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みんなが大好きなスポーツ!「マガ9」スタッフだってそうです。
だから時々、メディアで報じられているスポーツネタのあれこれに、
突っ込みを入れたくなったり、持論を展開したくなったり・・・。
ということで、「マガ9スポーツコラム」がスタートです。不定期連載でお届けします。
5月15日付「朝日新聞」に川崎フロンターレの鄭大世(チョンテセ)へのインタビューが掲載された。6月にはワールドカップ南アフリカ大会のアジア予選が大詰めを迎える。彼は北朝鮮代表フォワードとして、同国の66年ぶりの本大会出場を目指しているのである。
――在日として溶け込むのに壁はありませんでしたか?
インタビューのなかで柴田真宏記者はこんな質問をしている。先の北京オリンピックの23歳以下サッカー日本代表フォワードだった李忠成(柏レイソル)を念頭に置いてのものだろう。在日コリアン4世で、韓国籍だった李は、かつて韓国代表を目指した。しかし、日本育ちゆえ、なかなかチームに馴染めず、代表入りを断念。日本国籍の取得を決意したという。
名古屋生まれの在日コリアン3世である鄭大世は朝鮮大学校を卒業後、2006年に川崎フロンターレに入団した。先の質問に彼はこう答えている。
「……僕はJリーガーであることに誇りがあって、はじめは上から目線で見ていたから打ち解けずにギクシャクした。でも練習や試合を見ると、『こいつらやるじゃん』って。身体能力は高いし、精神力は群を抜いている。……それで、互いに認め合うようになった」
北朝鮮代表には、在日コリアンとして育ち、アルビレックス新潟のミッドフィルダーとして活躍した安英学(アンヨンハッ)も名を連ねている。安は現在、韓国Kリーグでプレーしているが、朝鮮籍の選手としては異例のことだ。一方の鄭大世は韓国籍だが、朝鮮総連のサポートを受けて北朝鮮のパスポートを取得したという。彼らは国境を越えたフットボーラーたちなのである。
鄭大世はインタビューでこうも答えている。
「僕を在日の人たちや現地の人たちだけでなく、韓国人も川崎のサポーターも応援してくれる」
日本代表も来月、W杯出場権をかけてウズベキスタンと対戦する。川崎サポーターの多くも日本代表の応援にかけつけるだろう。でも、彼(女)らにとって最も近しいフォワードは、玉田圭司(名古屋グランパス)や田中達也(浦和レッズ)ではなく、鄭大世であり、ジュニーニョ(ブラジル出身)だ。新潟のサポーターは北朝鮮代表の安英学に懐かしさを感じるに違いない。
ワールドカップはしょせん4年に1度のお祭りだ。そこで「ニッポン! ニッポン!」と連呼しても、大会が終われば、下手なナショナリズムは引きずらず、各自の持ち場(地域)に戻る。
昨年のクラブ世界一に輝いたマンチェスターユナイテッドの主力選手をみてみよう。クリスチアーノ・ロナウド(ポルトガル)、アンデルソン(ブラジル)、ファン・デル・サール(オランダ)……。多岐にわたる国籍の彼らが、人口わずか45万人のイングランドの都市を代表するのである。
今季からJリーグはアジア枠を設けた。従来の外国籍選手枠3人に加えて、アジア連盟(AFC)加盟国・地域の選手が1人出場できるという制度だ。これはJクラブの選手補強もさることながら、より多くのアジアの選手を獲得することで、Jリーグのアジアにおける人気とステータスを上げる戦略といえる。
現在、J1では18チーム中11チームがこの制度を活用している。オーストラリアの1人を除くと、残りは全員が韓国人選手である。シーズン開幕時から低迷が続いたジュビロ磐田に途中入団し、救世主的な活躍を見せている李根鎬(イグノ)のような(彼はアジア枠入団ではないが)、私たちの度肝を抜くアジアの新星を日本のピッチで見てみたい。
(芳地隆之)
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