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癒しの島・沖縄の深層

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おかどめ やすのり 1972年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。HP「ポスト・噂の真相」

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オカドメノート No.050

「弾道ミサイル」発射におけるメディアの騒乱ぶり

 前回も触れた北朝鮮の「弾道ミサイル」発射騒動について取り上げておきたい。政府・官邸と防衛省、外務省が練りあげた仰々しい反ミサイル・キャンペーンに乗せられてメディアが連日のごとく大騒ぎしたのは周知の通りだ。メディアは権力チェックの役回りを果たすことが社会的責務のはずだが、今回は無条件に政府の御用・広報の役回りに徹していた。まるで大本営報道である。冷静さを欠いた感情的な報道の危険性について、メディアはあまりにも鈍感すぎではないか。ウワシンがあれば、メディアの狂乱報道ぶりを批判的視点で絶対に取り上げたはずである。

 まず、鼻っから弾道ミサイルだという日本政府の決め付けじたいに問題がなかったのかどうか。苦肉の策ともいうべき飛翔体という表現もあったが(笑)。北朝鮮は、今回は最初から人工衛星打ち上げだとし、第一段が秋田沖の日本海、第二段が太平洋上に落下する事を事前に国際社会に向けて通告していた。実際、人工衛星らしきものが打ち上げられ、日本のはるか上空を通過し、太平洋上に落ちるというのも事前の通行どおりの軌道だった。予定より飛びすぎたこと、最終的に衛星軌道に乗ったかどうかは確認されていないが、北朝鮮だけに人工衛星を打ち上げてはいけないという言い分に説得力があるはずがない。

 それに対し、日本政府は過剰なまでの反応を示した。自衛隊に対し迎撃ミサイルによる「破壊命令」が出され、万にひとつのミサイル落下にそなえるということで戦時下のような非常事態宣言が演出された。その背後には巨額の防衛予算を拠出するMD利権の野望も垣間見える。マスコミに大々的に公開する形でのPAC3やイージス艦の配備もそれである。実際、「ただいま、北朝鮮からミサイルが発射されました」との誤報も流された。それが二回も続いたことで、結果的に日本のお粗末な危機管理体制までさらけ出した。まさに政府の反北朝鮮・ミサイルキャンペーンというべき物々しい有事対応に国民まで振り回されたが、結局、泰山鳴動ネズミ一匹という結果に終わった。完全な肩透かしである。

 日本政府は最初から人工衛星ではなく弾道ミサイルの発射だと決め付けたことで、国連安保理決議1718に違反するという立場を取らざるを得なくなり、結果的に国連安保理でも中国やロシアと見解が対立し、苦しい立場に立たされた。日本は今回の件で新たな国連決議を求めているが、せいぜい議長声明かプレス声明止まりだろう。今後、日本が対北朝鮮経済制裁を単独で進めても効果のほどははなはだ疑問である。北朝鮮もしたたかだったが、迎撃システムをアピールして公開した防衛省もしたたかだった。外務省はトンチンカンだったが、支持率アップを狙った官邸はにんまりという構図だったのではないか。麻生政権の支持率がこれであがるかどうかも見ものである。

 日本政府のこの独断専行ともいうべき強硬路線は、安倍晋三元総理ではないかとの説もあるという。麻生総理は総選挙の前に内閣改造をやり、外相に安倍晋三を持ってくるのではないかとのトンデモ情報も流されているからだ。今回の仕掛け人は意外にこの北朝鮮強硬派の元タカ派総理かもしれない。しかし、核や拉致問題の進展のための6カ国協議において今後日本が孤立する可能性はより強くなった。そうなれば、こうした日本の外交政策の失敗の責任は誰が一体取るのか。結局、誰も責任をとらないのが一貫した日本の霞ヶ関官僚なのだ。

 日本の悪しき官僚政治を打破するためには政権交代がもっとも有効なはずだが、霞ヶ関の最大権力である検察が総力をあげて民主党潰しの国策捜査を仕掛けてきた。メディアは司法記者クラブを通じて検察と癒着・馴れ合いの関係にあるために、検察の意を受けて執拗に小沢退陣の世論操作を仕掛けた。その効果があってか、各社の世論調査によると小沢辞めろ!コールが圧倒的に強いようだ。しかし、この北朝鮮人工衛星打ち上げ報道同様に、メディア側に権力の徹底チェックという冷静な視点がないと、日本は大局を見失うだろう。国民の政権支持率も総選挙の時期も検察次第という状況は異常ではないのか。この国のメディアの権力迎合ぶりにはうんざりだし、戦時下の大本営報道と体質的にまったく同じではないか。メディア諸君!不甲斐なさすぎはしないか。

無批判に恐怖感を煽る言葉の羅列、
TVに繰り返し映し出されるPAC3配置の光景。
「開戦前夜」の雰囲気は、こうして作られていくのかも?と、
怖さを感じました。
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