか、というわかりやすい例は、韓国軍のベトナム戦争への参戦です。韓国軍はこの時、約5万人の兵士をベトナムへ送り、死者5000人近くを出したともいわれます。深い傷となっている、現地における韓国軍による殺戮についても、最前線にかり出されたがゆえに起こってしまった悲劇だとも言えるでしょう。海外での武力行使=戦争とは、殺し殺されることなのです。

 今安倍内閣が押し進めようとしていることは、そのやり方も内容もあまりにも強引で、傲慢すぎます。主権者である国民の同意なしに、憲法9条の平和主義を、時の政権が変えてしまうということは、憲法が権力を縛るという立憲主義を無視し、近代国家のスタンダードである法治国家をやめてしまう、ということでもあります。

 このように今は、かなり「危機的」な状況にあるのですが、自分たちの生活には直接関係ないと思っている人たちが大多数というのも、また現実です。消費税アップも大きな痛手でしたが、それよりももっと、とんでもなく取り返しのつかないことになりそうな悪い予感が…。そうならないためにも、憲法がまだ、私たちのものである間に、できることを考え続けているところです。

(水島さつき)

 

  

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