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2013-02-06up
時々お散歩日記(鈴木耕)
124巨大な反原発のうねりが、またも…
「春の訪れ前がいちばん寒い」とか「夜明け前がいちばん暗い」などと言う。確かに春直前の寒さは格別だし、生き物たちにとっては、今がいちばん辛い時期かもしれない。それでも、春は来る。
我が家では、なぜか小さな蜂が越冬中。ときどき蜂蜜を溶かした水をほんの少しあげると、大喜びで吸い込んでいる。このごろでは馴れてきて、僕の手のひらで遊んだり(?)している。夜はカーテンにしがみついて眠っている。よく見ると、可愛いものだ(写真参照)。
秋の実りがなくなって、野鳥たちは餌を求めて必死だ。だから、この時期になると、我が家の小さな庭は野鳥たちの訪れでにぎやかになる。
見切り品のミカンやリンゴを買ってきて、庭の枯れ枝に刺しておく。鳥団子(古くなった小麦粉に、砂糖と油を練り込んで団子状に丸めたもの)を作って、猫神さま(我が家の庭の置物を勝手にそう呼んでいる)の水受けに置いておく(写真参照)。
どこでそんな情報を手に入れるのか、野鳥たちがあっという間に集まってくる。
ここ数日で見かけた鳥、スズメ、シジュウカラ、ヤマガラ、ムクドリ、メジロ、ヒヨドリ、ツグミ、ワカケホンセイインコ、ハト…など。僕には名前が分からない鳥もいた。
中ではワカケホンセイインコが珍しい。鮮やかな緑色の大型の鳥だ。これはインドなどの熱帯地方の鳥だが、日本でペットとして飼われていたものが逃げ出し野生化したのだという。ギャーッギャーッと、あまり美しくない大きな鳴き声。これがなぜか、我が家の近所のお寺の大木に巣を作っているらしく、この辺りにはちょくちょく出没する。
ほんとうはもっと大きな鳥らしいが、日本に定住するようになってから、次第に体が小さくなってきているという。生きる知恵か。でも、こいつの食欲はすごい。他の小鳥たちを尻目に、バクッバクッと餌を食べてしまう。仕方ないので、僕ら夫婦も楽しませてもらっている分、せっせと餌やりをする。
半野良猫のドット、ナゴ、オジサン(とうとう3匹に増えた)は、日向ぼっこしながら、とても騒がしい鳥たちの食事風景を眺めている。それにしても、なんで鳥たちは黙って食事が出来ないのだろう。やたらさえずりながら食べている。
ま、それを眺めている人間もヒマだなあ…だけれど。
「春直前がいちばん寒い」というのは、実感としてよく分かる。だからといって、縮こまってなんかいられない。もうじき、春が来るのだ。
「反原発運動も下火だ」などと、知ったふうなことを言う連中も多い。そこにつけ込んで、原発推進派が息を吹き返しつつある。ほうっておくわけにはいかない。
僕は風邪をひいて、2週間ばかり「官邸前デモ」に行けなかった。ようやく回復したので、2月3日節分の日、東京・吉祥寺で行われた「パパママぼくの脱原発ウォーク」というデモに参加した(写真参照)。
とても素敵なデモ(へんな言い方だけれど)だった。
ひとつの街のデモとしては参加者数もすごかった。主催者によれば、450名を超えていたという。
最初の列が、子ども連れの若いパパママやお年寄りグループ。僕も老人なので、ここにお邪魔させてもらった。これが100人ほど。乳母車の赤ちゃんを連れたお母さんたちもかなり。
この列、和気藹々。のんびりと吉祥寺の繁華街を行く。子どもたちも大きな声で「原発ハンターイ!」と叫んでいた。
買い物客や、井の頭公園へ遊びに来たらしい人たちが足を止めて、デモを見ている。手を振ってくれる人も多い。
僕は列のいちばん後ろを歩いていたのだが、「入っていいですか」と声をかけられた。ふたりの子どもを連れた若いお母さんだった。「初めてなもので…」。どうぞどうぞ。
そんなふうな、なんとも優しいデモ。この親子のように、歩道から飛び入りで参加してくれた人たちもけっこう多かった。出発時よりだいぶ人数が増えていたように、僕には見えた。
その列のあとには、元気なドラム隊や若い人たち。だが、警備のやり方なのだろう、この一隊は前のファミリー・デモから1キロメートルも引き離されてしまっていた。なるべくデモ隊の数を少なく見せようとする警察の思惑だったのか。
それでもこの隊列、すこぶる元気がいい。太鼓を鳴らし、シンバルを叩き、ラッパを吹いて沿道に呼びかける。これが300人以上、迫力だ! ファミリー・デモと若者バンド・デモ。見事なコントラストを作り出した反原発パフォーマンスだった。主催者たちの発想の賜物だろう。
これを主導しているのは「パパママぼくの脱原発ウォーク」という、毎週金曜日の国会前のファミリーエリアで活躍している方たち。「温かな抗議」という呼び方がぴったりくる、そんなエリアの活動なのだ。
こんなふうに、各地で反原発デモは衰えていない。衰えていないどころか、活発化しているといっていい。たとえば、東京・八王子市では「金曜デモ」が行われているという。
官邸前・国会前の「金曜日抗議行動」に参加したいけれど遠くて無理、という人たちが、自分たちで手作りデモを始めた。参加者数は回によって数百人~数十人とバラツキはあるというが、それでも途切れずに会を重ねている。
僕の知る限りでも、東京都内で、中野や高円寺、吉祥寺・三鷹、府中、国立、多摩など多くの地域で反原発デモは続けられている。むろん、それは全国に波及している。
「マガジン9」の「日本全国デモ情報」をご覧いただければ、反原発の勢いが決して衰えていないことがよく分かるだろう。
その「全国デモ情報」や、広瀬隆さんからメールで知らせてもらった情報などを見てみると、3月11日の「原発事故から2年目」に向けて、全国で大きな反原発集会やデモが、これでもかっ! というほど準備されているのが分かる。みんな、忘れてなどいないのだ。さらに大きなうねりを作り出そうと、全国が動き始めている。
以下、把握できた限りの、3月11日に向けた集会やデモの予定をお伝えしよう。
3月9日(土)
- つながろうフクシマ!さようなら原発大行動 東京・明治公園、14時~、さようなら原発1千万署名市民の会
- つながろうフクシマ!さようなら原発・北海道集会 in 岩内 岩内地方文化センター、13時~(泊原発を対岸に見ながらデモ行進)
- さようなら原発・まつり 甲府駅北口よっちゃばれ広場、午前11時~
- バイバイ原発3.9きょうと 京都・円山公園、午前11時~
3月10日(日)
- 脱原発!福島復興市民大集会~風化させるな!原発事故! 福島県教育会館大ホール、13時~
- 原発ゼロ・首都圏大行動 東京・日比谷野外音楽堂~国会へ、13時~、首都圏反原発連合
- 講座「脱原発をたたかって」宇都宮健児さん、東京・クレヨンハウス、午前9時~(要予約)
- メモリアルアクション 原発のない新しい福井へ 福井市フェニックスプラザ、12時~
- 第3回さよなら原発東松山パレード 埼玉県東松山市箭弓町第一公園、16時~
- 原発・国民投票の実施を求める街頭デモ 東京・新宿歌舞伎町・大久保病院前広場、16時~
- 史上初!脱原発としまえんパレード 東京・豊島園・長谷川ちびっ子遊び場、午前10時30分~
- さよなら原発・小田原パレード 神奈川県小田原市
- 脱原発!原発ゼロへのカウントダウンin川崎集会 川崎市中原平和公園、午前11時~
- 福島原発事故2周年 柏崎刈羽原発の廃炉を求めるつどい 柏崎市産業文化会館、14時~
- 雨宮処凛さんとなくそう原発トーク集会@長岡市 NCホール(長岡駅東口・ホテルニューオータニ2階、13時30分~
- NO!NUKES 浜岡原発を廃炉に! やめまい!原発・浜岡ウォーク 静岡県浜松駅前、13時~
- さようなら原発・ぎふパレード 岐阜金公園、12時30分~
- 3.10さようなら原発・三重パレード 津市お城西公園(津市役所北)、13時30分~
- さようなら原発3.10集会2013 三重県名張市名張産業振興センターアスピア、午前10時~
- 原発のない社会へ びわこ集会 大津市膳所公園生涯学習センター、午前11時~
- 福島を忘れない!原発ゼロ・和歌山3・10フェスティバル 和歌山城西の丸広場、午前11時~
- 小出裕章さん講演会 和歌山市勤労者総合センター6階ホール、14時30分~
- さようなら原発3.10関西2万人行動―大飯原発をすぐ止めろ! 大阪市中之島公園、午前10時半~(3ヵ所にわかれて集会・デモ)
- 原発をなくす西宮の会一周年記念集会 兵庫県西宮市職員会館3階大ホール、14時~
- 3.10伊方原発をとめる愛媛集会 松山市堀之内ふれあい広場、13時15分~(翌11日、2回目の知事宛署名提出行動)
- 3.11を忘れない!原発ゼロ大行動in高知 高知市城西公園、午前10時30分~、原発をなくし、自然エネルギーを推進する高知県民連絡会
- さよなら原発!3.10北九州大集会 西小倉駅近くの勝山公園、午前10時~
- さよなら原発!3.10福岡集会 福岡市博多区・冷泉公園、14時~
- 原発いらない!3.10宮崎いのちの広場 宮崎中央公園(宮崎駅東)、午前10時~
- サヨナラ原発ナガサキ集会 長崎平和会館、13時~
- 3.10さよなら原発!かごしまパレード 鹿児島中央駅東口駅前広場、午前10時~
3月11日(月)
- 東日本大震災・福島第一原発から2年、さようなら原発北海道講演会inさっぽろ かでる2.7大ホール、18時~
- つながろうフクシマ!さようなら原発講演会 きゅりあん(JR京浜東北線・大井町駅そば)、大江健三郎氏、坂本龍一氏ら講演
- 東電本店前抗議アクション 東京・東京電力本店前
- 原発なくそう3・11キャンドルアクション 名古屋・栄噴水前、18時30分~
僕が把握できただけで、ざっとこれくらいだ。多分、まだまだ多くの集会やデモが、全国各地で準備されているだろう。洩れている集まりもたくさんあるにちがいない。
もし、これをお読みの方の中で、内容の間違いに気づいたり、他のデモや集会の予定をご存知であれば、ぜひお知らせ願いたい。次回以降のこのコラムで、追加・訂正をします。
しかし、この表を見ていれば、「脱原発の勢いは衰えている」などという報道が、まったく当たっていないことがよく分かるだろう。そんな報道に乗って、やみくもに「原発再稼働」に突っ走る安倍政権。いまに墓穴を掘るに違いない。いや、我々が安倍政権の墓穴を、きちんと用意してやろうではないか。
そう思いつつ、僕はまたデモに参加する。
鈴木耕さんプロフィール
すずき こう1945年、秋田県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒業後、集英社に入社。「月刊明星」「月刊PLAYBOY」を経て、「週刊プレイボーイ」「集英社文庫」「イミダス」などの編集長。1999年「集英社新書」の創刊に参加、新書編集部長を最後に退社、フリー編集者・ライターに。著書に『スクール・クライシス 少年Xたちの反乱』(角川文庫)、『目覚めたら、戦争』(コモンズ)、『沖縄へ 歩く、訊く、創る』(リベルタ出版)など。マガジン9では「お散歩日記」を連載中。ツイッター@kou_1970でも日々発信中。
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